月曜日から少し多忙なので、更新が遅れるかもしれませんがご了承ください。
それでは、どうぞ。
壁に背をもたれていた私は、新たに開発した魔力を一種の電波の様に波紋状に放出し、その跳ね返りを用いて様々なモノの位置を把握する
そして彼がダンブルドアの用意した最後の試練
「・・・もう良い頃合いか。」
無造作にフクロウが振り落としてきた手紙を浮遊呪文でキャッチしてやり、読んでみたその中身は予想通り、先程ハリー達に伝えた緊急時の助けを求めるものだった。
私が手紙を確認するのを見たフクロウは、まだ残っていたもう一通の手紙を持ってどこかへ飛び去ろうとしていた。
恐らくダンブルドアへ向けた同じ救援を知らせる内容の手紙だろう。
ここは奴より早くハリーと闇の帝王の元に辿り着いた方が、ハリーの信頼を勝ち取り
ハリーを取り込められれば、将来的にダンブルドアに対する強い切り札になり得る上に、帝王への
そうと決まれば話は早い。飛び立っていくフクロウに錯乱呪文を強めにかけた私は、壁に激突したフクロウに目もくれずこの城の妨害呪文を全て跳ね除け、姿眩ましを行う。
妨害呪文越しの慣れない姿眩ましが引き起こす、不快な感覚に襲われながらも、姿現し独特の音を立てて私は第三の試練であるチェスの間へと瞬時に移動した。
その瞬間、チェス盤の上で座り込んでいたかすり傷を多少負ったグレンジャーが嬉々として声をかけてきた。
「フォートシュリット先生!」
私が着いた頃にはやはりチェスの試合自体は終えており、辺り一面に犠牲となった駒の破片が散らばっていて非常に歩きにくかった。
なので私はとりあえず愛杖を取り出して「
そしてその後に、床に倒れ伏し気絶したロンを介抱しているグレンジャーの元へ近寄り、
「グレンジャー、無事だったか・・・ハリーはどこへ行った?」
出来るだけ柔らかい笑顔で彼女の元に近寄り、背を低くして肝心な事だけを尋ねてみたところ、グレンジャーは矢継ぎ早にペラペラと話し始める。
「ハリーなら次の部屋に進んで行きました・・・石を盗もうとしている犯人が先に着いているかもしれなくて、すごく危険なんです!
だから私、ハリーに頼まれてフクロウを・・・そうだわ!ダンブルドア先生にも送ったはずなんだけれど・・・一緒じゃないんですか?」
チッ・・・。
何せ
私は今後の戦略を重点的に考慮しながら、冷静にグレンジャーに指示を飛ばしてこれからすべき事を伝える。
「いいかグレンジャー、よく聞くんだ。君はこれからロンを介抱して、ここでダンブルドア先生が来るのを待つんだ。」
「わ、わかりました!それで先生は一体どうするつもりで・・・。」
元からそうするつもりだったのだろう、グレンジャーは快く頷いて未だ気絶しているロンを手繰り寄せ介抱する。
そして私の方を向いて、何かよからぬ事が起きそうとでも言いたげな不安そうな表情を露わにして私の動向を問うてくる。
私はそんな不安がる彼女を安心させるように、ゆっくりと落ち着いた口調で彼女に述べる。
「私は・・・そうね、
私はそう述べた後、グレンジャーから一切の視線を外し、背を向けた後に、即座に姿眩ましを行い、みぞの鏡の設置された間へと瞬間移動を行なった。
残されたグレンジャーは、垣間見た先生の最後の表情を見て更に不安な、そして筆舌し難い感情に包まれていた・・・。
「フォートシュリット先生・・・・・・どうして
あんなにも
底知れぬ恐怖と違和感を感じ、何かが頭の中で引っかかるハーマイオニー・グレンジャーは、七年の時が経った後に漸く、その真実を理解するのだった。
移動した場所は最後の試練の部屋から少し離れた、会話しているクィレルとハリーからは見えない死角となっている壁の裏だった。
私はいつでも戦闘が行えるようにニワトコの杖を懐から出した時、杖からの反応に少し動揺した。
杖が、我が愛杖が言う事を聞かないのだ。
