コヨーテの歌   作:ねこや しき

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こたえを出すとき

 しん、と静まりかえった病院の中。あわいひかりが病室の中に満ちている。

 

 病室を埋めていた人たちは、幸枝と勇子を残してみんな病室を出た。本当は幸枝も出ていくべきだが、医師にかけあって話す許可を得た。どうしても話さなくてはいけないと思い詰めて、幸枝は頭を下げた。大人はみんな幸枝に声をかけながら病室を出た。それくらい幸枝はひどいありさまだった。

 

 医師に簡易的な診察を受けた勇子は、もうベッドの上で上体を起こして座っている。細かい検査がまだ必要だが、安静に生活するには問題はないだろうと診断を受けた。

 

 幸枝はいつかと同じようにベッドの横にパイプ椅子を置いて、やっぱり迷っていた。緊張で心臓が痛いほどに打っている。口の中がかわいて、言葉は喉の奥に張り付いて出てこない。自分のそんなところにうんざりしていた。だから頑張ろうと顔を上げて。視界に勇子の姿が映る。

 

 手元に視線を落とした、勇子の横顔。窓から射し込んだ光が、健康的な肌の色を――勇子は、生きている。

 氷が滴になるように、言葉は自然にこぼれてきた。

 

「――勇子。勇子が、無事で本当に嬉しい」

 

勇子に伝わりやすいように、必要最低限の話をしようとしていたのに。やっぱり上手くやることができない。

 ただ、幸枝の言葉に勇子は思うものがあったらしい。視線を少し合わせて小さく頷く。それは幸枝の心に少し勇気を生む。

 

「少しだけ昔の話をしよう。勇子はもうわかっているかもしれないけれど。勇子に言わずにいたこともあるから」

 

 幸枝の言葉はぱらぱらと地面に散らばる雨のようだった。まばらに降り、多くはないがその滴は大きい。信彦の事故のときのこと。旧コイルスを相手に幸子が粘った交渉。勇子の治療でなにが行われたのか。

 

「あの日、信彦とあんたが事故にあった日。病院は手を尽くしたけど信彦はもうだめだったんだ。姉さんは半狂乱で薬で眠らされていた。ショックだったんだろう。幸いにも、あんたは信彦に守られたように軽傷だった。・・・・・・意識が戻るまでは。その後はもうわかるね? そうだ。それで、姉さんはメガマスとやりとりをした。あまりに理不尽だったけど、勇子の治療にはコイルスの技術が必要だった。それを理由に姉さんは訴えを退けた」

 

 勇子はそれを聞いていた。静かに、相づちもなく。ただ目の前の叔母の姿を見て、自分の知らない話があったことにショックを受けた。自分はまだ知らないことがあったし、勇子の知らないところで色んなことが起きていた。

 

「それとね、私はね・・・・・・。ずっと後悔してたんだ。本当にごめん。あんた達が一番つらいときになにも助けてやれなかった。あんた達が大変だったときに、バカみたいに、なにも知らないフリをして仕事をしていた」

 

 幸枝はその言葉を言うとき、勇子から視線をそらさなかった。そうする必要があると思った。もう本当に、自分勝手でどうしようもなくて、喉がひりつくようだった。それでも涙の一滴もこぼさず、声を震わすことなく言い切ることができた。

 勇子はじっと、そんな幸枝の姿を見て、唇をかみしめていた。勇子だって思うところはある。だけどもまだ、整理しきれない感情が多すぎて言葉にできない。そのまま言っていたら、幸枝は「それは当然だよ。こっちが急ぎすぎたのが悪いんだよ」と返したはずだ。それくらいに急に話しをした。幸枝はちゃんと自分が良くないことをしているとは理解していた。一方で、このタイミングで話すべきなのだとも。

 

「・・・・・・こんなところかな。

勇子、体がつらいときにごめんね。でも今、言わないといけないと思ったから無理をさせたね。本当に自分勝手でごめん。他のことはこれから少しずつ話していこう。今日はこれでおしまい」

