トウカイテイオーと帝王を目指す 【完結】   作:Tmouris_

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凄い勢いで書いてしまった……


第18話:偶然と想い

 テイオーと話した日の夜は眠れなかった。考えることが多すぎる……なのに考えはまとまらない。そんなこんなで気付けば日が登っていた。

 

(とりあえず、学園に行かないと……)

 

 何も考えずに学園に足を向けた。気付けば俺はタキオンの研究室の前に立っていた。まだ朝は早いし、こんな時間に誰か居るわけないとは分かっている。しかし、部屋の中からは2人の声が聞こえる。

 俺はすぐに扉を開け中に入ると、目の下にクマを作ったタキオンとデジタルが居た。

 

「お前らなんでこんな時間から」

 

 咄嗟に声がポロッと漏れていた。それを聞き取ったのか、色々と話し合っていた2人がこちらを向いた。

 

「おやおや、トレーナー君じゃないか!早く来たまえ。今はデジタル君とテイオー君のリハビリの計画を話し合っていたところさ!」

 

 俺はタキオンの言ってることが理解出来なかった。えっ?転校とかそういう話はなんだったんだ?

 

「まさか……結局テイオー君と話をつけてない訳じゃないだろね?」

 

「いや、話にはちゃんと行った……」

 

 そう伝えると、2人は困惑した顔で首を傾げていた。

 

「それなら、私たちのやってる事分かりませんか?」

 

「いや……全く理解が追いつかないが……」

 

 それを聞くと2人は大きく溜め息をついた。

 

「テイオーさんの想い聞いたんですよね……?」

 

「あぁ……でも、俺には分からない。テイオーだけじゃない。お前たち2人もなんで俺に着いてこようとするのかが分からん。俺よりもきっと……」

 

 デジタルに話しをしている最中にタキオンに口を抑えられた。

 

「君は俺じゃなくてもっと他にと言いたいのだろう?そんな些細なことはどうでもいいじゃないか!」

 

 俺は高らかに話すタキオンに何も言い返せなかった。タキオンはそのまま話しを続けた。

 

「確かに!私やデジタル君にも、もっと相性がいいトレーナーが居たかもしれない。テイオー君にも居たかもしれない。でも、実際に手を差し伸べたのは君だ。君以上のトレーナーがいたかもしれないが、私たちにとっての最高のトレーナーはもう君なんだよ」

 

「そうです!テイオーさんだってトレーナーさんへの想い、トレーナーさんからの想いを背負っていたからこそ菊花賞で勝てたんです!もしかしたら、他の誰かだったかもしれない!でも、もうあなたがその人なんですよ」

 

 些細なこと……俺よりもそのトレーナーが優れているのは些細なことなんだ。こいつらと組んで、テイオーのトレーニングを考えた。例え俺が優れていなかったとしても、こいつらに手を伸ばしたのは俺なんだ。

 

「テイオーも俺にトレーナーをして欲しいんだな……俺が優秀かそうでないかは関係ないんだ」

 

 俺もテイオーのトレーナーでありたい。もっと優れたトレーナーの元に行かせるのがテイオーたちの為だと思ってた。でも、テイオーたちは俺がトレーナーであって欲しいんだ。簡単なことだった。テイオーのために頑張ろうと決めた。テイオーが望むなら頑張りきろう。

 

 俺は振り返り出口の方を見た。

 

「2人とも悪い。リハビリメニュー考えなきゃいけないんだが……先にやらなきゃいけないことがあった」

 

 そのまま俺は全力で走った。テイオーの病室に少しでも早くたどり着くために。

 

「テイオー!」

 

「トットレーナー?どうしたのこんなに朝早くから。ていうかすっごい汗だくじゃん!」

 

 息を切らしながらテイオーと向き合った。その瞳は俺を見て心配していた。昨日あんなことがあったばかりなのに。

 

「大丈夫?」

 

「あぁ……昨日のをすぐに処理しなくちゃいけなくなった」

 

 窓際に置いてあった紙を手に取り、真っ二つに破りさいた。

 

「テイオーは俺にトレーナーであって欲しいんだよな」

 

 テイオーは突然の出来事に少し困惑しながたも、すぐに返事を返してくれた。

 

「うん!だって、トレーナーはトレーナーだよ?別に上手く行かなくてもそれはトレーナーのせいじゃない。僕らのせいなんだから」

 

 俺は自分の無力さなんかよりも失敗を恐れていたのかもしれない。でも、それも受け止めていかないと前には進めないんだな。

 

「あぁ……負けても俺のせいにするなよ!リハビリメニューはきっついの用意しとくから!覚悟しとけよ!」

 

「えぇ!そんなぁ……」

 

 勢いに任せた会話。でも、今はそれでいいんじゃないだろうか。それが今の問題を解決してくれるのなら。

 

「全くもう……僕のトレーナーなんだからその辺の加減もしっかりしてよぉ……」

 

「あぁ、俺はテイオーのトレーナーだ」

 

 強がりながらもテイオーは涙を流していた。

 

「もう……僕はちゃんと覚悟決めてたのにさ。トレーナーは別の覚悟決めちゃうんだから」

 

 たまたまタキオンとデジタルに今朝会ったからか……

 

「まぁ、結局タイミングなんだな」

 

「タイミングかぁ……」

 

 俺がテイオーに惚れ込んだのも、タキオンとデジタルに声をかけれたのも。全てが偶然だった。それでも、俺はみんなと出会えたからな。

 

「勝手に色々ごちゃごちゃにして悪かったな……」

 

「本当にそうだよ!う〜ん……今度ハチミー奢ってよね」

 

 あぁ……俺は本当に人に恵まれてるんだな。

 

「もちろんだ。1番高いやつ奢ってやるよ」




次回はちゃんとテイオー視点から始めます……
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