TALES of RE: ABYSS テイルズ オブ リ アビス   作:酎はい人形

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剣を振るのに躊躇い、ティアが怪我を負わせてしまったルーク(パチモン)
セントビナーへ行く道中だが野営をし、ティアの怪我の回復と休息をとっていた
自分自身の無力さと甘い考えに自己嫌悪になるルーク(パチモン)
だが、これからを変えていくために、そして自分自身を変えるために静かに事を進め始める


10 何とかして回避するために

 

 

 

 

ーーー

夢を見ていた

朧気だけど、自分が住んでいた世界の夢

俺がそこにいた

いつもと変わらず仕事をしていた

・・・あれ?

・・・誰だ?

俺の知らない人がいる

誰と話してるんだ?

・・・あれ・・・?

俺って・・・・・・ーーーーーーー

 

 

ティア「ルーク。起きて」

 

ルーク「・・・ん?」

 

 

あれ・・・俺・・・

 

 

ティア「そろそろ出発するわ」

 

ルーク「・・・」

 

 

頭がボーッとする

何か夢を見ていた気がする・・・

何の夢だっけ?

 

 

ティア「ルーク!」

 

ルーク「・・・はっ!」

 

 

うお!?

あれ?もう朝!?

てか、ティア!

 

 

ルーク「ティア、もう動いて大丈夫なのか?」

 

ティア「ええ。もう平気よ」

 

ルーク「・・・そうか」

 

 

そう言って二人でジェイド達に近づく

 

 

ジェイド「私とガイとティアで三角に陣形を取ります。ルークはイオン様と一緒に中心にいて、もしもの時には身を守って下さい」

 

ルーク「え?それって・・・」

 

ガイ「お前は戦わなくても大丈夫ってことだよ。さあ、いこうか」

 

 

戦わなくても・・・いい・・・

・・・

いや・・・それじゃダメだ

ジェイドなりの気遣いなのかもしれない・・・でも俺は・・・

 

 

ルーク「待ってくれ!」

 

 

みんなが俺を見る

 

 

ティア「どうしたの?」

 

ルーク「・・・俺も・・・戦う」

 

ジェイド「・・・人を殺すことを強要するつもりはありません。人には得手不得手があります」

 

ルーク「・・・それでも戦うよ」

 

 

俺自身、昨日から考えてた事だ

俺が戦わなければ、誰も守れない

手を汚してでも守りたいものがあるから

 

 

ティア「無理しない方がいいわ。あなたは優し過ぎる」

 

ルーク「・・・ありがとう。でももう決めたんだ」

 

 

そうだ・・・

もう後にも引けねぇ

 

 

ルーク「戦わなきゃ守れないなら、俺も一緒に戦う!だから頼む!」

 

ミュウ「ご主人様、偉いですの!」

 

ルーク「もう躊躇わないよ。危害を加えてくるんなら、手段を選ばない」

 

 

そう言うと、ティアが俺に近づく

 

 

ティア「・・・人を殺すということは、相手の可能性を奪うことよ。それが身を守るためでも」

 

ガイ「・・・恨みを買うことだってある」

 

ティア「ルーク、あなたはそれを受け止めることができる?」

 

 

・・・可能性奪う

当たり前の明日を奪う行為

 

 

ティア「逃げ出さず、言い訳せず、自分の責任を見つめることができる?」

 

ルーク「ああ、背負うさ。言うだけは簡単かもしれないけど、しっかり背負う」

 

 

これから何十何百と盗賊や神託の盾の騎士団の兵士に会うはず

それでも背負っていかなければならない

それが、この世界で生きるということなのかもしれない

ティア達だってそうだ

好きで殺している訳じゃない

俺だって勿論そうだ

けれど俺も・・・もうこっちの世界の人間なんだ

だから背負わなきゃいけない罪なんだ

 

 

ルーク「みんなに迷惑もかけられない。足引っ張ってばかりじゃいられないからな」

 

ジェイド「良いでしょう。では、ルークも戦力として陣形を組み直しましょう」

 

ガイ「無理すんなよ、ルーク」

 

ルーク「ああ」

 

 

そうガイに言い、自分の手を見た

俺の手はもう血で汚れてしまっている

そしてこれから血みどろになっていくのかもしれない

それでも背負うさ・・・

綺麗事だけで突き通せるような世界じゃない

生きるために・・・守るために・・・

咎人になるんだ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

セントビナーに向かう道中色々考えていた

そう言えば俺がこっちの世界にいるなら、あっちの世界はどうなっちまってるんだろうかと・・・

ルークが俺になってるって事は・・・え?

