TS転生セシリアが『原初』のリンクスになるようです 作:相川翔太
前回投稿からいっぱい評価をいただきありがとうございます。
これからも頑張って投稿していきたいと思います。
セシリア日記3
○月×日 晴れ
レイレナード本社『エグザウィル』に着いた。
本社は湖の上に建っていて通勤に不便そうだし、建物を支える支柱がむき出しになっていたので(地震とかに弱そうだなぁ・・・)と俺は思った。まぁ、日本と違ってカナダだから地震とかあんまり起こんないのかもしれんけど。
本社に着いてから内部を一通り案内してもらった後、応接室に案内された。
そこでしばらく待っていると白衣を着た、いかにも「私、科学者ですッ!」というような四十歳くらいの男が入ってきた。
お互いに簡単な挨拶を交わした後、男はレイレナードの開発している新兵器『ネクスト』とその運用システム『AMS』について俺に説明した。
正直、難しくてよく分からなかったが、ネクストは超高性能な機動兵器で、AMSは脳みそとネクストを直接接続して精密な動作を行う為の物だということは分かった。
「脳みそと機械繋いで大丈夫なの?」という俺の素朴な疑問に対し、男は笑顔で「君のAMS適正値なら大丈夫!」と笑顔で言い切った。
・・・正直、不安だったが専門家が言うんなら大丈夫なんだろうと自分を納得させた。
その後、精密検査を行い、用意された部屋に案内された。
用意された部屋はすごく良い部屋で、VIP待遇だなぁと思った。
明日はAMSを埋め込む手術を行うらしいので、今日はそろそろ寝ようと思う。
おやすみ・・・。
×月×日 雨
痛い・・・、いたい・・・、イタイ・・・・・・。
△月×日 くもり
手術から一週間が経って、痛みも無くなったので日記を書く。
正直に言うと手術、ナメてました。
手術が終わった後、麻酔が効いている間は問題なかったのだが切れた後は地獄だった。
例えるなら、背骨に焼けたヤスリを突っ込んでゴリゴリ削る様な痛みがAMSを埋め込んだ背中に走り、鎮痛剤を打ってもらったのだが痛みが全然引かず、俺はベッドの上でもがき苦しんだ。
あまりの痛みに(このまま死ぬのかなぁ・・・)と、親父やお袋、チェルシーの顔を思い浮かべていると、突然、背中の激しい痛みが引いていき、恍惚感に変わったかと思うと痛みが無くなったのだ。
きっと、苦しんでいる俺を親父達が守護ってくれたんだろうと俺は思い、これからも頑張っていくことを改めて誓った。
○月○日 晴れ
検査した結果、埋め込んだAMSが正常に定着したのでいよいよ明日ネクストの起動実験を行うことになった。
大変だったけど実験が上手くいくように頑張るゾイ!
×月△日 くもり
今日、ネクストの、正確に言うとプロトタイプ・ネクスト『
本社地下の実験場で初めてアレサを見たのだが、テレビで見たISの二倍くらい大きかった。
見た目も全然違くて、生身を晒しているISとは違い、こいつは全身装甲。さらに頭部は胴体と一体化してるし、肩部は異様な大きさだった。
――そんなアレサの姿に俺は『
例えるならISが子供用のおもちゃの銃だとしたら、こいつは本物の軍用銃。純粋な
俺がそんなを考えを抱いている間にも実験の準備は進められ、俺はゴツい椅子に座らせられた後拘束され、背中のAMSとアレサがケーブルで繋げられた。
「アレサに乗らないの?」と俺が質問すると、万が一事故が起きたときにすぐに対応出来るように、今回はアレサに搭乗しないで起動実験を行うとの事だった。
そして実験開始の合図と共に研究員が端末を操作した瞬間、俺の頭の中に知らない情報が一気に流れ込んできた。
――それはアレサの情報だった。
どうすれば動くか、機能をどう使うか、どう性能を完全に引き出せるか。それらの情報が考えなくても分かるという不思議な感覚が俺を襲った。
そして研究員が「アレサ、起動!実験は成功です!!」と興奮した様子で報告すると、実験場に歓声が上がった。
俺は実験が無事に成功してよかったとなぁ・・・と安堵した。
今日は疲れたのでもう寝る。
開発主任side
いよいよこの日が来た・・・・・・。
失敗し続けていたアレサの起動実験の日が。
この日の為に出来ることは全てやった。セシリア・オルコットという最高のAMS適正者を用意し、そのセシリアには今までの被験体には一つだったAMSを三つ取り付け、万が一にも失敗が起こらないようにした。(少々無茶な施術だったためセシリアは術後、相当苦しんでいたようだったが・・・・・・)
そしてセシリアとアレサを繋ぎ、部下に緊張しているのを悟られないようにしながら指示を出した。
「アレサのプログラムを起動させろ!」
「了解!プログラム起動させます!」
私の言葉を受け、部下が端末を操作してプログラムを起動させる。
今まではこの瞬間、脳に流れてくる情報に耐えられず被検体が絶叫して発狂死したが、今回は違った。
セシリアは脳に流れ込んでくる情報に不思議そうにはしていたが、発狂するような様子は無かった。
「素晴らしい・・・・・・」
そんなセシリアの姿に思わずそう言葉が漏れた。
「アレサ!システムオールグリーン!起動に成功しました!!」
「セシリア・オルコット、バイタル正常です!」
モニターでアレサ、セシリア両方の状態を確認していた部下達が興奮した声で報告する。
その報告を部下達が共有すると実験場に歓声が上がった。中には抱き合いながら喜んでいる部下もいた。
私はそんな喧噪といっていい実験場の中を歩き、椅子に拘束されているセシリアの元へ向かった。
「セシリア、気分はどうだ?」
「不思議な感覚ですけど・・・、悪くはないです」
「そうか」
「実験は成功ですか?」
「ああ、成功だ。これで計画は一気に進むことだろう」
「そうですか・・・。それは良かったです・・・。」
セシリアはただ安心したという様子だった。
「祝福しよう、セシリア・オルコット。今、この瞬間、君は『原初』のリンクスとなった」
私はそうセシリアを祝福したのだった。
いかがだったでしょうか。
今回はタイトル回収回となりました。
セシリアの搭乗機はアレサとなるのでセシリアは割と苦難な道を歩く事になると思います。
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