トウカイテイオーと帝王を目指す 【完結】 作:Tmouris_
「ほらほらトレーナー!次は服屋さん見に行こうよ!」
「おいおい!まだ松葉杖ついてる状態なんだから気をつけろよテイオー!」
俺とテイオーはとあるデパートに足を運んでいた。テイオーは入院してから順調に回復していき。今では松葉杖付きだが普通に外出も出来るようになった。
「それにしても、人が多いな」
今日は怪我した時のお詫び兼買い出しとして、テイオーの荷物係で付き添いをしてるわけだ。
「あったりまえじゃん。だって今日はクリスマスだよ?クリスマス」
デパートは見回す限りカップルや家族連れで溢れている。恋人なんてろくに出来たことのない俺からしたら、忌々しい光景でしかない……
「自分の買い物に夢中になるのもいいけど、パーティの買い出しもあるの忘れないでくれよー」
「分かってるよー」
言い出しっぺは俺なんだけど。せっかくのクリスマスだし。タキオンもデジタルも暇だって言ってたから、パーティでもしないかと企画した。
(もちろん買い出しは俺のポケットマネーからなんだけどな……)
俺は軽くなる財布を片手に、テイオーの尻尾に引っ張られながらショッピングに付き合うことになる。
デジたんに頼まれて、僕とトレーナーの2人でデパートに買い出しに来たけど……これって傍から見たらデートなんじゃない!?
(そういえば、買い出し頼む時にデジたんがなんかニヤニヤしてたような……)
待って相手はトレーナーだよ!?なにドギマギしちゃってんのさ僕は!でも、尻尾を腕に巻き付けて……
(そういえば……前にマヤノが尻尾ハグっていうのが最近流行ってるって)
考え出したら頭がオーバーヒートしちゃって、顔も熱くなってきちゃった。
「大丈夫かテイオー?さっきからなんか顔が赤い気が」
「なっなんでもないやい!ほら、次行くよ次!」
とりあえず!早く買い物済ませないと!デジたんとタキオンも待ってるだろうし。
気を逸らすように買い物をして、レジに進んだんだ。そしたら、そこのお店の陽気なおじちゃんが。
「おぉ、若いカップルさんか。今日はクリスマスだからね」
「ピエピエ」
そんな冷やかしをするもんだから、僕は頭が真っ白になっちゃったんだよね。
「いやいや、カップルじゃないですって。トレセン学園のトレーナーと生徒です。まだ子供と大人ですよ」
トレーナーがすぐさまそう言い返した。
「なにおう!僕だってもう子供じゃないもんね!」
「ちょっ痛い痛い!尻尾で叩くな!」
僕たちのそんなやり取りを見て、お店のおじちゃんは苦笑いしてた。だけど、商品を渡す時に僕に囁いた。
「頑張ってな嬢ちゃん」
「そっそういうのじゃないんだってばー!」
僕は顔を真っ赤にしながらトレーナーを引っ張ってその場を去った。後ろから、おじちゃんの笑い声と誰かが倒れるような音がした気がした。
「デジタル君。なぜ彼らに買い物を任せたのに私たちもここにいるのかな?」
「ちょっ!トレーナーさんに聞こえちゃいますよタキオンさん!」
そう、私たち2人は買い物中の2人を尾行しているわけです。なんでそんなことをするかって?ウマ娘ちゃんヲタクとして、ウマ娘ちゃんとは一定のラインは引くべきだとデジたんは思うわけです。テイオーさんはトレーナーさんの最推しと言うべき存在!だからこそ監視をしているんです。
「君が彼ら2人の動向が気になるのは分かるけどねぇ……そもそも彼らに買い出しを頼んだのは君じゃないか」
タキオンさんの言うことは最もです……それならばもとより私たちも同行すればいいだけの話。
「しかし!テイオーさんの想いがあるのも事実です!私はそれを尊重したいんですよ!」
タキオンさんの方を振り向いて、私の思いを熱弁した。
「それなら、あれは君の想定していた出来事ということでいいのかな?」
タキオンさんの指差す方向を見ると、テイオーさんがトレーナーさんの腕に尻尾を巻き付けて引っ張っていた。その光景に一瞬意識を持って行かれそうになった……
(あれは最近流行りの尻尾ハグ!?いやでも……巻き付けてるのは腕……)
いやいや!そんなの当たり前じゃないですか!だって相手はウマ娘ちゃんじゃなくてトレーナーさんなんだから!
