TS転生セシリアが『原初』のリンクスになるようです   作:相川翔太

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お疲れさまです。
今話からセシリア視点になります。
それではよろしくお願いします。


提案

思い返すと一夏は「俺なんかじゃなくて秋二の~」みたいなことを言ってたし、今も「勝てもしない相手云々」とか言ってたから、つい口に出ちゃったんだけどさ?

 

――やらかした・・・。

 

「負けるのが嫌なんじゃない?」と言う言葉で動きの止まった一夏を見て、地雷を見事に踏み抜いたことを理解させられた。

 

どうすっか・・・

 

俺が一夏にどう言葉を掛けようか悩んでいると一夏が若干声を震わせながら口を開いた。

 

「は、ははは・・・。セシリアは面白いことを言うなぁ。俺は負けるのが嫌なんじゃないんだ。俺はただ好きに・・・、『自由』に・・・」

 

そう口にする一夏の目を見てあるヒトのことを思い出した。

 

 

――親父である。

 

 

いつだったか・・・、親父が「こんな親父で嫌じゃないか?」と聞いてきた時があったが、その時の親父の目と今の一夏の目が似てるんだ。

 

今の俺の知っている男達は良くも悪くも強い男ばっかりだったから、すっかり忘れてた・・・。

 

もしかして、一夏はあの時の親父と同じで『肯定』して欲しかったのかな?

 

仮にそうだったとしたら、一夏には悪いんだけどそれは出来ないよ?申し訳ないけど・・・。

 

いや、だってさ、親父と俺は親子だけど、一夏は良いヤツだとは思うけども他人なんだ。

 

それでさ、これが一番大事なんだけど親父と違って俺はさ、一夏のこと殆ど知らないのよ?

 

一応、レイレナードの方でも情報は集められてたんだけど、俺とは直接関係ないからって詳しくは教えて貰ってなくて、世間で公表されている情報に毛が生えた程度の情報くらいしか知らないんだわ。

 

だから俺がここで一夏を『肯定』することが一夏にとって良いことかどうか分からないんだ。

 

・・・ただ、俺の言葉が一夏の触れられたくないことだったのは確かだから予定変更。

 

 

――『計画』は破棄。一夏のフォローに回る。

 

 

ぶっちゃけ、こっから提案なんて不可能だし、こんな目をした一夏はほっとけんよ・・・。

 

「あ、あはは、そうでしたか。すみません、一夏さん。どうやら私の勘違いだったみたいで・・・「!?、そう、そう!勘違い、勘違いなんだよっ!!」きゃっ!?」

 

俺の言葉が終わる前に一夏がデカい声を出したので驚いてしまった。

 

 

――てか、これで確定。

 

 

お前さ、好きに生きるだの、理不尽に死ぬだのなんか格好いいこと言ってたけどさ、ただ単に(秋二)に負けたくないから逃げたいってだけじゃん・・・。

 

いや、別にね?一夏の人生だから一夏が逃げようが、好きに死のうが、理不尽に死のうがどう生きても俺は別にいいよ?

 

でもさ、一夏が明らかな地獄に向かって全力疾走しようってんなら流石にそれは止めなきゃいかんでしょうよ・・・。

 

そう思った俺は口を開く。

 

「・・・一夏さん、私の話を聞いて貰っても良いですか?」

 

「!?あ、あぁ・・・」

 

「一夏さん、正直に言いますと、専用機ですとか、研究所ですとか一夏さんの置かれている正確な状況を私は分かりませんが、これだけは言えます。一夏さん、あなたは今回の模擬戦を・・・、

 

 

 

 

 

――戦わなければいけません」

 

 

 

 

 

――ビキリッ!!

 

 

 

 

 

俺の戦えと言う言葉に再び空気が凍る。

 

「は、はは・・・。戦えって・・・・・・。俺は・・・」

 

「嫌、なのでしょう?ですが一夏さん、『ヒト(人間)』は戦わなければいけない時が・・・」

 

俺がそう言ったところで・・・、

 

「――せぇよ・・・」

 

 

――ガチャンッ!!!

 

 

一夏が右手に持っていたカップをそのまま机に叩きつけて割ったのだ。

 

馬っ鹿!利き手は止めろ!!カップを割るのは良いけど利き手は止めるんだ!!

 

俺がそんなことを思っていると一夏は勢いよく立ち上がり怒声を上げる。

 

「うるせぇんだよッ!何が戦わなきゃいけないだよッ!!巫山戯んなッ!!!」

 

「一夏さ・・・」

 

「黙れよッ!お前が俺の何を知ってんだよッ!!えぇッ!!」

 

「・・・名前とか、家族構成ですとか、一般公開されて・・・・・・」

 

「!?、それは知ってるって言わないんだよッ!!」

 

 

――はい、おっしゃるとおりで・・・

 

 

回答が癪に障ったらしくますますヒートアップする一夏。

 

「お前に分かるか?ずっと『お姉さんは天才なのにね?』とか『弟くんはすごいのに』とか『比較』される人間の気持ちが分かんのかよッ!」

 

「・・・いえ、分からないですね・・・・・・」

 

「ああ、そうだろうなッ!お前は貴族のお嬢さまだもんなッ!!戦え?何にも知らねぇくせに、しれっと言ってんじゃねぇよッ!!!」

 

う~ん、いろいろ言いたいことはあるけど、迂闊に口を挟むと火に油を注ぐ感じになるから一夏が落ち着くまで黙ってた方が良いね、これ・・・。

 

そう思い、黙っている一夏が自分の過去を怒鳴りながら語り出す。

 

曰く、

一夏がようやく自転車に乗れるようになったら秋二は曲乗りをやっていた。

一日掛けて英単語を二、三個を覚えているあいだに秋二は教科書をパラ読みして全部覚えた。

野球の助っ人に行ったら秋二の方が良かったと面と向かって言われた。

朝、時間が無くてタッパーに適当にご飯と残り物を詰めた弁当を自分が一人で食べているときに秋二は他の女子生徒に作って貰った弁当を一緒に食べていた、などなど・・・。

 

 

――こりゃひどい・・・。

 

 

いや、なにがひどいってこれ、一夏のプライドズタズタじゃん・・・。

 

織斑先生に関してはまぁ、言い訳は出来るよ?

