ロドスで事務員をしながら平和に行きたい人生でした   作:新人DOCTOR

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01 プロローグ

絶望なんてものは、案外近くにある物だ

 

 

 

 微かな違和感を覚え、目を開けば其処は見慣れぬ天井

 先ほどまで寝ていた小汚いベッドの横には、錠剤の入った瓶が一つ。ラベルにはテトロドトキシンの文字。

 立てかけていた鏡を見れば、そこには筋骨隆々の見覚えのない男が一人。

 

 ―――自殺するなら、だれも巻き込まずしてほしい。

 

 

 

 

 

 ○月%日

 この混乱する頭を落ち着ける為一旦日記を書こうと思う

 俺の名前はガラマ、勿論転生前の名前という訳では無く"この体の元の持ち主"の名前だ。

 どうやら俺はサルカズで元傭兵現トランスポーターだったらしい。元の体の持ち主の記憶を脳から思い出せる事にすぐ気づけて良かった。

 

 自殺の理由は端的に言うと感染者として生きていくのが辛くなったため。

 まあこの世界感染者への風当たりが酷過ぎて笑えないレベルだからな、さもありなん。俺がその後を引き継ぐことになったのは許されざるだが。

 

 書き忘れていたがこの世界はテラ……要するに"アークナイツ"の世界だ。

 そう、あのアークナイツである。数ある物語の中でもトップクラスに救いのない世界の一つ、しかも感染者として。

 うーんこの罰ゲーム、俺はただ深酒して寝ただけなんだが……もしや急性アルコール中毒で死んだか。

 

 取り合えず、トランスポーターとして動いていこうと思う。

 幸いここは竜門、感染者だとバレなければ割と文化レベルも高く金の集まる良い町だ。ここで色々生きる準備をするとしよう。

 

 

 ○月×日

 取り合えず角を切って顔を隠せるようにした。

 前の俺を知ってる奴の中には俺を感染者だと知っている奴も居るからな、身バレには気を付けなければならない。

 

 その後、自身アーツについて調べてみた。

 効果は自分限定での傷の高速再生、使い過ぎると鉱石病の進行が早まるが余程使い過ぎなければ大丈夫らしい。

 取り合えず半身が吹き飛んでも無事なのは記憶で確認済み。転生の影響があるかどうかは分からないが、指を切る程度なら秒も待たずに再生した。

 

 また、自身の体力も一緒に回復しているらしい。

 恐らくどれだけ働いても疲れ知らずで精神力が尽きるまで働く事が出来る。24時間どころか100時間でも200時間でも、何なら1000時間だろうが働けるだろう。やばい。

 

 

 ○月◆日

 前の俺は相当優秀だったらしい。

 たいていの武器は達人級に扱えるし、ビルとビルの間もサルカズ特有の馬鹿げた身体能力とパルクールの技術で難なく飛び越える事が出来る。

 また、医療の知識も多少あるらしく傭兵時代では軍医替わりの仕事もしていた(という記憶を思い出した)

 他にも野外活動の知識や変装技術に効率的な拷問の仕方や武器の整備に運転技術等々、なんでコイツ自殺したんだというレベルで超優秀。

 

 ……まあ、そこまで優秀でもロドスにたどり着けなければその末路は悲惨だ。

 特に前の俺は半端に医療の知識を持っていたばかりに悲惨な現場を数多く見ていた。今の俺も正直思い出したら気分が悪くなるような光景だ。

 そんな中を自分が感染者であることを隠しながら生きて来た(その影響で変装技術は身に着けたらしい)彼は、遂にその精神が限界に達してしまった、という訳だろう。

 

 嫌な話だ。

 

 

 ×月%日

 一か月が経った

 龍門で仕事をしながら何かがおかしいと思い記憶を思い出したり調べたりしたらまだロドス出来てない事が判明した。

 カズデルの内戦もまだ終わって無いようだし多分バベル時代だろう。

 正直龍門で準備したらロドスに行く予定だったのでどうしようかと一瞬考えたが、バベル時代から居る古参オペレーターとかかっこよくね?という中二心を擽られカズデルまで向かう事にした。

 

 ……中身は元々戦いなんて殆どしたことが無い一般会社員だったんだが、戦う事に全く抵抗を感じない。

 恐らく、"そういう事"なのだろう。

 

 

 X月Z日

 移動に随分と時間がかかったがカズデルまでやっとこさついた。

 記憶にあるカズデルも酷かったがそれ以上に酷い。これでは戦後テレシスがヴィクトリアに行くのも納得と言う他無い。ぶっちゃけ内戦が終わっても国として破綻しているだろう。

 アーツが飛び交う戦場を走り民間人を助けそこから話を聞くと、どうやらバベルは既に参戦しておりテレジア側がかなり押して居ると言う。

 

 今からオペレーターになるのは厳しいかもしれないし、よくよく考えてみたら古参オペレーターって死亡フラグでは??と思ったので大人しく民間人助けて置くことにした。

 テレジアを助ける事も出来るかもしれないが、アレ助けたらどうなるか全然わからないからなぁ。むしろ悪い方向に向く可能性も考えるとノータッチが無難だ。

 

 龍門居る間に色々あって金はそれなりにあるのでそれを使って難民キャンプと赤十字の医療テントを設置、ここは今から国境所か世界の堺も無き医師団や!!

