Infinit Legends   作:fruit侍

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タイトルはヴァルキリーの別部隊に対するセリフの改変。でも(ry 別パのセリフはこれが一番好きです。

細かい部分を描写するために勉強そっちのけで単行本と小説両方買ってしまう始末。


おぉい誰だよ!? 知らないISを呼んだのは!

時は流れてクラス対抗戦当日。

 

司はセシリアとクラスメイトの女子数人と共に、アリーナの観客席に座っていた。

 

アリーナには白式を纏った一夏と、自身の専用機であろう赤色がかった黒の機体カラーをしたISを纏った鈴音が立っていた。

 

「お相手もなかなか派手な機体だな」

 

「ええ、第三世代型IS『甲龍(シェンロン)』。第三世代に共通する、燃費の悪さと安定性がなく使いこなしづらいという課題に焦点を置いて設計されたISですわ」

 

セシリアが鈴音のISについて解説する。これでも代表候補生なので、他国のISに関する基本的な情報は網羅しているのだ。

 

「まさか初戦から専用機持ちと当たっちゃうなんて……」

 

「織斑君大丈夫かな……」

 

「おりむーも特訓はしてたみたいだから、何もできずに負けるなんてことはないと思うけどね〜」

 

この三人は上から岸原理子、相川清香、布仏本音という女子生徒。常に行動を共にしている三人組であり、司とセシリアがアリーナの観客席へ向かうところを見つけ、着いてきたのだ。

 

「心配ないさ。なにせ、俺に勝った男だからな!」

 

司がそう3人に言った直後、試合開始のブザーが耳をつんざく勢いで鳴り響き、試合が開始された。

 

先手は鈴音だった。連結させた青龍刀を振り回し、一夏に斬りかかっていく。一夏も何とか対処し、被弾を抑えることには成功していた。

 

「ヒュー! 最初から迫力マックスだな! 一方的にやられるなんてことがなくて安心したぜ!」

 

「ですがこのままだと防戦一方ですわ。一度距離を取って、体制を立て直すべきですが……果たしてそれを凰さんが許してくれるかどうか……」

 

司は興奮するが、セシリアは違った。彼女が先程話した甲龍の特徴は、あくまで基本的な部分に過ぎないのであって、甲龍の最大の特徴とも言える『あの武装』がまだ使われていないからだ。

 

(そういえば凰の奴なんか不機嫌そうだな。一夏と何かあったのか?)

 

そして司は一夏を応援しながら、さながら怒り狂う龍のように怒涛の連撃を加える鈴音に対し、そんなことを考えていた。

 

試合では、このままでは埒が明かないと判断した一夏が、一旦距離を取ろうとしていたが、

 

「甘いっ!」

 

鈴音の言葉と共に、一夏が何かに殴り飛ばされたように吹っ飛んだ。

 

「おお!? なんだ今の! 幽霊にでも殴られたのか!?」

 

「それはいくらなんでも無理があるよ斑鳩君……」

 

すかさずツッコミを入れてくる清香。そこにセシリアが解説を入れてきた。

 

「あれはおそらく甲龍の切り札にして最大の武器である『衝撃砲』によるものですわ。空間に圧力をかけて砲身を作り、左右の翼から衝撃を砲弾として撃ち出していますの」

 

「分かりやすく言うなら、ドラ○もんの空気砲の砲身が見えないバージョンだね〜」

 

本音も付け加える。それで衝撃砲『龍砲』の強さを理解した三人は、一夏の方を見る。

 

そこでは、一夏が辛うじてだが龍砲を避けていた。

 

「よく躱すじゃない。『龍砲』は砲身も砲弾も見えないのが特徴なのに」

 

鈴音の言う通り龍砲は特性上、初見で対処するのは至難の業である。それをISに乗ってまだ間もない一夏は辛うじてだが対処できているのだから、大したものである。

 

鈴音が少し油断している事も理由の1つだろうが、一夏の本人も気づいていない才能によるものが大半だろう。

 

すると鈴音が喋っているその間に、一夏が一旦距離を置いた。

 

そして、真剣な表情で鈴音に告げた。

 

「鈴」

 

「何よ?」

 

