TS転生セシリアが『原初』のリンクスになるようです 作:相川翔太
今回はAC世界の恒例回となります。
それでは駄文ですがよろしくお願いします。
〇月×日 晴れ
今日はアレサの防御機構である完全粒子装甲“プライマルアーマー”(以下PA)の説明を主任から受けた。
なんでもPAは機体周辺に『コジマ粒子』を安定的に環流させて各種攻撃によるダメージを軽減・無効化させるのだそうだ。
理論上は核爆発にも耐えられると説明を受けて俺は“滅茶苦茶便利じゃん!”と思ったのだが割と重大な欠点があった。
コジマ粒子は広範かつ長期に渡って生体活動に深刻な悪影響を及ぼす環境汚染原であるらしく、それを大量に放出し続けるために環境汚染がハンパないらしい。
“そんなもんの実験、本社の地下でやっていいの?”と俺が疑問に思っていると本社から離れた実験場の閉鎖空間で実験を行うとのことだった。
武装の試験も平行して行うらしく、提携している『アクアビット社』から武装が届きしだい実験場に移動するらしいのでそれまで体を休めて備えておいてくれと言われた。
最近働きっぱなしだったのでこの休暇は嬉しかった。
久々にチェルシーに手紙でも書こうかなぁ…。
×月〇日 くもり
部屋でテレビを見ていると生放送中に篠ノ之博士が失踪して大騒ぎになった。
俺は“自由だな~”と思ったけどよく考えたら“無責任じゃね?”と思った。
△月×日 雨
先日の篠ノ之博士の失踪を受けて各国政府からレイレナードを含めた企業達にも探索の協力の依頼が来たと職員さんから話を聞いた。
「なんでそんな依頼が企業に来んの?国がやればいいじゃん」という俺の質問に職員さんは苦笑いしながら答えた。
曰く、元々人口増加やエネルギー不足で国家の統治能力が低下し始めているところにISの登場で国軍の通常戦力の予算が削られて紛争やテロの鎮圧などにも四苦八苦しており、それがさらに国力を圧迫。そのため国家の予算は色々削られてしまい、今回の探索予算も結構無理をしているらしく企業にも協力を求めてきたとのことだった。
世の中お金じゃないって言う人もいるけどお金がないと何も出来ないのも事実だよなぁ…と俺は自分の経験もあってそう思った。
〇月〇日 晴れ
チェルシーから手紙の返事が届いた。
手紙には他のメイド達と一緒に家をしっかり管理していることや、俺が元気にやってるか心配だったけど手紙を貰えて嬉しかったことなどが書かれていた。
その内容に俺は安心したが、これまでの実験の報酬で家の資産が増えたことやあわよくば俺の後ろ盾であるレイレナードと接近するためにオルコット家にすり寄ってくる輩が増えてきているということも書かれていたためクズ共はやっぱりクズだなと俺は頭にきた。
チェルシーにも苦労を掛けっぱなしだし、早く実験を終わらせて家に帰って当主として頑張りたいと思った。
×月×日 くもり
第二回モンド・グロッソが開幕して決勝戦をテレビで見ていたのだが前回優勝の織斑千冬が棄権して優勝を逃していた。
何があったか知らないが残念だなぁと思った。
×月△日 雨
先日のモンド・グロッソの件について『ローゼンタール社』から情報を貰った。
なんでも千冬選手の双子の弟の片方が『亡国機業』とかいうテロリストに攫われてそれを助けに行った結果、決勝戦を棄権という形になったらしい。
あれ?でも攫われたのは双子の
それよりも俺は亡国機業とかいうのに興味を持ったので職員さんに聞くと、第二次大戦中に設立し五十年以上裏で暗躍しており、今は各国のISを強奪などをしている組織らしい。
その説明を受けて俺は疑問を持った。
―何でそんなことまで知ってんの?
