TS転生セシリアが『原初』のリンクスになるようです   作:相川翔太

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お疲れ様です。

なんとか二日の連休が終わったので頑張って書きました。
すこし短いかと思いましたがキリが良かったので一回投稿して、今月中にあと1、2話投稿しようと思います。


千冬の『後悔』

屋上で自分を一瞥もせず去って行く一夏の背中を見送った千冬は、自分の言葉が一夏にさして響いていないのを理解し、ため息を吐いた。

 

(なにを感傷に浸っている?織斑千冬。全ては『お前(自分)』の()()()()だろう?)

 

そう自嘲しながら千冬は一夏との関係が決定的になった出来事を思い返す。

 

 

それは三年前。当時中学一年生だった一夏達の期末試験が終わったあたりの頃だった。

 

 

『千冬姉、千冬姉ッ!見てくれッ!!俺、期末の数学で満点だったんだっ!!』

 

休暇で久々に家に帰っていた千冬に一夏が目を『期待』に輝かせながら赤字で100と書かれた答案用紙を見せてきた。

 

 

・・・この時の一夏は恐らく、いや、間違いなく千冬に『褒めて』欲しかったのだろう。

 

 

――すごいじゃないか、一夏!()()()()()()()!!

 

 

そう言って欲しかったのだろう・・・。

 

 

だから千冬の発した言葉にあんな顔をしたのだ・・・。

 

 

「そうか、秋二に負けないように()()()()()()?」

 

 

そう千冬が言った瞬間の一夏の顔を千冬は今でも忘れない。

 

 

 

 

 

――あの『絶望』した一夏の顔を・・・・・・。

 

 

 

 

 

千冬には一夏に対して『悪意』などなかった。ただ『期待』して、『激励』をしたつもりだった。

 

・・・今にして思えば千冬は感覚がマヒしていたのだろう。

 

 

――千冬は世界最強で人々から認められる『天才』だった。

 

 

だからといって千冬自身、驕っているわけではなかったし、自分と他人には一部の人物を除いて明確に『差』があることを分かっているつもりだった。理解しているつもりだった。

 

 

――しかし、『双子』の弟達の存在がそれを狂わせた。

 

 

双子の弟の秋二は幼いときから()()()()いて、我が儘などもあまり言わなかった。

 

兄の一夏の方は世間一般で言うところの年相応の、『普通』の子供の我が儘を言ったり癇癪などを起こした。

 

二人が成長すると秋二の方はどうやら『才能』があったらしく、剣道を初めとした様々な競技で日本記録を塗り替える成績を残し、勉強の方も毎回全国模試で一位だった。

 

では兄の一夏の方はどうかというと、ごく『普通』だった。

 

いや、正確に言うと世間一般の平均よりも間違いなく上ではあったが、勉強もスポーツも弟の秋二には当然及ばなかった。

 

だからといって千冬は一夏のことを“出来が悪い”、“才能が無い”と秋二と差を付けて接するということはなく、『()()』に接した。

 

 

――当然だ。

 

 

一夏も秋二も千冬にとって『大切』な弟で『家族』なのだから・・・。

 

 

だがこれが大きな間違いだった。

 

 

千冬は確かに二人に『平等』に接し、片方を『優遇』することはなかった。

 

 

二人の『能力』がほぼ『()()』ならそれで良かった。

 

しかし、一夏と秋二の二人には明確な『差』があった。

 

そんな二人を『平等』に扱ったら()()()()()

 

必然、『優秀』な秋二の方が褒められることが多くなる。さらに一夏にとって不幸だったのは千冬が二人を『平等』に扱う以上、一夏が千冬に褒められるためには秋二と『同等』のことをしなければいけないということだった

 

 

それが一夏にとってどれだけ『大変』で『苦痛』だったかのか千冬は理解していなかったのだ。

 

 

――『(織斑千冬)』の弟なのだから、双子の()()()()()()のだから、頑張れば()()()()()()はず・・・。

 

 

そんな勝手な『期待』が、『善意』の『激励』が大切な家族を傷つけた。

 

 

・・・その夜に一夏と話そうと思い一夏の部屋に入った千冬は己の罪を再確認することになった。

 

一夏は既に眠っていた。

 

起こすのも忍びないと思った千冬は一夏を起こさない様に部屋から出ようとしたが、ふと一夏の勉強机を見た。

 

机には付せんが沢山貼られた各教科の教科書に参考書、そして山積みにされたノートがあった。

 

 

――一夏は間違いなく頑張っていたのだ。精一杯努力していたのだ。

 

 

そんな頑張っていた一夏に千冬は「まだ足りない。()()()()()()」と言ったのだ。

 

 

千冬は堪らず部屋から飛び出した。

 

 

次の日から一夏は変わった。

 

千冬のことを今までの『千冬姉』呼びから『姉貴』と呼ぶ様になった。

 

そして両親がいないという理由で学校から許可を貰いバイトをするようになった。

 

今まで勉強に充てていた時間をバイトに費やしたため当然一夏の成績は下がった。(それでも平均ぐらいは維持していたようだったが・・・)

 

一夏が何を考えているか千冬は察したがそれを指摘することは出来なかった。

 

それでも千冬はなんとか関係を改善しようとして“なにか切っ掛けになれば”と第二回モンド・グロッソに一夏と秋二を現地に招待した。

 

 

――これがとんでもない『悪手』だった。

 

 

結果、関係改善どころか『最悪』だと思っていた一夏との関係はさらに下へ突き抜けることになってしまったのだ・・・。

 

 

そして()()()と言わんばかりに今回のクラス代表選出だ。

 

 

・・・実を言うと、クラス代表選出が今回の流れになるのは事前に想定されており、()()()()()から秋二が戦うことになるのは決定していたのだ。

 

想定外だったのは秋二の対戦相手が一夏()()になってしまったことだった。

 

もし参加者に専用機持ちのオルコットなりファロンなりが居ればそれを理由に一夏を外すことも出来たが、二人が参加せずクラス中をあの様に『煽動』された中でそのようにすれば不自然になるため千冬は動けなかった。

 

結局、千冬に出来たことは一夏に一週間の訓練機とアリーナの優先使用権を与えることだけだった。

 

千冬はつくづく自分が情けなくなった。

 

(何が『天才』だ、『世界最強』だ、『ブリュンヒルデ』だ、笑わせる・・・。お前など、ただ『権力』に従い、傷つけた弟をさらに苦しめるとんでもない悪女ではないか・・・)

 

そう自虐しながら千冬は屋上を後にしたのだった・・・。




なにをもって『平等』とするかって難しい・・・

2023/09/14 過剰強調修正

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