「本気で行くからな」

 

「な、何よ……そんな事、当たり前じゃない……とっ、とにかくっ、格の違いって奴を見せてあげるわ!」

 

鈴音は一夏の真剣な表情と言葉に狼狽える。鈴音は感じ取ったのだ。一夏の纏う雰囲気が変わっていることを。

 

次の瞬間、鈴音に向かって一夏が猛スピードで突っ込んだ。

 

「しまっ……!」

 

鈴音が不意を突かれ、一夏の雪片弐型がその身に届こうかとした時だった。

 

 

 

【気をつけて! 上から何か来るわ!】

 

 

 

司が虚空からの声を聞いた直後、()()は降りてきた。

 

 

 

 

 

 

―――ドゴォォォォォン!!

 

 

 

 

 

 

轟音と共にアリーナ全体に衝撃が響いた。

 

「おわっ! 何だ何だ!?」

 

司は反射的に叫んで立ち上がる。セシリア達も思いがけない事態に混乱している。

 

(落ち着け! 何かが、アリーナのシールドを突き破って中央付近に落ちてきたんだ!)

 

状況を一番最初に整理した人格、パク・テジュン(以後クリプトと呼称)が状況を説明する。それで状況を理解した司は、アリーナの中央付近に目を向ける。

 

そこからは、爆煙がモクモクと上がっている。

 

だがその直後、アリーナのシェルターシールドが閉まり、司の視界は閉ざされた。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「何事だ!?」

 

ピットで試合の様子を窺っていた千冬が叫ぶ。

 

「わ、分かりません! ですが、何かがアリーナのシールドを突き破って侵入した模様!」

 

山田先生はそう言うとすぐに一夏達に通信を繋げる。

 

「織斑君! 凰さん! 今すぐアリーナから脱出してください! すぐに先生たちがISで制圧に行きます!」

 

『いや、先生達が来るまで俺達で食い止めます』

 

一夏がそう発言する。シールドを突破してきた相手から観客の生徒達を護るためだ。

 

IS学園のアリーナのシールドは不可視だがとても強固なものであり、たとえジャンボジェット機が墜落してきても防ぐことができるものである。

 

それを紙切れのように破ってきたということは、相手は事故でアリーナに墜ちてきたのではなく、最初からアリーナへの侵入、侵略が目的であるということだ。

 

その相手を倒す、まではいかなくとも、生徒達が避難できるだけの時間稼ぎは誰かがしなければならない。一夏はそう判断したのだ。

 

「織斑君!? だ、ダメです! 生徒さんにもしものことがあったら……あっ!?」

 

「どうした!? 山田君!」

 

「織斑君達との通信が途切れました……おそらく戦闘を開始してしまったのだと思われます……!」

 

「……チッ! あの馬鹿ッ!」

 

千冬は舌打ちをしながら、山田先生の座っている椅子の背もたれをガンッ! と殴り付ける。その迫真の音に山田先生は「ひゃぅっ!?」と悲鳴をあげてしまう。

 

(いくら二人で一人が代表候補生とはいえ、一夏は素人同然だ。長くは持ちこたえられない……やむを得んか……)

 

千冬は携帯を取り出し、ある電話番号にかける。その電話番号の主は、すぐに電話に出た。

 

「……斑鳩! 聞こえるか、斑鳩!」

 

『おうよ織斑センセ! だが周りがうるさすぎて少し聞こえづらいな!』

 

その電話番号の主は、司だった。司の声の後ろから、阿鼻叫喚の叫び声が聞こえてくる。それで大体察せるが、千冬は今の観客席の状況について司に問うた。

 

「状況は!」

 

『観客席のドアがロックされちまってて、出ようにも出れねえ!』

 

やはりか、と千冬は顔をしかめるがすぐに戻し、指示を出した。

 

「現在、ステージに通じる扉が全てロックされている! 三年の精鋭達に解除させているが、あと何分かかるか分からん! 確かお前の所持しているISに、システムのハッキングが得意な機体があったはずだろう!」

 

『ああ、あるぜ!』

 

「ISの使用を許可する! 扉のロックを全て解除して、生徒達を避難させろ!」

 