「私はやったことが無いから分からないが……ふむぅなるほどなるほど」
そんなことを考えてる横でタキオンさんが何か言ってると思ったら、私の尻尾に感じたことの無い感覚が……
「ひょえええ!タキオンさん尻尾が尻尾が……ヒュ」
全ての状況を理解した私は意識が飛びかけた……しかし!タキオンさんと行動を長くしたおかげでこの程度のハプニングは想定済み!
「ふぅむ……なんとも不思議な感覚だねぇ。それにしても、デジタル君が耐えるとは驚きだよ」
「分かってるならやらないでくださいよ……あぁ、トレーナーさんたちが次のお店行っちゃいますよ!」
なんとか自我を保ってトレーナーさんたちの後を追う。そして、聞き耳を立てる。お店の人とテイオーさんたちのやり取りが聞こえてくる。
「なにおう!僕だってもう子供じゃないもんね!」
「ヒュ」
普段見せる無邪気な子供らしさ……そこから背伸びをしたテイオーしゃん……尊い
「おーいデジタル君?おーい」
この後、目が覚めたのはパーティ会場のタキオンさんの研究所でした……思いもよらないクリスマスプレゼントでした……
「トレーナーくーん料理はまだかい?はやくー早くしておくれよー」
「ちょっと待ってろタキオン。もう少しで出来るから……って!盗み食いしようとするなテイオー!」
デパートで倒れたデジタル君を運んで、トレーナー君たちの到着を待って今に至る訳だが……以前の私なら想像すらしない光景だろうねぇ。
「タキオンしゃん本当にありがとうございます!私ごときを背負って頂き感謝感激です!」
私が誰かを世話することも無かっただろう。1人でいることに居心地の良さを感じていた私が……このメンバーでいる空間を居心地よく感じる日が来るとはね。
「ほら、お待ちかねの料理が出来たぞ!」
その中でも1番の至極の時間はこの時だ。トレーナー君が作ってくれる食事はとても美味しい。今ではミキサー料理なんて食べることは出来ない。
「ん〜今回の料理も美味しいね。どうだいトレーナー君。私専属の料理人になると言うのは」
「ちょっとタキオン!?」
これから彼のサポートを受け続ければ、私の理想に辿り着けるかは分からないが……少なくとも功績は残せるはずだ。それで獲得した賞金と私の研究で作成した薬を販売すれば金銭的問題はない。
「トレーナーは僕のトレーナーだよ!?なに勝手なこと言ってるのさ!」
「おやおや。たしかに彼はテイオー君のトレーナーさ。けれど、私も一応は彼の担当ウマ娘なのだがね?」
彼はテイオー君の専属のトレーナーではない。最初こそ形だけではあったが……今では私の立派なトレーナーとして互いにサポートしてるのだから。
「ちょっちょっと待ってください!トレーナーさんは私のトレーナーでもあります!おっお2人の主張も分かりますがそこは譲れないです!」
珍しくデジタル君も声をあげた。トレーナー君のことになると彼女も熱くなるねぇ……
「ほら、お前らヒートアップするなって。タキオンも冗談言って2人を煽るな」
「すまないねぇ……気分が上がってついね」
冗談ではないのだけどね。
「お前らがバラバラだと、統率を取らないと行けないトレーナーの俺が苦労するんだから……俺はお前ら3人のトレーナーなんだから」
そのあとは問題も起こることなくパーティは終わった。3人は互いの心の旨を感じ合っていた。
このトレーナーはモルモットでも同志でもないです。それでも、彼女たちにとっては大切なトレーナーなのは変わらないんですね。