トウカイテイオーと帝王を目指す 【完結】 作:Tmouris_
テイオーと話した日の夜は眠れなかった。考えることが多すぎる……なのに考えはまとまらない。そんなこんなで気付けば日が登っていた。
(とりあえず、学園に行かないと……)
何も考えずに学園に足を向けた。気付けば俺はタキオンの研究室の前に立っていた。まだ朝は早いし、こんな時間に誰か居るわけないとは分かっている。しかし、部屋の中からは2人の声が聞こえる。
俺はすぐに扉を開け中に入ると、目の下にクマを作ったタキオンとデジタルが居た。
「お前らなんでこんな時間から」
咄嗟に声がポロッと漏れていた。それを聞き取ったのか、色々と話し合っていた2人がこちらを向いた。
「おやおや、トレーナー君じゃないか!早く来たまえ。今はデジタル君とテイオー君のリハビリの計画を話し合っていたところさ!」
俺はタキオンの言ってることが理解出来なかった。えっ?転校とかそういう話はなんだったんだ?
「まさか……結局テイオー君と話をつけてない訳じゃないだろね?」
「いや、話にはちゃんと行った……」
そう伝えると、2人は困惑した顔で首を傾げていた。
「それなら、私たちのやってる事分かりませんか?」
「いや……全く理解が追いつかないが……」
それを聞くと2人は大きく溜め息をついた。
「テイオーさんの想い聞いたんですよね……?」
「あぁ……でも、俺には分からない。テイオーだけじゃない。お前たち2人もなんで俺に着いてこようとするのかが分からん。俺よりもきっと……」
デジタルに話しをしている最中にタキオンに口を抑えられた。
「君は俺じゃなくてもっと他にと言いたいのだろう?そんな些細なことはどうでもいいじゃないか!」
俺は高らかに話すタキオンに何も言い返せなかった。タキオンはそのまま話しを続けた。
「確かに!私やデジタル君にも、もっと相性がいいトレーナーが居たかもしれない。テイオー君にも居たかもしれない。でも、実際に手を差し伸べたのは君だ。君以上のトレーナーがいたかもしれないが、私たちにとっての最高のトレーナーはもう君なんだよ」
「そうです!テイオーさんだってトレーナーさんへの想い、トレーナーさんからの想いを背負っていたからこそ菊花賞で勝てたんです!もしかしたら、他の誰かだったかもしれない!でも、もうあなたがその人なんですよ」
些細なこと……俺よりもそのトレーナーが優れているのは些細なことなんだ。こいつらと組んで、テイオーのトレーニングを考えた。例え俺が優れていなかったとしても、こいつらに手を伸ばしたのは俺なんだ。
「テイオーも俺にトレーナーをして欲しいんだな……俺が優秀かそうでないかは関係ないんだ」
俺もテイオーのトレーナーでありたい。もっと優れたトレーナーの元に行かせるのがテイオーたちの為だと思ってた。でも、テイオーたちは俺がトレーナーであって欲しいんだ。簡単なことだった。テイオーのために頑張ろうと決めた。テイオーが望むなら頑張りきろう。
俺は振り返り出口の方を見た。
「2人とも悪い。リハビリメニュー考えなきゃいけないんだが……先にやらなきゃいけないことがあった」
そのまま俺は全力で走った。テイオーの病室に少しでも早くたどり着くために。
「テイオー!」
「トットレーナー?どうしたのこんなに朝早くから。ていうかすっごい汗だくじゃん!」
息を切らしながらテイオーと向き合った。その瞳は俺を見て心配していた。昨日あんなことがあったばかりなのに。
「大丈夫?」
「あぁ……昨日のをすぐに処理しなくちゃいけなくなった」
窓際に置いてあった紙を手に取り、真っ二つに破りさいた。
「テイオーは俺にトレーナーであって欲しいんだよな」
テイオーは突然の出来事に少し困惑しながたも、すぐに返事を返してくれた。
「うん!だって、トレーナーはトレーナーだよ?別に上手く行かなくてもそれはトレーナーのせいじゃない。僕らのせいなんだから」
俺は自分の無力さなんかよりも失敗を恐れていたのかもしれない。でも、それも受け止めていかないと前には進めないんだな。
「あぁ……負けても俺のせいにするなよ!リハビリメニューはきっついの用意しとくから!覚悟しとけよ!」
「えぇ!そんなぁ……」
勢いに任せた会話。でも、今はそれでいいんじゃないだろうか。それが今の問題を解決してくれるのなら。
「全くもう……僕のトレーナーなんだからその辺の加減もしっかりしてよぉ……」
「あぁ、俺はテイオーのトレーナーだ」
強がりながらもテイオーは涙を流していた。
「もう……僕はちゃんと覚悟決めてたのにさ。トレーナーは別の覚悟決めちゃうんだから」
たまたまタキオンとデジタルに今朝会ったからか……
「まぁ、結局タイミングなんだな」
「タイミングかぁ……」
俺がテイオーに惚れ込んだのも、タキオンとデジタルに声をかけれたのも。全てが偶然だった。それでも、俺はみんなと出会えたからな。
「勝手に色々ごちゃごちゃにして悪かったな……」
「本当にそうだよ!う〜ん……今度ハチミー奢ってよね」
あぁ……俺は本当に人に恵まれてるんだな。
「もちろんだ。1番高いやつ奢ってやるよ」
次回はちゃんとテイオー視点から始めます……