まるで私に、
なるほど、と私は理解した後に、この我が愛しの杖をそっと宥めるように片方の手で撫でつける。
(・・・私は
心の中・・・杖と私の魔力を共有し通じ合う中で、私は
すると杖は私を再び信用してくれたのか、この手に落ち着き、再度馴染み始めた。
これはニワトコの杖独特の性質であり、所有者が死に対して恐怖を抱いたり、死を受け入れない場合、忠誠を拒絶するというものだ。
私は亡者の軍団を形成するために
始まりが存在するならば、どんなモノにだって終わりが来るべきだ。
私もその
役目を果たし終えた以上、もうこの世界に私が存在する意義も、居場所もないのだから・・・。
いずれ来るであろう孤独な死を覚悟しつつ、私は未来のことから今のことへと意識を向ける。
目の前ではハリーと、クィレルの頭部に寄生した
(馬鹿なヤツ・・・。)
ハリー・ポッターという人間を僅かにでも知っていれば、あの良心の塊で形成されたような純粋な子が、闇に堕ちるわけがないと簡単に予想できる。
恐らくあれ程の姿になるまで落ちぶれた闇の帝王は、ハリーのポケットに入り込んだ、あの禍々しいまでの魔力を保持している賢者の石に対する欲に負けたのだろう。
思考が動物以下だ。
『わしと組めば、魔法界を支配できる・・・ハリー、お前と私ならば、何でも出来よう。』
死にかけた、萎れた悪魔のように霞んだ声で語りかける奴の姿は滑稽だった。
それに対してハリーは予想通り、頑なに帝王の愚案を拒絶した。
「・・・ッ、嫌だ!!」
やはりダンブルドアが見込んだ少年なだけはあり、闇の帝王を前にして怖気付かないとは非常に勇気ある少年だった事が、壁裏に潜む私にすら感じられた。
帝王も同様にハリーの事を評したのか、彼の両親の事を話すという、ハリーにとって
『ふははは!親に似て、勇敢だなハリー・ポッター・・・。』
帝王の顔は歪んだ笑顔だった。
恐らく自身が殺害したハリーの両親の事を思い出しているのだろう。
『どうだ、ハリー・・・二人にまた会いたくはないか・・・。
二人程度なら、呼び戻してやる事もできるぞ・・・?』
闇の帝王はみぞの鏡にハリーの両親を映し出し、彼の目を釘付けにしていた。
そして同時に彼、ハリーは自分の心の奥の傷を逆撫でされるかの如く、悲痛な表情になった。
私は、帝王がまるで目の前に甘い蜜を垂らした狩人のように、餌を吊るした釣り人の様にハリーを見つめる視線には呆れてしまって物も言えなかった。
目の前の両親を殺した男に、挙げ句の果てに自分の両親の魂さえ握られているという
否、
遠隔で放った開心術から覗いたハリーの心は既に死に物狂いの怒りと、壮絶な勇気に占められていた。
『さぁ、石を寄越せ!!』
そして彼は次の瞬間意を決したように、完全なる拒絶を、石を求め続ける哀れな帝王にぶち撒けた。
二度目の拒絶に対して流石に我慢の限界だったのか、闇の帝王は先程の歪な笑顔もどこへやら・・・強い憎しみに満ちた形相で、寄生しているクィレルに向けてこう告げる。
(・・・そろそろ出番ね。)
クィレルは寄生される事で疲労困憊なのか、帝王の指示に対して複雑な呪文を使おうとしない。
帝王自身は死に体のためか、死の呪文を自ら放とうとしないのも見て取れるように、連中は所詮弱った獣に過ぎない。
更には今ハリーに
だから別にここで無理に割り込む必要も理由も一見すればないのだが、目的は
ハリーの
私はクィレルが飛翔術を使い、ハリーに迫り来る正にその時に壁の裏から姿を表し、杖を大きく突き出し呪文を唱える。
呪文を詠唱し終えると、私の杖先からは普段からは想像も絶する様な、膨大な魔力の塊が
生の人間であれば肉体をそのまま引き裂かれるという悲惨な運命を辿るだろう。
だが仮にも魔法使いの端くれであるクィレル(+闇の帝王のバックアップ)もあり、咄嗟に
「『グォぉッ!!』」
だがその盾となるはずの
