魔王vsパワードスーツ/魔王に滅ぼされかけた異世界の人々、26世紀のパワードスーツを召喚して反撃に出る   作:kadochika

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7.5.エアロックの破壊

 ディゼムとプルイナ、エスコドゥスの降りた空間は広く、また上下の高さもかなりあった。

 だがひどく殺風景でもあり、真下にはディゼムが破壊した天井の残骸が広がっている。

 照明などは最低限が配置されているので、暗黒ではなかったが。

 

『恐らく増築用の予備スペースと、防御空間を兼ねていると思われます。

 音響ではこの下に、バイタルパートと推測できる箇所が探知できます』

「ならもう一発、ぶち壊す――」

 

 そこでプルイナがスラスターを作動させ、黒い鎧に急加速をかけた。

 

『緊急回避』

「ひょわぁっ!?」

 

 黒い鎧の腕の中で悲鳴を上げるエスコドゥス。

 彼らのいたその空間を、弾丸の列が通り過ぎて行った。

 兜の中のディスプレイに表示された警告を見て、ディゼムがうめく。

 

「新手か!」

 

 火線の出処には、三機のロボットがいた。

 人間のような形態をしているが体躯は大きく、地下空間を飛翔し、ディゼムたちに高速で接近しつつある。

 

「エスコ、離れて隠れてろ!」

「うむ、頼むぞ!」

 

 彼はエスコドゥスを空間の底へと下ろすと、スラスターを噴かせてロボットたちを迎え撃った。

 

***

 

 アケウたちが市街地を駐機場に向かっていると、そこに保護セルが飛来した。

 電力が切れかけているのか、保護セルは熱電・色覚迷彩で光を完全に透過できず、歪んだ影となっている。

 それを複数の飛翔機械が追ってきていたが、市街地なので余波を恐れて攻撃はしていないようだった。

 エクレルが分析して、一行に告げた。

 

『いかんな、エネルギーが切れかけている。

 敵も市街地では攻撃できんだろうが、それはこちらも同じ。

 早々に退散願おう』

「殿下、エクレルと一緒にマイレさんたちを頼みます!」

「行くよ、アケウ!」

 

 灰色の鎧をまとったアケウと、ホウセが飛び出した。

 

「着撃する雷鳴よ!」

 

 アケウが呪文を唱えると、高圧電流が雷のように飛翔機械を打った。

 機体から煙が上がり、墜落を防ぐためか、飛翔機械は後退していった。

 

「激しく、咲けっ!」

 

 投擲された真紅の槍が飛翔機械の端の部分を射抜くと、ホウセの呪文に応じて無数の棘を生やし、機体を損壊する。

 そして彼女は真紅の鎧の腕から鎖で繋がった錨を伸ばし、真紅の槍を引き抜いた。

 片側を破壊された飛翔機械は墜落を防ぐためか、やはり後退していく。

 一分と経たず、保護セルを追っていた戦力は撤退したようだった。

 が、エクレルが警告する。

 

『まだだ、新手が来るぞ!』

 

 街路を曲がって、脚部が車輪となったロボットがやってきた。

 上半身には銃を装備している。

 

『――端末に指示の来た市民は、速やかに地下に退避してください。

 戦闘が実行されます。

 端末に指示の来た市民は、速やかに地下に退避してください――』

 

 住民に避難を促し、市街戦を始めようとしている。

 ウィッシェルの行政魔術意思が、彼らの行動を阻止しようと本格的な行動に出たのだ。

 魔術の作用なのか、ロボットの一体が空中へと飛び上がり、保護セルに組み付こうとする。

 

「あっ!」

 

 アケウ、ホウセ、そして白い鎧を着装したファリーハが迎撃しようと試みるが、しかし、そこに。

 保護セルの格納庫のハッチが開いて、そこから黒い鉄拳が飛び出した。

 それはロボットの胴体を直撃し、墜落させる。

 ジャイガンティック・ゴーントレットだ。

 黒い鎧を着装するディゼムに合わせて製造されたものだったが、それはエクレルの操作で白い鎧に向かって飛翔した。

 

