トウカイテイオーと帝王を目指す 【完結】   作:Tmouris_

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深夜の投稿です。意外と多くの人に今回のお話を見てもらえて結構モチベーション上がってます。


第4話:トレーナーの異常性

 トレーナールームは大量の資料で埋もれていた。でも、衝撃的だったのはその光景ではなくてその中身だった。

 

「なにこれ。これは僕のデータで、こっちはトレーニング案……」

 

 それだけじゃない、トレーニング教本や僕の走りの分析した資料なんかもたくさんあった。まだ僕と仮契約してから4日しかたってないんだよ?

 

「エナジードリンクの空き缶がいっぱいある……どれだけ飲んだのさトレーナー」

 

 ゴミ箱からはみ出た空き缶は並べて置いていった。今までこれだけのエナジードリンクの空き缶は見たこと無い。

 

(そういえば、トレーニング以外でトレーナーが何してるかなんて全く気にしたことなかったな)

 

 昼と夕方はトレーニングでずっと僕のことを見てるし。トレーニングが終わったらすぐに帰っちゃうし。

 僕はとりあえず資料を机の上に置いて部屋の外に出た。すると、外には腕を組んだカイチョーが待っていた。

 

「テイオー、君はあの部屋を見てどう思った?」

 

 カイチョーはあの部屋を見せるために、わざわざ資料を届けさせたんだ。でも、一体なんのために?

 

「う〜ん。まぁ、頑張ってるんだなとは思ったよ?僕のために色々と考えてくれるんだなって」

 

 するとカイチョーは鼻で笑った。なんか僕変なこと言っちゃったかな?

 

「頑張っているか……たしかに頑張っているだろうな。あれだけの資料をたった4日で集めて、テイオーに合うトレーニングメニューを何個も吟味しているんだから」

 

 トレーニングメニューってそんなに考えるの大変なのかな?今までは自分でこれくらい!って感じでメニューを決めてたからな〜。

 

「テイオーは彼がトレーニング中に君から目を離したのを見たことがあるか?」

 

「トレーナーはずっと僕のことを見てるよ?だって、トレーナーってそれが仕事だし当たり前じゃないの?」

 

 僕の答えにカイチョーは横に首を振った。

 

「たしかにトレーナーは担当ウマ娘のトレーニングを見る。しかし、毎日ずっと見ている訳じゃない。トレーナーにはそれ以外の仕事もあるからだ」

 

 でも、トレーナーは毎日僕のことずっと見てるしな……もしかして、お仕事ちゃんとやってないとか?

 

「それでも、彼は仕事を疎かにしたことはない。あの資料の量がその証拠だ。だが、それだけの業務をこなす為には時間がいる。そして、時間を作るためには何かを削る必要がある」

 

 カイチョー言葉を聞いて、さっきの光景がカチと何かがハマり込むように状況が理解できた。

 

「睡眠時間……」

 

 その答えにカイチョーは首を縦に振った。僕の予想は正解だったみたいだ。あのエナジードリンクの量はおかしいと思った。でも、それが睡眠時間を削って仕事をするためだなんて思わない。

 

「なんで?どうしてそこまでするのかな」

 

「以前聞いた時は自分は才能がないからだと彼は言っていた。だからこそ人一倍時間を使う必要があると」

 

 う〜ん……トレーナーにとっての才能が僕には分からない。だけど、この短い期間でもトレーナーが優秀であることぐらい僕でも分かる。

 

「彼の業務量の多さはリギルにいた時からだった。その時は私やチームメイト、東条トレーナーに止められてたからよかった。けれど、今はそのリミッターも外れてしまった」

 

 トレーナーそこまで頑張ってるんだ……僕が止めてあげた方がいいのかな?

 

「まぁ、リギルの時はここまででは無かったのだがね。相当……」

 

 そこでカイチョーは言葉を止めた。呆れたようなどこか嬉しそうな顔をしている。

 

「頑張れテイオー。これを見てお前がどう思うかは本人次第だ。大いに悩むといい」

 

 それだけ言ってカイチョーはどこかに行っちゃった。悩むといいって言ったって僕にどうしろって言うのさ。

 

 結局、翌日のトレーニング中は考えが纏まらずに何も言えなかった。けど、トレーナーの目の下にはクマができて体調は悪そうに見えた。昨日の話しを聞いたからそう感じたのかもしれないけど……

 

「トレーナーが倒れちゃったら僕が困るのに」

 

 あれ?トレーナーとの仮契約は明日までだし……別に明日を過ぎればゆっくり休めるわけだし。でも、僕のことを一生懸命考えて頑張ってるって思うと嫌な気はしないけど。

 

 

ーーー最終日ーーー

 

「でさ、どうしたらいいと思う?」

 

「その話しを聞いて私にどうしろと言うのですか?」

 

 僕は昼休みに、同級生のメジロマックイーンに昨日のこと相談していた。頑張って考えたけど自分だけじゃどうしていいか分かんなかったんだもん。

 

