トウカイテイオーと帝王を目指す 【完結】   作:Tmouris_

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第31話:ハロウィン

 今日はハロウィン!トレセン学園の娘たちも仮装して、商店街に出たりしてる。学園で街おこしの協力ってことで仮装服の貸出もしてるんだよね〜。

 

「というわけで!みんな一緒に商店街回ろうよ!」

 

 バン!っと勢いよく研究室の扉を開けると、そこにはボクが今まで見たことのない光景が広がってた。

 

「うわぁ!眩しい!なにやってんのさ!」

 

「おら!タキオン口開けろ!デジタル!もう少し押さえつけてくれ!」

 

「やめておくれよ!どうしてこんなことをするんだいトレーナー君!」

 

「大丈夫ですタキオンしゃん!みんなで光れば怖くない!ですよ」

 

 部屋に入ると、7色に輝くトレーナーとデジたんがタキオンを押さえつけて、怪しい色をしてる何かを飲ませようとしていた。

 

「観念しろ!」

 

「ぐぶっぐぐぐ」

 

 最終的に7色に輝く3人が研究室で倒れた。もう、何が何だか理解できなくて、その混沌とした光景をボクは呆然と見ているしか無かった。

 

「うーん……誰誘おっかなぁ」

 

 トレーナーとお出かけ出来る良い機会だったんだけどな〜。ボクは携帯の連絡先を見ながら外でぶらぶら出歩いてる。

 

(そういえば、レースでは一緒に走るし、教室とかでは話すけど。マックイーンとかネイチャと一緒に遊びに行ったことあんまりないな……)

 

 試しに2人に連絡取ってみようかな。

 

『ねえねえマックイーン』

 

『なんですの?』

 

『今日のハロウィン一緒に回らない?』

 

『ハロウィンですか?わたくし、そういった行事は疎くて……』

 

『えぇ〜残念だなー。ハロウィン限定のお菓子とかも食べようかと思ったのに』

 

『行きましょう』

 

『それじゃあ、後で仮装してから合流しようね』

 

 これでマックイーンは大丈夫。次はネイチャに連絡取ろっと。でも、ネイチャは誰かともう約束してあるかな?

 ネイチャの連絡先を開こうと思ったら、ネイチャの方から先に連絡が来てビックリした。

 

『テイオーって今日予定ある?』

 

『ハロウィンだから商店街とか回ろうと思ってるよ〜』

 

『そっか、トレーナーさんとかデジタルとタキオンもいるもんね』

 

『ううん。3人はなんか倒れてたから、マックイーンを誘ったよ』

 

『えっと、あのさ。それって私も一緒に行っちゃダメかな?お邪魔になっちゃうならいいんだけど……』

 

『大丈夫だよ〜。元々ネイチャも誘おうと思ってたからさ』

 

『おっけ〜じゃあ色々準備してから合流するね』

 

 案外あっさりと2人を誘えた。ネイチャとかはよく人に囲まれてるイメージだったから以外だな。

 とりあえず、ボクも仮装して集合場所に向かわないと。

 

(早く着きすぎちゃったかな)

 

 元々、テイオーと一緒にハロウィンを回る気で、仮装とか色々準備が済んでいた。マックイーンと出かけるのとかも初めてだし色々緊張するなぁ。

 集合場所の正門前に着くと、既に魔女の仮装をしたマックイーンが待機していた。

 

「おはよ〜マックイーン仮装可愛いね」

 

「あっおはようございますネイチャさん。こういったイベントは疎いので……少し不安ですわ」

 

「大丈夫大丈夫。そんなかしこまった行事じゃないし。仮装もすっごい似合ってるよ?」

 

「そっそうですの?ネイチャさんの吸血鬼の仮装も似合っていますわ」

 

「あはは〜どもども」

 

 本当に似合ってるな〜隣にいる私が霞んじゃうくらい。

 マックイーンは凄い。美形だし、頭も良くてお嬢様で脚も速い……こういう娘がテイオーの隣に……

 

「そういえば、今日はごめんね?テイオーと2人で回る予定だったんでしょ?」

 

「いえ?テイオーはネイチャさんもお誘いすると言っていましたから。それに、わたくしとしてもあなたとお話したいと思っていましたの」

 

「え?マックイーンが私なんかと?」

 

 普段はあまり関わりはないし……レースで一緒に走ったりもしてないからなぁ。もしかして、メジロ家に気付かないうちに失礼なことしちゃった?

