TS転生セシリアが『原初』のリンクスになるようです   作:相川翔太

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お疲れ様です。

今回は早く投稿することができました。
出来ればこのくらいのペースで投稿していきたいなぁ・・・


一夏の『驚愕』

IS学園での生活初日、『自由』に生きたかった俺はやる気もなく反抗的な態度だった。

 

そんな俺にIS学園の教員だった姉は言った。

 

 

「『自由』に生きたいのなら、まず『ヒト(人間)』であることを()()()のだな」

 

 

その姉の言葉に対して俺は――

 

 

()()()()()なら、俺だって辞めてぇよ」

 

 

そう返した。

 

 

・・・今にして思い返せば、まだ十五歳の『ガキ(子供)』で、()()()()()()俺はもちろんだが、()()世界最強で『大人』だった姉もこの『世界』について、あまりにも()()だったのだと思う・・・・・・。

 

 

 

 

 

なぜなら、『ヒト(人間)』であることを辞めることなんて『簡単』に出来るし、例え辞めたとしても『自由』に生きることなんて出来ないということを知らなかったのだから・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この時間では実践で使用する各種装備の特性について説明するが、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出場する代表者を決めようと思う」

 

3時間目の授業が始まっても机に突っ伏していた一夏は授業開始早々にそう口にした千冬の言葉を他人事の様に聞いていた。

 

 

――当然だ。

 

 

そんなモノに立候補するつもりなど一夏自身にもさらさらなく、このクラスにはSランクのIS適正を持つ『天才』である弟の秋二がいるのだ。

いくら自分が世界に二人しかいない男の適正者の一人だとしても適正値の差や今までの態度もあり、物珍しいからといって万が一にでも推薦されるなどということはないだろう。

 

 

そう考えていると女子生徒の一人が元気よく発言した。

 

 

「はいっ!私、織斑秋二くんが良いと思いますっ!!」

 

 

――その声を皮切りに次々にクラスから賛同の声が上がる。

 

 

「私も賛成ッ!!」

 

 

 

「そうだよね、せっかく男の子の装者がいるんだもんね~」

 

 

 

「それが良いよッ!」

 

 

一夏の予想通りクラスの女子達は秋二がクラス代表とやらに次々と推薦しだし、一夏は安堵した。

 

 

しかし・・・、

 

 

――びきり・・・

 

 

なぜか一夏の中で()()()が軋む。

 

 

それが『ナニ』なのかも『ナゼ』なのかも一夏は分からなかったが、このまま秋二で決まるというところである女子生徒の発言で状況は一変した。

 

 

「織斑先生、よろしいですか?」

 

「なんだ、ファロン。立候補か?」

 

「いえ、立候補ではありませんわ。わたくしは一つ、クラスの皆様に『提案』がありまして」

 

「提案?」

 

「はい、皆様、お忘れですか?このクラスには秋二さまの他に一夏さまという『()()』ある男性のIS装者がいらっしゃいますわ。

 

そこでわたくしからの提案と言うのは、秋二さまと一夏さま・・・、お二人に模擬戦を行っていただき、より高い『実力』を示した方をクラス代表に選出したい、と、いうものですわ・・・」

 

 

千冬にファロンと呼ばれた生徒がそんなことをのたまった。

 

すると・・・

 

「あ~、そうだよね~、一夏くんもいるもんね~」

 

「そうだね、秋二くんだけ推薦するんじゃ『()()()』だもんね」

 

「私は賛成~」

 

「私も、私もッ!!」

 

 

そんな『無責任』な賛同の言葉が次々と上がる。

 

 

――巫山戯るなッ!!!

 

 

「巫山戯んなッ!クラス代表だのなんだのはそこの『天才』さまがやればいいだろッ!!俺を巻き込むなッ!!!」

 

 

そう怒声を上げながら一夏は勢いよく立ち上がっていた。

 

 

突然の一夏の激昂にクラスメート達が驚く中、当のグレイスは涼しい顔だった。

 

 

「あら?秋二さまを『天才』とおっしゃりますが、本来男性では適正を持たないIS適正を持っている貴方も秋二さまと同じ『天才』ですことよ?そこをお間違えなく・・・」

 

そう丁寧な口調で一夏も秋二も同じ『天才』なのだと言うグレイスだったが、一夏はグレイスの自分を見る目を見てそんなことを微塵も思っていないことを一瞬で理解した。

 