まさか・・・ルークが向こうに行ってるとか無い!?

いやいやいやいやいやいやいやいや

いやいやいやいやいやいやいやいや

・・・そうだとしたら・・・絶対クビになってる説・・・・・・

いや、まだわからんな!

頼むから・・・急に俺が元の世界に戻った時にとんでもない事になってるなよ?

あぁぁぁ・・・怖い

つーか何で元の世界のこと心配してんだ

今は今の目の前の事考えねぇと

 

 

ガイ「ティアは音律士(クルーナー)だよな。最近じゃ珍しいよな」

 

ジェイド「ええ。本来は後方支援が中心ですし、数もそう多くないでしょう」

 

 

あれ?

みんな何の話してるんだ?

く・・・クルーナーって何だっけ・・・

予言士はスコアラーで・・・クルーナーは・・・

イカン・・・オタク知識が働かん・・・ッ!

・・・あ、譜歌歌う人の事か

 

 

イオン「ですが、僕は音律士が好きですよ。彼らの譜歌は心地いい」

 

 

ふむふむ・・・

ティア以外の譜歌って聞いてみたいな

 

 

イオン「それは・・・人を攻撃する譜歌もありますが、癒してくれる譜歌もある。特にティアの譜歌はとても懐かしい感じがします」

 

ティア「あ・・・ありがとうございます・・・」

 

 

照れるティア

あら~可愛いね~

・・・あー、駄目だ。これだから俺はいざって時に動けんのだ

浮かれぽんちきになるな俺・・・ッ!

 

 

ルーク「確かにティアの声ってすげぇ綺麗だよな。聴き心地がいいって言うか」

 

ティア「や・・・やめて。褒めても何も出ないわよ?」

 

ルーク「いや、本当のことだし」

 

ティア「・・・」

 

 

照れて俯くティア

もしティアが元の俺の世界で歌手とかやったらすんごい売れるんだろうなぁ

その位綺麗な声なのよなぁ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー城砦都市セントビナー

 

 

そこそこの会話をしながら着いたセントビナー

しかし目線に入るのは神託の盾騎士団達だった

完全に検問してる感じだ

 

 

ルーク「・・・タルタロスから近い街がセントビナーだからな。恐らくとは思ったけど・・・」

 

ガイ「ああ。休息に立ち寄ると思ったんだろうな」

 

ジェイド「おや、二人ともキムラスカ人の割にマルクトに土地勘があるようですね」

 

 

あ、やべ

ガイはともかく俺が知ってるのはおかしいよな・・・

 

 

ガイ「まあな。卓上旅行が趣味なんだ」

 

ルーク「・・・俺は・・・その・・・感だ!」

 

ジェイド「これはこれは、そうでしたか」

 

ティア「大佐、あれを・・・」

 

 

そうティアが言う

あれは・・・馬車か

 

 

「エンゲーブの者です。ご注文いただいた食材をお届けにあがりました」

 

「ご苦労」

 

「後からもう一台まいります」

 

 

そう言うと馬車は中へ入っていった

 

 

ルーク「警備の割にザルだな。荷物までは確認しないんだな」

 

ジェイド「ええ、これは使えますね」

 

ガイ「もう一台を待ち伏せて乗せて貰うんだな」

 

イオン「エンゲーブへの街道を少しさかのぼってみましょう」

 

ティア「そうですね。行きましょう」

 

 

俺たち一行は街道を少し戻る

少しすると馬車がこちらへ向かってくるのが見えた

 

 

ルーク「その馬車、待ってくれ!」

 

 

馬車へ手を振りながら静止を促す

案外素直に止まってくれる馬車

このまま通り過ぎられたら死ぬ程ショックやけどな

 

 

ローズ「カーティス大佐じゃないですか!それに確か・・・ルークだったかい、旅の人」

 

 

そっか!