そしてプロテゴでも防ぎきれなかった私の放った風魔法は相当なダメージを与えたのか、帝王とクィレルは短い断末魔を上げながら鏡の方に吹き飛ばされて行き、無様に倒れて呻き声を上げている。
「フォートシュリット先生!来てくれたんですね・・・!」
驚いた表情で声をあげてこちらを振り返るハリー・ポッターに、私は何の感情も載せず冷徹な顔でこう述べる。
「無事で良かったわ・・・けれどハリーは下がっていて頂戴・・・ここからは
私の言葉を聞いたハリーは普段と変わった
そして私は、遂に目の前の無様な
「あら、初めましてというべきかしら・・・
まるで嘲笑う様な表情で、英国魔法界が生み出した最大の
『お前は・・・フハハハハ!!愚かな真似をしおって・・・!』
“ 小娘 ” そう呼ばれた事に強い不快感と怒りを覚えた私は、再度杖を帝王に向け直し、取り敢えずは挨拶がてらに返事を返してやる。
「えぇ、そうよ・・・私が
後ろで私達の会話を聞いていたハリーは、どうやら強い違和感を覚えたようでソワソワと私の後ろ姿を見つめ始めた。
そして、どこかで私の
私は余計な事を思い出される前に、じっとこちらを見つめ続けるハリーに、杖を持っていない左手で軽い錯乱呪文をかけてやり、彼の思考を矛盾させ、回転させ、停止させる。
少々想定していた事態とは異なり、ハリーの信頼を得るのは難しくなったが、帝王との対話を行う以上、仕方ない事だと甘んじて受け入れる。
だがこれで私達の会話に
ハリーには最後に
次に私が開発した魔法
私達にとっては普通の速さで時間が進んでいる様に見えるが、周りはゆっくり動いて見えるという、かつて談笑し合った
もちろんこの呪文をかける目的は、
だがこれらの細工により、漸く帝王と一対一でゆっくり、じっくりと
そして流石は闇の帝王と称されるだけの事はある。私の一瞬の動作と一連の魔法の発動を見抜いたようで、先程の強い憎しみによって歪められた帝王の表情は、また
『フハ・・・フハハハハハハハハ!!
まさかこれ程までの逸材とはな、グリンデルバルドの娘よ・・・。
どうやらお前は本当に
「いつまでも娘だのお前だのと呼ばれるのは気に食わないわ・・・私の名は
苛立ち気味に闇の帝王に侮蔑の視線を送ってやれば、流石にここで私を怒らせるのは不味いと判断したのか、高圧的な態度を少し緩めた。
そして、ヤツは
『そうか、ならばフォートシュリットよ・・・わしの元に付かないか。』
・・・お前の元に、
その全く予想だにすらしていなかった言葉を耳にした瞬間、私の中の
・・・いや、予想していなかったというのは
だが、私は少しだけ期待していたのだ。帝王と称される者ならば、少しはマシな会話をしてくれるだろうと・・・。
『お前と私が手を組めば、世紀を超えた闇の魔法使いの結託だ・・・
そうなればこの世界はお前と私で半分に分かち合えよう・・・?』
だが目の前の
『お前は優れた魔法使いだ、フォートシュリット・・・この世に善も悪も存在せぬ事くらい承知していよう?
・・・お前とお前の父親が掲げた
私は、目の前の
これまで幾多もの回数、人や物を恨んできたが、今回はその比ではなかった。
私は人生で
マグルに向ける侮蔑と軽蔑の視線ではない。
絶対的な、無条件な
私はこの時点で、そんな
「フッ・・・フフフッ・・・フハハッ!!」
そして私も、目の前の愚物に続いて甲高い笑い声を上げた。
しかしその笑い声はこいつに対する同調ではなかった・・・むしろ
その様子に帝王は何を勘違いしたのか、自分と結託する事を決めたのだと思い込んでいるようであり、不気味な笑顔を浮かべていた。
『・・・良いぞ、グリンデルバルドよ。お前はもう、我が
愚かな帝王は此方に近寄ってきて、私が備え付ける美しい父上譲りの銀髪に触れ、慈しもうとした・・・私は微動だにせず、ただその
そしてその刹那、私は無詠唱で
『グゥゥッ!?
