トウカイテイオーと帝王を目指す 【完結】   作:Tmouris_

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何故か執筆がすごく進んだので早めの投稿です。
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第2話:テイオー専属トレーナー(仮)

 トウカイテイオーの提案で俺の目の前ではジャンケン大会が開催されていた。何人かのトレーナーは呆れてその場を後にして、残りのトレーナーは真面目にジャンケンをしてる。あまりにもふざけているが、それだけトウカイテイオーのスカウトというのは魅力的だった。

 かという俺は近くのベンチで脱力して座り込んでいた。俺はこの時のために様々な準備をしてきたのに、出れればいいからジャンケンって。

 

「どうかしたのかい?こんなところで座り込んで。今日はテイオーのトレーナー決めをすると聞いていたが」

 

 ルドルフが項垂れる俺に話しかけてきたので、ジャンケン大会の方を指をさして事情を説明した。

 一通り説明を終えるとテイオーの方をルドルフは見ていた。そして、その目からはハイライトが消えていた。

 

「君もそれに参加したのかい?」

 

「いや、俺は参加してないよ。この日のために頑張ってたのが馬鹿らしくなって項垂れてた」

 

 すると、ルドルフは笑顔でこちらを向いた。良かった、どうやら俺は回答を間違えずに済んだらしい。

 

「それは良かった。私は少しあそこにいるトレーナーたちとテイオーに話があるから行ってくる」

 

 俺の方を向いた時に確かにルドルフは笑っていた。しかし、あの集団の方を見た瞬間にその目だけは笑っていなかった。

 ルドルフは威圧感全開でトレーナーたちに歩よって行くと、一瞬にしてその集団を散らした。

 

(さすがは皇帝……大人でさえその威圧感には勝てないか)

 

 散っていく集団の中からルドルフともう1つ小さな影がこちらに歩いてくる。

 

「カイチョー!ごめんなさいって言ってるじゃーん!」

 

 この声はトウカイテイオーか?流石に皇帝様の逆鱗に触れてこれからお説教か?

 

「お前は1回トレーナー側の気持ちも理解するべきだ。ちょっとこっちに来なさい」

 

 ルドルフがテイオーの手を引いて俺の目の前までやってきた。テイオーはというと、誰この人?って感じの目で俺の事を見ている。

 

「どうしたんだルドルフ。わざわざトウカイテイオーを連れてきて」

 

「君がこの日のためにどれだけ努力してきたかを私は知っている。唐突なトレーナー選抜の情報を手に入れてから、短い時間でどれだけの準備をしてきたかね」

 

 ルドルフは全てを見透かしているかのようにッフっと笑った。確かにこの日のための準備は大変だった。何徹もして何とか資料制作も間に合った。

 

「カイチョーこの人誰?」

 

「東海トレーナーだ。元々はリギルでサブトレーナーをしていた」

 

 ルドルフが俺がリギルのサブトレーナーであったことをトウカイテイオーに伝えると、少しだけ興味ありげな目で俺の方を見ていた。

 

「へ〜君リギルでサブトレーナーやってたんだ。んっ?それ何持ってるの?」

 

 トウカイテイオーが俺の作った資料に目をやる。ルドルフがいなかったらこれに興味を持たれることも無かっただろうな。

 

「あぁ、これはトウカイテイオーのトレーナーになれたらどんなことをするかってのをまとめた資料だよ」

 

「何それ!貸して貸して!」

 

 トウカイテイオーははしゃぎながら俺から資料を奪い取って、その資料に目を通し始めた。俺はどんな反応をするか緊張で冷や汗をかき始めた。

 

「何これ?字とかグラフばっかりでわけわかんないよー僕はこんなの無くても早く走れる無敵のテイオー様だぞ!」

 

 そう言いながら満面の笑みでVサイン。しかし、俺の中でさっきまで我慢していたものがプツリと切れてしまう音がした。

 

「……けるな」

 

「えっ?なに?」

 

「ふざけるな!トウカイテイオーの走りに惚れて。俺がこの時のためにどれだけ全力で挑んだか!」

 

 トウカイテイオーのトレーナーになりたかった。そのためにサブトレーナーも辞めた。全力で準備もした。それなのにジャンケン大会?こんなの無くても速くなれるって?