『ファリーハ、慣れないだろうが、やってみろ!』

「マイレさんたちは僕が守ります!」

 

 エクレルとアケウの呼びかけに、ファリーハは動揺した。

 

「え、もしやわたくしに使えと!?」

『あれは灰色の鎧では追加着装できん。戦力は多い方がいい』

 

 アケウに代わって今白い鎧を着装しているのは、ファリーハのままだった。

 

「く、仕方ありません、着装します!」

 

 彼女は白い鎧のスラスターを噴かせて発進し、相対速度を合わせてきた黒い巨腕を着装した。

 

「エクレル、わたくしは素人ですので、身体を預けます!」

『いい度胸だ、気に入ったぞ』

「――ぐぅっ!!」

 

 エクレルの操作で急加速した白い鎧は、それを迎え撃とうと銃を構えたロボットに、黒い巨腕を向ける。

 

『避難が進んでいるなら、こちらもそれなりの火力を使う。

 エクスプローシヴ・シェルズ、行使!』

 

 指先から発射された破砕弾が、ロボットに直撃してその五体をばらばらに破壊した。

 

『悪いが、速攻で片付ける!』

「お、お手柔らかに!」

 

 ファリーハは白い鎧の中で、大いに冷や汗をかいていた。

 

***

 

 出撃してきたロボット三機を迎え撃つ、黒い鎧とディゼム。

 広々とした空間は、全高六メートルほどもあるロボットたちが飛び交うのに十分な広さがあった。

 三機は連携しながら黒い鎧に実弾を放ち、撃ち落とそうとしてくる。

 的確な連携によってディゼムは時折被弾してしまうが、黒い鎧に大きな被害はない。

 

『ディゼム、敵は施設内では大きな火力を使うことができないようです。

 強引に距離を詰めて撃破することを推奨します』

「任せろ!」

 

 ディゼムは魔術を念じ、呪文を唱えた。

 

「着撃する、雷鳴よッ!」

『魔術紋様展開』

 

 黒い鎧の指先から高圧電流が迸り、二百メートルほど離れていたロボットを射抜く。

 黒い鎧の腕の装甲表面には魔術紋様が描画されており、これによって射程と威力が伸びていた。

 メイエによって鎧の内部に魔術炉が設置され、プルイナが魔力を理解できるようになったことで可能となった連携だ。

 そして、高圧電流によって動きの鈍ったその一機に向かって、ディゼムはスラスター推力を乗せた魔拳を放つ。

 胸部装甲を穿ち、黒い鎧は肩口までをロボットの機内に埋めた。

 次いで、

 

「ヒート・リキッド!」

 

 黒い鎧の掌の多目的射出孔から焼夷材が噴射され、燃焼する。

 ロボットは機内から焼かれ、機能を停止して墜落した。

 

(いやぁ、すごいのう……)

 

 エスコドゥスは、それを物陰――恐らくは緊急時に人間が機器を制御するために設けられた小さな建物――に隠れて見ていた。

 するとそこを目がけて、黒い鎧が飛んで来る。

 

「えっ」

 

 敵が片付いていないのに何をしているかと思うと、黒い鎧は彼女に向かって蹴りを放ってきた。

 

「ぬぉおおおっ!?」

 

 思わず頭を庇うと、ドカンと大きな音を立て、彼女の背後から衝撃波が髪を揺らした。

 魔術によるものか、透明になってエスコドゥスの背後に迫っていたロボットの一機を破壊したのだ。

 黒い鎧の中で、ディゼムが安堵する。

 

「くそ、油断も隙もありゃしねぇ……!」

『敵、残り2。ですが増援が近づいています』

「なら、こいつでどうだ……惑乱する、霞よ!」

『デコイ放出』

 

 ディゼムが魔術で広範囲の視界を濁らせるのと同時、黒い鎧からプルイナも囮となる黒い風船人形を射出した。

 彼らは動きに迷いの生じたロボットの一体に狙いをつけて、急角度の放物線を描いて襲い掛かった。

 

