わたしは六石陽菜。
10年前にわたしの親友、ふたばちゃんと離れた。
その時に約束した「1つのリボン」
10年の時を経て、時が動き出す……

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このお話はアプリ「CUE!」より☆3 クロスロード・サインポスト 六石陽菜のお話の一部を含んでいます。
ですが、そのお話を知らない人でも読んでいただけるような内容となっていますので、是非読んでくださると嬉しいです(設定については一部改変、付加しているところもあります。予めご了承ください)

ー登場人物ー

六石陽菜:CUE!の主人公的ポジションの子で、自分に自信が持てない高校生。昔に親友の「ふたばちゃん」からもらったリボンを今も髪につけている。
ふたばちゃん:陽菜の親友。陽菜が髪につけているリボンを渡した本人。現在は美容師になるという夢を持ち日々頑張っている。しかし、10年前にふたばちゃんが引っ越してから一度も陽菜と会えていない。


約束のリボン

「陽菜〜。おはよ〜」

 

「ほのかちゃんおはよ〜」

 

「今日はいい天気だからいつもより多めに走ってきたよ」

 

「ふふっ、気温もいい感じだったし、ちょうど良かったんじゃない?」

 

「あ、シャワー浴びてくるね」

 

「洗濯物は洗濯機の中に入れといてね。この前入れ忘れてたよ」

 

「あれ?ごめんごめん!そんなに怒らないで!」

 

「ふふっ、冗談だよ?」

 

「あぁ〜。陽菜だから本気かと思っちゃった」

 

私は六石陽菜。

AiRBLUEという事務所で声優を目指して日々頑張ってる高校生。

でも4月からは、高校を卒業して、大学に行く。

それは、今話してたほのかちゃんも同じ。

今は春休みで、私とほのかちゃんは学校の方はお休み。

今日は舞花ちゃんはお仕事で朝早く出かけたから、私とほのかちゃんと……

 

「ん、おはよう」

 

「あ、志穂ちゃんおはよう」

 

「む、まだ朝ごはんできてないのか。私は寝てくる」

 

「もうそんなこと言わないの」

 

「陽菜もほのかも休みだろ?」

 

「そう……だけど……」

 

「じゃあ寝てくる」

 

今のはいつもマイペースな志穂ちゃん。朝が苦手で、ほとんど私たちが起きた時は寝てることが多い。

そんなことを思いながら、私は朝ごはんを作る。

今日の朝ごはんはほのかちゃんが「焼き魚食べたい」とリクエストがあったから焼き魚にしたんだ。

 

「ほのかちゃん……喜んでくれるかな……」

 

部屋にほんのりとおいしい香りが漂う。

 

「陽菜〜上がったよ〜」

 

ほのかちゃんがシャワーを浴びて帰ってきたみたい。

部屋の扉をドンと開ける。

てことは、ほのかちゃんは気づいてたのかな?

 

「うん。もう少しでできるから待っててね」

 

「はぁ〜いい香り。今日は朝から気分がいいよ」

 

「ふふっ、よかった」

 

そんな話をしているうちに、朝ごはんができた。

 

「あ、朝ごはんできたよ」

 

「ありがとう陽菜。明日は私が作るよ」

 

「ふふっ、ありがとう」

 

こんな感じで最近の朝ごはんは私とほのかちゃんが交互に作っている

志穂ちゃんにもたまに作らせたりするけど……うん……

 

『いただきます』

 

2人で一緒に朝ごはんを食べる。

 

「陽菜の作るご飯はやっぱり美味しいね!」

 

「ふふっ、ほのかちゃんだって、美味しいと思うよ?」

 

「ほんと?なら嬉しい!」

 

2人でこんなにもぼのぼのとお話をしていたら……

 

ピロン

 

「あ、陽菜の携帯が鳴ってる」

 

「ご飯食べ終わったら確認するから、洗い物お願いしてもいいかな……?」

 

「あ〜いいよ。陽菜が作ってくれたしね」

 

「ほのかちゃんは優しいなぁ……誰かさんと違って、ふふっ」

 

「誰かさん……?」

 

「ほら、あざらしが好きで、いつも朝はぐーたらしてる……」

 

「あー志穂のこと?休み期間中だし、ちょっとはいいんじゃない?」

 

志穂ちゃんは最近お休みの日は家でごろごろすることが多い。でも、やることはちゃんとやるところがなんとも……

でも、いつも頑張ってくれているから、ちょっとばかり休みたいのかな?