 

 勇子とはもう目線はあわない。幸枝はそれにがっかりしない。それは当然のことだとも思う。身勝手に胸が痛むことは無視をした。

 ほんの数分だった。約束通りに短い時間。幸枝は腰を上げてパイプ椅子を片づける。荷物はいつのまにか病室の中に届けられている。それを床から拾い上げてドアに手をかけたとき。

 

「ねえ。どうしてオバさんはメガマスで働いているの」

 

 うつむいた勇子の表情は見えない。光りが窓から幸枝の腹までを明るくするが、顔までにはかからない。幸枝はまっすぐに勇子を見つめている。

 その回答はあまりに容易だった。

 

「ゆるせないから」

 

 うすく影がかかった幸枝の表情に嘘はない。やわらかい陽をあびているのに、岩のように固くこごった表情。今まで一度も勇子に向けられなかった目。うすっぺらな声は、必要以上に感情を抑えただけ薄情な響きがあった。

 

「また明日。ゆっくり休んで」

 

 廊下に出ると、いまだに医師も天沢の義夫婦もいた。ほかの人たちは帰ったらしい。当然の時間だ。残っている彼らの善意がうれしい。心配そうな目線が多いが、先ほどまでの自分の行いを振り返れば当然だとも思う。余裕がないというのは嫌だなあ、とぼんやりと幸枝は思った。

 

「大丈夫です。勇子も、疲れた様子でしたけど最後まで聞いてくれました。本当にこのタイミングですいません。でも、今しかないと思って・・・・・・ありがとうございました」

 

 ここにいる人たちは幸枝の話をよく聞いてくれる。頷いて、よかったねと声をかけながら幸枝の考えを聞いてくれる。

 天沢の義姉はそれで幸枝に笑いかけながら、「本当に良かったね」と言って、これからのことを話そうと言った。

 

「それでね、いま少しだけ話したんだけどね。勇子の治療のことなんだけど、私たちには少し難しいから、幸枝さんも一緒に付き合ってもらえないかしら」

 

「もちろんです。・・・・・・あの、それじゃあ私からも提案があるのですけど。

・・・・・・これからのことは、勇子とも一緒に考えていきませんか? 」

 

 

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 side:勇子

 

 

 ぱたりとドアが閉まった病室で、勇子は思い出していた。ひとりで戦うしかないと思って、知識や技術を身につけてここまで来た。その始まりは、オバである幸枝が勇子を否定したことだった。でも、多分、そうじゃなかったのだ。

 

『ユキちゃん、お兄ちゃんを助けるのを手伝って! 』

 

『・・・・・・手伝えない。勇子。信彦のこともいいけど、まず自分の人生を選ばないとだめだ』

 

 そんなこともあった。勇子が退院して、天沢の家に引き取られてそれからのことだったはずだ。言葉をつくしたけどだめで、信彦の体は病院に用意されていたのを見た後だった。勇子の身近で一番、電脳空間に詳しいのが幸枝だった。だから幸枝なら、絶対に自分の味方になってくれると思っていたのだ。それが認められなかったから、裏切られたと思ったのだ。あんなに自分の、お兄ちゃんのことも大事にしてくれたのに。

 

「おにいちゃん・・・・・・」

 

 心細くて手を握ってみたが、つかめるものは毛布くらいしかない。怖くて、不安で、ぽっかり空いた胸の隙間を自覚した。自覚した途端にぽとぽとと滴があふれてくる。勇子の肌をすべってきたそれを乱暴にこすって、倒れるように枕に頭を預けた。

 横たわると日光が顔に当たる。カーテンは開け放たれたままだ。幸枝はそういうところに気がつかない人だった。

 青くなりはじめた空は清々しくて、熱くなった目にはまぶしすぎた。でもその痛みがほんの少し、心の憂いを吹き飛ばす。

 

 傷は簡単に癒えない。苦しいことも、悲しいことも、痛いこともたくさんある。でもこの世界で生きていくとお兄ちゃんに約束したから。

 