 

――なぜならグレイスの目は『嘲り』に満ちていたからだ。

 

 

「・・・なにが『同じ』だッ!!」

 

そんなグレイスに一夏がそう返したところで・・・

 

「二人とも止めろ」

 

千冬が止めに入り、ため息を吐くと口を開いた。

 

「ひとまず確認するが・・・、ファロンの提案に賛成の者は挙手をしろ」

 

千冬の言葉を聞いた一夏は思わず振り返り教室を見渡す。

 

そこには休憩時間に出会った白い少女を含む数名を除き、クラスメートの大半が挙手をしているという一夏にとって絶望的な光景が広がっていた。

 

(止めろよ、本当に止めてくれよ・・・。俺は、俺は、もう・・・・・・)

 

一夏の心が絶望で染まっていく・・・。そして一抹の望みにかけて難しい顔で目を瞑って考え事をしている様子の千冬を見た。

 

 

――しかし・・・

 

 

「分かった、それでは一週間後の月曜。放課後の第三アリーナで織斑兄と弟の模擬戦を行うこととする」

 

千冬はそんな『()()()』なことを口にした・・・。

 

「姉貴ッ!!」

 

溜らず一夏はそう叫んでいた。

 

「ここでは織斑先生、だ。そして話は最後まで聞け。

・・・実際のところ同じ男の装者と言っても織斑兄と弟では明確に適正の『差』がある。

そこで、だ。明日から当日までの一週間の間、織斑兄には訓練機とアリーナの優先使用権を与える。これは織斑兄にとっては間違い無く『有利』なアドバンテージだ。

・・・『チャンス』をふいにするのではないぞ?」

 

 

――『コイツ(姉貴)』はナニを言っているんだ?

 

 

確かに『普通』なら素人同士で片方が一週間も優先的に経験を積めれば有利だろう。

 

 

――だが、秋二は『普通』ではないのだ。

 

 

それは家族を養うために家を空けることが多かった千冬で()()()()()()ハズなのだ、()()()()()()ハズなのだ。

 

 

それなのに・・・。

 

 

もはや反論する気力もなくなってしまった一夏は気が付かない内に座り込んでいた。

 

 

 

 

 

そして授業が開始されたが一夏の耳には何も入ってこなかった・・・・・・。

 

 

「鳥は良いよなぁ、鳥は・・・。『自由』で・・・・・・」

 

学園の屋上で寝転び、『自由』に空を飛ぶ鳥を見ながら一夏はそんなことを呟いた。

 

千冬にサボるなと言われていた一夏だったが最早そんな言葉を守るつもりはさらさらなく、授業が終わった後に教室から逃げ出して現在絶賛サボり中だった。

 

誰もいない屋上で青空を見上げていると幾分か一夏の気分は良くなった。

 

 

・・・まぁ、現実逃避と言われればそれまでなのだが、それでも一夏は良かった。

 

 

しばらくそうしていた一夏だったが天気の良い春の陽光を浴びている内についつい眠ってしまった。

 

 

 

 

 

――そして一夏は夢を見た。

 

 

 

 

 

夢の中で一夏は鳥になっていた。

 

鳥になった一夏は市街地の上を飛んでいた。しかし、その市街地は『普通』ではなかった。

 

 

――そこは戦場だった。

 

 

あちこちから立込める黒煙、響く爆音や砲撃音、破壊される建物の音。

 

その戦場を駆け回り殺し合う、見たこともない無骨な『兵器』達。

 

 

そんな戦場の上を通り過ぎて一夏は『何処』かへ向かっていた。

 

しばらく飛んでいると何かが見えてきた。

 

 

――それは巨大な建造物だった。

 

 

それが何なのか一夏には分からなかったが、例えるならば『塔』だろうか?

