TS転生セシリアが『原初』のリンクスになるようです   作:相川翔太

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お疲れ様です。

なんとか今月終わりまでに投稿出来ました。
次話からセシリア視点になります。長かった・・・。


IS学園会議

学園内にある防諜対策のされた会議室に複数の人間が集まっていた。

 

集まっていたのは教員側は世界最強『織斑千冬』を筆頭に他数名。生徒側は生徒会長『更識楯無』を中心とした生徒会メンバーと、そうそうたるメンツだった。

 

「すみませんっ!遅れましたっ!!」

 

そこへ慌てた様子で1年1組副担任の『山田真耶』が入ってきた。

 

「いえ、大丈夫ですよ、山田先生。・・・それでは全員揃いましたので、これから定例会議及び報告会を始めます。まず、お手元の資料をご確認下さい」

 

真耶の入室を確認すると楯無はそう宣言した。

 

そして各々が資料を確認すると、資料を読んでいた千冬が静かに声を上げた。

 

「・・・更識、これはどういうことだ?」

 

「どう、とは?」

 

「とぼけるな。織斑弟が専用機を使用するのは専用機持ちと対戦する場合のみだったはずだが?」

 

声色こそ普段通りだが、明らかに怒気が込められた千冬の言葉を受けても楯無は表情を崩さず、至って冷静に答える。

 

「それにつきましては政府の・・・、いえ、正確に言えば政府と倉持技研の意向ということになるでしょう。資料を読んでいただければ分かりますが、両者ともに『不安』と『焦り』を抱いています。政府は去年、米国議会を通過した企業に対する法案に先進各国が追従する流れを、倉持技研は自身が旧『デュノア社』の二の舞になることを・・・」

 

「・・・それで、その『不安』と『焦り』とやらを解消する方法が織斑兄を弟の()()()にすることだと?」

 

「はい、端的に言うと()()()()()()

 

そうきっぱり答える楯無に対して千冬の目が鋭くなる。

 

(覚悟をしていたとはいえ、やっぱりきついなぁ・・・)

 

そう内心で思いながらも楯無は説明を続ける。

 

「織斑先生、今回のことに関しては私としても本意ではありません。しかし、現在、織斑先生もご存じでしょうが、国際IS委員会の一部強硬な委員が秋二くんの身柄を研究所に引き渡すように頑なに主張しています。

調査の結果、この委員達はGA社から法の範囲内とは言え多額の献金を受け取っていたことが分かっています。

・・・当然のことながら表になっていない部分でも受け取っていることでしょう。そして、その引き渡しを主張している研究所も()()()()()()()()()()()()研究所であることが分かっています。

・・・現在は中道派、穏健派の委員が強硬派を押さえていますが、彼らも一枚岩ではありません。中には適正で劣る一夏くんの方を、いっそのこと『平等』に()()()()などと言う声も上がり始めています。このままでは強硬派が、いえ、()()()()彼女達の切り崩しを測れば、最悪二人にとって良くない結果になります」

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

「・・・去年、米国で通過した企業が所有する独自戦力の制限の緩和、いえ、()()()()()()に各国が同調する流れがある以上、米国を本拠地とするGA社のみではなく六大企業の力は更に強まることでしょう。

そうなれば、現在二人の男性IS搭乗者をデータ収集などの形で日本に所属させようとしているものの、六大企業の本拠地となっていない日本政府の発言力は弱まってしまいます。

そうなってしまってからでは遅いのです。・・・『納得』はし難いと思いますが、『理解』して下さい」

 

 

楯無の言葉を受けて千冬は目を瞑り考える。

 

 

(つまり、政府と倉持技研の考えとしては、あくまで試合という形ではあるが、実際は日本製第三世代機と秋二の優秀性をお披露目する舞台に過ぎないと言うこと、か・・・。適正値が全てではないが、二人が戦って一夏が秋二に勝利、いやある程度食い下がっての敗北すらも()()()と言える。一夏が敗北しても適正値に差があり、相手は専用機だから負けても『仕方がない』と言い訳は出来る、出来るが・・・)

