トウカイテイオーと帝王を目指す 【完結】   作:Tmouris_

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あけましておめでとうございます。
もう少し早く投稿しようと思いましたが、年末年始に気力を全て吸い取られました……


第23:春のチャレンジャー

 現在俺たちは春のレースプランを決めるために集まっている。テイオーの足も俺たち3人のサポートと本人の努力によって、驚異的なスピードで回復している。

 

「この冬の間に、走る上で必要な体幹を強化するために。その部位を鍛えるためだけの筋トレ……体幹トレーニングを作り出した訳だが」

 

 短時間で必要な部位のみの筋肉を鍛えることができる方法をタキオンとデジタルとともに生み出した。それによって、テイオーの上半身は怪我の間の以前よりもかなり鍛えられた。

 

「怪我の回復も順調。春のレースの出走に間に合うが……テイオーは出たいレースはあるか?」

 

 春のレースなら大阪杯なんかもある。少々時期的に調整が間に合うか不安なところではあるが……

 

「うん……僕ね春天に出ようと思うんだ」

 

 そうか……予想はしていたけど、お前はその道を進むんだな。

 

「分かった。春の出走レースは春天。それに向けてレースプランやトレーニングを組み立てていこう」

 

 まるで話は終わったかのように俺は話をまとめた。

 

「ちょっちょっと待ってくださいトレーナーさん!?本気ですか?」

 

「私もそれには同意しかねるねぇ」

 

 2人は反対するわなぁ……3200mという合わない距離に……相手にも問題がある。

 

「テイオー。2人と話があるから先にトレーニング始めててくれ」

 

 こうして、部屋の中に残ったのは俺とタキオンとデジタルの3人になった。

 

「トレーナーさん正気ですか?3200mという慣れないレース……しかも相手にはメジロマックイーンさんが出走します」

 

 並の相手にならテイオーでも春天で戦えるだけのポテンシャルは十分にある。

 

「中距離の天才がトウカイテイオーなら長距離の天才はメジロマックイーン。今後どうなるかは分からないが……負けるぞ?」

 

 2人からは予想通りの返答だ。テイオーの夢無敗で3冠は達成した。次に残るのは無敗のウマ娘だろう。それを2人ともわかってる。

 

「トレーナーさんはテイオーさんを負けさせるために出走させるんですか……?」

 

「勝てるとは思ってない……けどな、簡単に負ける気もない」

 

 生半可な付け焼き刃じゃ、あのメジロマックイーンに勝つことは厳しいだろう……そこは現実を見なくてはいけない。

 

「彼女の夢はどうするつもりだい?」

 

 無敗のウマ娘という夢。それを破りさられる。それはショックだろう。だけどこれは必要なことだとも思う。

 

「夢というのは生まれ変わってく。今は無敗のウマ娘……次は皇帝を超えるだ。そして、テイオーはここまで無敗で来ている。敗北を知って強くなる。その相手と舞台に春天は適している」

 

 それに実際に走ってみてどうなるかも分からない。もちろん俺たちは春天を勝てるようサポートするつもりでいる。

 

「なによりも、テイオーがライバルから逃げ続けた無敗に意味を見出すと思うか?」

 

 これはテイオー自身のプライドだ。弱いやつ相手に無双し続けてもきっと納得はしないだろう。

 

「とりあえず、出走するからには勝つために全力を尽くす。勝利すれば、それは更なる自信としてテイオーを強くする。敗北すれば敗者として這い上がっていく」

 

 勝敗に関わらず、このレースは今後テイオーが強くなるための大きな前進に繋がるはずだ。

 

「それはいいとは思うが……本人に相談しないのは不味いんじゃないかい?テイオー君もそう思うだろう?」

 

 確かに悩んではいた。しかし、本人のモチベーションを考えると負けるかもしれないレースと言うのは……って、テイオー?

 部屋の入口を見ると、テイオーが扉を開けて部屋に入って来ていた。

 

「あれ、トレーニングに行ったはずじゃ……全部聞いてたのか?」

 

「ふんっ。僕だって流石に僕に聞かれたくない内緒話することくらい分かるよ」

 

 テイオーは随分こ立腹なご様子……マズイ。非常にマズイ。

 

「いや、あれだぞ?別にテイオーに隠したかった訳じゃないんだ。俺も色々と考え」

 

「別に内緒話をしてたことに怒ってるわけじゃないよ。僕が怒ってるのはさ?トレーナーが僕がマックイーンに負けると思い込んでること!!」

 

 ぐーの音も出なかった。よく考えてみれば、テイオーが負けるんじゃないかと本気で考えたのは今回が初めてだった。クラシックの時は心配はしたが、心のどこかでテイオーは必ず勝つんだって信じていた。

 

「僕だって簡単に勝てないことは分かってる。僕が知っている中で最強のステイヤーはマックイーンだから……だからこそ本気で勝ちたいんだ」

 

 テイオーの目は本気だ。本気で天皇賞春の3200mという舞台でメジロマックイーンに勝利しようとしている。それなのに俺は何考えてんだ。

 

「あぁ……そうだ。そうだよな。皇帝を越えようって言ってんのに、目の前にいるライバルに恐れてどうすんだって話だよな」

 

 俺はチーム全員を見回した。後ろにいるタキオンはふっふっふと笑っているし、デジタルは頑張りましょう!と言わんばかりの顔をしていた。

 

「なら、目標は打倒メジロマックイーンだ!そのためにメニューの再調整が必要だな」

 

「うん!さすがトレーナー分かってんじゃん!」

 

 相手は強い……だからといって焦りは禁物だ。テイオーは今はまだ病み上がりに近い状況だしな。

 

「とりあえず、メニューは俺たちで考え直すから。今日のメニューは基礎トレな」

 

「エー!せっかく今日は久しぶりに走れると思ってたのに!」

 

「無闇に走り込んでも仕方ないだろ……怪我がぶり返しても困る。今日のところは我慢してくれ」

 

「は〜い……」

 

 テイオーはしぶしぶと了承して部屋から出ていった。

 

「というわけで……今からテイオーのメニューを再調整するわけだが」

 

 そう言いながら、俺はタキオンとデジタルの方に振り向いた。デジタルはこれからの重労働を考えて改めて頭を痛めている。タキオンは呆れたようにため息をついていた。

 

「誰でも君みたいに彼女のために身を削れる訳じゃないんだがねぇ……」

 

「そうか……」

 

 タキオンの言うことも分かる。ただでさえここ最近は2人のサポートを多く受けていた。本人達が厳しいというのなら仕方がない。彼女たちはあくまでトレーナーではないのだから。

 そう思い作業に移ろうとしたら、両肩を掴まれた。

 

「別に手伝わないとは言ってませんよ?」

 

「私たちはチームだ。君だけを働かせる訳にはいかない」

 

 2人はこれから始まる不眠作業に覚悟を決めたらしい。短時間でのメニューの再調整にはそれ相応の時間が必要だからな……

 

「私は準備の為に1度荷物を取りに戻ります」

 

 デジタルはそう言って部屋を出ていった。

 

「安心したまえトレーナー君。私が必要最低限生活するための道具は揃っている」

 

 タキオンはそのまま準備を始めた。

 

 冬に筋力を付けたテイオーのデータの再分析。そして、それを加味した上で天皇賞春に勝利するためのメニュー調整……やることは山積みだ。

 

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