トウカイテイオーと帝王を目指す 【完結】   作:Tmouris_

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書いてて思ったんですけどテイオーの僕ってボクですよね……


第10話:休日のお出かけ

「あ〜!トレーナーおっそいよー!」

 

 今日はトレーナーとお出かけ……というか休ませる日。この人こうやって理由つけて僕が抑えないと休まないんだもん!

 

「ほら早く〜。今日はゲーセン行くんだからー」

 

「ゲーセンに行くのはいいが何をするんだ?」

 

 僕に引っ張られながら、トレーナーは色々と質問をしてきたけど、それを全部遮った。

 

「とーにーかーくーこうでもしないと君休まないでしょおお!」

 

 僕はそのままトレーナーの手を引いてゲーセンまで連れ込んだ。そして、僕の得意なダンスゲームを始める。

 

「最近君がほかのウマ娘にうつつを抜かしているから、君が見るべきウマ娘が誰か思い出させてあげる!」

 

 タキオンとデジたんと会う機会も増えてるし!カイチョーとも仲がいいんだから……別に気にしてるわけじゃないけど、なんか胸のところがムカムカするんだよね。

 踊ったのは皐月賞でもライブで踊った【wining the soul】得点も自己ベスト更新だった。

 

「にししー。ほらね!トレーナー僕すごいでしょ!」

 

「あぁ……すごいな」

 

 なんだかトレーナーは、どこか腑抜けた感じというか驚いた感じで返事をしてた。

 

「どうかしたの?」

 

「テイオーって本当に色々と出来るんだなって思っただけさ」

 

「当たり前だよl!なんたって僕は天才だからね!」

 

「全くその通りだよ」

 

 僕はこの時の会話に特に何も思わなかった。いつものような普通の会話……僕にとってはその程度の認識だった。

 

 

(テイオーは天才……か)

 

 そんな事は元々分かっていたつもりだった。それが分かってたから、タキオンとデジタルの力を借りた。そして、事実テイオーは強くなって行った。

 

(だけど、そこに俺は必要だったのか?)

 

 テイオーは強くなった。しかし、彼女は天才だ。もしも他のトレーナーが担当したとしても彼女は強くなっていただろう。

 

「トレーナー!次はあれやろー!」

 

(いや……今はそんなことを考えるのはやめよう。せめて彼女の前では少しでも見栄を張ろう)

 

 前まではそんなことを考えなかった。すぐに自分を卑下していたが、テイオーの前ではそんな言動が減っていた。その理由に気づくことはなく。

 

 

「デジタル君……私はたしかに研究を付き合ってもらう代わりに休日を共にするとは言ったが。何故このようなスニーキングをしているのかな?」

 

 彼女がゲームセンターに行くと言うから付いてきたが……急に体を押されてクレーンゲームの筐体の影に隠れている。

 

「タキオンさんシー!あっすいません。ちょっとあれ見て下さい!」

 

 デジタル君が指差す方向には、トレーナー君とテイオー君の2人の姿が見えた。

 

「トレーナーさんは今、オタクとしての禁忌を犯しています……!でも、これもウマ娘ちゃんのためテイオーさんのため!私はここでの事を見なかったことにしないといけません!」

 

「要は2人がデートしてるから盗み見しようということかい?」

 

 デジタル君は少しバツの悪そうな顔をしながらそっぽを向いた。結局はトレーナー君たちとは逆方向に進んで行った。

 

「それにしても、ウマ娘にしか興味がない君がトレーナー君に興味を示すとわねえ」

 

「なっなななな何を言うんでしゅかタキオンしゃん!彼は私の同士ですよ!」

 

 一通り言い訳のような言葉を並べ終わると落ち着いたのか、神妙な面持ちで語り始めた。

 

「トレーナーさんに私は救われました……彼にはその自覚はないでしょうが。私はこんなですから色んなトレーナーから変な目で見られていました。だから、私を必要とする人が来てびっくりしました。それだけではなく、私にもいろいろとアドバイスをくれたりして……」

 

 デジタル君も彼についてはよくわかってるようだ。

 

「そんな君なら彼が考えてることくらい分かるだろう?」

 

「トレーナーさんならきっと……菊花賞が終われば」

 

 私とデジタル君の意見は同じだった。そして、それに対する備えの覚悟もあった。それだけ多くのものを彼は私たちに与えてくれたのだから。

 

 

「いや〜今日も楽しかった!ありがとうトレーナー!」

 

「いや、お礼を言うのはこっちのほうだよ。ありがとうテイオー」

 

 時間も過ぎ門限も近づいて来たので、俺たちは学園に向かって帰り始めていた。

 

「それにしてもさ。トレーナーもやっと僕のトレーナーに相応しい感じになったよね〜前まではどっか頼りなくて自信なさげだったし」

 

 今でも自分に自信が付いたわけじゃない。いつも自分の判断が正しいのか不安に襲われる。だが、テイオーは勝ってくれた。その事実と実績が自分を肯定してくれていた。

 

「そういうテイオーは不安そうだな……ダービーの事か?」

 

「あはは〜トレーナーにはお見通しかー……皐月賞では完勝だったけどさ、それを糧に頑張ってる娘だっているのは知ってるし。みんなきっと力を付けてくると思うんだ。だってダービーって特別なレースだから」

 

 実際に走るわけじゃない俺には、テイオーの不安の大きさは分からない。だが、ダービーでテイオーが勝つことを俺は疑わない。

 

「データや数値を見ればテイオーがダービーで負けることは無い……だが、レースに絶対はない。これはルドルフもよく言っていたことだ」

 

「カイチョーが……」

 

 昔はデータや数値ばかりを見ていた。東条さんもそうだと思っていたが、ある日ルドルフに指摘されたんだ。「ウマ娘は想いの力で走る」と。他人に対する想い。自分のレースに対する想い。色んな種類があるが、そういった想いでウマ娘は走るのだという。

 

「勝ちたいという強い想い……テイオーの中にそれがあるなら大丈夫だ」

 

 

(僕の勝ちたい理由……勝ちたいって想い)

 

 僕は小さい頃、カイチョーにカイチョーみたいな強くてかっこいいウマ娘になるって約束した。だから無敗の三冠ウマ娘を目指して頑張ってきた。カイチョーの為にも自分の為にも勝ちたいって思ってた。

 

(でも、今は僕の為に頑張ってくれてる人がいる)

 

 僕の走りを見て、コンディションとか走りの違和感に気づいてくれるデジたん。レース相手のデータとか僕の走りを研究してくれるタキオン。僕の為に奮闘して文字通り身を削ってるトレーナー。

 

「うん……なんか分かった気がする」

 

「そうか。ならきっと大丈夫」

 

 トレーナーは嬉しそうな顔をして僕の頭を撫でてくれた。子供扱いされてるみたいで鬱陶しいって思うことばっかだけど……今はそれが嬉しかった。

 今までは自分の為に頑張ろうって思ってた……だけど、今は誰かの為にも頑張ろうって思える。

 

「よーし!ダービーも勝って!菊花賞も勝つぞぉ!」

 

 

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