コア娘アーマードダービー   作:舌百

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水没、浮上

諸君、初見となる。私はランク一位、オッツダルヴァだ。今は協力相手のホワイトグリントにメインブースターを撃ち抜いてもらって水没している最中だ。

 

「くっ、駄目だ…沈んで行く…!」

 

我ながら名演技だ。これならば相方のリンクスにも気づかれないままORCAに合流できるだろう。

ここまでは計画通り。あとはメルツェルの操艦する潜水艦に回収されれば計画完了だ。

しかし、想像以上に威力が高かった。おかげで今にも気を失いそうだ。どうせ操縦できないし、少し眠るくらいならば良いか。そして私は、回収をメルツェルにまかせることにして目を閉じた。

 

目を覚ますと、なんか体が軽かった。そして、体が水浸しだった。

慌てて体を起こすと前世と比べて何か視点が低い。しかも周囲を見渡して辺り一面に広がるのは森である。自分が今の今まで浸かっていたのはその森の中にある浅い湖…というか水たまりである。水自体は澄んでいて綺麗だ。

だがしかし、そんなことはどうでもいい。何故地上にここまで綺麗で清浄な空気が残っているのだ。地表というのはコジマで汚染し尽くされ地表の殆どが砂漠化したのではなかったのか。

そして何故私はそんなところにいるのだ。

本来ならメルツェルに回収されて潜水艦の中で目を覚ます算段ではなかったのか。

ランク1位の私の思考を用いても理解に足りない。ひとまず水に浸かったまま思案するわけにはいかないので立ち上がると視点が明確に低かった。

まさかと思い水面に映る自分の顔を覗く。

 

「は?」

 

そこには、自分の顔ではなく少々キツめ印象を覚える顔をした美少女が映っていた。髪の色は薄い青で瞳はクリアブルーとも言うべき透明感ある色をしている。

いやいやいやいや、なんだこれ。まるでファルスとかそんなレベルではないぞ。しかも、なによりも特筆すべきはその頭の上に乗る謎の長い動物の耳だ。

馬とか兎とか、そんな類の長い耳がそこには生えている。まさかと思って尾骨の部分を触ると、そこにはやはり尻尾が生えていた。

サラサラとした長い尻尾。馬…に類するものだろうか。つまり私は水没して寝て起きたら馬のような女になっていたということか。

……。

 

「納得できるかぁ!」

 

つい口に出してしまう。

 

数分待って自らを落ち着かせる。とりあえずの脳の整理は済んだ。ひとまず今はこの世界の概要についての把握をしておかなくてはならない。

まずわかっていることとして、この世界にはコジマ技術は存在しない。存在していたならこんなに綺麗な空気も水もおそらくない。つまり、世界がそもそもまるっきり別ということだ。信じづらいが今実際こうなっているという事実がある。信じないわけにはいかないだろう。次に、確証はないがこの世界には獣人とかそんな感じの存在がいると思われる。一般的か差別対象かは別としても私がなっている以上ありえない話ではなさそうだ。

そして最後にこの世界の技術水準がなによりも重要だ。文献で見た中世のような世界であればたまったものではない。だが、これが我々の生きていた世界より少し前の世界くらいの技術水準であるならば、常識から外れたようなことは少なくて済みそうだ。

考察はこの程度にして、ひとまずは森を抜けることにするか、そう思い立ち上がると急に風が吹いた。そして、私の体を震わせる。それもそのはずで今の私は水に濡れた体に濡れた衣服を纏っているのだからな。

衣服?

今まで疑問を抱かなかったがなぜ私は自分のサイズにあった衣服を身に着けているんだ?

そう思って自分の体を見返すとオーバーサイズな白の半袖とホットパンツと呼ばれるような服を身に着けていた。ホットパンツの下には白の下着、ブラに該当するものは胸の薄さからついていない。そして、当たり前だが前世で長いこと連れ添った相棒はどこかへと行ってしまっている。

 

兎にも角にも人里に出ないことには始まらないと森を抜けるために駆け出す。

すると、その速度が凄まじかった。さながらV.O.Bを使ったときのような異次元の移動速度。周囲の木々が一瞬のうちに自身の後方へと抜けていく。

慌てて立ち止まる。

後ろを振り返るとはるか遠くの方に先程まで自分がいたであろう水たまりが見える。軽く走っただけのような気がしたが前の私の体とは根本的に作りが違うのだろう。走るときはセーブをしてからにしなくては。

力の制御が未だうまくできないため、歩くことにした。

歩き始めてから約20分。いきなり視界が開けた。そこは坂になっていた。

そして、坂を下って少しした先には街が見える。

一先ずはそこを目標に据えて歩を進め始めた。




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