「マグ――ナッコォッ!!」

 

 急降下の勢いを乗せた黒い鎧の魔拳が、戦闘ロボットを上から貫き、床面へと突き刺さる。

 

『もう一発です』

「らァッ!!」

 

 再度空中に飛び上がり、ディゼムは今度は、足先に魔力を込めて蹴りを放った。

 魔拳で陥没した床面に直径二メートルほどの穴が開通し、そこを突き抜けたディゼムは、その下方に広がる空間を見る。

 それは、以前空から見たインヘリトの夜景を思い起こす光景だった。

 ビルを思わせる幾何学的な突出物が、明かりのようなものを各所に点灯し、規則正しく並んでいる。

 プルイナが、黒い鎧の中で言った。

 

『メイエによって魔術炉を増設された今なら理解できます。

 あれは自己修復を行う魔術紋様が放つ光です。

 ここは魔力が循環し、意思を形作る場所です』

「あれが魔術意思サマとやらの御本尊ってところか……?

 エスコを連れてあそこまで降りるのか」

『やってみましょう』

 

 彼らは上層に戻り、エスコドゥスを拉致しようとしていた最後のロボットを破壊すると、増援が到着する前に彼女を連れて下降した。

 人口の地下空間に、音声が鳴り響く。

 

「黒い鎧とその着装者に警告します。

 直ちにここから退去を求めます。

 警告に従わない場合は、実力を以て排除します」

 

 ディゼムは黒い鎧の中で、うめいた。

 

「プルイナ、敵の気配はどうだ?」

『大型機接近!』

「う――!?」

 

 プルイナの警告に、ディゼムは脚部スラスターを天方向に向けて噴射した。

 

「うひょあ!?」

 

 黒い鎧が頭を下にして急降下すると、抱きかかえていたエスコドゥスの悲鳴が聞こえる。

 すると彼らがそれまでいた空間を、衝撃波が通り過ぎた。

 轟音が響き、ディゼムは急いで距離を取る。

 それはどこに進入口があったのか、十メートル以上ありそうな巨大なサイズのロボットだった。

 光る都市状構造に降下する黒い鎧の中で、プルイナが言う。

 

『ディゼム、エスコドゥスにあなたの超空間通信機を。

 あなたは本機の通話機能で代替してください』

「しゃあねぇ、任せたぞエスコ!」

「う、うむ。何とかしてみるわい!」

 

 ディゼムは黒い鎧の首元だけを解放し、そこから取り外した超空間通信機をエスコドゥスに預けた。

 そして黒い鎧は降下し、そこに彼女を置いて、再び飛び上がる。

 エスコドゥスは周囲を見回して、魔術紋様の仕組みを見た。

 

「これだけ広大な場所に敷き詰めた紋様、どこを修正すればいいか特定するのも大変――う!?」

 

 エスコドゥスは、構造物に書かれている図形や記号、注釈が、一般的な魔術紋様と異なっていることに気づく。

 

「記述のサイズが異様に小さいぞ……!?

 こんなもの、わしの手で修正できるかどうか……!」

 

 一般的な魔術紋様は、手書きや手彫り判による印刷を前提としているため、人間の手で読み書きが可能な大きさになっているが、これは違った。

 発光しているので文字自体はかろうじて認識できるが、図形はまだしも記号や注釈のサイズが一ミリメートル以下と、非常に細かいのだ。

 エスコドゥスの声を聴いて、プルイナが答える。

 

『これまで魔術関連の知識は蓄積していましたが、魔術意思を成立させるためには魔術紋様の頻繁な書き換えが必要です。

 それが困難なために人造の魔術意思というのは実現できないと考えられていましたが、ウィッシェルはこれを、この極小サイズの魔術紋様に自己複製を繰り返させることで達成したのでしょう』

「まぁ、魔術紋様の書き換えが激しい箇所を探せばいいというのは分かる。

 しかしこの広い空間でどうやって……」

『アケウ、今魔眼を使える状態にありますか?』

 