 そんな事を考えていると、自然と変な汗が出て顔が青ざめてきた。

 

「安心してください。そんな変な話じゃありませんわ。ただ……ずっとあなたの事が羨ましく思っているだけです」

 

「マックイーンが?私を?」

 

「えぇ……先日の天皇賞秋もそうですが。ステイヤーとして、菊花賞のレースも大変素晴らしいものでした」

 

 マックイーンとテイオーがライバル関係なのは私も知ってる。私は天皇賞秋でテイオーに何とか勝つことが出来た。それが羨ましいってことなのかな。

 マックイーンは一息入れてから再び口を開いた。

 

「わたくしは……現状テイオーの1番のライバルと言えるのはネイチャさん。あなただと思っています。菊花賞ではテイオーを限界のギリギリまで追い詰めて、天皇賞秋ではテイオーに見事に勝利して見せた。わたくしは……テイオーを追い詰めることすら出来なかったと言うのに……」

 

「たしかにそうだけど……マックイーンだって天皇賞春でテイオーといい勝負してたじゃん」

 

 あのレースには何人も強いウマ娘が出走してた。研究のために何回も見直した。だからこそ分かる。あの時のテイオーは全力で走ってた。

 

「分かっています……ですが、わたくしは貴方のようにテイオーの限界のその先を知りません……」

 

「そうかな。私はジャパンカップで痛い目見たし。マックイーンはそう言うけど、テイオーはマックイーンと走ってる時すっごいキラキラしてたよ。すっごく楽しそうだった」

 

 テイオーはマックイーンとのレースを1番楽しんでた。一緒にゴールを取り合った私にしか分からないのかもしれないけど。

 

「そう……なのかもしれません。ですが、実はわたくし、ネイチャさんのこともライバル視しているのですよ?」

 

「えっいやいや、私がマックイーンのライバルなんて畏れ多い……」

 

「いいえ。あなたはわたくしのライバルに相応しいと確信しています。なので……ぜひ来年の宝塚記念で勝負いたしましょう?」

 

「あはは……お手柔らかに」

 

 

 あちゃー!準備に時間かかっちゃった。2人とも怒ってないといいけど……

 集合場所の正門に着くと、案の定2人が既に話しながら待っていた。

 

「ごめーん!お待たせ」

 

「もう、遅いですわよテイオー」

 

「いやはや、テイオーは赤ずきんの仮装ですか」

 

「えへへ〜可愛いでしょー」

 

 ボクたちはマックイーンのお小言を聞きながら、商店街の方に向かった。

 

「うわ〜凄い」

 

「中々気合い入ってますな〜」

 

 商店街は絶賛ハロウィンの飾り付けがされていてとっても賑わっていた。普段ない出店とかも来てたり、スイーツのとってもいい匂いがする。

 

「よ~し!ボクたちも楽しむぞ……って!マックイーンもういないじゃん!」

 

 マックイーンは既にハロウィン限定のスイーツに釘付けになっている。このままじゃ、あっという間にマックイーンが先に行っちゃう。

 

「ネイチャ!マックイーンを追いかけるよ!」

 

「うっうん!」

 

 普段とは違うマックイーンを見てネイチャは驚いていた。そりゃそうだよねぇ……普段のマックイーンは気品のあるお嬢様。野球観戦してる時とスイーツを前にしてる時は人が変わったようになるから。

 その後、なんとかマックイーンを回収して近くのベンチに座って休憩中。マックイーンはスイーツを頬張りながら、両手にスイーツを抱えて嬉しそうだ。

 

「ネイチャごめんね?バタバタしちゃってさ」

 

「いや~?私は普段と違うぷにぷにのマックイーンを見れて楽しいよ?」

 

「やっやめてくださいませぇ……」

 

 スイーツを頬張ってパンパンになっているマックイーンの頬を突いて遊んでいる。時たま頬に付いたクリームや食べかすを拭き取ってあげたりもしてた。

 

「あはは、ネイチャお母さんみたい」

 

「ほら、マックイーンちゃん?頬にクリームがついていますよ?」

 