『おう! 合点承知だ!』

 

「……頼んだぞ」

 

そう言うと千冬は電話を切った。

 

「……あの、織斑先生。先程の電話の相手……斑鳩君ですか……?」

 

山田先生は千冬に、何故司の電話番号を持っているのか聞こうとしたが、

 

「……山田先生、世の中には知らない方がいいこともあるんですよ?」

 

「はいぃぃ!」

 

千冬が出す圧の前に屈してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

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千冬との電話を終えた司は、電話を切り電話をポケットに突っ込んでいた。

 

「先程の電話のお相手は?」

 

隣で聞いていたセシリアが聞く。

 

「織斑センセだ! 俺にだけISの使用許可が降りたんだ! ちょっくら今から人格を変えるぜ!」

 

(てなわけでクリプト! 行けるか?)

 

(ようやく出番か。待ちくたびれたぞ)

 

司の体が淡く光り出す。光が晴れると、そこには見た目は特に変わっていない司が立っていた。

 

「さぁ、仕事の時間だ」

 

しかし司から発せられた声は、オクタンの陽気な声ではない男性の声だった。

 

「えっと、今はどちら様でしょうか?」

 

横からセシリアが聞く。少なくともセシリアは、クリプトのことを知らない。

 

「俺はパク・テジュン。他の奴等からはクリプトと呼ばれてる。だが司と呼んでくれてもいい。それでお前は、確かイギリスの代表候補生の、セシリア・オルコットで合ってるか?」

 

「は、はい!」

 

「よしじゃあオルコット、今から俺はISを展開して、観客席のドアをハッキングして開ける。俺がコア人格のISは、システムのハッキングが得意なんだ。お前にはその間、生徒達の避難誘導を頼みたい。出来るだけ他の奴等も巻き込んでな」

 

「分かりましたわ!」

 

セシリアは生徒達が集中している観客席のドアに向かう。

 

もしドアをハッキングして開けれたとしても、そこに生徒達が殺到していたら、二次被害が生まれる可能性がある。それを防ぐために、司はセシリアに避難誘導を頼んだのだ。

 

司はISを展開し、背中に備わっている五機のドローンを、観客席のドアにセットする。そして自身の目の前の画面に、ドローンがスキャンしたセキュリティシステムを表示させる。

 

第三世代型IS『タ・カムシウォン』。その名は韓国の言葉で『全てを監視する者』という意であり、情報収集をするためだけに作られたISである。そのためISとしては異例すぎる()()()()()()()()()()()()()機体であるが、その代わり索敵や尾行、ハッキングまでも可能とする完全後方支援型のISである。

 

「成る程。確かにこれは普通の奴なら、時間がかかる」

 

(それでクリプト、どれくらいで終わりそうだ?)

 

オクタンが話しかけてくる。しかしクリプトは冷静に言い放った。

 

「30秒で終わらせる」

 

 

 

 

 

 

 

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「ちっ! また外した!」

 

「これで4回目よ! ちゃんと狙いなさいよ!」

 

「狙ってるっつーの! あいつが速いんだよ!」

 

攻撃が悉く外れイライラしているのか、些細なことで言い争う二人。現在二人は、アリーナのシールドを破ってきた『謎の全身装甲のIS』と戦闘中だった。

 

「ッ! 一夏、また来る!」

 

一夏の零落白夜によるバリア無効化攻撃を避けた謎のISは、攻撃を回避した時にのみ行ってくる、辺り一帯をなぎ払うような回転ビーム攻撃を再度繰り出してくる。

 

初見ではないため直撃することはなかった二人だが、これのせいで謎のISを追い詰められていないというのが現状だった。

 

「ああもう! めんどくさいわね!」

 

鈴音が謎のISに向かって龍砲を放つが、

 

「また防がれた……!」

 

まるで見えてるかのように、難なく対処してくる。

 

一夏は自身のSEを確認していた。

 

(SE的に零落白夜を使えるのはあと一回……だけど当たらなかったら今度こそ終わりだ……しかも鈴の衝撃砲も効かない……くそっ、どうすればいいんだよ!!)