 

 

――それではあまりにも一夏が・・・・・・

 

 

「更識、一つ、いや、二つ聞きたい」

 

「なんでしょう?」

 

「一つは今回の勝敗の如何に関わらず、政府は二人を日本所属に動くと考えていいのか?」

 

「・・・内容にも依りますが、一人は日本所属に、もう一人は政治的判断もありますから日本ではないでしょうが別の国家所属に動くと思います。少なくとも研究所へ引き渡しとはならないでしょう」

 

楯無の回答に千冬は軽く頷くと何か決心した顔になった。

 

「分かった。もう一つなのだが、・・・織斑兄の一週間の訓練期間に私が教導を行うことは可能か?」

 

その千冬の問いに楯無は・・・・・・

 

「・・・可能か不可能かで言えば可能ですが、それは止めた方が良いでしょう・・・・・・」

 

「・・・理由は?」

 

楯無の言葉に千冬は不服そうに訪ねる。

 

「理由としては、勝っても負けても一夏くんのためにならないからです。・・・織斑先生は『特別』な存在です。そんな先生がマンツーマンで教導を行うとなれば生徒達の間で不公平感が確実に出ますし、仮に一夏くんが勝利した場合は織斑先生の教導のおかげ、負けた場合は織斑先生に教導してもらったのに、という意見が()()()()()ことになります。

それは仮に私が教導を行った場合にも言えるでしょう。

個人的には教導を行うにしても上級生の専用機持ちか山田先生にお願いしたいと思っています。秋二くんが使用することになる機体はかなりピーキーな性能ですから、それで一夏くんの()()()な敗北、とはならないかと・・・」

 

 

(とは言っても、当の本人にやる気がないとどうしようもないのだけれど・・・・・・)

 

 

そんなことを表情に出さないように楯無は考えた。

 

 

「・・・そうか、分かった。教導の人選に関しては私も加わりたいが、構わないな?」

 

「はい、構いません。申し訳ありませんがよろしくお願いします」

 

「いや、私も少々私事が過ぎた」

 

そう返した千冬だが胸中は複雑だった。

 

(家族を養うために必要だったものが、家族を助けるのに邪魔になるとは・・・。全く・・・)

 

顔をほんの僅かに暗くした千冬に()()()()()()()()()()楯無は気が付いたものの見なかったことにして次の議題に移った。

 

「さて、次の議題ですが・・・。例の彼女、セシリア・オルコットとレイレナード社に対する調査報告になります」

 

楯無の言葉に各々が手元の資料に目を通し、顔を歪めていく。

 

「あ、あのっ、楯無さんっ!こ、これって・・・」

 

真耶が堪らずといった風に声を上げる。

 

それに軽く頷くと楯無はゆっくりと語り出した。

 

「はい、彼女の義手と義足ですが、スペアを含めて確認したところ、()()()()()()()()()()造られていることが分かりました」

 

その言葉に会議室にいる人間達は悲壮な顔をする。

 

当初、IS学園側としてはセシリアを『企業』からの諜報員として見ていた。しかし、レイレナードから提出されたセシリアと言う少女の資料を確認すると不自然なところが多すぎた。

 

まず、セシリアはレイレナードのIS関連事業のテストパイロットとしてスカウトされたということだったが、彼女のIS適正は『Cランク』と低い数値だ。

なら、第三世代機特有の特殊兵装を扱う為の何らかの適正があるのかと思えば、セシリアの専用機は機動性やシールドエネルギー出力や容量などの基礎スペックは既存機を圧倒しているものの、兵装自体は特別な才能を必要としないモノだっため、なぜレイレナードはわざわざ()()()()()()()()()()()()()()()()()?ということだ。

 

次にセシリアの身体と容姿についてだ。

 

――セシリアには四肢が無く、頭髪は白い。

 