そんなことを思いながら私はスマホを開けた。

 

「ほのかちゃんって、今日は家にいるよね?」

 

「一応部屋でストレッチはするけど……どうしたの?」

 

「マネージャーさんから、「陽菜に渡したいものがある」って言われて事務所に行くことになったんだけど……」

 

「もしや……告白!?」

 

「いやいや……そんなわけ……」

 

「とりあえず、志穂にも伝えとくから、行ってきなよ」

 

「うん、わかった」

 

私はせっせと準備をして、事務所へ向かう。

とは言っても、今日はレッスンもないから持っているのは手提げ鞄と貴重品だけ。

こんなに荷物が軽い状態で事務所に行くのもなんか珍しいけど……

そういえば、マネージャーさんが言ってた「私に渡したいもの」ってなんだろう……

ほのかちゃんは告白とか言ってたけど……まさかね……?

わたしは不安になりながら、事務所へと足を進める。

 

「こんにちは〜」

 

「あら、陽菜。どうしたの?」

 

「マネージャーさんから、渡したいものがあると言われたのですけど……」

 

「あぁこれのことね。今ちょっと席を外してるから、代わりに私が渡すわ」

 

「ありがとうございます」

 

そう言ってもらったものは、一つの手紙。

応援メッセージは、毎月貰っているけど……でも、なんで私だけにこんな手紙が届いてるんだろ?

しかも宛先も六石陽菜じゃなくて事務所になってるし……

 

そんなことを思いながら、私は手紙を見た。

 

陽菜へ。

 

元気ですか?

私が引っ越してから、全然会えてなくてごめんね……

陽菜もきっと悲しく思ってたのかな……

わたしももちろん悲しかったよ。

 

さっそくだけど、声優って夢に向かって頑張ってる陽菜を見て、なんだか応援したくなったんだ。

この前、テレビつけたら「ブルームボール」ってアニメを見てたけど、エンディングに陽菜の名前があって、「陽菜は夢に向かって頑張ってるなぁ」って気持ちと、わたしも頑張らなきゃって思う気持ちがすごく強くなって、この手紙書いちゃった。

私も陽菜に負けないように、頑張りたい。

だから、陽菜も頑張ってほしい。

最後にだけど、もし会えるなら、3月21日の10:00に東京駅の銀の鈴に来て欲しいな。

私も今は東京にいて、久しぶりに会ってお話したい。

もし仕事なら大丈夫だから。

また……どこかで会おうね……

 

私はこの手紙を読んで、誰が書いたかわかってしまう。

その宛先を一目やると

 

 

ふたば

 

 

こう書かれていた。

 

「ふふっ、ふたばちゃんったら……」

 

私が手紙を読んで笑ったら、マネージャーさんが帰ってきた。

 

「あ、陽菜手紙読んだんだ」

 

「マネージャーさん!手紙、ありがとうございます!」

 

「ふたばさんが、直接渡してくれて「これを陽菜に渡してほしい」って言われたから。最近陽菜も元気なかったし、活力になればいいなと思って」

 

「ふふっ、嬉しいです!」

 

「良かった。陽菜は明日休みだから、行ってあげたら?」

 

「もちろんですよ!」

 

「楽しんでおいでね」

 

「はいっ!」

 

私は事務所を後に、寮に戻る。

ふたば……どんなふうに変わったのかな……

そんな気持ちが強くなっていく。

 

「ふぅ……」

 

私は一呼吸する。

ふたばちゃん……私のこと覚えてくれているのかな……

ちょっとだけ不安もよぎる。

 

「ただいま〜」

 

「お、陽菜おかえり。マネージャーから告白されたのか?」

 

「なんでそんなこと知ってるの!違うけど……」

 

「違うならいいや。ほのかから聞いた」

 

