トウカイテイオーと帝王を目指す 【完結】   作:Tmouris_

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ノリと勢いと欲望


第21話:2人の年末年始

 クリスマスも終わって数日がたち、今日は大晦日だ。さすがの俺も年末年始ぐらいはゆっくり休みたくて、朝から布団に籠りきりだ。

 

(テイオーは実家に帰るって言ってたし、デジタルも実家で色々やることがあるって言ってた。タキオンは……ちゃんと聞いてないけどいい所の出だし、親戚の顔見せとかあるだろ)

 

 そんな感じで1日まったり過ごす予定で居たんだが……ドンドンと扉を叩く音が聞こえた。

 

(なんだろうか……特に今日は誰かと約束もしてないが)

 

 ノックを聞いてゆっくりと体を起こす。すると、ドンドン!ドンドン!とさっきよりもノックが激しくなっていく。

 

「はいはい!今出ます!」

 

 急いで扉を開けると、そこにはやつれたタキオンが立っていた。

 

「なんでタキオンが」

 

 ここにって言い切る前にタキオンは力無く俺にもたれかかった。

 

「ドレーナーぐん!どおじで私のところにご飯を作りに来てくれないんだい!?」

 

 タキオンは泣きながらそう訴えかけてきた。え?なに?最後に会ったクリスマス以降あなた何も食べてなかったりするの?

 

「いやいや!てっきり実家に帰ってると思ってたし。何かしら口にしているものかと」

 

「私のお世話は君の仕事だろう!?一体何をしていたんだい!?」

 

 そんなこと言ったって……ってタキオンから香ばしいような匂いが……って、これ汗の匂いじゃないか!こいつまさか風呂にも入ってないのか!?食のリズム崩壊から私生活のリズムも完全崩壊してるじゃねえか!

 

「とりあえず中入れ!他のトレーナーに誤解される!」

 

 もう既に手遅れかもしれんが……幸いにも今は年末年始。実家に帰省してるトレーナーが殆どなはず……

 

「ほら!これタオルと着替え!とりあえず1回風呂入ってさっぱりしてこい!その間になんかしら用意しておくから!」

 

 入浴道具を1式タキオンに押し付けてその間に昼食の準備をすることにした。と言っても大したものは用意できないが……

 

「トレーナー君早くご飯をおくれよ〜」

 

 そんなことを言いながらフラフラとタキオンが風呂場から出てきた。着替えは俺のパジャマの予備があったからそれを着させている。

 

「飯なら出来てるからとっとと食え」

 

 俺も飯を食おうと席に着くがタキオンが一向に飯を口に運ばない。ずっと口を開けてこっちを見ている。

 

「おい……食わないのか?」

 

「こう見えても私はお腹がペコペコでね。ご飯を食べる気力すらないのさ。というわけで食べさせておくれ」

 

 いやいや、お前さっきひとりで風呂入ってたじゃん。はぁ、まあいいか。こいつの日常生活力が壊滅的なのは今始まったことじゃないし。

 

「ほら口開けろ」

 

 俺はタキオンの口に飯を運ぶ。それをタキオンは美味しそうに頬張っていった。

 

「う〜ん……トレーナー君のご飯はやはり絶品だねぇ」

 

 そんなこんなで気づけばあっという間に昼食は終わった。飯を食ったあとはなんだかタキオンはポケ〜っとしながら上の空になっていた。と思ったら……唐突にシャツの匂いを嗅ぎ始めた。

 

「すんすん。ふむトレーナー君の匂いがする」

 

 その光景はあまりにも強い衝撃を俺に与えた。冷静になってみれば、自分の部屋で異性と2人っきり。しかも、自分のパジャマを着ている。その状況に動揺してしまった。

 

「なっ何言ってんだ。ただの柔軟剤とかの匂いだろ?」

 

「ふぅむ。それは確認してみる必要があるね」

 

 急に立ち上がって何をするかと思ったら、俺の背後に立った。

 

「たっタキオンさん?一体何を!」

 

 するんだと言う前に、タキオンが俺の背中に覆いかぶさってきた。

 

「ふむふむ……人の匂いとは不思議なものだね。同じ入浴剤や洗剤を使っても匂いが違ってくる……そして君は……(とても良い香りがする……)」

 

 まてまて、落ちつけ。相手は子供で担当だ。あっなんか女の子特有のいい匂いが……ってちがあああああう!

 

「そういえば、遺伝子レベルで相性の良い相手からは良い香りがするらしいねぇ」

 

 つまり俺とタキオンは遺伝子レベルで……違う違う!惑わされるな!そう思いタキオンを振り払おうとしたら、体が変な捻れ方をした結果……

 

「おやおやトレーナー君。別に私もやぶさかではないが……さすがに不味くないかな?」

 

 押し倒す形になったわけだが……不味いさすがにこれはまずい。そう思い咄嗟に体を起こした。

 

「子供がませたこと言ってんじゃない。ほら、飯も食ったんだし帰った帰った」

 

「そうだね。とりあえず1度寮に戻るよ。晩御飯と明日の朝食も頼むよ」

 

 タキオンは平然とそう言って部屋から出ていった。俺のパジャマを着たまま。あれ?年末年始もタキオンのお世話係をするのか?

 

 この時はそんなことを考えていたが、タキオンが俺のパジャマを着ていたり、俺の部屋を出入りしているのはちゃんとたづなさんに怒られた。

 

 

 あまりの空腹にトレーナー君の部屋に押し入ってしまった。それはまだ良い。ただ、彼のお風呂を借りて衣服まで……

 

(しっかりと平然と出来ていただろうか……)

 

 さすがの私も異性に押し倒される経験なんてしたことが無い。そうだ!この脈の鼓動が早いのも心臓がバクバクしてるのも未知との遭遇に驚いたからに違いない!

 

(あ……トレーナー君のいい匂いがする)

 

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