 

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

 勇子が退院するまでに色々なことが起きた。まず大きなところとして、幸枝の姉で勇子の母である幸子の調子が回復した。

 

 幸枝たちは勇子と幸子の面倒を見ることになり、各方面を走り回ることになった。手続きや治療の方針などで意志決定が必要なため、病院からの呼び出しが存外に多い。

 

 しかも幸枝はメガマスのあれやこれやで打ち合わせも多く、必要なデータのやりとりだけで膨大な時間が必要になっていた。なにせ幸枝が所持しているのは、過去数十年分のメガマスからコイルスまでのデータなのだ。精選しているとはいえ、求められたデータをコピーするのに時間がかかる。幸枝は全体の進捗はわからないが、小此木さんが上手く進めてくれているのは分かった。小此木さんは時々、幸枝に様子を教えてくれた。ひっそり、他の人にはわからないようなパスワードを仕掛け、幸枝は度々その挑戦をこなして。

 幸枝はメガマスを辞めた。

 

 体の治療が済むと、勇子の治療は心理面に及んでいく。電脳体と精神のずれや、信彦を失った心のケアは時間がかかるであろうと、主治医は言っていた。しかしそれは、良い意味で裏切られることになる。勇子はある程度の心の整理ができていた。

 カウンセラーとの面談でも、心理的な検査でも大きな問題は出なかった。電脳体も大きなズレはなく、これからも電脳メガネを使うことに不便はないそうだ。 主治医からそう聞いたときの勇子の、安心した顔が年相応で幸枝はほっとした

 

 勇子が目覚めた日から、幸枝は少しずつ会話を重ねてきた。季節の雑談から電脳技術の話し。今までの時間を埋めるように。幸枝が話すことが多かったが、勇子に話を向けるとぽつぽつと話してくれることが増えていた。ただ、姉の幸子の話になると、どうしても居心地の悪そうな顔をする。

 

 幸枝勇子がこれからどうしていきたいのかを聞かないとならない。本当はそれが聞きたい。

 勇子の思ってることを大事にしたい。だけど、いつもみたいに臆病風が吹いて、そうなるとうまく口が回らない。そうなると幸枝は、どうしてもストレートに聞くことしかできない。できれば、もっとやさしくしたかった。

 義姉にお願いしようとしたが、彼女は自分が信用を得ていないことを理由に断った。食い下がった幸枝に、義姉は首を振るだけだった。

 

 幸枝は病院の中庭のベンチを場所に選んだ。

「話したいことがある」と勇子に言った幸枝はそこまで歩く間に気持ちを落ち着けた。

勇子はもう随分と調子がいいようで、退屈を紛らわすのに苦労しているようだった。今日は幸枝の様子を見て思うところがあるらしい。緊張感のある様子で幸枝に着いてきた。

 

 日差しの差し込む中庭は、ベンチが複数ある人気のスポットだ。いくつもおいてあるベンチには、場所によって先に人が座っている。幸枝が座ったのは、人が座っていないベンチを2つすぎたあたりだった。座って、深呼吸して、そして口から出た言葉が、

 

「これからやりたいこととか、考えていることはある? 」

 

というどうしようもない聞き方だった。ただ、勇子は慣れてしまったようである。隣に座った幸枝を見て、ほんのわずかな間の後に口を開く。

 

「やりたいこと。・・・・・・お兄ちゃんのお墓参りに行きたい」

 

 勇子の望みは簡潔だった。もしかしたら今まで考えていたのかもしれない。

 

「ひとつだけ? 他にない? 」

 

「じゃあ、前の家、・・・・・・お兄ちゃんと一緒に暮らしていた家に帰りたい」

 

 前だけを見つめて出てきた言葉に、幸枝の胸はぎゅっと痛んだ。勇子はたぶん、期待していないんだ。期待して裏切られたらイヤだから、自分で叶えられない願いをまっすぐに言わない。そのふがいなさったらない。