ここでもう一回ローズ夫人に会えるんだったな!

 

 

ルーク「ローズさん、悪いのは承知だけど馬車に匿ってくれないか?」

 

ガイ「セントビナーへ入りたいのですが、導師イオンを狙う不逞の輩が街の入り口を見張っているのです」

 

 

おお・・・流石ガイ・・・

簡潔に乗せて欲しい理由を端的に纏めた・・・

 

ガイ「ご協力いただけませんか」

 

ローズ「おやおや。こんなことが起きるとは生誕祭の預言にも詠まれなかったけどねぇ」

 

ティア「お願いします」

 

ローズ「いいさ、泥棒騒ぎで迷惑かけたからね。お乗りよ」

 

ジェイド「助かります」

 

 

トントン拍子でことが進む

ローズの厚意で一行は荷台に隠れる

 

 

ルーク「なあジェイド」

 

ジェイド「はい?」

 

 

ジェイドに話しかける

・・・ここから少しずつ変えていきたい

 

 

ルーク「多分・・・ここに六神将が来ると思う」

 

ジェイド「確かに、来ないとは限らないと思いますが・・・」

 

ルーク「・・・五人だ」

 

ジェイド「?」

 

ルーク「五人ここに来る・・・と思う」

 

ジェイド「・・・そう思う根拠は?」

 

ルーク「・・・感だ」

 

ジェイド「・・・」

 

 

・・・本当にそうとしか言えない

ただこれには訳がある

ジェイドに少しずつ知らせていこうと思った

でかい改変が無い限り、ストーリー上に沿ってことが進むに決まってる

だからこそ、多少不自然でもジェイドに知らせて行く

先の未来の為に・・・

 

 

ジェイド「具体性に欠けますね・・・。何にせよ、警戒は怠りませんが」

 

ルーク「今言ったこと・・・一応覚えていてくれ」

 

ジェイド「分かりました」

 

 

殆ど半信半疑のジェイド

まあそりゃそうだよな

一つずつでいい

少しでも信じてもらわねぇと

荷台に乗りながら会話をした

少し経ってから馬車が止まった

 

 

ローズ「エンゲーブの者です。先に馬車が着いていると思いますが・・・」

 

「話は聞いている。入れ」

 

ローズ「ありがとうございます」

 

 

難なくエンゲーブに入ることに成功した

大広間辺りで周りを警戒しつつ、俺たちは荷台から降りた

 

 

ローズ「じゃあ、あたしたちはここで」

 

ルーク「本当に助かったよ。ありがとう」

 

イオン「お世話になりました」

 

ローズ「気にしないでくださいよ。それよりお気をつけて」

 

 

そう言うとローズはその場を後にした

 

 

ルーク「ザル警備で助かったな。ローズさんにも感謝だけど、あれ検問って言えるんかな」

 

ジェイド「ええ。あれらが私の部下でなくて良かったですよ」

 

ガイ「ははは・・・。すごい毒舌だな・・・」

 

 

実際ホントソレよ・・・

俺が上司だったら怒る案件や・・・

 

 

ルーク「まあそれはさておき、アニスはここにいるんだよな」

 

ジェイド「マルクト軍の基地で落ち合う予定です。・・・生きていればね」

 

ルーク「・・・やめーや嫌なこと言うの。じゃあ行こうか」

 

ティア「神託の盾に見つからないよう警戒を怠らないようにね」

 

ルーク「わかってるさ。心配しすぎたよ」

 

ガイ「なんだ?随分と仲睦まじいじゃないかルーク。ナタリア姫が妬くぞ」

 

ルーク「・・・」

 

 