・・・ガ・・・ガァァァァァッッ!!』
以上三つを重ね合わせた、最高峰に高度な闇の魔法を駆使して、
あまりの魔力が載せられた呪文だった為、一瞬青白い衝撃波が周囲に撒き散らされ、クィレルと帝王は後ろに吹き飛ばされた。
私がかけた呪文の痛みは恐らく闇の帝王を以ってしても身悶える程の死を超えた、想像を絶する痛みに違いなかった。
痛みの余り既に気を失ったクィレルと、未だ目の前で悶え苦しむ帝王の姿は、そう思わせるには十分だった。
私はそんな彼等には目も暮れず即座に周囲に
ゴォォォォォォッ!!
刹那、青白い炎が私の周囲に円形に引かれ、既に円内にいる動かなくなったハリー・ポッターと私以外は、この円の中に入る事が不可能となった。
これでハリーの安全は保てるだろうと、後ろの心配事を消した後に、円の外で苦しみ悶え続ける帝王に近寄る。
『グァァァァァ・・・な、なぜだ・・・お前は私に従うはずでは・・・!!』
「
軽く嘲笑した後に、私は確信した。
この火だるまと化した男にはこれから私が懇切丁寧に説明する話を聞き届けて貰う必要がある事を・・・私が
ゆっくりと口を開き、私はこの男の言ったことの全てを否定し始めた。
「笑わせるな・・・お前如きが、この私を従わせるなど、出来の悪い童話にすらならん。」
『キ、貴様ァァァァ・・・ガァァァッッッ!!』
強い憎悪を吐いた帝王だったが、私は焼け爛れたクィレルの皮膚を見て、このままでは肉体の方が持ちそうにないと瞬時に理解した。
現状、クィレルという
この男の肉体が朽ち果ててしまえば、帝王の魂をここに留まらせる事は困難を極める。
そしてそれはヤツの逃亡をいとも簡単にしてしまう抜け道だったのだ。
ゆえに私は、私の強烈な魔力に歓喜する愛杖をクルリと翻すように振り回し、ヤツに取り憑いていた悪霊の炎を綺麗に取り去る。
だが未だに
「これでマトモに話せるかな?トム・リドル。」
『その・・・名で、呼ぶな・・・小娘がッ!』
明らかに弱った帝王はそれでも私に反抗心を持ち続ける。
健気な事だ。ぜひ
「あら、そう?
先程私を家名で呼び続けた貴方にそれを言う資格があるかしら、お馬鹿なトムさん?」
クスッと含み笑いをして、存分に屈辱を与えてやれば、床をのたうち回るこの男からは、強烈な痛みに耐えながらも、想像もつかないような憎悪に溢れた鬼の形相が現れた。
『許さん・・・許さんぞ・・・単なる小娘如きがこの俺様を・・・この俺様を・・・ガァァァァァァァァァ!!!!』
一般の魔法使いが聞けば恐怖に震え上がる様な悍ましい憎悪の叫び声だが、私はそれにも勝る極めて冷酷な表情で一方的な蹂躙を続ける。
「・・・貴方は大いなる勘違いをしている様だから、私がそんな無知な赤子に知恵を与えてやろうかしら。
まず第一に我が崇高なる理想は、お前に想像できる様な薄汚い
我が父上と、私に課せられた使命は・・・我々の
「魔法界を
私はそこまで言い切ると、自分の顔が妙に歪んでいく感覚を覚えたと同時に、ある疑問も浮かんだ。
だがその疑問に答えるよりも私は目の前の事を優先し、痛みから平伏している
「
魔法の発展は、
お前のその
そこまで私が言い切った時に見た帝王の表情は、恐らく私が出会ってきた人物の中で最も醜いモノであったと断言できる。
だが歪んだ男の事など取るに足らない様子で、私はこの男への説教を終えて小さな後悔を述べ始める。
「本当はもっと期待していたんだよ、トム?
