TS転生セシリアが『原初』のリンクスになるようです 作:相川翔太
世間の長期休暇が作者にとっての繁忙期で連日の暑さで体力的にもキツク、こんなに遅くなってしまいました。
今後は涼しくなり、リアルの方もだいぶ落ち着きましたのでなんとか以前の投稿ペースに戻れるように頑張りたいと思います。
衝撃の光景を目にした俺は姉が俺に渡したカギが間違っていると思い職員室へ確認に行った。
普通に考えたらいくら男のIS適正者が二人も現れるというイレギュラー要素が発生したとしても年頃の男女を同室にするのはあり得ないと思ったからだ。
だが確認の結果、俺とセシリアは同室だった。
・・・確認の際に一悶着があったが、それは置いておく。
その後、俺は部屋に戻り、セシリアに改めて謝罪をしたのだが、セシリアは特に気にした様子もなく許してくれた。
しかし、俺と同室であるということはセシリアも知らなかったらしく驚きつつも「お茶を飲みながら話をしよう」と茶会を開いてくれた。
――そこで出されたお茶は美味かった。
思い出補正や『今』の俺の稼ぎでも現在の『企業』統治下の世界じゃ良い茶葉が中々手に入らないこともあるが、セシリアが入れてくれたお茶は本当に美味かったんだ。
・・・なんでこんなに美味く感じたのか気付いたのはだいぶ後になるのだが、気付かない方がよかった。気付くべきじゃなかった。
俺がこんなに『醜い』心を持っていたなんて、知りたくなかった。
――決して、知りたくなかったんだよ・・・・・・。
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職員室を出て廊下を表面上は平静を装って歩いていた一夏だったが内心は荒れ狂っていた。
(秋二に専用機?頑張ってね?応援してる?どの口が言いやがるっ!全部、俺を踏み台にするための茶番なんだろうがっ!?巫山戯んなっ!!)
先ほど職員室でのやり取りで女教師の言葉を思い出しながら一夏は心中でそう吐き捨てた。
そう、一夏は女教師の「一夏も専用機を貰えるように頑張れ」という、あくまで激励の言葉を「模擬戦で秋二が専用機を使用するので頑張れ」と曲解していたのだ。
本来ならこんな考えには至らないはずなのだが、今までの一夏の人生の経験や過去のとある出来事、直前での千冬とのやり取りなどで一夏は冷静に考えることが出来ていなかった。
そうして心の中で激昂しながら廊下のど真ん中を歩いていると、どうやら内心の怒りが表面に出ていたらしく一夏の姿を見た女子生徒が「ひっ!?」と短く悲鳴を上げ後ずさる。
その様子にますますイライラする一夏。
いっそ、このまま大昔の流行歌よろしく、学園中の窓ガラスをたたき割って試験の際に使用したISを盗み出してやろうか?などど物騒なことさえを考え始めたところで立ち止まり、窓から外を眺めた後、深く長いため息を吐いた。
同じ遺伝情報を持つ双子のはずなのに『凡才』の
さらに、弟には専用機が用意されているという。鬼に金棒どころの話ではない。
そんな『天才』相手に『凡才』の自分がたった一週間の訓練期間で戦えと言うのだ。
――結果は既に見えていた。
そして、その後の周囲の反応も・・・・・・。
(あぁ、本当に・・・・・・)
――世の中『理不尽』だよ・・・・・・。
そんな諦観の境地に至りながら一夏は再び歩き出すのだった。
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(だいぶ遅くなっちまったな。きっと、怒ってるだろうな、怒ってるよなぁ・・・)
一夏は用意された自分の部屋、いや、正確に言えばセシリアと同室の自分の部屋の前にいた。
正直なところ、一夏としては
そうして一夏は部屋の前でノックをしようとしていたのだが、最初の予定からずいぶん時間が経ってしまっていたので、一夏は間違いなくセシリアが自身に対して怒っているだろうと思うと中々踏ん切りが付かず二の足を踏んでいた。
(なにやってんだよ、俺は・・・。例え、不可抗力でもセシリアが怒っていたならそれは俺が悪いんだろ?・・・だったら自分のやったことくらい、自分で『責任』なり『ケジメ』なり取れよっ!!)