ジェイドもそうだが、なんでこう反応に困る事言うのかしらねホント

そう思っていたらティアが動いていた

 

 

ガイ「・・・うわっ!!」

 

 

ガイの腕にくっつくティア

 

 

ティア「くだらないことを言うのはやめて」

 

 

・・・羨ましい

それ、後で俺にもやってよティア

 

 

ガイ「わ、わかったから俺に触るなぁっ!」

 

 

そうガイが吠えると、ティアが離れた

ガイは地面にヘタレ込んでいる

 

 

イオン「この旅でガイの女性恐怖症も克服できるかもしれませんね」

 

ルーク「お・・・おう、そうだな」

 

 

うーん・・・ガイよ、強く生きろ

ガイの内情というか過去を知ってるだけに止めたい所だが、今回はティアに感謝だな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーマルクト軍基地

 

 

ジェイド「マルクト帝国軍第三師団所属ジェイド・カーティス大佐です。グレン・マクガヴァン将軍にお取次ぎ願えますか?」

 

マルクト軍兵士「ご苦労様です。マクガヴァン将軍は来客中ですので、中でお待ち下さい」

 

 

そう言うと中へ案内された

中に入ると会話が聞こえてきた

 

 

グレン・マクガヴァン「ですから、父上。神託の盾騎士団は建前上預言士なのです。彼らの行動を制限するには、皇帝陛下の勅命がーーーー」

 

老マクガヴァン「黙らんか!奴らの介入によってホド戦争がどれほど悲惨な戦争になったかおまえも知っとろうが!」

 

ジェイド「お取り込み中、失礼します」

 

 

ジェイドが割って入る

 

 

グレン・マクガヴァン「死霊使いジェイド・・・」

 

老マクガヴァン「おお!ジェイド坊やか!」

 

ジェイド「ご無沙汰しています。マクガヴァン元帥」

 

老マクガヴァン「わしはもう退役したんじゃ。そんな風に呼んでくれるな。おまえさんこそ、そろそろ昇進を受け入れたらどうかね」

 

 

流石ジェイド・・・

本当に有能なんだな・・・

 

 

老マクガヴァン「本当ならその若さで大将にまでなっているだろうに」

 

ジェイド「どうでしょう。大佐で十分身に余ると思っていますが」

 

ルーク「やっぱジェイドって偉いんだな」

 

ガイ「そうみたいだな」

 

老マクガヴァン「そうだ。おまえさんは陛下の幼なじみだったな。陛下に頼んで神託の盾騎士団を何とかしてくれんか」

 

ジェイド「彼らの狙いは私たちです。私たちが街を離れれば彼らも立ち去るでしょう」

 

老マクガヴァン「どういうことじゃ?」

 

ジェイド「陛下の勅命ですので、詳しいことはお話できないのですよ。すみません」

 

 

そう会話をしていると咳払いをする将軍

 

 

グレン・マクガヴァン「カーティス大佐。御用向きは?」

 

ジェイド「ああ、失礼。神託の盾の導師守護役から手紙が届いていませんか?」

 

グレン・マクガヴァン「あれですか。・・・失礼ながら、念のため開封して中を確認させてもらいましたよ」

 

ジェイド「結構ですよ。見られて困ることは書いてないはずですから」

 

 

そう会話を交わすと、手紙を受け取った

受け取った手紙を一通り目を通すジェイド

そうしていると俺に差し出した

 

 

ジェイド「どうやら半分はあなた宛てのようです。どうぞ」

 

ルーク「え、俺かい。ラブレターでも書いてあるんか?」

 

アニス『親愛なるジェイド大佐へ♡

すっごく怖い思いをしたけど何とかたどり着きました☆

例の大事なものちゃんと持っていま~す。誉めて誉めて♪

もうすぐ神託の盾がセントビナーを封鎖するそうなので先に第二地点へ向いますね♡

アニスの大好きな (恥ずかし~☆ 告っちゃったよぅ♡) ルーク様♡ はご無事ですか?