「もう……ほのかちゃんったら……」

 

「んで、何だったんだ?」

 

「私の幼馴染からの手紙だったよ。懐かしくて、すごく頑張ろうって、元気もらっちゃった」

 

「へー。いいやつだな、そいつ」

 

「なんでそんな無関心なのー」

 

「あはは、面白そうで何よりだよ」

 

志穂ちゃんに話したらまだ眠そうだったのか、少し興味なさそうにしてるけど、話を聞いてくれるのも、やっぱり志穂ちゃんだなって感じがする。

ふたばちゃん……ほんといつぶりだっけ……

 

「懐かしいなぁ……元気にしてるかな……」

 

私はぼんやりと青空を見上げた。

 

ー10年前ー

 

「陽菜と……会えなくなるの……嫌だ……ぐすっ……」

 

「ほーら、泣かないの」

 

「ふたばちゃん、じゃあ、最後に私の髪にこのリボン結んで……」

 

「うん……」

 

あれは、忘れもしなかった10年前の今日……

私の誕生日を、ふたばちゃんはずっと楽しみに待っててくれたのに……その前日に引っ越しが決まっちゃった。

ふたばちゃんは、その前日もずっと泣いてて、何を話したらいいのかも私は分からなかった。

それでも、私は約束のリボンを結んでほしいとお願いして、それでふたばちゃんも笑ってくれた。

でも、やっぱりいなくなるのは寂しい。

きっとどこかでまた会えるのかもしれない。でも、それはいつになるのかわからない。

でも、ある日、ふたばちゃんはこう言ってた。

 

「陽菜の誕生日になったら、とっておきのリボンを結んでいい?」

 

 

 

 

 

 

 

はっ。

 

あの後、何て答えたんだっけ……

 

あれ…‥思い出せないや……

 

私の記憶はどうやらここで止まっていた。

10年前に止まった私とふたばちゃんとの時間。

それは、動くことはなかった。

でも、なぜか引っかかる。あの日言ってた「特別なリボン」って何のことなのだろうか……

それは、きっとふたばちゃんしか知らない。

だから私は、なにも考えずに明日を待つことにした。

 

ー夕方ー

 

「……あれ……?」

 

私、寝ちゃってた……?

何やろうとしてたんだっけ……

それすらわからずにいた。

 

「あ、陽菜起きた?」

 

「ほのか……ちゃん……?」

 

「うん、気付いたらリビングで寝てたから……」

 

「ありがとう……」

 

ふと髪を触ったときに、何か違和感に気づく。

 

「あれ?リボンは?」

 

「あー、寝てる間に取れちゃってたから机の上に置いといたよ」

 

「良かった〜。無くしたかと思っちゃって」

 

わたしはほのかちゃんにリボンの場所を知らせられた途端安堵を覚えた。

 

「さ、陽菜。夜ご飯作ろっか?」

 

「うん」

 

今日は私とほのかちゃんで夜ご飯を作ることに。

今日の夜ご飯は何がいいかなと思って舞花ちゃんに聞いたら「じゃがいもが安いよ」って返ってきたので、夜ご飯は肉じゃがにした。

余ってる野菜があって、千紗さんに聞いたら「ええ。使っていいわよ」と言われたし、「じゃあ、私たちも肉じゃがにしようかしら」って言ったから、千紗さんも一緒にBirdの分も作ることにしたんだ。

なんだか、賑やかですごく楽しかったし、ふと気になって千紗さんとこんなお話もしてみた。

 

「そういや千紗さんって、新潟の頃のお友達から連絡とかあったりしますか?」

 

「ええ、もちろん。このアニメ見てるよ〜とか、先日はライブお疲れ様〜とか。それが、どうしたの?」

 

「あ、いえ。私も、お友達から手紙が来て、こう言うの、あるのかなって……」

 

「ええ。そういうのをもらうと、元気が出るよね。友達って大事だね」

 

「はいっ!ふふっ」

 

「さ、できたわよ」

 

「おお〜!いい匂いです!」

 

「今日はたくさん作ったから、これなら明日も朝も問題なさそうね。陽菜、ほのか。ありがとう」

 