 

「ピエッそんな……そんなに怒らなくたって」

 

 トウカイテイオーは涙目になっていた。耳もショボンとしてしまって完全に怯えている。そうだ、トウカイテイオーはまだ子供なんだ。ムキになって怒鳴っちゃ行けない。

 

「すまない取り乱した……」

 

「いや、君の言ってる通りだと私も思うよ」

 

 トウカイテイオーの持っていた資料をルドルフが取り上げる。そして、その資料を1ページずつ読み始めた。

 

「ふむ……良くできたトレーニングメニューにレースプランだ。テイオーの事もよく調べてるし、これ通り行くかは分からないがどれだけ力を入れたかは分かるよ」

 

 ルドルフにここまで褒めてくれるなら頑張った甲斐がある。だけど、本命のトウカイテイオーには響かなかったみたいだ。

 

「いいかテイオー。お前がレースに本気で挑むように、お前のことを本気で強くしたいと思うトレーナーもいるんだ」

 

 トウカイテイオーは俯きながら首を縦に降っている。なんだか、悪いことをした子と親みたいな光景だ。

 

「えっと……じゃあ君が僕のトレーナーになってくれる?カイチョーが褒めるくらいだし凄いんでしょ?」

 

 反省したように言うトウカイテイオーを見て、ルドルフは頭を傾げた。多分真面目にトレーナーは選べって言いたかったんだろうな……

 

「俺はいいんだが……良いのか?」

 

「何さ自信ないの?大丈夫!僕は自分だけでも速くなれるもんね〜」

 

 俺がルドルフに視線を送ると、呆れ顔で首を横に振っていた。

 

「テイオー……試しに2週間だけ仮契約という形にしたらどうだ?もし、合わなければ解消もしやすい」

 

「ん〜カイチョーが言うならそれでいいかなー。よろしくねトレーナー!」

 

 なんとも適当な感じで、俺はこの日トウカイテイオーのトレーナーになったらしい。

 

「それじゃあ、よろしく頼むトウカイテイオー」

 

「む〜それじゃあ名前呼ぶの大変だからテイオーでいいよ」

 

 テイオーがっグッと顔を寄せて来てそう言った。ウマ娘は全員が顔が整った娘だから、急に顔を近づけるのは辞めて欲しい。

 

「分かった分かったよろしく頼むテイオー」

 

 ちゃんと名前を読んだことで満足したのか、顔を離して笑顔で笑っていた。

 

「トレーナー君。このとおりテイオーはまだ子供っぽいところが多い。大変だろうがよろしく頼む」

 

 ルドルフの言いたいことは分かる。ジャンケン大会の件といい、今のトレーナーの選び方の雑さといい子供らしさが多い。トゥインクルシリーズで名を残したウマ娘たちは、自分1人ではここまで来れなかったと言うらしい。それだけトレーナーというパートナーの存在は重要ということだ。

 

「僕はもう子供じゃないよカイチョー!」

 

 テイオーは子供扱いされたのが気に入らないらしくムクれている。

 

「ほらテイオー、トレーナー君も困ってる」

 

 テイオーの扱いに慣れているルドルフは、テイオーの頭を撫でながらなだめていた。それに満足したのか、テイオーは尻尾をユラユラと揺らしながら笑っていた。

 

「天才なんて言われるからルドルフみたいな娘だと思ってたけど、結構可愛いんだなテイオーは」

 

「ピエッ」

 

 一瞬だけテイオーは顔を赤らめたが、直ぐに笑顔に戻った。

 

「ふっふ。そりゃ無敵のテイオーさまだからね!」

 

 戻ったのは表情だけだった。言ってることはかなりむちゃくちゃだ。そんなテイオーをルドルフは微笑ましそうに眺めていた。

 

「それでトレーナー。僕は何をすればいいの?これからはトレーナーのメニューとかにしたがってトレーニングしていくんだよね」

 

「あっああ。でもテイオーは今日さっきまで走ってただろう」

 

 トレーナーたちに走りを見せると言って、かなりの距離を良いペースで走ってたはずだ。

 

「うーん。あのくらいならどうってことないよ!」

 

「まぁまぁ、テイオー。時間も中途半端じゃないか。今日はこのくらいにしておいたらどうだ?」

 

「それもそっか。じゃあ明日からよろしくねー」

 

 そう言ってテイオーはその場を後にした。

 

「どうだい?テイオーのトレーナーはやっていけそうかな」

 

「正直自信はさっきの発言で削がれたな」

 

 あれだけの走りをあのくらいと言い切る実力。まだ、デビューもしてないウマ娘だぞ。俺が彼女のメニューを考えるのか。

 

「とりあえず2週間頑張ってみてくれ。きっと君なら大丈夫さ」

 

「あぁ……とりあえず、今から寮に戻ってメニューを組み直さないとな」

 

 ルドルフと別れて俺は寮に戻った。テイオーの才能は俺の想像を遥かに超えていた。その彼女を強くするためのメニューを考えなくちゃな。

 

 

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