TS転生セシリアが『原初』のリンクスになるようです 作:相川翔太
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屋上を後にした千冬は憂鬱になった気分を表情に出さないようにしながら会議室へと足を進めていた。
途中、千冬の姿を見た新入生達が黄色い声を上げる。
「きゃ~、本物の千冬様を見ちゃった!!」
「凜々しいお顔がやっぱり素敵よね!!」
そんな彼女達を無視しながら歩く千冬は表情こそ変えなかったが心の中で大きなため息を吐いた。
(何も知らない者達が羨ましいよ。・・・彼女達が本当の『私』を知ったらどう思うのだろうな・・・・・・)
千冬は心の中でそう愚痴る。
自分を『憧れ』の目で見つめる彼女達の千冬は天才で世界最強、容姿端麗で高潔無比、地位や権限もある完璧超人なのだろう。
――だが、『現実』は違うのだ。
いや、全てが違うと言う訳ではない。いくつかは正しい。
自慢ではないが容姿に関しては客観的に見て優れているのだろう。単純な戦闘、身体能力も他の者に遅れを取ることはないだろうし、つもりもない。伊達に世界最強の『称号』を与えられている訳ではないのだ。
――だが、
千冬も『
心身ともに疲れるし、眠くもなる、腹だって減る。自分の無神経さで大切な弟のことを傷つけ家族関係は最悪と言っていいし、家事だって苦手だ。
世界最強と言っても、ただ直接的な『力』が強いだけで石器時代ならいざ知らず、現代社会の一員である以上、むやみに振れるものではなく、さらにその『称号』が千冬の『自由』を縛り、例えば、何か嫌なことがあって居酒屋でヤケ酒をして酔い潰れたくなったとしても世間のイメージする『千冬像』を崩さないためにも千冬は
地位や権限だって確かに発言力や有力者との繋がりもあるが、それはあくまでISに関係する場合であって、そのISを国家や国連が管理・運用している以上、千冬は立場上その意向に内心で
――それが彼女達の憧れる『
あぁ、それにしても・・・・・・
(出来ること、出来ないことがある、か・・・。それを私は
「千冬姉・・・、いや、織斑先生!!少し聞きたいことがあるんだけど・・・」
千冬がそんなことを考えていると後ろから秋二に話しかけられた。
「む、織斑弟か。なんだ?寮のことに関してなら山田先生に・・・」
そう言えば一夏には千冬が寮のカギを渡したが、秋二の方は真耶に任せていたのでそう言おうとした千冬だったがそれを遮って発せられた秋二の言葉はまったく違う物だった。
「いや、そうじゃなくて・・・。聞きたいことっていうのはセシリアについてなんだけど・・・」
秋二の口からこれから行われる会議の議題となる少女の名前が出たとき、一瞬反応しそうになった千冬だったがなんとかそれを押し込めた。
「・・・オルコットがどうかしたのか、織斑弟?」
「いや、どうってわけじゃないけど・・・。えっと、右手が義手だったし、杖をついて歩いていたからどうしたのかなって心配になって・・・・・・」
ふむ、なるほど。確かに『普通』の感性がある『ヒト』ならばオルコットの身体のことを知れば心配の一つはするだろう。
――だが、秋二よ。お前に一つ問いたい・・・。
「・・・オルコットが自己紹介の時に言っていただろう?