 

「そっか。じゃあ、中学校は金沢でいいね? 」

 

 でも幸枝はもう大人だから。そうすると決めたから。肩を丸めていた勇子が振り仰いで、目を丸くする。幸枝は叶えてあげると決めたのだ。この一般的からはぐれてしまった姪の人生に関わり、できるだけの手を尽くすと。

 きっと自信を持った笑顔を向けられたはずだ。だって勇子の望みを聞けたから。それはとても嬉しい。まだ私が力になれることがある。

 

「勇子の力になれることが嬉しい。だから勇子、遠慮せずに言って。私も思ったことは言うし。

・・・・・・中学校、入学式に間に合うように退院と引っ越しをしないとね」

 

「これからやることはたくさんあるよ」と勇子の肩を叩いたら、勇子は唇を引き結んでうなずいた。

 ためらいがちに、指先を細かく動かしながら口を開く。

 

「・・・・・・あと、電脳メガネのこと、もっと勉強したい」

 

「うん」

 

「新しいメガネも欲しい」

 

「うん」

 

「・・・・・・お兄ちゃんの、話しも、聞きたい」

 

「うん。大丈夫。ひとつずつやろう」

 

 色んな感情をこらえた勇子は、顔をくちゃくちゃにして泣くのをこらえる。肩をふるわせて感情を抑えようと深呼吸をする勇子を見て、ためらったのはほんの少し。――私は決めたのだから。

 勇子が小さかったときと同じに抱きしめた。

腕に力を込めて、くちゃくちゃの顔を隠すように。背中に腕を回してやさしく叩いてやる。あの頃は腕にすっぽり抱え込めたのに、もうこんなに大きくなっていた。あの頃の信彦よりずっと大きい。当然、成長しているのだ。

 

「ごめんね勇子。いっぱい我慢したね」

 

 うなり声のような我慢の声が、泣き声に変わるのに時間はそうかからなかった。幸枝はずっと抱きしめていた。勇子が泣きやむまでずっと。それで、離れ時が分からない勇子の様子がわかったときに、ひときわギュっと抱きしめて「戻ろっか」と声をかけた。

 そうなるともう、勇子は恥ずかしくてたまらない。そういうお年頃だから幸枝をおいてさっさか帰ってしまった。

 ベンチに残ったのはしめった服の幸枝ひとり。だけど幸枝はなんだか満足していた。勇子の後ろ姿を見て、今までのことと未来のことを考えて心を決める。

 提案をしよう。今までの私なら、きっとしなかったことだ。

 

 

 ・・・

 ・・

 ・

 

 

エピローグ A

 勇子は無事に中学生になった。

 

 出願の手続きやら引っ越しの手続き、たくさんの仕事じゃないタスクが積み重なった。幸枝は今までそういった手続きとは無縁だったものだから、たくさんの人に教えてもらいながら乗り切った。勇子も手伝ってくれたし、小此木さんや職場の先輩も力になってくれた。

 

 幸枝は元の職場に復帰していた。勇子と同じく、四月からはメガマスではなく金沢の元の職場である。メガマスのごたごたのついでに辞めた幸枝であるが、どうもチーフが手を回してくれたらしい。契約の内容を忘れてしまっていた幸枝であるが、会社はそうではないので呼び戻されたわけである。

 

 こっちの生活もだいぶ思い出してきた。

仕事はもう問題はない。メガマスのごたごたも落ち着いてきていた。次に起きるのは行政指導あたりだろう。このあたりはもう、幸枝に関係ない。幸枝の要望は既にデータで提出してあるし、あそこにいる人たちもバカじゃない。

 

 それから、勇子の母である幸子は少しずつ回復に向かっている。近い将来、勇子と暮らせる日も遠くない。主治医も驚くような回復らしい。薬が体に合ったのか、それとも心理的な変化が起きたのか。

 

 いま、幸枝と勇子はふたりで金沢の生家で暮らしている。

 