 

 

 △月A日

 多分これ以上ないってぐらい働いてた間に内戦が終わった。

 人は俺の活躍……というよりはそれに感化され手伝ってくれた方々のお陰で規模にしては被害が少なかったが、建物やらその他諸々他がボロボロである。恐らく今後十年は国として碌に機能しないだろう。

 

 俺も長くここに居て少し情が移ってきてしまったが如何にかできる程の力もないのでここでお別れだ。俺は少し経ったらコッソリロドスに行って事務員として安定した収入を得るという目的があるのだ。

 

 俺の目的を知らない為か、何人か付いていきたいという若者達も居たが彼等には内戦の間に前世で建築業界などに居たときの知識や今世の前の俺の技術をそれぞれ仕込んだ。

 この知識と技術を使えば食いっぱぐれる事は無いだろうしカズデルの復興にも役立つだろうから、ここに残るか他の場所へ行くかを進めて置いた。というかこれ以上は流石に面倒見れないし。

 なんか号泣されたが彼等も戦争で心が疲れているのだろう、まあ生きてればこれからの人生良い事あるさ……多分。

 

 

 ¥月●日

 カズデルから龍門に戻って一息ついた。

 龍門の侵入も頑張れば割と何とかなる前の俺は本当に何者だろうか、記憶を見た限りではカズデルで色々やっていたっぽいが。

 

 さてはて、入ってしまえば感染者対策は割とざるなのでゆったりとセーフハウスで飯を食おうとしたのだがなんか視線を感じる。

 という事で少し探ればなんとちっちゃなロープちゃんがクローゼットの中に居た。しかもご丁寧に準備していた保存食を食いながら。

 君この時期から盗みやってたのね……。

 

 まあ盗まれかけて何もし返さないというのも教育によろしく無いので住居不法侵入罪で地獄こちょこちょの刑に処した後話を聞いてみることにした。

 いや普通なら通報するけど俺も龍門に不法侵入している身なので誤魔化すのにも限界があるし原作キャラ必要以上に拷問したり殺したりは流石にどうよと思いまして。

 

 話を聞くに親に家を追い出されて直ぐ、お腹が空いて通気口から入って来たらしい。この時期から盗みの才能の片鱗が出ている……。

 何か放っておけないので家で暫く面倒を見る事にした。カズデルでほとんどの金を溶かしたので懐に余裕がある訳では無いがまあ子供一人程度なら養えるだろう。

 幸いロープちゃんはまだ感染もしていない様なので働ける年齢になるまで待てば充分独り立ちできるし、ロドスに行くのはその後でも良いよな……。

 

 

 ◆月G日

 あれから数年がたった

 ロープちゃんは気が付けば立派に盗みのプロ兼看護師になり、俺はいつの間にかスラムで先生と呼ばれる立場になっていた。

 何なら鼠王に顔を覚えられたし、ドウシテコウナッタ。

 

 いや、何が悪かったかは俺でも分かる。

 恐らくスラムでカズデルでやったのと同じノリで面倒見たり鉱石病の治療(と言っても進行を遅らせる事しか出来ないが)したりしたのとか、マフィアの抗争に巻き込まれた時に酔ってどっちも殲滅したりしたのが悪いのだろう。

 だが違うんだ聞いてほしい、俺はロドスで事務員をするつもりであって別に医者になるつもりも戦闘員になるつもりもない。

 だからお願いだから俺をマフィアに誘うのはやめてくれ、ロープもニヤニヤしてないで止めてくれ頼むから。

 

 そうだロープだ。

 ロープもロープで気づかない内に盗みの技術が上がってると思ったら俺に医術を教えて欲しいと頼み込んでくるわ。

 何がしたいんだアイツはと思うが俺も人の事言えないし、医者や看護師はどこの都市でも足りてないから食いっぱぐれる事は無いから良いか。

 今は俺の手伝いって事で看護師というか助手っぽい事をしてくれている。正直めっちゃ助かっている。

 