「こちらこそありがとうございました。また作る機会あったらお願いしますね」

 

「ええ。こちらこそ、またよろしく頼むわ」

 

「はいっ!」

 

「みんな〜!ご飯できたよ〜」

 

私は上の階でごろごろしてるみんなを呼ぶ。

ほのかちゃんはストレッチをしてたのか、すぐに気づいたけど、志穂ちゃんは寝ていたのか、なかなか気付かなかった。

もう……世話を焼く子だなぁと思いつつも、頼もしいからなんとも言えない。

でもそれが志穂ちゃんのいいところでもある。

 

「ん……おはよう」

 

「んもう志穂ちゃん、また寝てたでしょ」

 

「実家から頼まれてることがあってな。それやってたら寝てた」

 

「もう……」

 

私はちょっとだけ怒るといつも舞花ちゃんやほのかちゃんに「かわいい」って言われる。

かわいいのはふたばちゃんなのに……

 

「いただきます」

 

私はBirdとチームのみんなでご飯を一緒に食べる。

そこでは、みんなで笑い合って、すごく懐かしい日に感じた。

全ては、あの日から……

 

ー10年前ー

 

「陽菜……どう?」

 

「うん。おいしいよ」

 

「ほんと……?」

 

「うん!これならきっとお母さんも喜んでくれると思うよ!」

 

「よかった……ぐすっ……」

 

「もう……泣かないの……」

 

「陽菜……ありがとう……」

 

 

 

 

「……!」

 

「陽菜?どうしたの?」

 

「う、ううん。ちょっと昔を思い出して……あはは……」

 

「なんか、怪しい」

 

「そ、そんなことないって〜」

 

みんなから怪しい目をされたけど、ひとまず落ち着いて私は自分の部屋に入った。

 

ー翌朝ー

 

「おはよ〜」

 

私はいつも通りの時間に起きる。すると、目の前には、みんなが待ってくれていた。

 

『陽菜、お誕生日おめでとう!』

 

みんなが私の誕生日をお祝いしてくれた。

私はちょっとびっくりしながらも、舞花ちゃんからプレゼントをもらう。

 

「ふふっ。ありがとう。みんな」

 

今日は忘れられない一日になりそうなことを予感していた。でも今日はそれだけじゃない。

私の親友との、久しぶりの再会もあった。

 

「あれ、陽菜どこ行く?」

 

「今日はちょっとお出かけに行ってくるね」

 

「そうか。行ってらっしゃい」

 

「うん。行ってくるね」

 

そう言ってやってきたのは東京駅。

ここに銀の鈴という場所があって、そこに向かった。

10年ぶりのふたばちゃんとの再会。

あの日からどんな風に変わったのかな……

時刻は9:30になったところ。ちょっと早く着きすぎちゃったかな。

でも、それは彼女も同じだった。

 

「は、陽菜……?」

 

私の名前を呼ぶ声がした。

 

「はい……?」

 

私は最初、誰かわからなくて返事を返してしまった。

 

「六石陽菜さんですか……?」

 

「そ、そうですけど……」

 

「よかった……私のこと、覚えてる?」

 

「あ、ふたばちゃん!?」

 

「当たり」

 

10年ぶりにふたばちゃんと再会した。

あの時とは違って大人っぽくなってて、イヤリングも付けてた。

そのイヤリングが少しだけ眩しくて羨ましかった。

 

「久しぶりだね!会えて嬉しいなぁ……」

 

「リボン付けてなかったから誰かと思ったよ〜」

 

「ふふっ、リボンは家に置いてきたの」

 

私は今日はリボンをつけなかった。その理由は……秘密……

 

「リボンをつけてない陽菜もかわいいよ」

 

「て、照れるなぁ……////」

 

私の顔が赤くなる。

でも、素直に嬉しかった。

 

「あ、そうだ!陽菜、目を閉じて」

 

「え?目を閉じる?」

 

「いいからいいから」

 

私はふたばちゃんに言われるがままに目を閉じる。

その間、私の髪に何かをつけるふたばちゃんの姿があるような気がした。

ふたばちゃん、リボン付けてくれてるのかな……

私は髪に結ばれるリボンの色が何色なのかを想像しながら待っていた。

 