すごーく心配してます。早くルーク様♡ に逢いたいです☆

ついでにイオン様のこともよろしく。それではまた☆

アニスより』

 

 

ルーク「胸焼けしてきたな・・・」

 

ガイ「おいおいルークさんよ。モテモテじゃねぇか。でも程々にしとけよ。おまえにはナタリア姫っていう婚約者がいるんだからな」

 

ティア「・・・」

 

ルーク「・・・いや、あの~アニスについてはちょっと違うような・・・」

 

ティア「それより、第二地点というのは?」

 

 

ティアが割って入る

 

 

ジェイド「カイツールのことです。ここから南西にある街でフーブラス川を渡った先にあります」

 

ガイ「カイツールまで行けばヴァン謡将と合流できるな」

 

ティア「兄さんが・・・」

 

 

ガイがティアに向き合う

 

 

ガイ「おっと。何があったか知らないが、ヴァン謡将とは兄妹なんだろ。バチカルの時みたいにいきなり斬り合うのは勘弁してくれよ」

 

ティア「・・・わかってるわ」

 

ルーク「・・・」

 

 

・・・なんだろうな

気の利いたセリフが全然思いつかねぇや

励まそうにも・・・なぁ・・・

 

 

ジェイド「では、私たちはこれで失礼します」

 

老マクガヴァン「神託の盾に追われてるなら、わしが力を貸すぞ。わしはここの代表市民に選出されたんじゃ。いつでも頼ってくれ」

 

ジェイド「ありがとうございます。元帥」

 

 

やはりこういう時に顔が広いのって強いな・・・

基地を後にする俺たち一行

広間から門に近づいた時だった

 

 

ティア「・・・隠れて!神託の盾だわ」

 

ルーク「やばいやばい、隠れるぞ!」

 

 

遠目に見ると、六神将が居た

あれは・・・リグレットにラルゴ、アリエッタにシンクだな

 

 

リグレット「導師イオンは見つかったか?」

 

「セントビナーには訪れていないようです」

 

シンク「導師守護役がうろついていたってのはどうなったのさ」

 

「マルクト軍と接触していたようです。もっともマルクトの奴らめ、機密事項と称して情報開示に消極的でして」

 

ラルゴ「俺があの死霊使いに遅れをとらなければ、アニスを取り逃がすこともなかった・・・面目ない」

 

ディスト「ハーッハッハッハッハ!だーかーらー言ったのです!」

 

 

奥から椅子に座る男が現れる

 

 

ディスト「あの性悪ジェイドを倒せるのはこの華麗なる神の使者・・・神託の盾六神将薔薇のディスト様だけだと!」

 

シンク「薔薇じゃなくて死神でしょ」

 

ディスト「この美し~い私がどうして薔薇でなく死神なんですかっ!」

 

リグレット「過ぎたことを言っても始まらない。どうするシンク?」

 

 

ディストそっちのけで会話が進む

 

 

ディスト「・・・おい」

 

シンク「エンゲーブとセントビナーの兵は撤退させるよ」

 

ラルゴ「しかし!」

 

シンク「アンタはまだ怪我が癒えていない。死霊使いに殺されかけたんだ。しばらく大人しくしてたら?それに奴らはカイツールから国境を越えるしかないんだ。このまま駐留してマルクト軍を刺激すると、外交問題に発展する」

 

ディスト「おい、無視するな!」

 

リグレット「カイツールでどう待ち受けるか・・・ね。一度タルタロスに戻って検討しましょう」

 

ラルゴ「伝令だ!第一師団!撤退!」

 

「了解!」

 

 

そう言うと兵士達が続々と撤退し始める

 

 

アリエッタ「・・・アリエッタ、考えある」

 

リグレット「なんだ?」

 

アリエッタ「アリエッタ・・・一人で動く」

 

シンク「随分積極的じゃないか。まあいいさ、ヘマしないようにしな」

 

 

そう言うとシンクは歩き始める

 

 

リグレット「何か考えがあるのか?」

 

アリエッタ「・・・うん」

 

 

シンクに続き、三人も歩き始める

 

