カレー
数種類の香辛料から形成される、調味料。
いや、調味料と一言で表すこと自体が、おこがましいと思えてしまうしろもの。
中年を過ぎ、初老にさしかかった時に、病に臥せった。
もう、死ぬしかないだろう、そう思った時に、ふいに、香辛料の臭いに目が覚めた。
いや、目覚めたという表現、あながち間違いでもあるまい。
なにせ、その死と隣り合わせになった際に、開けた窓から流れ込んだ香りに、思い出したのだ。
カレーを。
カレーは飲み物という言葉があるぐらい、カレーが好きだった前の生の事を。
そして、この香りは、カレーの香りそのもの、まさにカレーがあるのではないかと。
病になど伏している状態ではない、いそぎその香りをする場所にむかったが・・・
新に手に入れた、病いよけのお香という代物だった。
だが、わたしは、カレーが無性に食べたくなった。
カレーを食せずして、死ぬわけにはいかない。
そう決心しては、生きるのをあきらめずにいたら、快調の方向へと変わっていった。
ターメリックが存在しているのならば、その他の香辛料も存在するはず。
そうして、色々と手を尽くしてみるも、この世界にカレーなる料理は存在しなかった。
ターメリックが手にはいったというルートを探ってもだ。
ならば、その他を探そうではないか。自分の脚で!
まってられるものか。現地でのカレー。ああ、これは素晴らしいものになるであろう。
そして、願うならば、自作のカレー粉を作っては、カレーを作ろうではないか。
そう思い立ったが吉日。
ほぼ隠居していた状態であったが、今回で完全に隠居する事にし、伯爵の家督は長男に、労働組合は二男に、総合商会は長女へと手続きを進める。
なにしろ、子供らには、孫もひ孫もいるぐらいの家族ば多い。
家庭を持っている者は、強いものであるから大丈夫であるはずだ。
ただ、急ぎ手続きをしたためか、子供たちは何事か?と乗り込んできおったが、"カレーを探してくる"と伝えたとたん、面白い顔をしておったな。
そうして、資料を集めては、旅の方向性を決め、資金の調達方法を吟味し、どこかしら、若かった頃を思い出していた自分もいたが、長年連れ立っていた執事の奴から"お年をお考え下さいませ…ご隠居様なのですからね?"と、
お前も同じ年だろうにと言えば、それとこれとは違いますとぬかしよるわ。
さて、そうこう準備してから数か月後、出立の日となる今日はあいにくの曇り空であったが、そんなものは気にならない。
まずは、香辛料が手に入る、熱い地区となる、北に向かうべく出立するのであった。
昼飯食べてた時に思いついて、かきなぐったもの。
昼食が何だったかは、当てなくても良い。