「はい、目、開けていいよ」

 

ふたばちゃんにそう言われてわたしは目を開ける。

 

「綺麗……!」

 

「すごく似合ってるよ!」

 

「そ、そうかな……」

 

「ふふっ、やっと約束、果たせたね」

 

「これが……」

 

「そう。10年前に陽菜の誕生日の時に渡したかったリボン」

 

「ふたばちゃん、覚えてくれてたんだね」

 

「もちろん。ずっと忘れてなかったよ」

 

「私は……忘れちゃってたかな……あはは……」

 

私に結ばれた新しいリボンは青いリボン。

シンプルだけど、今までとちょっと違う感じがした。

でもこれも、すごく新鮮でいいかも。

みんなからは「似合わなさそう」って言われそうだけど、ふたばちゃんが選んでくれたから自信があった。

 

「陽菜、今日って休み?」

 

「うん、休みだけど……」

 

「じゃあさ、この後どこか一緒に行かない?」

 

「え?どこか?んー……あ、そうだ!」

 

私とふたばちゃん、2人で行くべき場所が決まった。

 

「ねぇふたばちゃん。一緒に水族館に行こう!」

 

「いいね!行こっか!」

 

私とふたばちゃんは電車に揺られること約30分、水族館の手前に着いた。

 

「わぁー!これがスカイツリー?」

 

「ふふっ、そうだよ。初めて見たでしょ?」

 

「うん!」

 

ふたばちゃんは子供の時と変わらず、元気いっぱいという感じで変わらなかった。

そんな彼女と一緒に水族館に入る。

 

「わぁー!綺麗……」

 

「ふふっ、まるで子供みたい」

 

「もー!そうやって失礼なことを!」

 

「あはは……」

 

「あ、ペンギンだよ!ほら!」

 

「あ、かわいい!」

 

私も元気な彼女についていく。

彼女も私に気を遣ってくれているけど、無邪気なところは変わってなかった。

ゆっくりと歩きながら、水族館の中を回る。

そういや、こうして2人で時間を一緒にすることも久しぶりだけど、最近は忙しくてあまり休みもなかったから、こうして休みが取れるのはすごくいいことなのかな……

そんなことを思いながら、私はアザラシを見ていた。

 

「ふふっ、あのアザラシ志穂ちゃんみたい」

 

「志穂ちゃん……?」

 

ふたばちゃんがきょとんとしているから説明した。

 

「私の所属する事務所の声優の1人。いつもマイペースというか……ぐーたらすることが多いけど、やるときはやるみたいな感じの子」

 

「へー。このアザラシにそっくりだね」

 

「志穂ちゃんとアザラシ好きなんだよ?」

 

私は写真を撮って、舞花ちゃんとほのかちゃんに「水族館で志穂ちゃんがいたよ」って冗談混じりにチャットで送った。

そしたら志穂ちゃんから「陽菜、そういう奴だったのか」と言われちゃった。

でも、志穂ちゃんだから許してくれるよね?

なんて思いながらゆっくり回っていた。

最後にお土産として、あざらしのぬいぐるみと亀のぬいぐるみを買った。

 

「陽菜、亀好きなの?」

 

「うん、亀井さんっていう亀を飼ってるよ?」

 

「亀井さん……?なんだか人の名前ぽい……」

 

「だからー!人じゃなくて亀なの!」

 

ちょっと頬を膨らませる。

でもふたばちゃんは「冗談だよ」って言ってくれた。

やっぱり私にとって一番大切なのは……

 

水族館を出ると、そこに……

 

「あれ?マネージャーさん?」

 

「あれ!?陽菜ここにいたんだ」

 

「はい。ふたばちゃんと水族館に」

 

「そっかそっか。ふたばちゃんと会えたんだね」

 

「はいっ!」

 

少しだけ時計をチラッと見る。

時刻は12時を過ぎたところだった。

私とふたばちゃんは目を合わせる。

 

「マネージャーさん、この後何か予定ありますか?」

 

「いや、事務所に帰るってだけで特に予定はないけど」

 

よし。だったらチャンスだ。

私とふたばちゃんと目が合う。

せーのと2人は息を合わせて口にした。

 

『マネージャーさん。一緒にご飯食べませんか』

 

「え?いいけどそれって……」

 

さすがマネージャーさん!察しが早い!

