TS転生セシリアが『原初』のリンクスになるようです 作:相川翔太
大体は9月30日までには出来てたんですが、投稿直前であれもいれたいなぁ・・・とかやっていたらズレてしまいました(汗
セシリアに新しい紅茶を入れて貰いお茶会が再開された。されたのだが一夏は困っていた。
何に困っていたかというと、同世代の少女が楽しめるような話題を一夏自身が全く持っておらず、何を話したら良いのか分からなかったのだ。
――しかし、それは仕方ないかもしれない。
個人的な事情で交友関係は壊滅的だった上に、中学時代はバイト漬けで学校行事や部活動などで一夏本人も望んでいなかったとはいえ、異性との交流など皆無だったのだ。
・・・まぁ、一応、一夏にも異性、それもIS学園に入学するような少女が喜びそうな話題はあるにはあるが、それは一夏は話したくなかった。
何か、何か話すことは無いか・・・。
必死で頭を働かせる一夏にとある名案が浮かび、口を開いた。
「あ、セシリア、聞きたいことがあるんだけど、いいか?」
「はい、なんでしょう?」
「せっかくだからイギリスについていろいろ教えてくれないか?正直、俺、今日、セシリアに会うまでイギリスって紅茶の国ってイメージしかなかったから・・・」
そう、一夏の思いついた名案とはごく単純。
ズバリ、「何を話したら良いか分からないならセシリアに『いろいろ』質問して場を持たそう」
である。
・・・本当はセシリア自身について聞きたいことは山程あったが、先ほどの件もあり、まずは当たり障りのない質問からすることにしたのだ。
すると、
「ふふふ、一夏さん?本当は違うんじゃないですか?」
一夏の「イギリスについて聞きたい」という質問を聞いたセシリアは悪戯っぽく笑いながらそう言った。
「えっ!?」
自分の心をセシリアに読まれたのかと思った一夏は驚いた。
「紅茶の国もそうですが、食事が美味しくない・・・、所謂メシマズの国というのもイメージしていませんでしたか?」
どこか得意げにそう言うセシリアに身構えていた一夏はガクッと力が抜けそうになるが、なんとか踏ん張り、笑いながら答える。
「は、あはは、実を言うと思ってた。あ!?でも、馬鹿にしてるわけじゃ・・・」
「いえいえ、大丈夫ですよ。私の知人も“僕の口には合わない”と言っていましたし、“イギリス人は働く為に仕方なく食べる”なんてジョークもありますしね?ですが、そうなってしまったのには理由があってですね・・・」
自身の祖国がメシマズの国だと思っていると言われてもセシリアは特に気分を害した様子はなく、ジョークを交えながら説明してくれた。
曰く、イギリスという国自体の土地が痩せていて食材に乏しかったり、大陸国家と度々敵対していて他国の食材や食文化などが入ってこなかったり、産業革命時の劣悪な労働環境でとにかく滅菌のために食事の加熱を行うようになったなどなどの理由を聞き、イギリス=メシマズのイメージはあったが、なぜメシマズになったのか?までは考えたこともなかった一夏はセシリアの説明に素直に感心した。
その後もイギリスの説明は続く。
サッカーなどのメジャーなものからクリケットなどの日本ではマイナーなものまでいろいろなスポーツの発祥の地であること(その中でセシリアはクリケットが好きなこと)
イギリス人はギャンブルを合法化するほど賭け事が好きなこと(セシリアも昔
イギリスでは貴族は上流階級とされているが大体の貴族はなんらかの職に就き家を維持していること
有名なロンドン塔には鴉が飼育されていて、その鴉を世話をするレイヴンマスターなる役職があること(ただ、今年は飼育している鴉が病気や檻に猫が侵入して襲われたりして一羽を残して全滅したためその責任を取らされて全員解雇されたのだという)
などなど、当たり障りのない質問をしたはずだったのにセシリアの話題のチョイスが上手いのか気付けば一夏は最後まで飽きることなく聞き入っていた。
だがセシリアの話が終わった後、問題が発生した。
セシリアに日本のことについても教えてくれと聞き返されたのである。
自分にセシリアの興味を引くような話が出来るか焦りながらも一夏も日本の話を始めた。
内容としてはどこかで聞いた事のあるようなものばかりになってしまったが、逆にそれが良かったのかセシリアも楽しそうに一夏の話を聞いてくれた。
そうして会話を続けている内に一夏はお茶会の準備中に疑問に思ったことをセシリアに質問することにした。
「そう言えば、セシリア。このビスケットなんだけど、なんで9枚だったんだ?中途半端な数だけど、そういう作法かなにかなのか?」
「いえ、作法とかそう言うのではないですよ。単純に私が9という数字が好きだからですね。知っていますか、一夏さん?9はですね、『幸運』の数字なんですよ?」
「幸運の数字?」
9が幸運の数字だと言うセシリアの言葉に一夏は疑問を持つ。
普通、世間一般で言えば幸運の数字と言えばラッキーセブンと言うように7ではないのだろうか?