何回か拳を上げ下げしていた一夏は覚悟を決め、二、三回浅めに呼吸をした。
(南無三っ!!!)
そう意を決してノックをしようとしたところで・・・・・・、
――ガチャリ、とドアが開いた。
「うわっ!?」
「きゃっ!?」
急にドアが開いたため驚きの声を上げる一夏。その一瞬の後に短い悲鳴が上がる。
悲鳴の主はセシリアだった。
どうやら一夏がノックをしようとしたのと同じタイミングで部屋から出てきたらしい。
咄嗟のことで声が出せなかった一夏よりも先にセシリアが口を開いた。
「驚かせてすみません、一夏さん。大丈夫ですか?」
「あ、あぁ、大丈夫だけど。その・・・」
なんとかそう返し、一夏は続けて謝罪の言葉を述べようとしたのだが突然のハプニングで事前に考えていた謝罪の言葉の内容をド忘れしてしまい、なかなか言葉が出せなかった。すると、そんな一夏の様子を見てセシリアはなにか納得したような表情になり喋りだした。
「あ、先ほどの件でしたら私は気にしてないですよ?一夏さんは部屋を間違ってしまったんですもんね?それなら仕方ないですよ。私の方こそ申し訳ありません。本当でしたらすぐに追いかけるべきだったんですが・・・」
(なにか勘違いしてるッ!?い、いや、なにやってんだよ俺は!謝んなきゃいけない相手に謝らせてどうする!!俺も謝んないと・・・。あれ?セシリアの名字ってオルコットだっけ?ウォルコットだったっけ?ええぃ、ままよ!!!))
「あ、お、おるこっ、オルコットさんは悪くないよ・・・。俺が悪かったんだ、その、すまん・・・」
なんとかそう言った一夏だったが、そのあんまりにもあんまりな自身の言葉に内心、“失敗した”と後悔した。
しかし、その一夏の言葉に対して当のセシリアは気分を害した様子はなく、にこやかに言う。
「いえいえ、大丈夫ですよ。あ、言いづらそうなのでセシリアで良いですよ?一夏さんはずっと外で待っていたんですよね?わざわざすみません」
(あれ?なんだ、この反応?怒ってないどころか気にしてない、のか?)
罵倒や嫌みの言葉があっても甘んじて受け入れるつもりだった一夏にとってセシリアの反応は拍子抜けだった。
どうやら男に自身の裸を見られたにも関わらずセシリアは本当に気にしてないようだった。
その事実に内心、ほっとする一夏だったが、ふと疑問に思う。
すなわち・・・・・・、
――年頃の少女が異性に裸(それも傷だらけ)を見られて気にしないということがあるのだろうか?
そう疑問に思った一夏だったが、セシリアの労いの言葉に一度思考をカットし、慌てて返答する。
「あ、いや、俺は別にずっと待っていた訳じゃないから大丈夫なんだ。ちょっと職員室に行っていて・・・」
「?、職員室に?」
「あぁ、ちょっと確認のために・・・。って!?おるこ、セシリアは聞いてたんじゃないのか!?」
「?、聞いている、ですか?」
焦った様に確認する一夏の言葉にセシリアは「なんのことか分からない」と首をかしげていた。
(おいおい、本気かよ・・・。勘弁してくれよ・・・・・・)
セシリアの反応を見て一夏は目眩がした。
なぜなら、セシリアは一夏とセシリアが『同室』であるという事実を知らないということが分かったからだ。
職員室でのやり取りで、てっきりセシリアには既に通達があり同意しているものだと思っていた一夏にとってこの事態は正に青天の霹靂だった。
(なんで俺が・・・。これは学園の仕事だろっ!給料分は働けよっ!!)