「もう!2人ともからかって!」

 

 ネイチャもすっかりマックイーンに気を許してるようで、ボクと一緒にマックイーンをからかったりもできるようになってた。

 ボクたちがそんな談笑していたら、見知った顔が見えた。

 

「あっキタちゃんじゃーん!」

 

「テテテッテイオーさん!?」

 

 キタちゃんに勢いよく抱き着くと、抱き着かれたキタちゃんは唐突の出来事に混乱してる。

 

「あれ?ダイヤちゃんは?今日は一緒じゃないの?」

 

「いや……ちょっと気まずくて。別行動中なんです」

 

「良ければそこで話しよっか」

 

 ボクはキタちゃんの手を引いて、マックイーンとネイチャのところに戻った。

 

「マックイーンさんにネイチャさんじゃないですか!」

 

「あら、キタさんではございませんか。お久しぶりです」

 

「この娘は?」

 

 そういえば、ダイヤちゃんがマックイーンの大ファンだって言ってたっけ。それでキタちゃんとも会ったことがあるっぽい。

 

「ネイチャは初めましてだよね。キタちゃんはボクのファンで良く応援に来てくれるんだー」

 

「キタサンブラックって言います!先日の天皇賞秋の走りすごかったです!」

 

「あはは~ありがとうね」

 

 ネイチャは少し恥ずかしそうにキタちゃんの頭を撫でている。キタちゃんも嬉しそうだ。

 

「それで?ダイヤちゃんと何があったの?」

 

 本題に入ろうとすると、キタちゃんは少し顔を赤くして恥ずかしそうに口を開いた。

 

「その、私ダイヤちゃんにいっぱい助けられてばかりで、いつものお礼を言おうと思ったんです。でも、中々言えなくて……ありがとうって」

 

 身近な人にありがとうか。たしかに、面と向かって言うことってあんまりないかも。トレーナーにデジたんにタキオン。3人にはボクだって助けられてばかりだし。

 

「身近な人だからこそ、ちょっと恥ずかしいのは分かるかも」

 

「そう?ボクはしっかりと言えるよ?マックイーンもそうじゃない?」

 

「どうでしょうか……?わたくしも実際にそういった事も多くないですし」

 

「じゃあ、今ボクに言ってみてよ」

 

 そう言ってボクはマックイーンの方をじっと見た。マックイーンは何か言おうと口を開いたけど、直ぐに顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。

 

「唐突にそう言われても照れますわ!」

 

「えぇ!楽しみだったのに」

 

「そうは言いますが!テイオーは言えますの!?」

 

 マックイーンは食い気味にそう言ってきた。ネイチャはクラスが一緒だし。マックイーンとは付き合いも長い。言いたいありがとうはいっぱいある。

 

「マックイーン、ネイチャ。ボクのライバルでいてくれてありがとう」

 

 トゥインクルシリーズを走る中でトレーナーたち3人と同じくらいボクにとっては大事な存在。ボクと諦めずに競い合って、高めあってくれるライバル。

 

「ちょっとテイオー急には反則だって!」

 

「よくもまぁ、そんなにどうどうと……」

 

 マックイーンは顔を赤くして恥ずかしそうにしてる。ネイチャに関しては顔を手で覆って隠してる。

 

「キタちゃん。大事な相手にありがとうを言うのは意外と難しいことなんだよ?」

 

「はい……」

 

 そう言われて、耳をショボンとさせて落ち込んでる。

 

「だから、そんな難しいことをしようとしてるキタちゃんはダイヤちゃんをとっても大事にしてるのが分かるし、凄い偉いと思うよ」

 

 続きを聞くと、キタちゃんはどこか自信に満ちたようだった。

 

「ありがとうございます!私もう一度ダイヤちゃんにありがとうを言ってきます!」

 

 キタちゃんと別れた後は波乱万丈だった。3人で商店街を回ってると、七色に輝くタキオンたちがお菓子を配っていて、ネイチャとマックイーンはそれを見てドン引きしてた。

 ボクはというと、その後結局ハロウィンの夜に一緒に輝きながらタキオンたちとお菓子を配っていくことにした……いや、そうなった。

 

「そうだ。トレーナー、タキオン、デジたん」

 

「「「?」」」

 

「いつもありがとう!」

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