「僕もさライバルの君にこんなこと相談したくなかったよ?でも、そういうのに詳しいと思ってさ」

 

 マックイーンはため息をついて再びこっちを見た。

 

「別にその方が嫌いという訳でもなく、寧ろ良い印象を持っている。元々トレーナー選びにあまりこだわりがないのでしたら、その方と正規契約をすればいいのでは?」

 

 たしかに……トレーナーは僕の為に頑張ってくれる。できるだけ口を出すこともなく、僕に合わせるようにしてくれる。ならそれでいいじゃないか。

 

「それにしても、チーム選びも適当だったテイオーがそこまでトレーナーのことについて考えるなんて……成長してるんですのね」

 

「そんなのあったりまえじゃん!僕は最強無敵のテイオー様なんだから!」

 

 だけど、マックイーンの言う通り。前までなら、トレーナーのことなんてこれっぽっちも考えたこと無かった。なんでだろう、トレーナーが頑張ってくれるからかな。

 

 

「テイオー今日のトレーニングは」

 

「トレーナー!今日はお休みしよう!」

 

 仮契約日の最終日。トレーニングメニューを言おうとしたら、テイオーから衝撃的な提案をされた。最終日で休み。俺にはもうテイオーの走りを見ることはできないのか。

 

「そう……か。わかった。それじゃあなテイオー……」

 

 俺はその場を後にしようとテイオーに背を向けた。すると、手を力強く掴まれた。その力のままテイオーの方を振り向かされる。

 

「泣いてるの?」

 

 テイオーに指摘されて初めて自分が涙を流してることに気がついた。いい大人が中等部の女の子相手に涙を見せるなんて恥ずかしい。

 

「あぁ……テイオーの走りをもう見ることが出来ないと思うとな。身の丈に合ってないと分かっててもショックなもんだ」

 

 そう言うと、テイオーは頭に?マークを浮かべてキョトンとしていた。

 

「何勘違いしてるのか知らないけど、ほら行くよトレーナー!」

 

 テイオーにそのまま手を引かれて俺は連れてかれた。俺は何がなんだか分からなかった。そして、連れて来られたのは近場のハチミードリンク屋だった。

 

「固め濃いめ多めを2つ!」

 

「はい、固め濃いめ多めを2つですね」

 

 近くのベンチに座らされて待っていると、テイオーがハチミードリンクを手渡してきた。

 

「はい。疲れてる時には甘いものがいいて言うし」

 

 俺は言われるがままハチミーを口に運んだ……何だこれ!甘すぎる!まるでそのままハチミツを飲まされてるんじゃないかって思う。当のテイオーは美味しそうにハチミーを飲んでいた。

 

「どうして急にこんなところに?」

 

「ん〜だってトレーナー明らかに体調悪そうだったし。明日もトレーニングあるんだからさ、倒れられても困るし」

 

 テイオーにもバレてるのか……たしかに、最近は少し頑張りすぎたかもしれない。明日からのトレーニングに差し支えるとまず……ん?

 

「明日もトレーニング?」

 

 仮契約は今日までのハズだ。それでも、明日もトレーニングって言うことはつまり。

 

「あ〜ここまで言えばわかるでしょ!これからもよろしくってこと!」

 

 俺がテイオーと正規契約?夢じゃないかと思う。テイオーは目の前で頬を少し紅くしながらポリポリと頬をかいている。

 

「俺でいいのか?特別何かをしてやれたわけじゃないのに」

 

「トレーナーはそう言うけどさ。僕のためにいっぱい頑張ってくれたんでしょ?そういうの悪い気しないしさ。だから良いかなって」

 

「ありがとうテイオー!」

 

 俺はテイオー咄嗟に抱きしめてしまった。嬉しさのあまりとはいえ相手は女の子。冷静に考えれば絵面的にはかなりまずい。

 

「ピエットトトットレーナー?どうしたの急に!」

 

 俺はその後もお礼を言い続けた。それ以外にこの喜びをどうやって表現したらいいかわからなくて。

 

 

 結局ハチミーを飲んだ後にそのまま解散になった。トレーナーは明日から頑張るって意気込んでたけど、今日はゆっくり休むように釘を刺しておいた。

 

(それにしても、担当トレーナー……僕のためのトレーナーか)

 

 トレーナーは僕のためにとっても頑張ってくれる。どうして異常なまでに頑張れるかは今の僕には分からない。だけど、その態度というか姿勢がとても嬉しかった。

 

 翌日、トレーナールームに集合ということで部屋に足を運んだ。昨日とはまた違った新鮮な気持ちで、なんだか気分は良かった。次の瞬間までは。

 

「やぁやぁ君がトウカイテイオー君だね」

 

「テッテイオーしゃんっ」

 

 部屋の中には僕よりも先に2人のウマ娘がトレーナーと一緒に僕を待っていた。

 

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