気分屋マヤノちゃんがクラシックを荒らす話。   作:隣のAG/マヤノテイクオフ

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「尻尾ハグ」の存在によって、尻尾を絡ませるような相手は“特別”な相手であることが証明されましたね
この空白について、匂わせ以上の感想は控えて貰えると助かります
あれ、ということは本編のマヤちゃん…


IF02 ジュニア王者

 

 

 チーム・アンタレスの部屋は、一ヶ月もしないうちにテイオーとマヤノの私物で溢れることになった。

 

 

 

 取ってきたと思われるゲーセンプライズ(大きなぱかぷち含む)が置かれたソファ、マーベラス!なものらしい謎のオブジェ(金の鯉…?)と戦闘機のフィギュアが飾られた棚、謎の葦毛ウマ娘が突然置いていった大漁旗(黄金船と書かれている)にお気に入りのお菓子等。 マーチャン人形は真ん中に鎮座している。

 「あれこんなぱかぷちあったかな?」とテイオーの身に覚えのない物もあるが、それはトレーナーが貰った物である。チーム宣伝の際にマスコットにする予定だと言ったら、ならセンターだよね、と他より大きいのもあって、ぬいぐるみたちの中心へと配置された。

「マーチャンは楽しいお仲間がいっぱいですねー」

 当人もカメラで保存しているし、これはアリらしい。

 それはさておき、頭を抱えたくなる問題が発生していた。新人トレーナーには何が正解かわからない問題である。

 

 

 マヤノトップガンとトウカイテイオーは控えめに言って、天才である。

 アストンマーチャンもまた、秀でたスプリンターの才能をみせている。

 

 特にマヤノトップガンはトレーニングを考える中、すぐさまその天性の感覚によって2、3回で理解してしまう様を見せられ、何をさせるべきかわからない。

 

 さらには気まぐれで飽き性という点である。何度も同じトレーニングするのは「つまらない」と言う。今日はこれやりたいと言うのは可愛いほうだ。

 先輩トレーナーに頭を下げ、一般的なトレーニングはどういったものなのかを一通り実践してはいるが、それでもあの手この手で別のトレーニング方法を考えては、モチベーションを保つため頭を悩ませることとなった。

 

 逃げ・先行・差し・追込、脚質に捕らわれない彼女のスタイルは今までの常識を覆すもの。マヤノトップガンはどれでもできてしまうのだ。

 ビデオで見せた過去のG1ウマ娘の動きをほとんど再現して見せたり、観戦していると「ここで内に躱す」とか「もう少しでよれるからそこでバーッと」とか一目で勝負所を見抜いてみせるのであった。

 マーチャンにもできるウマ娘は知らないですねーと言われるくらいだ。

 ここまできたら、好きに走ってもらうのが一番良いのではないか。

 そう思い平日は基礎的なトレーニングだけではなく、先輩トレーナーに頭を下げに行き、積極的に並走トレーニングを組むことになった。

 マヤノと同期でデビューするウマ娘がいない先輩チームを優先せざるを得ないが、せっかく先輩ウマ娘と直接並走することができるのだから、これを生かさない手はない。

 様々な戦術をその一端だけでも触れることができれば、そのままマヤノの手札が増えるだろう。

 

 

 

 一方でトウカイテイオーについてだ。

 期待の3冠候補と有力視されていたこともあり、契約したことで同業者からの妬みはひどくなったが、そんなことに対応している場合ではなくなった。

 

 マヤノトップガンがある日言った、このままだとクラシック3冠を取る前に骨折してしまうだろうという話だ。

 なんでもすぐに理解ってしまうマヤノトップガンの言葉を、有り得ないと断ずることはできない。

 ウマ娘にケガは付き物だ。今までも多くのウマ娘がケガに悩まされ、引退の原因となった例が少なくない。

 しかし、クラシック3冠となると2年以内ということだろう。トウカイテイオーはとても身体の柔軟性があるウマ娘だ。柔らかさでケガを防げないとなると、走法をどうにかするしかないだろう。