 後、ペンギン急便にも出会った。

 イメージ通り騒がしいが楽しい奴らだった。怪我した時とかに偶に面倒見たりする。多分全員とそれなりに良好な関係を築くことが出来たはずだ。

 出会いは正直非常にダイナミックだったが今では気の許せる友人である。

 

 龍門近衛局に関してはたまに顔を合わせる。何ならホシグマやスワイヤーだけではなくチェンとも出会った。チェン隊長の太ももはたまらねぇぜげっへっへ(おい)

 いや、まあ立場的にそれほど仲良くするわけにもいかなかったし何なら敵対しているようなものだがやはりいい太ももだ……とか考えながらコソコソ変装してやり過ごしていた。

 

 他にはまあ、ロープちゃんを連れて色々と一回旅をした程度か。

 シエスタやらラテラーノやらヴィクトリアやらカジミエーシュやらクルビアやら、後ウルサスも少し覗いた。

 天災トランスポーターに出会ったり、深き者どもに出会ったり、騎士と戦ったり、色々とあったが割と楽しかった。

 何人か原作で見た事ある人にも出会ったりと実りのある旅だったと言えるだろう。スカジはやっぱやべぇわ。

 

 さて、もうそろそろロドスが動き出して龍門も騒がしくなって来る頃だろう。

 グダグダしていつの間にかロドスに接触するのが遅れたがストーリー通りに行けば龍門で接触できるからそこでアピールしよう。

 

 ……ただ流石にチェルノボーグ放置はなんか心に来るのでもう一回赤十字やる準備してコッソリ行くか。

 保存食と医療器具、持って行けるだけ持ってかないとなぁ。

 




主人公
元超ブラック建築会社で設計をやってた一般会社員
割とオタクでブラック会社に入ってからもアークナイツは危機契約で18等級取る程度には何とかやっていたらしい。
かなりノリと勢いで動くバカ。そして割と度を越した善人。だが自分は善人だと思っていない。

後、綺麗な太ももが好き。チェン隊長の太ももが大好き。
変態である。顔には全く出さないから余計に質の悪い変態である。


ガラマ
主人公の体の元の持ち主
サルカズで王家に仕える身でありながら出て行ってそのまま行方不明になっていた男。
その実態は生半可に医術が分かり利口だったことでサルカズやこの世界の崖っぷち度合いを理解した結果発狂した男。高INT低POWの末路。
実はテレジアやテレシスに会った事がありテレジアには色々と勉強を教えたりしたが主人公はまだ思い出していない。多分今後思い出す事も無い。

戦闘能力:星6前衛&重装オペレーター級
医療能力:星5医療オペレーター級
特殊能力:スーパー自己再生(体力も含む)、変装を含めた潜入調査能力、卓越した運転技術、サバイバル用の野営技術等々
というスーパー化け物超人。コレでSAN値が足りていれば……。

なお、外見は二十代後半から三十代前半程の黒髪で角を削った筋骨隆々の軍人みたいな見た目です。


ロープちゃん
主人公の事を自分を真っ当に育ててくれた恩人だと思っている。
この世界線でのロープちゃんは盗みは働かず主人公に色々教わりながら過ごしていたが運命には抗えず気づいたら盗みの技術を会得していた。
ただし主人公を含んだ一部の仲の良い相手にしかその腕を振るわないという割と致命的なキャラ崩壊を起こしている。

医療オペレーターとして働く場合は星3扱いの群癒師となる。スキルはシンプルな回復力強化。素質によりスキル発動中回復範囲内のオペレーターの攻撃力が少しだけ上がる。


ペンギン急便の皆さん
割と主人公とは仲良くしている。
特に絡みが多いのはテキサスで、主人公は外からテキサスを中心としたラブコメを見ている気分で観察している。性格が悪い。
後はエンペラーと酒を飲んだり程度か。

彼ら彼女らからすると「こいつクソ強いし医術もその道のプロなのになんでこんなスラムに居るんだろ」とか思いながらも出会った時に思いっきり命を助けてもらった(本人自覚無し)ので恩を感じている様子。


龍門近衛局
主人公の立場が密入国者なので正面切って顔を突き合わせることは主人公が変装して町中を歩いている時以外無いが、噂として「裏路地でスラム街の人間を治療している医師が居る」と存在はしっかり知っている。
彼等もやってることが割と善行の類であり龍門の害になっているわけでもないので進んでしょっぴくつもりは無いようであるが目的も分からないという事で調査対象ではあるようだ。


カズデルの方々
カズデルで主人公が助けた方々。総じて主人公が勢いで色々教えたので何かしらの特殊技能を持っている。
現在はカズデルで復興したり他の場所に行ったり様々との事。中には……


感想もらえたら続くかもしれません。
追記:ふと見たら思ってた十倍お気に入りも感想も評価も来てて震えています。続き今から書くね……。

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