心の中でそう毒づきながら続きを待っているセシリアに一夏は気まずそうに言葉を濁しながら告げる。
「いや、その、『一緒』だって・・・」
「一緒・・・、ですか?」
一夏の言葉に再び首をかしげるセシリア。
いよいよ覚悟を決め事実を告げる一夏。
「だから、俺とセシリアが、その・・・、一緒の部屋だって・・・・・・」
そう言った瞬間、セシリアの特徴的なタレ目が見開かれ、驚愕しているということが一夏には一瞬で分かった。
(そりゃあそうだよなぁ・・・)
そんなセシリアの様子を見た一夏は心の中でそう呟いた。
この世の何処に好き好んで見ず知らずの男と同室だと言われて喜ぶ女子がいるというのか。
いや、百歩譲って男と同室だということを許容したとしても、
そこまで一夏が考えたところで驚いていたセシリアが胸元から年代物と思われる懐中時計を取り出し時間を確認すると困惑しながらも口を開いた。
「そ、そうですか。とりあえず、その件について詳しく一夏さんのお話も聞きたいですし、立ち話もなんですから部屋の中で・・・・・・・
――『お茶会』をしましょう」
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セシリアに案内されながら部屋に入る一夏。軽く部屋の中を確認すると、なるほど、流石はIS学園と言うべきか良い部屋だった。
目に入ったのは二つある大きめのベッド。その内一つには枕元に青いリボンを付けたクマのぬいぐるみが置いてある。恐らく、そちらがセシリアの使用しているベッドなのだろう。後は部屋の隅に大きめのダンボールが数箱置いてあった。
そして空きスペースに白いテーブルクロスが敷かれたテーブルセットが設置されいる。
「さ、どうぞ座って下さい。今、お茶の準備をしますので」
そう言いながらセシリアはお茶会の準備を始めていた。
「いや、俺も手伝うよ?」
杖をついているため片手でテーブルにティーカップなどの準備をしているセシリアを見て手伝った方が良いと思った一夏はそう声を掛けるが・・・、
「いえいえ。IS学園で初めての『お茶会』なので私にもてなさせて下さい。まぁ、少々急なので十分とはいきませんが・・・」
やんわりと断られてしまった。
仕方がないので椅子に座りセシリアの様子を観察していたのだが、流石、英国人と言うべきか手際が良い。
この様子だけ見ると自分が見たセシリアの姿が何かの見間違いだったのではないかと思ってしまうくらいに。
そんなことを一夏が思っているとセシリアがビスケットのイラストが描かれた金属製の箱を開けようとしていた。
――しかし、一向に開かない。
「・・・ほら、開けてやるから貸せよ」
四苦八苦しているセシリアを見た一夏はそう言ってセシリアに代わって箱を空けることにした。
(よっぽど固いのかな・・・。て、あれ?)
一夏が特に力を入れずともあっさりと箱は開いた。
その様子を見たセシリアが初めて一夏に出会った時の様に礼を言う。
「ありがとうございます、一夏さん。助かりました」
――ドクン
一夏の心臓が高鳴る。
「いや、それ程のことじゃないし・・・」
そう謙遜して誤魔化す一夏。
(・・・『ありがとう』って言われるのってこんなに・・・・・・)
そんなことを思っている間にセシリアは右手に嵌めている白い手袋を外しビスケットを皿に並べ始める。
・・・手袋を外したセシリアの右手は一夏の見間違えなどでなく『義手』だった。
(あぁ、本当に義手なんだな・・・)
そうこうしている内にセシリアは1枚、2枚と皿にビスケットを並べ、9枚まで並べたところでセシリアは箱に蓋をした。
(あれ、なんで9枚なんだ?そう言う作法とかなのか?)