俺の疑問に対して職員さんは悪い笑顔で、レイレナードを含む六大企業グループで資金提供など活動を支援してるから連中の情報は筒抜けだと答えた。
俺は『
〇月〇日 晴れ
アクアビットから武装が届いたので本社からアレサと一緒に実験場を移動した。
武装はまだ見せてもらっていないが主任曰く既存の武装とは一線を画す武器らしい。
届いた武装に関してはまだ調整が必要らしいので先にPAの実験を先に行った。
実験内容はアレサにPAを展開させて既存の兵器やIS用の武装を防ぐといったものだった。
PAの性能は事前に説明を受けていて大丈夫だということは分かっていたのだが自分に向かって弾丸が飛んでくるということに俺は内心ビクビクだった。
しかしそんな俺の不安は実験を開始してすぐに吹っ飛んだ。
なぜなら展開したPAは攻撃の一切を通さずに全て防ぎ切ったのだ。
俺はPAが説明通りの性能を発揮したのに安堵すると実験場の除染が終わるまでアレサの中でホッと胸をなでおろした。
×月×日 雨
今日は武装の試験を行った。
アレサの武装は三つ。その内二つの試験を行ったのだがこれがヤバかった。
一つは右腕に装備する五連装ガトリング。もう一つはアクアビットが開発した左腕に装備するコジマキャノンだ。
どちらも大きさがアレサ並みに巨大でその威力も大きさに比例するようにすごかった。
ガトリングの方はバカじゃねぇのってくらいの口径の砲を五つ束ねているため凄まじい瞬間火力を誇り対象を一瞬で粉々にしてしまった。
コジマキャノンはチャージに時間がかかるがその威力は脅威の一言に尽きた。発射した瞬間、射線上の対象を文字通り消滅させ着弾場所に巨大なクレーターを作ったのだ。
後で主任に聞いたら直撃すればアレサでさえもただではすまない代物らしい。
その話を聞いて俺はある疑問を持った。
―レイレナードは
主任に聞こうかと思ったが好奇心は猫をも殺すという言葉を思い出し、いつか主任の方から説明してくれるだろうと思いやめた。
すこしモヤモヤするが今日は疲れたしそろそろ寝ることにする。
△月×日 雨
武装のデータも取り終わり実験もいよいよ大詰めとなった。
最後の実験として実戦テストを行うことになったのだ。
実戦の相手は現行最強兵器ISだということだった。
最初その話を聞いたとき俺は驚いた。
だってISは国家が保有しているのだ。ISと戦うということは国に戦争を吹っ掛けるつもりなのかと主任に尋ねると「そうじゃない」と言われた。
焦る俺に主任は安心させるようにゆっくりと説明した。
主任が言うには前に聞いた亡国機業が国から強奪したISを所持しており、そいつにこの実験場を襲撃させて返り討ちにするとのことだった。
国に喧嘩を売る訳じゃないと聞いて俺は安心したのだが、亡国機業の連中がそんなに都合良く襲撃なんてしてくんの?という疑問を持った。
俺の疑問に主任はレイレナードと友好関係にある『インテリオル・ユニオン』に協力してもらい亡国機業に偽の依頼を出して襲撃させるつもりだと笑いながら言った。
……あまりの黒さに正直俺はドン引きした。
それにしても、
俺はこれから人を殺すことになる。
アレサの武装は手加減なんて出来ない威力だ。相手は確実に死ぬ…。俺が殺すのだ…。
……相手はテロリスト。死んでも良い存在、死んでも良い存在なんだ……。
そう言い訳することしか俺には出来なかった…。
×月×日 雨
実戦テストが終了した。
はっきり言って、これは戦闘なんて呼べるものじゃなかった。
敵IS撃破までにかかった時間は約三十秒。まさに圧倒的と言って良いものだった。
だからだろうか…。人を一人殺したと言うのに俺は何も感じなかった。感じなかったのだ…。
もしかしたら俺の脳はそういった罪悪感とか後悔とかも感じないようになってしまったのだろうか…。
いや、違う。
レイレナードに協力すると決めたのだ。手足を切断すると決めたのだ。内臓も痛覚も味覚も失ってでもやると決めたのだ。
―『
全部、全部、
自分で決めた道で、自分で選んだ道で、後悔してどうする!自分を哀れんでどうする!!