 今日は早く帰ることができた。今までは好き勝手に会社で過ごしていたが、復帰してからは定時に上がって家で夕食の準備だ。勇子との生活にも徐々に慣れた。それは会社の社員の多くが幸枝の事情を知っていたからであり、職場からの甚大なサポートのおかげだった。

 それで今日の仕事というのは、午後からあいさつ周りだったものだから、気を使われて早引けになった。

 そこで思い出したのが勇子の下校時間である。勇子はまだ部活やら寄り道をする気にならないらしい。今日も同じなら帰路のどこかで勇子を拾えそうだった。うまく出会えなかったらそれならそれで、幸枝はそうやって考えた。

 

 いい時期だと思う。

桜が一面に咲いていて、春らしい青々とした香りがする。窓を開けて運転をしても平気なくらいあたたかい。来週あたり、姉が家に一度帰ってくることに決まった。勇子も同意の上だ。

 安全運転で通学路を家に向かって行くと、途中で勇子の背中を見つけることができた。

 

「勇子~! 乗ってかない? 」

 

 勇子の横に車をつけて窓から名前を呼ぶ。ちょっとびっくりした顔で私を見て、それで側に寄ってきてくれる。

 

「オバさん? 今日、はやくないか? 」

 

「そう! 今日は早く上がっていいよ~っていう日みたい。だから一緒に帰らない? 」

 

 「うん」と窓越しに頷いた勇子が車に乗り込んでくる。重そうな鞄を足下において、シートベルトをしめたら出発だ。

 一緒に暮らすことを提案して、それから随分と時間がたったように感じる。それは勇子との会話がうまく回るようになったからだと思う。もちろん忙しくて時間の感覚がおかしくなっているのもある。

 勇子はずいぶん変わった。着るものも、髪型も生き方も変わった。変わったというほど知っているわけではないけれど、勇子の話しを聞く限りでは大きな変化がある。

 

「今日の学校は――? 」

 

「――、」

 

 今だって学校のことだとか、今日の電脳ニュースの内容だとか、私の仕事のことなんかを落ち着いて話すことができている。興味嗜好は相変わらずだ。だけどもこんなにも変わった。

 他愛ない話しもすれば、信彦との思い出で泣いたりもする。姉の幸子との関係を怖いと言ったり、大黒市でなにをやっていたかを話したり。

 で、時々、自分はどうなんだろうと思って、落ち込むときもある。ちゃんと大人ができているんだろうか。

 

「ねえ、――ゆきちゃん」

 

 その言葉にどれだけ胸を打たれただろう。

 

「・・・・・・なに? 泣いたの? 」

 

 照れくさそうに笑う勇子の顔。

必死にこらえても目頭があつくて、またたきをしても喉に熱がこみ上げて。うれしくてうれしくて。

 鼻をすすりながら笑い声をあげた。下手くそな笑いに勇子が肩の力を抜いたのがわかった。私たち、けっこう似たところがあるよね。多分、お姉ちゃんもおなじ。

 間違いばかりでどうしようもない私だけど、ちゃんとできたこともあったんだと、思う。

 

「今日、ご飯なににする? 」

 

「じゃあハンバーグがいい」

 

 「そしたらひき肉を買いに行かなきゃだね」と鼻をすする。不意打ちに運転から逸れていた注意を引き戻す。こんなときに交通事故なんて起こしたくない。知らず早くなっていた速度を落とし、カーブに向かって入っていく。対向車はびっくりするぐらいの勢いですれ違っていった。隣の勇子は電脳空間にアクセスしてハンバーグのレシピについて検索している。顔を前に戻してアクセルに足をかける。

 

 ゆっくり、自分のペースでいくしかない。そうしたら、いつか誰かがありもしない歌を一緒に歌ってくれるかもしれない。

コヨーテの歌

Coyote singing




最後までお読みいただきありがとうございました。完結です。
感想や誤字脱字報告などもいただき、ありがとうございました。
もしよろしければあとがきもご覧ください。
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