 

一夏はこの状況を打破できる手段はないのかと必死で模索する。

 

とそこに、一夏と鈴音のプライベート・チャネルに、誰かが割り込んでくる。

 

『織斑! 凰!』

 

それは、司であった。

 

「つ、司!?」

 

「あ、あんた二人目の!」

 

『細かい話は後だ! それよりも二人に、手伝ってほしいことがある』

 

司は一切の質問を受け付けず、本題に入った。今は質問に答えている時間すらないためだ。

 

『俺が奴の動きを止める。俺が合図したら、二人は今できる最大火力の攻撃を奴に叩き込んでくれ』

 

「ちょ、ちょっと待って! どうやってあいつの動きを止めるのよ!」

 

鈴音がすかさず聞いてくる。相手は動きも速く、龍砲も通じない。そんな相手を一機でどう止めようというのか。

 

『秘策がある。安心しろ。奴がISなら、確実に止められる』

 

司の声は、自信にあふれていた。

 

「……分かった」

 

故に一夏は、司を信じてみることにした。

 

「一夏!?」

 

「このまま俺達だけで戦い続けても埒があかない。それに、向こうは逃してくれそうにないしな」

 

一夏が見ている方向には、鈴音と一夏をロックオンしている謎のISがいた。

 

『よし。俺は動きを止める隙を伺う。二人はその間、奴の気を引いてくれ』

 

「任せろ!」

 

「ったくもう、どうなっても知らないわよ!」

 

一夏と鈴音は、謎のISに突っ込んでいった。

 

まず鈴音が龍砲で牽制する。もちろん謎のISは防いでくるが、その間に後ろから一夏が斬りかかる。これを何度も何度も繰り返す。『攻撃』が目的ではないため、一夏は斬りかかって当てられそうになかったら退き、鈴音はどうせ防がれるならと、地面に向かって龍砲を撃ち、砂埃を撒き散らす。謎のISは、二人の戦術が変わったことに対し多少困惑しているようだった。

 

ついに痺れを切らしたのか、あの回転ビーム攻撃の予備動作に入る。

 

「ッ! 離れるぞ、鈴!」

 

「言われなくても!」

 

謎のISからビームが放たれる。二人は回避するが、また距離を離されてしまった。ビームを撃った直後は隙ができるのだが、距離を離されてしまうため、その隙を突くことができないのだ。

 

しかし、司はこの隙を見逃さなかった。いつの間にかアリーナに侵入させていた五機のドローンを、隙だらけの謎のISに近づける。

 

『EMPプロトコルを作動!』

 

五機のドローンから何かが放出され、弾けた。

 

五機のドローンの中心にいた謎のISは、身動き一つ取れなくなっている。

 

『今だ! 織斑、凰!』

 

その言葉を聞いた一夏が零落白夜を発動し謎のISに突っ込み、鈴音が龍砲にパワーを溜める。

 

謎のISは切り裂かれ、衝撃砲に蜂の巣にされ、機能を停止した。

 

「お、終わった……のか?」

 

動かなくなった謎のISを見ながら、一夏が呟く。

 

『そうみたいだな。俺のドローンが反応していない』

 

司が言う。その言葉を聞いて一夏は、

 

「っしゃあああああああああああああああ!!!!!」

 

勝利の雄叫びを挙げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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IS学園の地下50メートル。

 

その限られた権限を持つ者しか入れない隠された空間で、正体不明ISの解析が進められていた。 

 

「織斑先生」

 

山田先生が千冬に話しかける。

 

「あのISの解析結果が出ましたよ」

 

「ああ、どうだった?」

 

「あの機体は………無人機です」

 

無人で動くIS。それは遠隔操作、独立機動と呼ばれる技術が使われているIS。そしてその二つは、世界中がISの開発を進めている中、未だにどちらも完成させていない技術だ。

 

あのISにはそれが両方とも使用されている。

 

「どの様な方法で動いていたかは不明です。機能中枢が粉々でしたので……修復も不可能です」

 

ISにはダメージレベルというダメージの度合いを示すものがあるが、今回の無人機は、それでも表せないほど大破していた。それは即ち、修復不可能を意味する。

 

「コアは如何だった?」

 