しかし、レイレナードにスカウトされる前のセシリアは『普通』の身体で頭髪もブロンドだったのだ。

 

このことについて指摘するとレイレナードは、

 

「四肢は試験中の事故により損失。頭髪はその際の精神的ストレスによるもの」

 

の一点張りだった。

 

その回答を聞いて「はい、そうですか」と当然納得など出来なかったものの、相手は新興とはいえ六大企業の一角であるため、それ以上追求は出来なかった。

 

楯無としては正直なところ、ここまで「疑って下さい」と言わんばかりのセシリアとレイレナードが諜報活動を行っているとは思っていなかったが、放置するにはあまりにも()()()()()

 

なので、もしかしたら義手や義足に何か仕込まれているのではないか?と思い、“故障した際に学園内で修理が出来るようにするために少し義手と義足を調べさせて欲しい”とセシリアに要請した結果が()()である。

 

 

――セシリア・オルコットは間違いなく、『企業』に()()()()()()のだ。

 

 

楯無には『良心』がある。ちゃんとした『倫理観』もある。

 

 

――しかし、同時に暗部としての『義務』がある。。

 

 

(セシリアちゃんが『企業(レイレナード)』に利用され食い物にされた()()()『被害者』ならこちら側に引き込んで企業を糾弾。

全て同意の上で企業に協力しているなら目的を突き止めて企業を糾弾。

・・・私がやることは変わらないわ・・・・・・)

 

 

この場では()()()()()()()()()()ことを考えながら楯無は千冬に話しを振る。

 

「織斑先生。まだ初日ですが、彼女。セシリアちゃんの様子はどうでした?」

 

「・・・増長することなく、空気も読めるし、気遣いも出来る。物腰も柔らかく、まぁ、皆が想像する名家のお嬢さま、と言ったかところか・・・。正直、アレが演技だとしたら世界でも有数の名女優になれただろうな・・・・・・」

 

「そうですか・・・。山田先生は?」

 

「・・・・・・こんなこと、教師として私は思いたくありませんが、私は、オルコットさんが『怖い』です・・・・・・」

 

真耶のセシリアが『怖い』と言う発言に楯無と千冬は驚く。

 

それに気付いた真耶は慌てて口を開く。

 

「あ、いやっ!別に今日なにかがあったとじゃないんですっ!!

・・・オルコットさんに何があったのか私は分かりません。目的も分かりません。でも、オルコットさんは楽しそうにしているんです。休憩時間にクラスメートから授業内容の質問を受けても、嫌な顔をしないで()()()()()教えて上げて、交流を楽しんでいるように私には見えました。

だからこそ、私は怖いんです。

・・・教室で笑っているオルコットさんと、戦っているオルコットさんのどちらが本当の彼女なんでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

――私には、まるで彼女が『分裂』しているように感じてしまって・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

『本社から連絡とは、どうした?』

 

『報告です。来週、()()()()が模擬戦を行うそうです』

 

『ふむ、そうか。他の対戦相手は?確か、『原初』が同じクラスだったな。彼女も戦うのか?』

 

『いえ、どうやら兄弟同士で戦うことになったようです』

 

『む、そうか。・・・その模擬戦、私も見ることは出来るか?』

 

『は、戦闘記録は公開されるそうなので模擬戦が終わり次第・・・』

 

『いや、直接見ることは出来るか?』

 

『直接ですか!?倉持技研が現地入りするそうなので、我々も可能ですが・・・。よろしいのですか?GAと共同訓練中なのでは?』

 

『大丈夫だ。予定では前日までには訓練は終わる。終わり次第、そちらへ向かうとしよう』

 

『分かりました。しかし、無理はなさらないで下さいね、『隆文』様・・・』

 

『今は『ワカ』だ。・・・さぁて、どんなものか・・・・・・』




お茶会形式にしようか、報告書形式にしようか悩みましたが、多人数の心情を描写する練習のためにこんな形にしましたw

2023/09/14 過剰強調修正

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