「え、いや、それは分かるけど、そうじゃ「なぁ、織斑弟」な、なんだよ」
自然と目が険しくなっていくのに気付きながらもそう返した千冬の言葉に反論しようとした秋二を遮り、千冬は問いを掛ける。
「何故、オルコットが
――そうなのだ。
セシリアは手袋を嵌めている。
事前の面談でセシリアと会話した際本人が言っていたのだが、自身の身体についてセシリアは気にしていないそうだが、他者が義手を見た際に
そして今日は実技がないためセシリアが手袋を外す機会などない。つまり秋二がセシリアが義手だと知るためにはセシリアが手袋を外しているところを見る、握手などで実際に触れて違和感を感じる、セシリア本人が自身の身体について秋二に話すなどになる。
偶然見た、触れて義手だと気付いた、ならばまだ良い。
しかし、学園生活初日で特に接点のない秋二にセシリアの方から話す可能性は
千冬の問いに対して秋二は答えようとせず、
そんな秋二の様子を見て千冬は大体の状況を察した。
――それはまずい。
セシリアは下手をすると男の適性者である秋二と一夏よりも
これからのためにも中途半端に情報を与えて変な先入観を持たせない方が良いと判断していたのだがそれが裏目に出たようだった。
その事実に千冬は頭を痛めながらも口を開いた。
「・・・オルコットの身体に関しては『一応』事情は把握している。しかし、それを私の口から教えることは出来ん。デリケートなことであるからな・・・。知りたければオルコットが『
「ちゅ、忠告?」
「お前のことだから、オルコットに対して何か
「そ、それって、どういう・・・」
「それは自分で考えろ。・・・私はこれから会議があるので話はこれまでだ」
そう言うと千冬は会議室へ向けて歩き出した。
しかし、内心は穏やかではなかった。
(
だが、言わなければならなかった。
千冬から見た秋二は『優秀』ではあるが、家族会議の際にもあったように空気を読まない、いや、空気が読めないことがあった。
千冬も気付いたときには注意していたが中々治らず、頭を悩ませたこともあった。
今まではなんとかなったが、この調子で最悪、何かセシリアと・・・、いや、その背後にいる『
大切な『家族』に
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「すみません、聞き間違いでしょうか?」
IS学園の生徒会長室でIS学園最強であり生徒会長の『更識楯無』は普段の飄々とした態度とは違い真剣な様子で通話を行っていた。
『聞き間違いではない。弟の方には
「・・・それは対戦相手が専用機持ちの場合の話ではなかったのですか?今回の場合、その条件ではあまりにも公平性に欠けると思いますが?」
楯無は通話相手に苦言を呈す。
『人間も社会も
――ギリ・・・
その言葉に楯無は唇を噛みしめる。その間にも相手は言葉を続けた。
『とにかく決定は覆らない。公平性が大事だと言うならば兄の方に一週間の訓練期間を与えたのだろう?ならばその時に、君でもブリュンヒルデでも良いから教導を行えば最低でも『公平感』は与えられるのではないかね?
・・・私からは以上だ。生徒を大事にするのも良いが君は君の『義務』を果たしたまえ』
そう言って通信は切れた。
通信が切れた後、楯無は持っていた通信機を床に叩きつけようと腕を振りかぶったが、そんなことをしても意味がないと思い直しゆっくりと腕を降ろし、大きなため息を吐いた。
(やはり、政府に追加予算と人員を要請すべきではなかったかしら・・・。いえ、しかし・・・・・・)
楯無は心の中でそう独りごちる。
楯無が通話を行っていたのは日本政府の関係者だった。
本来なら学園側から政府に対して予算や人員の追加を要請することなど
去年の段階でISの生みの親である束の妹の箒が入学が決まった際に箒の安全のために例年の予算よりも多めに組んでいたのだが、
そして予算が議会で通過しホッと一息ついたのも束の間、とんでもないイレギュラーが発生した。
――男のIS適正者が
男のIS適正者が現れたのは別に良かった。問題は二人も現れたことでる。
こんなことを楯無は思いたくはなかったが、現れた適正者が
なので不足分の予算と人員を調達する必要があったのだが、政府へ要請した結果、追加は認められたのだが『条件』を出されてしまった。
それは“織斑秋二に『倉持技研』が開発した第三世代機を専用機として与えるので戦う場を設けよ”と言うものだった。
その条件を提示されたとき、自身の考えていた以上に日本政府が焦っていること思い知らされた。
だが、それは仕方が無いかも知れない。
(去年、米国議会で通過したあの法案、そして彼女の『機体』・・・。『企業』は予想以上に力を付けている。焦るのは仕方がない、仕方がないけれど・・・)
そう考えた楯無は軽く頭を振ると苦笑した。
(なにを考えているの?『私』は
そう自身に喝を入れると予定されている会議へ向かうため部屋を後にするのだった・・・・・・。
会長は口調が場面によってコロコロ変わるから喋らせるのが難しい・・・。
個人的に会長の設定が原作で一番ぶっ飛んでるような気がするなぁ・・・。
2023/09/14 過剰強調修正
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