 プルイナの質問に、市街地にいるアケウが通信で答えた。

 

「今は保護セルを確保してる所だけど、何を見ればいい?」

『ウィッシェルの中枢を透視して欲しいのです。

 魔術意思を書き換えるための中枢部分がどこにあるか、魔眼ならば特定することができるかと考えました』

「…………!」

 

 アケウは灰色の鎧の着装を頭部だけ解いて、魔眼を行使した。

 市街地を透視し、隔壁を透視し、見るべきものへと視線を透徹する。

 すると――既存の色にたとえることはできないのだが――、巨大な都市の中心部に、色合いの濃さが異なる部分があるのが分かった。

 

(魔力と、電力で動いている世界――

 その中でも、一番魔力が高い密度で働いている場所……!)

『当機もアシストしよう』

 

 エクレルがファリーハの頭から白い鎧の兜を外し、アケウへと被せる。

 そこに組み込まれた超高精度観測装置ルーシーズ・レンズは、アケウの魔眼を妨害することなく、頭部を保護しながら魔眼を使えるようにする装備だった。

 アケウが、相棒へと呼びかける。

 

「エクレル、ディゼムたちに、僕が見ている位置を送って!」

『既にやっている』

 

 すると、超空間通信を通して白い鎧から黒い鎧へと、位置情報が届く。

 更にプルイナが、黒い鎧からエスコドゥスへと指示を飛ばした。

 超空間通信機は原理的に相互の位置関係を把握できない仕組みになっているが、この程度の距離ならば、肉体からの赤外線の輻射で彼女の位置を特定できる。

 

『エスコドゥス、あなたの位置から後ろに二十メートルほど進んでください』

「わかった!」

 

 彼女が短い脚でとてとてと駆け出すと、それを戦闘しながら観測していたプルイナが更に指示する。

 

『その十字路を左折して、五十メートルほど進むと、右手に目標らしき建物があります。

 到着したらまた伝えます』

「うむ!」

 

 そこに、ディゼムと交戦していた大型ロボットが照準を向けた。

 

「よそ見してんじゃねぇ!」

 

 黒い鎧が体当たりでその照準を狂わせると、エスコドゥスを狙って照射された熱線が魔術紋様の集合体の一部を焼灼する。

 

「ひょ!? 危ねぇのう!?」

 

 距離にして二十メートルほど離れていたが、エスコドゥスは冷や汗をかいた。

 

『そこです、その右手の建物が、アケウの観測した書き換えの中枢部分になります。』

「だ、だいぶデカいのう……」

『あとはその自己複製プリンターを設置するだけです。

 プリンターが標的を侵食して吸収し、大型化しながら魔術紋様を書き替えていきます』

「置けばいいのか、こう?」

『自己複製プリンターの動作を確認しました。最大出力で作動させます』

「うぉお……何か紋様を消し始めたぞ」

『あなたは退避していてください。更に敵の増援が到着する見込みです』

「自分の脳か心臓のようなもんだろうに、よく巻き込んで攻撃できるのう……!」

 

 エスコドゥスはプルイナの言う通り、他の建物の陰に隠れてやり過ごすことにした。

 一方で、プルイナは黒い鎧の中のディゼムに言った。

 

『本機とエクレルは、メイエと融合することで魔力を手に入れましたが、自己複製プリンターまでは魔力で動かすことができません。

 本機に残されたQGPコアのエネルギーで自己複製プリンターを使えるのは、これが最後になります』

「悪りぃな……頼むぜ」

 

 ディゼムは敵ロボットの照射する熱線を回避しながら突進し、その関節部分を狙って魔拳を叩き込んだ。

 

***

 

 アケウたちは保護セルを確保し、敵を排除しながら市街地の出口――エアロックへと向かった。

 当然というべきか、行政魔術意思はそこに火器を配備して、守りを固めている。

 建物の向こうからそれを魔眼で透視したアケウは、うめいた。

 