 

「マネージャーさんの奢りでご飯が食べたいなぁ〜」

 

そういうとマネージャーさんは苦笑しながらこう答えてくれた。

 

「しょうがないな〜。行くか」

 

ふたばちゃんとハイタッチ。こんな機会、滅多にないもんね……

 

「僕は何でもいいけど、2人は何食べたい?」

 

ここでもふたばちゃんと目があった。

ここは……あれに決まってるよね……

 

せーの

 

『オムライスが食べたーい!』

 

「よし、行くか」

 

『やったー!』

 

ふたばちゃんの好物、オムライスを食べることに。

ちなみに私たち2人で最後に食べたのもオムライス。

だから思い出が沢山あるんだ。

少しだけ子供に戻れた気がして、思い出せた気がした。

 

ーその日の夜ー

 

「ただいま〜」

 

「陽菜。おかえり。ふたばちゃん、どうだった?」

 

「うん。すごく元気だったよ」

 

私はチームのみんなのことも大事だけど、一番大事なのは親友のふたばちゃんのことも大事だとわかった。

今日はその気持ちを持てたことが、いちばんの幸せだった。

そして気付けば、私はマネージャーさんに電話をしていた。

 

「もしもし?」

 

「あ、マネージャーさん。お願いがあるんですけど……」

 

「お願い?」

 

私はそのお願いを伝える。

そのお願いを聞いたマネージャーさんは「明日社長に伝えて許可が降りればいいよ」と言ってくれた。

明日が楽しみなまま、私は目を閉じた。

 

ー5月ー

 

今日は私たちが所属するAiRBLUEのライブ当日。

みんなが緊張してると口をそろえる中、私はリボンを結んでいた。

 

「あれ、今日は青いリボンなんだね」

 

「ふふっ、今日は晴れてるから、青色がいいかなって」

 

「あはは!陽菜らしい」

 

でも、本当の理由は違う。

普段は桃色のリボンをつけてる私が、青色のリボンをつけてる理由。

それは、今日この会場にふたばちゃんがいるから。

マネージャーさんに「ふたばちゃんをライブに誘いたい」とお願いしたら、「OK」と言ってくれた。

だから今、きっとこの会場にいるはず。

だから青いリボンを私はつけている。

それでも、違和感はなかった。

そして私たちの出番。

いつもは緊張しているけど、今日は緊張していなかった。

新しい一歩を踏み出す怖さに怯える自分はもういなかった。

わたしは、強く踏み出す勇気をふたばちゃんからもらったから。

だから、そのステージを見ててね。

 

「みなさーん!こんにちはー!」

 

『こんにちはー!』

 

「早速ですけど、今日の私、いつもと違うところがありまーす!」

 

みんなからは「どこだ?」と探す声がちらほら。

 

「それは、リボンの色が青色になってます!」

 

会場からは「気づかないよー」とか「マジか」という声が響く。

 

「このリボンは今日この会場にいる、私の友達がくれた、大切なリボンです。そして、このリボンは約束のリボンです」

 

会場からは拍手が沸き起こる。そしてその瞬間、ふたばちゃんと目が合う。

 

「その友達は、今、夢に向かって頑張っています。そんな友達と、全ての夢に向かって頑張る人のために全員で歌います」

 

 

 

 

「聞いてください。Tomorrow's Diary」




皆さんこんにちは。執筆者のおみです。
この度「約束のリボン」を読んでいただきありがとうございます。
このお話は少し前にTwitterでのやりとりで思いついたものです。
陽菜の誕生日に投稿したかったなと思いつつ、この日にしました。
久しぶりに恋愛関連以外のものを書きましたがうまく書けているでしょうか。
是非感想等々くださると嬉しいです。
このお話は短編なので、これ以降の執筆はありません。ご了承ください。
それでは次回の小説をお楽しみに。

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