 

 

そしてその『塔』にさらに近づこうとしたところで・・・・・・

 

 

「・・・・・・兄。起きろ、織斑兄ッ!!」

 

 

一夏を探しに来たのだと思われる千冬の声に起こされた。

 

 

一夏が目を開けると青かった空は紅く染まり始めていた。どうやらかなりの時間眠ってしまっていたらしい。

 

一夏が上体を起こすと千冬は怒り半分、呆れ半分といった顔で一夏を見ながら口を開く。

 

「・・・織斑兄、私は自分の『ため』にも授業はサボるなと言ったはずだが?」

 

「・・・・・・・・・」

 

千冬の言葉に一夏は答えなかった。

 

それでも千冬は言葉を続ける。

 

「・・・私の立場上、詳細に話すことは出来ないがお前達兄弟は現在、世界中から()()な意味で注目されている。

お前達に良い感情を持っている者もいれば当然良くない者もいる・・・。

分かるか?お前の今後の行動しだいで良い感情を持っていた者達も『敵』になる()()()があるのだ。お前が今の状況を『望んでいない』し『不満』を持っていると言うのは分か・・・、いや、私にそんなことを言う『資格』などないのだろうし、お前は私を『信じる』ことなど()()()()のだろうが、今の自分の置かれている状況だけは『理解』してくれ・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

千冬の言葉に一夏は答えない。

 

「・・・今日のサボりに関しては『特別』に見逃す。だが、明日からは許さん。お前がサボっているのを見つけたら()()()()で教室に連れ戻す。・・・お前の寮のカギだ受け取れ」

 

そう言って千冬から渡された寮のカギを黙って受け取ると一夏は立ち上がり千冬を一瞥することなく屋上から出ていった。

 

 

そんな一夏の背中をなんとも言えない顔で千冬は黙って見送った。

 

 

千冬と別れてから一夏は途中に購買に寄った後、渡されたカギの部屋番号の部屋を目指して歩いていた。

 

歩きながら先ほど千冬に言われた言葉を思い返す。

 

(要は俺を研究所にでも送りたいヤツがいるってことだろ?幸いなことに『貴重』な男は『二人』いるもんな・・・。クソッ!!!」

 

 

――あまりにも『理不尽』だった。

 

 

もし、男でISを動かせる『才能』を持つのが一夏のみだったら喜んだかもしれない。だが、その才能は秋二も持っていた。

 

今までの様に当然『比較』される。さらにただ『比較』され見下されたり、馬鹿にされるだけではなく下手をすると自身の命にも関わるのだ。

 

 

――『好き』に生きることも出来ず、『理不尽』に死ぬ。

 

 

『力』も『才能』もない『人間』の人生なんてそんなものと言われたらそれまでだが、あまりにも惨めだった。

 

 

(どうせ『理不尽』に死ぬんだったらもっと『好き』に生きてりゃ良かったなぁ・・・)

 

 

そんなネガティブな思考に陥りながら歩いていると用意されていた部屋に着き、ドアにカギを差し込んだ。

 

「あれ?開いてる・・・」

 

不思議に思いながらも一夏はドアを開けた。

 

 

――開けた瞬間、一夏は驚愕した。

 

 

部屋の中には今日出会った白い少女がいた。

 

 

――それも『全裸』で・・・。

 

 

少女はシャワーを浴びた後だったらしく、頭の上にバスタオルを乗せながら杖をついて立っていた。

 

 

・・・男だったら驚きつつも興奮する場面なのだろうが一夏は驚愕するばかりで興奮などしなかった。

 

 

――だって彼女の身体は・・・。

 

 

すると、突然の男の乱入者に一夏と同様に叫び声などは上げずとも驚いていた彼女が口を開こうとしたところで一夏はハッと我に返り・・・

 

 

「!?、わ、悪い!!」

 

 

そう言って慌てて部屋を出た。

 

そして荒く息を吐きながらカギとドアの部屋番号を確認する。番号は合っていた。

 

そのことに安堵すると一夏は近くの壁に背中を付け座り込んだ。

 

(ど、どういうことだ!?ここ、俺の部屋なんだよな?なんであの子が・・・。まさかとは思うがあの子と同室って訳じゃないよな・・・、ないだろ?)

 

一夏は混乱しながらそんなことを考えた。

 

 

 

 

 

――それは一種の逃避だったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

なぜなら、一夏の見た少女の身体は『異常』だった。

 

両腕は二の腕、両脚は太ももの半ばから可憐な少女に似つかわしくない無骨な金属の『義手』と『義足』だった。

 

そして少女の白い肌にはびっしりと大量の『手術痕』が刻まれていたのだから・・・・・・。




以上、一夏視点になります。
基本的に一夏は重要人物なので単独投稿という形にしていきたいと思います。

IS学園編は登場人物が多いので視点切り替えをどうしてこうかなぁ・・・と頭を悩ませていますが頑張って描写していきたいと思います。

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