 ただでさえ同期や他のベテランを名乗るトレーナー達からの妬みやっかみで、頼れる同業者は少ない。研修時にお世話になった、スピカ・トレーナーを訪ねることにした。他につてがないともいう。

 

 そこで1年かけて、ジュニア期の内になんとかしよう。と協力を取り付けることに。対価として並走の機会を優先的に求められたが、距離適性が近いウマ娘ばかりで願ったりである。

 短距離のウマ娘はいないので、アストンマーチャンの為にも1度だけリギルのトレーナーと話す機会を設けてもらえたのは感謝しかない。

 この恩はいずれ必ず。金欠の噂もあるので食事代くらいなら全然苦にならないが。

 

 アストンマーチャンの記憶に残す、ということに有効な策は現状思いついていない。

 仮に重賞を勝利することができたとして、有効であるかがわからない。

   ◇◇◇◇◇

 

 

 

 休日には「お出かけしよ!」とごねるマヤノ達に引っ張られて、デートという名目で週末はレース場へ行くことになった。記録と研究用にビデオカメラも持参である。

 テイオーははちみーなる濃厚な蜂蜜ドリンク(というより原液?)を飲んでいるが、あれで1杯2千円とかだったような。いいところのお嬢様という噂は本当だったのだろう。なおマーチャンはビデオカメラを構えたトレーナーのレンズに写るようにうまく位置をとって手を振っている。

 

 そんなこんなで年末に向けて準備は順調に進んでいった。

 

 

 それぞれがデビュー戦を難無く勝ち、話題の新星チームとして注目されることになった。

 が、トレーナーへの風当たりは比例するように強くなっている日々は、あまり気分がよろしくない。マーチャンによって助けられた機会も多く、存在感の薄さで助かったことは喜べない。

 トウカイテイオーに直接手を出すことがないのは、なによりあの生徒会長(シンボリルドルフ)のお気に入りであるというのが大きいだろう。

 万が一があれば社会的に抹殺されるのは目に見えるのだから。

 

 

 トウカイテイオーはクラシックの足掛かりとして、ホープフルステークスを。

 マヤノトップガンはティアラ路線ということで、比較的に苦手なマイルで走る経験を増やす為にも、朝日杯フューチュリティステークスを初のG1レースに選ぶことになった。

アストンマーチャンは阪神ジュベナイルフィリーズが初のG1となる。朝日杯と同じく阪神なのは日程的に困らないこともあったが、彼女の目的のためにも重賞を走ることは必要だろう。

 

 

 結果から言うと、それぞれがG1勝利をもぎ取り、チーム・アンタレスはジュニア期の年度代表バを独占することになった。

 このままクラシック3冠、トリプルティアラの最優力候補としてマークが厳しくなるだろう。トレーナーは現実感の薄さにあまり喜ぶ余裕はなかったのだった。

 

 

 なお、新年早々トレーナーの身に、大惨事になりかけたことがあった為、トレーナーの身の安全の為にも一時的にリギル預かりとなり、暫く厄介になることが決定したと記しておく。

 

 仮にも生徒会のトップとその顧問なのだ。未来のスター候補を同業者の不祥事で失うわけにもいかない。

 

 

 リギル・トレーナーの当時の苦労話も聞くことになり、先輩としての株が上がったのは言うまでもない。

 

 チーム広報用アカウントは、マスコットキャラクター扱いのアストンマーチャン人形をどれも使っているのだが、ウマ娘の“名前がわからない人形”と人形自体は少しずつ認知されているようだ。

 そして、トウカイテイオーはシンボリルドルフへ宣戦布告を行った。





【挿絵表示】

「はい。アストンマーチャンです」

「マーチャン人形を置いておきます」

「マーチャンだと思って大切にしてくださいね?」
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