……これからも俺は誰かを殺すことになるだろう。
だが目は背けない。今日のことを俺は忘れない。今日殺した奴も、これから俺が殺すことになる奴らも、俺の事を忘れないのだから……。
亡国機業side
亡国機業幹部会にスポンサーの一つである企業、インテリオル・ユニオンから一つの依頼が届けられた。
『ミッションの概要を説明します。
ミッションターゲットは北米カナダの無人地帯に存在するレイレナード社実験施設で開発されているという機動兵器です。
この施設は厳重な警備体制と防護システムで守られておりますが、唯一地下施設につながる通風孔からISで侵入し、この兵器の捕獲、もしくは破壊がミッションプランとなります。
開発されている兵器の詳細は不明ですがISに匹敵する性能を有するとの情報もあります。戦力はなるべく整えた方が良いでしょう。
なおユニオンは今回のターゲットの捕獲にボーナスを設定しています。状況しだいですが、なるべく捕獲を優先した方が良いでしょう。
ミッションの概要は以上です。ユニオンはこのミッションを重視しています。成功すれば、あなた方の評価は更に高いものとなるはずです。よいお返事を期待していますね』
幹部会はこの依頼に対して会議を行い、先日のモンド・グロッソでの失敗の挽回、成功報酬の高さ、欧州第二位である軍事企業インテリオル・ユニオンとの関係の強化などの得られるメリットからこの依頼を承諾。
人選として前回の失敗の挽回を望んでおり、最新鋭IS『アラクネ』の搭乗者でありオータムを派遣することを決定した。
それが『
(ここまでは情報通り…。楽勝だな)
オータムはインテリオルからの情報通り外部と唯一繋がる通風孔から目的地である地下実験場を目指し機体を操作していた。
この依頼を受ける事を決定した際、唯一スコールだけがこの依頼に対して不信感を感じ反対していたが幹部会の決定であることとオータムの希望もあってスコールは折れた。
しかしオータムが出撃する際に危険だと判断したらミッションを破棄してすぐに離脱しろとスコールは命令した。
(スコールも心配性だな。まぁ、こんな簡単な任務さっさと片づけて…、ふふっ)
しかし元々短気で直情的なオータムにその言葉は届かなかった。その代償をオータムは数分後に支払うことになる…。
(提供されたマップだとそろそろだが…。おっ、光が見えてきた)
長い通風孔をひたすら降りていたオータムの目に照明の光が見え、オータムは機体を加速させ目的地である実験場に降り立った。
(さぁて、どんなもんか…)
「は?」
思わずオータムは間抜けな声を出した。
オータムが見たものは異形の機体だった。
ISの二倍はある体躯。胴体と一体化した頭部。肥大化した肩部。それに対して細く、長い手足。両手には自身の全長を超える武器を持っている。
既存の兵器はもちろん、ISともまったく違う姿をした
―それが開戦の合図だった。
「おらぁ!!!」
オータムは先手必勝とばかりにアラクネの八本の砲門をソレに向けた。
(何なのか分からねぇがあれだけのデカさだ。固定砲台と変わらねぇハズッ!)
しかしオータムの予想はあっさりと裏切られた。
オータムの目の前にいたはずのソレは一瞬にして視界から消えたのだ。
「なッ!ぐぁあああ!!!」
驚く暇もなく轟音とともに機体に衝撃が走る。
ソレの右腕のガトリングの攻撃で一瞬にしてシールドエネルギーが八割も削られたばかりか砲門が三門も破壊された。
「て、てめぇ!やりやがっ、がぁああああああああ!!!」
いきなりの被害で激昂したオータムだったが次に見たものは再び一瞬で接近したソレの巨体だった。ソレが接近してきたと思うと腹部にとてつもない衝撃が走り、そのまま壁に叩きつけられた。
―蹴られたのだ。
質量と速度の合わさったその一撃は凄まじく、絶対防御が発動しシールドエネルギーはゼロになった。
オータムは壁に背をつけ、荒い息を吐きながらソレを見る。
ソレは左腕の砲を向けた。淡い緑の光が収束し始める。
「何なんだよ…。お前は何なんだよおおおぉおおおお!!!!!」
オータムは狂った様に叫びながら残った砲門を向けソレに弾丸を放つ。
しかしその攻撃はソレの周囲に展開されていた膜のようなものに阻まれ完全に無効化された。
「こぉのッ!化け物がッ!!」
それでもオータムは攻撃を続けた。例え無意味でもそれしか出来なかったのだ。
そして
「スコールッ!!わたッ……」
オータムは最後まで言葉を紡ぐことも出来ず、緑の光に包まれアラクネごとこの世から消滅した……。
AC4シリーズの騙して悪いがでお馴染みのインテリオルさんです。
インテリオルのミッション説明は本当に概要しか説明してくれないしAFを差し向けてくるしで本当に腹黒い企業だと思います。
ちなみにオーメルはイラッとしますけど説明は分かりやすいし、ちゃんと段取りしてくれてるしで本当に優秀です。
今回原作キャラが初死亡しましたが国家解体戦争勃発時にはかなりのキャラが死亡すると思いますので今のうちに報告しておきます。
今回の実戦テストでアレサとセシリアは称賛されますが同時にレイレナード上層部に不安と恐怖を抱かせることになるでしょう。
誤字・脱字報告、ご意見・ご感想よろしくお願いします。