そう一夏が不思議に思っているとセシリアが説明を始めた。
「“うまくいく”、と言う言葉がありますよね、一夏さん?意味はそのまま“万事何事も上手くいく”なのですが、この“うまくいく”を漢字で書くと・・・、今は書くモノがないので口で説明しますが、“9頭の馬が行く”になるんですね。昔からこの9頭馬というのは勝負運や金運、健康運など九つの運気を表すと言われていて、縁起が良いとされてきたことから9は幸運の数字なんですよ?」
「は~、そんな意味があるんだな・・・」
その語呂合わせとも験担ぎとも言えるような話を面白いと一夏は感じると同時に、9が『幸運』の数字と言うことにはあまり説得力を感じなかった。
――だって、それを語る当の本人が・・・。
そう思っていると、セシリアが何かに気付いたように胸元から懐中時計を取り出し、時間を確認する。
(・・・あぁ、結構時間も経ったし、お開きか・・・・・・)
セシリアの様子を見た一夏はお茶会が終わるのだと思い名残惜しさを感じた。
それだけこのお茶会は一夏にとって楽しかったのだ。
用意された紅茶もビスケットも美味しかったし、こんなに誰かと会話するのも久しぶりだった。
そしてその会話の間にセシリアが千冬や秋二のことを一夏に聞いてこなかったことも嬉しかった。
今まで一夏に親しげに話しかけてきた女達は一部を除いて、やれ、「千冬さまは家ではどんな風に過ごしてるの?」だ「秋二くんは彼女いるの?」だの、「そんなことは本人に聞け!」と言うようなことを一夏に聞いてくる者が大半だった。
なので、もしかしたらセシリアもそうかもしれないと思っていた一夏だったが、セシリアはお茶会が始まってから二人のことを話題に上げることも一夏に聞いてくることもなかったのだ。
――それが一夏にとっては堪らなく嬉しかった。
だからもう少しセシリアと話していたかったのだが、最初にセシリアが言っていたようににこのお茶会は急に決まったので、セシリアもこの後予定があるのかもしれないのでお開きも仕方ないと残念に思っていると時計を仕舞ったセシリアが口を開いた。
「一夏さん、話の途中で申し訳ありませんが手を洗いに行ってきますね?」
「?、手を洗いに?・・・あ!?どうぞどうぞっ!!」
セシリアの「手を洗いに行く」の意味を最初は理解出来なかった一夏だったが生理現象の言い換えだとすぐに気付き慌ててそう言った。
一夏の言葉を受けセシリアは「では」とテーブルに立て掛けていた杖を取って立ち上がろうとしたのだが・・・、
――かちゃん・・・
と、杖を倒してしまった。
するとセシリアは「あらら・・・」と言いながら座っていた椅子を支えにしながらしゃがみ込んで杖を拾おうとし始めたので一夏は立ち上がり、杖を拾いながらセシリアを立たせた。
「本当にありがとうございます、一夏さん。でも、申し訳ありません。なんだか今日は一夏さんに助けてもらってばかりですね?」
「・・・いや、大したことじゃないから別に良いよ。それよりも、手、洗いに行くんだろ?」
一夏の言葉を受けて「そうでした」と杖を突きながら歩いて行くセシリアの後ろ姿を一夏はなんとも言えない顔で見送ったのだった・・・。
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「じゃあ、一夏さんは有澤重工に就職希望だったんですか?」
「あぁ、そうなんだ。でも、履歴書を送ったところで政府の人間に見つかってさ・・・」
「それは、災難でしたね・・・」
「あぁ、本当に災難だよ・・・」
その後、戻ってきたセシリアとお茶会を再開した一夏はIS学園に入学前のことを話していた。
切っ掛けはセシリアの所属している企業であるレイレナード社を初めとした六大企業グループの話になり、その内の一つに一夏が就職希望だった有澤重工が含まれていたことだった。
共通、と言うにはちょっと違うかもしれないが、せっかくの話題なので一夏はあまり思い出したくもない出来事をセシリアに話したのだ。
まぁ、自分で話しておいてなんだが若干空気が悪くなってしまい、それを察したのかセシリアが別の話題を振ってきた。