貴方がひょっとしたら
私は心底残念そうな顔で、目の前の酷く歪んだ
『ガァッ・・・!!!』
「闇の帝王・・・そんな壮大な名を取るに値しない、力に溺れた哀れなトム・・・お馬鹿なトム。」
私はクルクルとニワトコの杖を振り回しながら、クスクスと嘲笑い続け、トム・リドルを小馬鹿にする形容詞をひたすら繰り返し、目の前の愚物を馬鹿にした。
そうして
私が帝王を嬲る様子を無言で見続けるハリーは、錯乱の呪文に未だ囚われているのか、ブツブツと独り言を言いながら立ち尽くしたままだった。
そしてそれが、我が人生最大の
そして次の瞬間、あろうことか帝王は既に物言わぬクィレルの身体を、決して手を抜いていない
「なッ、コイツ!!!」
『気づいてももう遅いッ!この俺様に耐え難い屈辱を与えてくれたな、グリンデルバンドの娘よ・・・!!
この怨念、貴様には俺様が味わった同等の屈辱と痛みを与え晴らしてやるぞッ!!覚えておれ!!』
私がヤツの意図する事に気づいた時には、悔しいがもう手遅れだった。
ゴォォォォォォォォォッッ!!!
帝王は捨て台詞を吐きながら、
これでヤツは霞のような魂だけとなり、この世を彷徨いどこへでも逃げる事が可能になったのだ。
クィレルという肉体が、縛りが、
現に目の前の独り言を呟くハリーの目の前には、クィレルの遺灰から出てきた禍々しい黒い魂が形を成そうと、もがいていた。
それを見た私は咄嗟にハリーの錯乱の呪文を解除して、彼のすぐ真横に姿現しをして彼を庇おうと死力を尽くす。
だが、時は既に遅かった。私が姿現しを完了させる前に、帝王はそのドス黒く濁った魂を形にし、浮遊させる事に成功していたのだ。
「・・・え・・・先、生・・・?」
『・・・ヴォォォォォォォォォ・・・!!』
悍ましい雄叫びをあげて帝王の魂がハリー目掛けて突進していき、彼の胸を貫通した。
「ああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
そしてその瞬間、ハリーは失神の呪文を軽くかけられてしまったのか後ろに大きく倒れてしまい、気を失った。
「ぐッ、
私は逃げようとする帝王の魂目掛けて、咄嗟に自身が独自に開発した結界魔法を放った。
だが帝王は私の呪文を上手く避け、階段を上がって行き、運良く逃げ切ってしまった。
時すでに遅し・後悔後に絶たずとはこの事を指すのだろう。
この状況では帝王の魂が弱っているがために、その魔力の小ささが妨げとなり探索魔法で見つけ出すのは至難の技であった。
また、ヤツは移動も自由自在のため、追いかける事も非常に困難であった。
私はその事実に、しばらく唖然としていた。
ただ何もせず、ボーッと放心状態で、その場に突っ立っていた。
その時であろうか。
私が闇の帝王を討ち滅ぼす場面を、マジマジと見せつけてくる望み鏡・・・。
それを見た私は、これまで努めて平常心を維持しようと、必死に抑えつけていた感情が遂に抑え切れなかった。
「・・・クソッ・・・クソがッ・・・クソがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ガシャァァンッ!!