 

ディスト「きぃぃぃっ!私が美と英知に優れているから嫉妬してるんですねーーーっ!!」

 

 

そう叫ぶと椅子が飛び上がって行った

 

 

 

 

 

 

 

ジェイド「・・・」

 

ガイ「あれが六神将・・・。初めて見た」

 

ルーク「ああ。『五人』だったな」

 

ガイ「そうだな。黒獅子ラルゴに死神ディスト、烈風のシンク、幼獣のアリエッタ、魔弾のリグレット・・・、いなかったのは鮮血のアッシュだな」

 

ティア「六神将が動いているなら、戦争を起こそうとしているのはヴァンだわ・・・」

 

イオン「六神将は大詠師派です。モースがヴァンに命じているのでしょう」

 

ティア「大詠師閣下がそのようなことをなさるはずがありません!極秘任務のため、詳しいことを話す訳にはいきませんが、あの方は平和のための任務を私にお任せ下さいました!」

 

 

・・・みんな機密だの極秘だの情報開示しないなホント

そんなんだから拗れるのでは?

 

 

ルーク「ヴァン師匠だのモースだのどうだっていい。今は六神将の監視をかいくぐって戦争を止めねぇと」

 

ガイ「その通りだな。ここで問答をしててもしょうがない」

 

ティア「・・・そうね。ごめんなさい」

 

ジェイド「・・・さて、一先ずカイツールへ向かいましょう」

 

 

そうジェイドが言うと、皆が歩み始めた

少し遅れて俺も歩く

 

 

ジェイド「・・・ルーク」

 

ルーク「・・・ああ」

 

 

正直ジェイドに呼び止められるのを期待していた

忘れられてたら嫌だなって思って、あえて五人を強調したけど

 

 

ジェイド「何故分かったのですか?」

 

ルーク「・・・」

 

ジェイド「タルタロスであなたが対峙した六神将は、リグレットとアリエッタ、そしてラルゴでした」

 

ルーク「・・・ああ」

 

ジェイド「ですがあなたは、ここに五人来ると言いましたね」

 

ルーク「・・・ああ」

 

ジェイド「何故・・・分かったのですか?」

 

ルーク「・・・今は、『感』としか言えねぇんだ」

 

ジェイド「あなたの言葉にはいつも具体性に欠けます。信じようにもーーー」

 

ルーク「分かってるんだ!」

 

 

強い口調で言う

 

 

ルーク「俺にも説明出来ねぇんだ・・・。でも、何が起こるか分かる・・・気がするんだ」

 

ジェイド「それは、預言か何かの?」

 

ルーク「・・・いや、関係ないんだ。ただ・・・」

 

 

ジェイドに全てを言うべきだが・・・

結局説明出来ない・・・

もどかしい・・・

 

 

ルーク「説明も何も出来ないけど・・・信じて欲しいんだ」

 

ジェイド「・・・全くあなたは。それで私が納得するとでも?」

 

ルーク「・・・ごめん」

 

ジェイド「・・・」

 

ルーク「ただこれだけは確信して言えるんだ」

 

ジェイド「と言うと?」

 

ルーク「このままだと、必ず戦争が起こる」

 

ジェイド「!」

 

ルーク「それだけじゃ無い。ジェイドが考える以上に死人が出る」

 

 

確かな確信を持ってジェイドに伝える

 

 

ジェイド「あなたは一体、どこまで知っているのですか?」

 

ルーク「・・・全てだ」

 

 

ジェイドの表情が強ばる

 

 

ジェイド「・・・タルタロスの襲撃、まさかあなたは知っていたのですか?」

 

ルーク「・・・」

 

 

ジェイドが槍を構え、俺に向ける

 

 

ジェイド「・・・答えなさい」

 

ルーク「・・・ああ、知っていた」

 

ジェイド「!」

 

ルーク「・・・外れてて欲しいとも思っていた。でも結局駄目だった」

 

ジェイド「なぜ今更話したのです!」

 

ルーク「・・・心のどこかで、楽観していたんだ」

 

