トウカイテイオーと帝王を目指す 【完結】 作:Tmouris_
「どういうことなのトレーナー?」
僕がトレーナールームに行くと、知らないウマ娘が2人も居た。トレーナーは僕の為に頑張って、ただでさえギリギリなのに。
「1回落ち着いてくれテイオー。話せば分かる!」
僕の目の前にトレーナーは現在正座中。白衣を着てる娘はおやおやと言う顔でこちらを見ているし、ピンク髪の娘はハワワワとテンパってる。2人とも何か知ってる特徴なんだよね……
「ふ〜ん……それでどういう理由なのさ」
そう言うとトレーナーはホッと胸を撫でた。
「1週間テイオーの走りを見て、俺1人実力じゃあテイオーを強くしてやれない……それを強く実感したよ。かと言って1人担当に対して実績のない俺にはサブトレーナーはつかない。そこで、ルドルフに相談したらアグネスタキオンを紹介して貰ったんだ」
すると、さっきまで横でこちらを見ていた娘の1人が前に出てきた。
「私がアグネスタキオンだ。訳あってトレーナー君と契約する事になった。なーに安心してくれていい、君の指導の邪魔はしないさ。そういう約束だからね」
トレーナーと契約したってことは担当ウマ娘ってことだよね。という事はトレーナーがアグネスタキオン……タキオンのトレーニングを考えるって事じゃないの?
「そこに居るタキオンとアグネスデジタルには1つの約束を条件に契約をしてもらった。それはお互いの自由だ」
お互いの自由?余計ワケワカンナイんだけど。強くなるために、勝つために契約したんじゃないの?
「いやはや、私も学園側から除籍勧告を受けていてねえ。私は長らくトレーナーをつけずに、レースにも出ていない。しかし、それは私の本意ではない。そこで、彼から君のデータ収集をする事を条件に私自身の目的の為に契約しても自由にしていいと約束してくれた」
思い出した!カイチョーたちがよく話てた。スピードは1級品で走ればとっても速いのに、トレーナーも付けずにレースにもでないウマ娘が居るって。名前もアグネスタキオンって言ってた気がする。
「わっわたしはウマ娘ちゃんたちの観察を自由にしてても良いって。変わりにテッテイオーしゃんの観察を頼まれたんですう」
もう1人のピンク髪の娘の理由イマイチよく分からない……トレーナーに視線を送ると、しっかりと説明し始めてくれた。
「彼女はアグネスデジタルだ。先週テイオーのことをちょくちょく見に来てたから気になってルドルフに調べてもらったんだ。ウマ娘なのにウマ娘オタクな珍しい変わったやつだが……その観察眼は並のトレーナーを上回る」
変わったヤツって……大丈夫なのかな。トレセン学園に居るって事は問題は無いんだろうけど。
「えっと、じゃあ2人は名義上はトレーナーの担当のお手伝いさんってこと?」
「簡単に言えばそう言うことだね」
タキオンはそう言うと席を立って出口に歩いていった。
「どこか行くの?」
「言っただろう?私は君の走りのデータを取るって」
デジタルとトレーナーも一緒に動き始めた。あれ〜?僕は3人にじっくり見られながら走るってこと?見られるのは嫌いじゃないけど……なんか小っ恥ずかしいなぁ。
その後は、僕の走りを確認しながら3人で何か話していた。タキオンは何やら色々と機会を持ち出してたけど。
「どうだ2人ともテイオーの走りは」
タキオンは興味深そうに、デジタルは……うんよく分からないけど嬉しそうだ。
「非常に興味深いね……彼女の瞬発力は並じゃないね。データをしっかり分析してみないと分からないが、恐らくは筋肉が柔らかくバネのように跳ねているんだろう」
筋肉の柔らかさ。加えて関節も柔らかいだろう。体が柔らかいのは怪我をしにくくなる。メリットが多い。
「デジタルはどうだ?」
なんか口から魂が抜け出てるけど……大丈夫か?観察眼は評価するが、ちょくちょくウマ娘を見て昇天している気がする。
「はっ!そうですね!テイオーさんの走りは素晴らしいです!フォームもいいし、スピードもあります!ただ……」
最後の最後で、デジタルは言いにくそうにモジモジとしている。
「デジタルの観察眼は信用してるよ。俺なんかよりずっとしっかりしてる」
「えっとですね……走り終えたあとの足が、他の娘よりも張っているなって。いや、私がテイオーしゃんの走りにこんなこと恐れ多いですけど!」
足が張ってる?その割にはテイオーの顔が元気そうだが。全体的には問題はないけど、足には負担がかかってる?