私の放った
「何故だッ・・・何がいけなかったんだ・・・あと少しの所でどうして・・・!!」
私は自身が万全の状態で帝王に仕掛けておいて、その上で逃してしまったという事実に対し、怒りの余りすっかり半狂乱に陥ってしまっていた。
己の計画の不十分さか・・・?いや、私は事細かにヤツとの筋道を立てていた。あれ以上考えが及ばない程に、完璧だと自負していた。
闇の帝王の思いがけない忍耐力か・・・?いや、普段のヤツは我慢強くなどない事は文献や資料から把握済みだ・・・気に食わない事があればすぐに
クィレルのヤツが何か仕掛けていたとか・・・?いや、アイツにそこまでの知能があるわけがない。あの恐怖と帝王のおこぼれに与ろうとする男に何が出来ようか。
己の失敗の原因を探り始め、数え切れない程の思考が最高の頭脳の中で繰り返されては消えてゆく、正にその時だった。
予想していたのに、忘れてしまっていた
途端に気絶したハリーと私のいた空間に亀裂が走り、
パリン とヒビが入るような音が響いた。
すると私が作り出した
そして私は破壊された呪文の跡を見つめた後に、コレをやってのけた、最早わかりきっている相手を睨み付けた・・・。
「憎しみに身を委ねてはならん・・・いかに筋が通った事でものぅ。」
やはり、
アルバスは、警戒心を露わにして身構える私の方へと静かに階段を降りながら近寄り、帝王と同じく私の顔に触れようとする。
その動作が先程の帝王のソレとは全く違った意図を含んでいた事を察せるほど、今の私は冷静ではなかった。
だから私は バッ と彼の老いた、されど温もりのある手を力強く止めれば、彼は悲しげな表情でこう述べた。
「お主は気づいておらんのか・・・自分が泣いておる事に。」
アルバスの放った言葉を聞いて、私は更に動揺してしまった。
この私が、泣いている・・・・・・?
あり得ない・・・断じて!!
私は自身の顔に咄嗟に両手をかざして、そんな事はないと否定しようとする。
だが、それは叶わなかった。
なぜなら、そこには一筋の雫が流れていたのだから。
それを見たアルバスは、柔らかい表情と温和な声でこう述べた。
「まずハリーを守ってくれて助かったのう、感謝しておる・・・それに
ポンポンと私の肩を叩く老人の手を再度、しかし先ほどより弱めに振り払いながら、私は彼に応える。
「えぇ・・・冷静になれたわ、アルバス。こちらこそ礼を言わせて頂戴。」
「ふむ・・・ではハリーを医務室に運ぶのを手伝ってくれんかのう?・・・それと、石の件じゃが・・・。」
そこまでアルバスが言った時、私は手で彼の言わんとすることを制止してこう述べた。
「分かっているわ・・・今回、私には帝王を逃してしまった非がある。
その上、
これだけ理由があれば十分・・・賢者の石の事は諦めようじゃない。」
普段ならば決してあり得ない選択を、自ら取ってしまった・・・私は
「おぉ、話が早くて助かるのう・・・それから念のために伝えておくのじゃが、ハリーにはお主の
わざわざ知らせてくれるアルバスに有り難く思いながらも、私はその事に関しても既に承知済みだと返答する。
「えぇ・・・だから
ニヤリと口角を上げながら目の前の
「 “
ニコリとアイコンタクトを私に繰り出したアルバスは、気絶した幼いハリーに向けて、かつて
だがその過程で何か良くないモノでも見たのか、記憶を消し終えたアルバスは顔を少しばかり顰めながら、私に向かってこう述べた。
「・・・しかしハリーに向けて錯乱の呪文を使うとは、余り良い判断とは言い難いのぅ。
記憶の整理に少し時間が掛かってしまった。」
「・・・悪かったわね、次からはもう少し気をつけるわ。」
フンッ、と鼻を鳴らしながら不承不承に了解の意を返せば、彼は「宜しい。」と言って賢者の石をハリーのポケットから手繰り寄せた後にこう言う。
「最後に、石は粉々に破壊する事に決めたのじゃが、今更異論はあらぬ事じゃろう?」
「えぇ・・・
「ふぉっふぉっふぉ、流石はフォートシュリットじゃ。鋭いのう。」
彼はその言葉を最後に、ハリーを抱えながら医務室へと歩き始めた。
・・・おいおい、私に「ハリーを医務室に運ぶのを手伝って欲しい」とか言っていたのは、結局私と会話するための口実に過ぎないのかよ。
私は心の中で狡猾だが、憎めないアルバス・ダンブルドアに呆れた言葉をかけた。
彼の後ろ姿を見つめ続ける私は、今回の件について、己の『傲慢さ』と『憎しみ』が失敗の原因であったと結論付け、先程の激情とは別れを告げた。
そして、まだ此処では終わらないとばかりに、次の事・・・また更に次の事へと、未来を予測し始めるのであった。
投稿当初は荒い内容でしたので、所所修正致しました。
一万文字も書くと疲れるんるん(脳死)