ジェイド「楽観?」

 

ルーク「俺の知っている通りにことが進めば、それならそれでも良いって思っていた自分がいたんだと思う」

 

ジェイド「沢山の人間が死んでも、ですか?」

 

ルーク「少なくとも、今は違う。タルタロスの一件・・・本当だったら防げた惨事だった筈なんだ」

 

 

語り続ける

 

 

ルーク「俺が何かことを進めないと、俺の知っている通りにことが進んじまう。でも俺一人じゃどうにもできないって分かってきたんだ」

 

 

槍を掴み、更に語る

 

 

ルーク「見殺しにした俺を恨むなら、今ここで俺を斬り捨ててくれ。あれは、言い替えれば俺がみんなを殺したも同然だ」

 

ジェイド「・・・」

 

 

静かに俺を見定めるジェイド

 

 

ジェイド「・・・全てあなたのせいだとは思いません。ですがーーー」

 

 

言葉を濁すジェイド

 

 

ルーク「・・・」

 

ジェイド「いえ、起きてしまったことをあれやこれやと言及していくのはやめましょう。生産性に欠けます」

 

 

ジェイドが槍を仕舞う

 

 

ジェイド「・・・では、今後のあなたの方針を聴きたいですね」

 

ルーク「・・・まず一つ目に、俺の知っていることとは違うことが一つだけある」

 

ジェイド「それは?」

 

ルーク「ライガ・クイーンだ」

 

ジェイド「あのチーグルの森の」

 

ルーク「ああ。俺が知っている筋書きだと、ライガ・クイーンは死んでいる」

 

ジェイド「・・・ほう」

 

ルーク「でも、今は違う。クイーンが生きているという状態でここまで来た・・・。でも、全く筋書きは変わらない」

 

 

腕を組みながら語る

 

 

ルーク「これがどう影響するかは俺自身分からない。でも今の所何も変わらない」

 

ジェイド「だとしたら、今後の動きをある程度予測できると?」

 

ルーク「ああ、大まかにだがな」

 

ジェイド「・・・にわかには信じがたい、と言いたいところですが」

 

ルーク「・・・」

 

ジェイド「・・・わかりました。ですが全て信用するという訳にはいきません」

 

ルーク「ああ。選択肢の一つとして聞いてくれればいい。それとーーー」

 

 

一度周りを見渡してジェイドに向き直る

 

 

ルーク「このことは、今は俺とジェイドだけの秘密にしてくれないか?」

 

ジェイド「何故です?」

 

ルーク「みんなを混乱させたくない。それにジェイドなら、俺が話した事を汲んだ上で対策してくれるだろうしな」

 

 

そう言うと、眼鏡をかけ直すジェイド

 

 

ジェイド「やれやれ、私も買われたものですね」

 

ルーク「・・・悪いな」

 

ジェイド「・・・」

 

 

俺の腹の中をジェイドに話した

これがどう転ぶか・・・

少なくとも悪化することはないとは思う

ジェイドは一応は納得してくれたが、まだ半信半疑だろうな

いや、当たり前だ

逆に疑って来なかったらそれはそれで怖いしな

・・・ジェイドは、恐らく俺の事を恨んでいるだろうな

タルタロスのことは・・・完全に俺の・・・

・・・過ぎたことを、とジェイドは言っていたが、俺は多分今後もずっと引きずると思う

だからこそ、もう二度とあんなことを起こしたくないから

だから俺は、ジェイドに伝えた

とは言え、全てという訳じゃないが・・・

 

 

ジェイド「・・・となると、ルーク。次に六神将が現れるのは?」

 

ルーク「ああ」

 

 

恐らくここから何か変わるかもしれない

何となく思う

何せ次に会うのは・・・

 

 

ルーク「フーブラス川で、アリエッタと対峙すると思う」

 

 

 




人物帳

シンク

オラクル騎士団六神将の一人で、またの名を烈風のシンクという
能力の高さなどをヴァンに認められ、六神将を束ねる参謀総長に任命された

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