トウカイテイオーと帝王を目指す 【完結】 作:Tmouris_
あの後トレーナーから色々きいた。俺なんかトレーナーにしてたら負けちまうぞぉぉぉ!って感じでやけだった。でも、僕はそれが嬉しかった。トレーナーの弱い部分をみせてもらったみたいで。
それで、これからの事も話したよ。とりあえずは当面はリハビリに専念すること。
そして、来年の春頃までに完全復帰を目指してるみたい。
そんなかんだで、準備や研究が忙しくなるみたいで、ちゃちゃっ帰った。忙しいなら仕方ないけど……もっとそばにいてくれてもいいのにさ。
僕が外を眺めてると、扉をノックする音がした。
「すいません。キタサンブラックです」
「入っていいよー」
「しっ失礼します!」
キタちゃんがお見舞い品らしき物を手に持って入ってきた。
「これ友達と選んで買って来ました!」
袋の中には包帯やテーピングなどの道具が入ってた。
「わぁ!ありがとうキタちゃん!ところでどうやってここに来れたの?」
入院する病院なんてどうやって調べたんだろう。
「えっと、テイオーさんが菊花賞に勝ったあとパニックになちゃって……その時、偶然会ったデジタルさんが良くしてくれて。その時に連絡先を交換してくれたんです」
デジたんって普段はあんなだけど、いざって時はちゃんと冷静だからなぁ……きっとパニックで泣いちゃってるキタちゃんがほっとけなかったんだろうな。
「へぇ〜キタちゃん僕の為に泣いちゃったりしたの?」
「なっテイオーさんいじわるですー!」
冗談も言える元気も出てきた。そんなやり取りをしていると、再びノックの音が聞こえた……と思ったと同時に扉が開いた。
「やぁやぁテイオー君失礼するよ。おや、先客が居たみたいだねぇ」
「お邪魔しましゅ!」
誰かと思ったらデジたんとタキオンが入ってきた。それってノックの意味ないじゃん!
「2人ともありがとうね。トレーナーから聞いたよ」
お礼を言うと、デジたんは顔がみるみる赤くなって頭が爆発しちゃった。照れてるのか嬉し過ぎるのかわっかんないよ……
「気にしなくてもいい。私にとってもこのチームは必要なものだ。それを単に守っただけさ」
タキオンは両手を組んでドヤ顔をしてる。
「デジたんは大変だったんじゃない?家族への説明とかどうしたの?」
僕のお見舞いの時慌ただしくしてたのは、家族と連絡を取って転校届け準備をしていたらしい。
「確かに最初は反対されちゃいました……でも、私の想いちゃんと伝えて。トレーナーさんを信じてたので……いや、私なんかがおこがましいでしゅ」
タキオンもデジたんもこのチームを大切にしてくれてるんだ。なんか嬉しいな。
「デジタルさん!この間は本当にありがとうございました……テイオーさんが目の前で倒れたのに、私なんかのお世話そしてくれて……」
「いえいえ。あの時は私にテイオーさんをどうこうできる状態じゃなかったですし。何より!目の前で悲しんでるウマ娘ちゃんを放っておけませんとも!ウマ娘オタクとして」
デジたんはデジたんで胸を張って誇らしく立っていた。本当にうちは変なのしかいないんだから。
「あれ?ところでトレーナーは?一緒に研究とかするんじゃないの?」
「おや、君にはそう伝えていたのか。彼なら今頃東条トレーナーと会長さんに頭を地面に擦り付けてるんじゃないかな。彼はああ見えて見栄っ張りだからね」
へぇ……僕にかっこ悪いところバレたくなくて隠したんだ。トレーナーも子供っぽいとこあるじゃん。
「そっか、じゃあ次会った時からかってやろーと」
その時のトレーナーの反応をすると自然と笑みがこぼれた。ニシシ、きっといい反応してくれるんだろうなー。
「雑談はこの辺にして本題に入ろうか」
え、ただのお見舞いかと思ってたけど……というかキタちゃんのいる前で話していい話だよね?
「テイオー君の復帰は春を予定している。それにあたって復帰レースを決めなくては行けなくてねぇ。出走したいレースがあったら教えて欲しいのさ」
復帰レースかぁ……夢だった無敗の三冠は叶った。これからの目標はまだ曖昧だった。
「うーん……ごめんね。まだちゃんと決まってないや」
ここで適当に答えてもみんなに迷惑をかけるだけだ。正直に答えておかなきゃ。
「そんなに急がなくても大丈夫ですよテイオーさん。まだ春までは時間がありますから!」
デジたんがフォローするようにそう言ってくれた。
「ありがとうねデジたん。ゆっくり考えてみるよ」
2人はそれからしばらくして学園に戻って行った。やっぱりこれからのことで色々考えることが多いっぽい。キタちゃんは帰りが遅くなるといけないからって帰っちゃった。
日も落ち始めて、外は夕焼け景色になっていた。
(次のレース目標かぁ……)
春のG1なら大阪杯に出たいんだけど……多分トライアルレースまでに完全復帰は間に合わないよね……
レースについて考えてたらもう1人お客さんがやってきた。
「失礼しますわ」
「あっマックイーンじゃん!なになに?僕のこと心配で来ちゃったの?」
僕のライバルのメジロマックイーン。今年の天皇賞春を制しげ、来年は天皇賞春連覇を目標にトレーニングしてるらしい。
「いえ……怪我で腑抜けていたら困るので様子を見に来ましたわ。私のライバルとして、こんなところで燃え尽きられては困りますから」
マックイーンは手厳しいなぁ。でも、ライバル……ライバルかぁ。
「そうだね、こんなところで燃え尽きてられないよ。だって、僕はまだライバルにも勝ってないんだから」
僕の挑発を聞いてもマックイーンは堂々としてた。
「私はあなたを待っていますわ。だから早く怪我を治してくださる?」
菊花賞で長距離では痛い目を見たばかりなのにな。でも、決めた。僕は天皇賞春に出る。
「負けて泣いちゃっても知らないから」
「望むところですわ」
僕たちは握手を交わした。ライバルとの初対決。レースは天皇賞春だ。