「あはは、本当にそうですね。あ、そう言えば一夏さん、話は全然変わりますが、その、来週の秋二さんとの模擬戦のことについてなんですが・・・」
正直、この話題も本来なら一夏にとっては嫌な話題だったが、『今』は違った。
「ん?あぁ、あれか・・・。あれは別にどうでもいいんだ。俺、戦わないから」
そう一夏が言うとセシリアが困惑したように口を開く。
「た、戦わないですか?あの~、一夏さん?それは、どういうことでしょうか?模擬戦を辞退したと言うことでしょうか?」
「ん?まぁ、結果的にはそうなるのかな?」
どこか適当さもある一夏の口ぶりにセシリアが当然の疑問を口にする。
「結果的に、ですか?あの、一夏さん。その、それは織斑先生や他の先生方と相談などをされて決めたということでしょうか?」
「相談?いや、してないな。無駄だし・・・」
「無駄、ですか?あの、一夏さん?余計なお世話かもしれませんが、それ程重要なことならば、やはり織斑先生に相談した方が・・・」
「いや、いいんだ。本当に無駄だから。セシリアも教室で『姉貴』が俺の抗議を無視したの見てただろ?
・・・だから話しても仕方ないんだよ」
千冬に相談したのか?と心配してくるセシリアに「無駄」と断言する一夏。そんな一夏の言葉に納得出来なかったのか尚もセシリアは言葉を続けようとするが・・・、
「ですが・・・」
「いや、大丈夫だから!本当に大丈夫だからさ!!・・・それに俺、気付いたんだ。馬鹿だから時間がかかったけど・・・・・・」
セシリアの言葉をそう遮る。
「気付いた、ですか?あの~、一夏さん?それは、一体、何に?」
一夏の言葉にセシリアが不思議そうにそう尋ねてきた。
「いやさ、ほら、セシリアなら分かると思うんだけど、世の中って『理不尽』だろ?」
――そう、世の中は『理不尽』なのだ。
一夏自身の今日までの経験もそうだが、目の前の少女がそれを『証明』していると言って良いだろう。
「?、まぁ、そうですね」
一夏の世の中は『理不尽』発言に不思議そうにしながらも同意してきた。
――やっぱりセシリアは分かっている。
セシリアの同意の言葉に満足した一夏は物心ついてから今日まで生きてきて遂に到達した持論を述べる。
「だろ?だからさ、俺、気付いたんだ。どうせ『理不尽』な目に遭うなら『好き』に生きた方が得だって」
そう言った瞬間、セシリアが分かりやすく困惑し、焦った様に聞き返してきた。
「い、一夏さん?申し訳ありません、意味が良く分からないのですけど・・・」
(ちょっと、分かりづらかったかな?)
そう反省しつつ一夏は説明を始める。
「いや、だからさ、そのままの意味だって。ほら、『人間』ってさ、頑張ろうが、努力しようが、やりたくないことをやって真面目に生きようが『理不尽』なことってほぼ・・・、いや、確実に起こるだろ?」
「それは、そうですが・・・」
セシリアが再び同意する。
そうなのだ。今日のこともそうだし、IS学園に入学することになったのもそうだし、その前からもそうだった。
目の前のセシリアだってそうだ。
話していて分かったがセシリアは間違いなく恵まれた少女だった。
貴族の家に生まれ、とんでもない大企業に所属。容姿端麗で教養も高く、性格も穏やかだ。
――完璧と言ってもいい。
だが、セシリアには致命的とも言える問題があった。
チラリと一夏はティーカップを持つセシリアの
そう、セシリアは右手、いや、四肢がないのだ。
普通の『
世の中の嫌な女達、例えば、今日、一夏が模擬戦をするハメにさせた
――『理不尽』としか言い様がない。
・・・何があってこうなったのかは流石に聞けなかったが間違いなくセシリアに『理不尽』なことがあったのだ。
それはつまり、生まれや環境がどんなに良くっても、本人に問題がなかったとしても『理不尽』なことは『確実』に起こるということのだ。ならば・・・、
「だろ?だったらやりたくないことやって『理不尽』な目に遭って死ぬより『好き』に生きて『理不尽』に死んだ方が全然良いなってこと」
そう語る一夏。すると一夏の言葉を聞いたセシリアが口を開く。
「あの、一夏さん?意味は分かったのですが今回は模擬戦ですし、たとえ敗北しても実際に死亡するワケではないですよ?