「……無人機械が集まってる。エアロックごと攻撃して壊したら、空気が外に流れ出ちゃうよね」

『かなり大きな穴を開けても、大気の完全流出には三日ほどかかる。

 敵が許してくれるなら、その間に穴を塞げばいい』

 

 エクレルがそう言うと、ファリーハが懸念した。

 

「……その場合、ウィッシェルには二度と出入り出来なくなるか、最悪の場合は報復措置も考えられますね……」

『お前たちの生存が優先だ』

「マイレ、最悪の場合、あなた方はインヘリトで匿います。それで構いませんか?」

 

 王女の問いかけに、マイレが夫へと振り返る。

 

「……しょうがないよね?」

「あぁ、もうそれしかないだろう」

 

 息子のヴォルディは不安げな表情だったが、まだ状況をよく理解していないのかも知れない。

 ともあれ――

 

「承りました。アケウ、エクレル、ホウセ。参りましょう!」

 

 ファリーハは頷いて、エクレルに白い鎧の操作を委ねた。

 

『ゴーントレットはディゼムたちの方に向かわせる。

 エスコドゥスに渡すための与圧服を持たせてな。それでいいな?』

「構いません!」

 

 白い鎧は、保護セルの格納ハッチを開いて与圧服の入ったコンテナを引っ張り出し、黒い巨腕に握らせる。

 そしてジャイガンティック・ゴーントレットを射出すると、それは空中を自律飛行して、黒い鎧の元へと向かった。

 ホウセが真紅の鎧と共に、飛び出す。

 

「じゃあ、行くよ!」

「あぁ!」

 

 アケウが灰色の鎧で後に続き、白い鎧は空中へと飛び上がった。

 

『我々は重兵装モードで行く』

 

 エクレルがそう言うと、開いたままの保護セルの格納ハッチから、増加装備をまとめた大型コンテナが射出される。

 アームを伸ばして白い鎧と接続したコンテナから、スラスターとミサイル、レール・ライフルに大型切断機が追加着装された。

 

AGM(ミサイル)照準、発射』

 

 超小型の純粋水爆が、エアロックを守備するロボットたちに炸裂し、激しい爆発を巻き起こす。

 エアロックの扉も損傷するが、さすがに頑強なのか陥没した程度だ。

 残ったロボットや自動車両が反撃してくるが、

 

「着撃する雷鳴よ!」

「激しく、弾けっ!」

 

 それらはアケウとホウセの魔術によって駆逐される。

 その間も、エクレルは共通プロトコルを介して行政魔術意思に通信を送っていた。

 

『聞いているか、アヴァリク・ハルドゥス!

 復旧工事の手間を考えるなら、我々を通した方が賢明だぞ!』

 

 だが、返答はない。

 

『無視か。ならば押し通る!』

 

 白い鎧がレール・ライフルを連射すると、エアロックの扉に直径数十センチメートルほどの穴が開いた。

 エクレルが、白い鎧からその場の全員に警告する。

 

『攻撃と同時にチョーク(なが)れが発生して、空気が外へと激しく流れ出る。

 アケウは保護セルの中に戻って、ホウセは保護セルに掴まっていろ!』

「了解だ!」「わかった!」

 

 灰色の鎧にはそこまでの気密性能がないので、アケウは開いた搭乗ハッチから内部に乗り込んだ。

 真紅の鎧は気圧差に関しては問題ないため、ホウセは保護セルの外装に設けられたハンドルに掴まる。

 

『アクタイル一家は座席に座って、シートベルトを着用しておけ!』

 

 警告が終わると、レール・ライフルで開けた穴に向かって、白い鎧は対地ミサイルを連射した。

 激しい爆発でエアロックの扉が破壊され、気圧差によって都市の外側へと吹き飛んで行く。

 同時、エクレルの予告通りのすさまじい空気流が発生する。

 原理としては風呂釜の栓を抜いた時に生じる渦に近いが、これは流速が音速に達していた。

 

『このまま外へ出る、迎撃に注意しろ!』

 

 白い鎧と保護セルはスラスター制御で空気流に乗り、破壊したエアロックから港へと飛び出した。

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