人数は二人なのに9枚という中途半端なビスケットの枚数を用意するセシリアに一夏は若干困惑したものの、そう言う作法なのかもしれないと思い黙っていることにした。
するとセシリアはカップにミルクを入れ始めた。
「え、ミルクを入れてもいいのか?」
一夏のイメージする紅茶はストレートティーだったのでつい言葉が漏れた。
「はい、英国では紅茶と言えばミルクティーなんですよ?紅茶にミルクを入れるようになったのは英国の水が硬水なので紅茶に薄い膜のようなものが浮かんでしまうのでそれを防ぐためとか、昔は良い茶葉が手に入らず粗悪な茶葉を誤魔化すためなど諸説があるようですね」
一夏の素朴な疑問にセシリアが豆知識を交えてミルクを入れる理由を教えてくれた。
「へ~、そうなのか・・・」
「あ、一夏さんはお砂糖はいくつ入れますか?」
セシリアの分かりやすい説明に素直に感心する一夏にセシリアがそう質問してきた。
「えっと・・・、初めてだからおまかせで・・・」
こんなに本格的な紅茶は初めてだったので、とりあえず一夏は専門家に任せることにする。
「分かりました」
一夏の言葉を受けセシリアは二杯の砂糖を入れ、冗談を言いながら紅茶を一夏に差し出す。
「はい、出来ましたよ一夏さん。入れる度に味が変わるので保証はできませんが、どうぞ召し上がって下さい」
差し出された出された紅茶を前に一夏は思案する。
(・・・普通に飲んで良いんだよな?でも、なんかのテレビでは下皿を持って飲むのがマナーみたいに言っていたような・・・・・・)
そんなことを考える一夏。
別にこのお茶会は格式張ったものではないので普通に飲めば良いのだが、目の前の少女に「作法がなっていない」と呆れられたくないというちっぽけなプライドが飲むのを躊躇わせてしまったのだ。
そんな一夏を見てセシリアが心配した様に声を掛けてくる。
「あの、一夏さん、どうかしましたか?」
「あ、いや、ごめん。俺、マナーとか知らないから、どう飲んだらいいかと思って・・・」
恥ずかしかったが素直にそう話す一夏に微笑みながらセシリアが口を開いた。
「フフ、安心して下さい、一夏さん。この『お茶会』は『会話』を楽しむためのカジュアルなものですから作法などは気にしなくて良いんですよ?さ、どうぞ、一緒に楽しみましょう?」
「あ、あぁ、ありがとう・・・。じゃあ、いただきます・・・」
セシリアの言葉にほっとした一夏は礼を言いながらゆっくりと紅茶を飲む。
ミルクで程よく冷まされ飲みやすい温度。なんの茶葉かは分からないが香りとコク?と言うのだろうか、それも良い。そして砂糖のほんのりとした甘さ。そしてなによりも誰かが自分なんかに紅茶をいれてくれたという事実がなによりも嬉しかったのだ。
だから、
「・・・美味い・・・・・・」
そう呟く様に一夏の口から感想が漏れた。
一夏の心からの感想だった。
「そうですか、それは良かったです♪」
一夏の感想を聞いてセシリアが嬉しそうに笑う。
そんなセシリアを見て一夏も嬉しく思うと同時にこれからセシリアに『同室』のことを説明しなければならないということに憂鬱を感じるという複雑な気持ちになるのだった・・・。
一夏はセシリアの入れた紅茶を確かに美味いと感じた。
紅茶自体が美味かった、他の誰かが自分にお茶を入れてくれたという事実。
これらの『正』の感情が理由の大半を占めているのは事実だった。
ただ同時に、一夏自身は気付いてないが・・・・・・、
――ほんの僅かに『負』の感情もあったのも、また事実だった。
AC6発売されましたね
作者はまだ未プレイですがかなり評判が良いようですねw
あ~、早くプレイしたいなぁ・・・
誤字・脱字報告、ご意見・ご感想よろしくお願いします。
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