・・・まぁ、一夏さんは今回の模擬戦を嫌がっていたので一夏さんにとって『理不尽』な出来事なのは事実ですが・・・・・・」
そう一夏を諭すように話す、何も知らないセシリアに一夏は語り出す。
「・・・あぁ、セシリアは何も知らないから仕方ないか・・・・・・」
その一夏の言葉に若干訝しげにするセシリアを無視して一夏は言葉を続ける。
「確かに模擬戦では死なないさ。でもさ、今回の模擬戦は俺を秋二の踏み台にして最終的に研究所にでも送る口実を作るための茶番なんだよ」
実際はそんなことはなく、一夏の思い込みであったし、千冬を初めとしたIS学園上層部でも想定外の出来事であったが今までの経験と過去のとある出来事から一夏にとってはそれが事実になっていた。
「一夏さん、流石にそれは早とちりが過ぎませんか?仮に、仮にですよ?
本当に口実を作るためでしたらファロンさんからの提案からの多数決というカタチにしないで織斑先生が最初から一夏さんと秋二さんの二人から模擬戦で決めましょうと言うはずですし、そもそも一夏さんに一週間の訓練期間を与えることなど無いと思いますが・・・」
すると、一夏の話を聞いたセシリアがまるで千冬を擁護するような発言を行ったため、少し一夏は不機嫌になりつつ反論する。
「・・・じゃあ、なんで秋二だけ専用機なんだよ・・・・・・」
一夏のその言葉にセシリアは、
「ちょ、ちょっと待って下さい、一夏さん!?秋二さんだけ専用機というのは、まさかとは思いますが模擬戦で秋二さんだけ専用機を使用するということですか!?」
そう焦ったように質問してきた。
「・・・職員室に行ったときに、“弟くんは専用機を貰えるそうだからあなたも頑張ってね”って言われたんだよ・・・・・・。つまり、そういうことだろ?」
そう答えた一夏に対してセシリアが何か言おうとする前に一夏は言葉を続ける。
「だからさ、俺、こんな『理不尽』で『不公平』な茶番に付き合うつもりなんてないんだ。だから訓練もしないし、模擬戦も当日はどっかに隠れる。
・・・俺の『人生』なんだ。『好き』に生きてそれの何が悪いんだって話さ。
――セシリアもそう思うだろ?」
――目の前の少女が『肯定』してくれると信じて・・・。
そんな一夏の言葉に対してセシリアは・・・、
「あの~、一夏さん?私は一夏さんどう生きるかは否定しないんですが・・・」
「!?、だろっ!!セシリアなら分かってくれると思ってたんだっ!!」
一夏がどう生きるかは『否定』しない。
そんな一夏が望んでいた『回答』をセシリアの口から聞いた一夏は興奮気味に捲し立てる。
「いや~、そう考えると俺って今までの『人生』、かなり無駄にしてたんだな~。勝てもしない相手に張り合って無駄な努力してさ、もっと『好き』に生きてりゃ良かった。本当に馬鹿だったよ」
――あぁ、本当に馬鹿だった。
それでも、それでもと。いつかは、いつかはきっと。と、「どうせ勝てないのに」と馬鹿にされ嗤われ、惨めな思いをしながら無駄な努力をして、頑張って、十年近くを無駄にした。
けれども、それももう終わりだ。
短いかもしれないし、
そう思いながら少々喋りすぎて渇いた喉をセシリアの真似をして砂糖を入れていない紅茶を飲んで潤していると申し訳なさそうにセシリアが口を開く。
「あの、一夏さん?少しよろしいですか?」
「ん?どうした、セシリア?」
「怒らないで聞いて下さいね?もしかして、なんですが一夏さんは単純に・・・、
――負けるのが嫌なんじゃないんですか?」
そう、一夏が決して言われたくなかった言葉を口にした・・・・・・。
――ビキリッ!!!
前回アンケートを入れたのですが沢山の回答ありがとうございます。偏ると思ったんですが拮抗していてびっくりしましたw
セシリアの制服がロングスカートなので足を開くおんぶが出来ない事に気付いて一夏の体格ならどっちにしろ出来るなぁ・・・と思って入れてみましたw
今後本編で描写していきたいなぁと思います!!
誤字・脱字報告、ご意見・ご感想よろしくお願いします。
あなたはどっちが好き?
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お姫さま抱っこ
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お米さま抱っこ
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どっちも好き