「タキオン……その辺のデータ収集とかって出来たりするか?」
「勿論だとも。今日中にまとめて明日には用意できるさ」
タキオンとは少しだけ似たものを感じる。決して彼女の才能に追いつくことは無いが……何か1つの為に死力を尽くす。その姿勢を俺は嫌いじゃなかった。
「それじゃあ頼むよ。デジタルも研究中のタキオンを拝めるいい機会だぞ」
「はわぁ!」
ダメだ昇天した。この子は昇天してすぐ回復する。強いんだか弱いんだか分からない……
そこに、トレーニングを終えたテイオーがムクレッ面で戻ってきた。
「ふ〜〜んトレーナー2人と随分と楽しそうじゃん」
何か凄い圧を感じる……なんて答えればいいんだ?いや、ちゃんと本当のことを話そう。
「あー楽しかった。テイオーの走りを共感して観察する。今までにできないことができるようになると楽しくなる」
「へ〜僕の為か〜そっかそっかーじゃあしょうがないね」
どうたら満足してれたようで地雷は踏まなくて済んだようだ。その日はそのままトレーニングを終えて解散となった。
その翌日、俺はタキオンからデータを受け取るために研究室に入った。中には項垂れてるタキオンとデジタルが。
「おら〜お前ら起きろ!朝だぞー」
2人は目を覚まし、朝のルーティンを始めた。タキオンは紅茶を入れて飲んでるし、デジタルは寝ぼけながらなにかに尊みを感じてるらしい。
「トレーナー君。冷蔵庫の物で朝食を用意したまえ。道具はキッチンに置いてある」
仕方なく用意しようとしたが……冷蔵庫には色々な食材が入っていた。しかし、その調理道具がミキサー……どういうこと?
「これで何を作れって?」
タキオンはこっちを見ながらそんなのも分からないのかという顔をしてた。いや、分かるわけねえだろうが。
「材料をミキサーに入れてスペシャルドリンクの完成だ」
もしかして……こいつ今までずっとそんな食生活で過ごしてきたのか?道理で身体が細いわけだ。
「そんなのは料理とは言えない!俺が料理ってやつを見せてやる」
そう息巻いて、目玉焼き焼いてベーコン焼いて軽い朝食を用意して2人の前にだす。
「なんだいこれは」
「なんだいじゃない!これが料理っていうんだ!」
俺とタキオンがそんな言い争いをしている間に、横のデジタルはウマウマと朝食を食べ尽くしていた。
「デジタルを見習ってタキオンもくえ」
そう言って食事を口の中に突っ込んでやった。最初は嫌そうな顔をしたがその表情は次第にほぐれていった。
「なんだいこれはトレーナー君!?」
「あぁ、これが本当の料理だ」
「それじゃあ今まで私が飲んでたスペシャルドリンクは」
「あんなの材料適当に混ぜて作ったジュースじゃねえか!」
そう言うと、タキオンは絶望した顔で膝を着いた。何かをブツブツ言いながら。
「今度からは私の昼食は君が用意するべきだ。いやそうしよう」
「いや、それは別にいいが……」
どうやらタキオンは俺の料理がお気に召したらしい。俺は料理がめちゃくちゃ上手いわけじゃないんだけどな。
「ところでデータの方は?」
タキオンは昨日のデータをまとめた資料を見せてきた。
「予想通り、彼女の筋肉や関節は柔らかい。いや、柔らかすぎると言うべきか。その柔らかさによる瞬発力は凄いものだ。しかし、や柔らかすぎるがゆえに衝撃を受けきれてない」
デジタルが昨日言ってたのはこれか。瞬発力もでるし、呼吸も落ち着いている。しかし、足にだけは負荷がかかってるんだ。
「ついでに、今のまま走り続けたとしたらどうなる?」
タキオンは両手を腕組みして考えている。
「恐らくは怪我をするだろうね。骨折……それもそう遠くない未来に」
テイオーの独特なステップ、テイオーステップは体の柔らかさこそ出来た走り。だが、それを続ければ故障する。
「1レースの最後にラストスパートで使うくらいならどうだ」
「恐らくその程度なら問題は無い。でも、これは大変だね。フォームを一新しないといけないわけだ」
これをテイオーにどう伝えるか……走りを一新するって言ってテイオーはどうするだろうか。受け入れてくれるか……テイオーの説得は大変そうだ。
アグネスコンビでトレーナーしたら最強なのでは?