 

年齢差もあるし、織斑先生は『女』で一夏は『男』だから~、みたいな感じでね?

 

でも秋二に関してはね~。

 

同じ『男』で、『双子』で、しかも一夏が『兄貴』なんでしょ?

 

そりゃ、「アイツはすごいヤツだから!」で自分も周りも納得させるのって無理じゃん・・・。

 

 

――あぁ、マジでやらかした・・・。そりゃ負けるの嫌だわ・・・。でもな?

 

 

そう思っていると一夏は怒りの矛先を俺に向けてきた。

 

やれ貴族だから、お嬢さまだから、そんな身体でも大企業に所属云々・・・。

 

・・・流石にちょっとカチンと来たけど、一夏の最初に触れて欲しくなかった『傷』に触れてしまったのは俺だし、俺が一夏のことを知らなかったのと同じで一夏も俺のことを知らない訳だから仕方ないし、この一夏の怒りを俺は甘んじて受け入れるしかないのである。

 

まぁ、そんな訳で黙って一夏の言葉、と言うより罵倒?を聞いていたのだが、それが一夏は面白くなかったらしい。

 

「おい、聞いているのかよッ!!」

 

そう怒鳴ってきた。

 

「・・・聞いていますよ?」

 

「はっ、どうだか!どうせお前も俺のことを心の中で馬鹿にしてるんだろ?自分だって戦ったことなんてないクセ・・・「戦いましたよ?」・・・は?」

 

俺の言葉に驚いた一夏にもう一度言う。

 

「戦いましたよ?」

 

戦ったよ? いろんな意味で戦ったよ?そして、

 

 

――これからも戦うよ?

 

 

だからこそ言わせて貰う。一夏、お前は戦うべきだ。

 

一夏が黙ったので俺は一夏の目を見ながら言葉を続ける。

 

「一夏さん、少し、昔話を聞いて貰えますか?」

 

「・・・昔話?」

 

「はい、私がレイレナードに所属するまでの話です」

 

そして自分の過去を話し始めるのだった・・・。

 

 

「――以上になります。運が良かった部分も勿論ありますが、戦ったからこそ、私はその運を引き寄せることが出来たと思っています」

 

「・・・・・・・・・」

 

昔話を聞いた一夏はさっきまでの興奮状態は何処へやら、椅子に黙って座って俯いていた。

 

まぁ、聞いていて気持ちの良い話じゃないから仕方ないけど、悪いことしたなぁ・・・。

 

でも、俺の言葉に説得力を持たせるためには話すしかなかった訳で・・・。

 

「・・・・・・ごめん」

 

ん?

 

「ひどいこと言って、ごめん・・・。俺、俺の方こそ、何にも、セシリアのこと何にも知らないのに・・・、ごめん・・・・・・」

 

一夏が声を震わせながら謝ってきた。

 

「いえ、大丈夫ですよ?むしろ謝罪しなければならないのは安易に一夏さんの『傷』に触れてしまった私の方です。申し訳ありませんでした」

 

知らないのなら仕方ないし、実際問題、『ヒト』の触れられたくない部分に先に触れてしまったのは俺で、下手すりゃぶん殴られても仕方ないことやらかしたわけだしね?

 

「・・・なんで?いや、でも、でも・・・・・・」

 

だからいいってば・・・。いや、てか、マジでごめんよ・・・。

 

今は時間がないから話を進めるけど、落ち着いたら改めて謝罪はするから、すまぬ・・・。

 

「・・・とりあえず、今回の私達のことは後日、ということにして・・・。一夏さん、何度も言うようですが今回の模擬戦、あなたは戦わなければいけません」

 

「・・・・・・・・・」

 

「一夏さんの今までの経験からそれが苦痛なのかもしれませんが、もし、ここで逃げれば、間違いなく一夏さんは戦って負けるよりも辛い状況になります。

・・・そして、一度逃げた者に手を差し伸べる人間はそう多くはありません。悲しい話ですが・・・」

 

また逃げると思われちゃうからね・・・。

 

でも、戦えば内容にも依るだろうけど、一夏のことを評価してくれる人達が出来るかもしれない。

 

もちろん、あくまで『可能性』に過ぎない訳だけど、それでも逃げるよりは間違いなく可能性も希望もあるんだ。

 

一夏にとっては戦っても戦わなくても地獄かもしれないけどさ、だったら、せめてマシな方の地獄を選ぼうよ?

 

「・・・でも、相手は『天才(秋二)』で、『専用機』で・・・・・・」

 

だから専用機云々は一夏の、いや、そう思っちゃうのも仕方ないか・・・・・・。

 

 

――ならば、

 

 

「一夏さん、いくつか『提案』があります」

 

「・・・提案?」

 

「はい。しかし、これはルームメイトのセシリアからの提案ではありません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――『レイレナード社』所属の『セシリア・オルコット』からの提案です。

 

 

 

 

 

 




一夏が何を言ったのか、セシリアがどんな過去話をしたのかは一夏視点で描写しようかなと思い端折りました。

ここ最近の投稿を見直して、これだと視点を分けて投稿しても意味ないかな?と思い、ちょっと今回はこんな感じにしてみました。

誤字・脱字報告、ご意見・ご感想よろしくお願いします。

セシリアの寝間着は?

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