「……それが、どこの国にも登録されていないコアでした」

 

「やはりか……」

 

「何か心当たりがあるんですか?」

 

「いや、無い。今はまだ……な」

 

千冬はモニターに顔を戻した。

 

その顔は学園の教師の顔、というよりは、戦士を彷彿とさせる顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ここなら誰もいねえかな」

 

場面は切り替わり夜。この時間帯は夕食を摂るため、殆どの生徒が食堂へ向かう時間帯だ。

 

そんな時間帯に、司は寮の裏庭にいた。その理由は、とある人物に電話をするためである。別に寮内なら電話を使っても問題ないのだが、相手が相手なので人が全くいない場所に移動したのだ。

 

「元気にしてっかな~」

 

そう言いながら司は携帯を取り出し、一つの電話番号にかける。コール音が三回も鳴らない内に、電話は繋がった。

 

『もすもすひもねす~! ひっさしぶりだね~つーくん!』

 

その相手とは、ISの産みの親にして天災科学者の、篠ノ之束だった。

 

「おう、久しぶりだな! 元気してたか?」

 

『ふむふむ~今は『おっくん』なんだね。もちのろんだよ~! 何てったって束さんは~、これまで一度も病気になったことがないのだ~!』

 

聞いての通り、束はそれぞれのコア人格名で呼び方を変えている。ISの産みの親である束にとってはISのコア人格も、皆等しく可愛い子供であるからだ。

 

「そうなのか? そりゃあすげえな! で、話を戻すんだが、聞きたいことがある。今日の昼に、IS学園のアリーナによく分からねえISが降りてきたんだ。しかも人が乗ってねえ奴がな。これについて何か知ってるか?」

 

司はタ・カムシウォンのドローンであの謎のISをスキャンした時に、その機体が無人機であることを知ったのだ。

 

『そんなことがあったんだね。けど残念ながら、束さんは一切関与してないよ。心当たりも一切なーし』

 

「ま、そうだよな。お前がんなことするわけないもんな」

 

『あったり前だよ~! つーくんが危険に晒されるようなことは、束さんはぜ~ったいしないし許さないんだから! でも、もしかしたらどっかのテロ集団が送り込んできたっていう可能性もあるね。こっちで調べてみるよ』

 

「悪い、助かる。そんじゃ、そろそろ切るぜ」

 

『え~!? もっと話したい~!』

 

電話の声から束が駄々をこねる様子が容易に想像できる。もう24才だというのに、精神年齢はこれからも変わりそうになさそうだ。

 

「ちょっとは自分の立場を理解してくれ。今も人が全くいない場所からかけてるんだ。でもいつ人が来るか分かんねえから「……斑鳩?」どわっ!?」

 

誰かいると思っていなかった司は声に驚くあまり、電話を落としてしまう。

 

司が声の方向に顔を向けると、そこには箒がいた。

 

『どうしたのおっくん!?』

 

「姉さんの声……!?」

 

束が司に何かあったのではないかと声を荒げるが、そのせいで電話から離れていた箒にも声が届いてしまう。

 

司は慌てて携帯を拾い上げ、「また今度な!」とだけ言い強引に電話を切る。

 

(畜生! よりによって一番聞かれちゃダメな奴に聞かれちまった!)

 

司は携帯を乱暴にしまい、警戒する。

 

「け、警戒しないでくれ! このことを言いふらす気はない!」

 

誤解されたと思った箒が慌てて弁明する。司はそれに対し警戒を多少解くが、完全には解かなかった。

 

「さっきの電話の相手……姉さん……なのか?」

 

箒が恐る恐る確認するように聞いてくる。箒と束はもう何年も会っていないし話していない。束は話したいと思っていたが、箒が拒絶していたのだ。

 

しかし血の繋がった家族だ。何も思わないわけではない。

 

「……ああ」

 

司は今更嘘は通じないだろうと、渋々答えた。

 

「……一つだけ、聞きたい」

 

箒は司に自分が今一番気になることを簡単に聞いた。

 

「姉さんは……元気か?」

 

それを聞いた司は警戒していた自分がバカらしくなり、

 

「ハハッ、もちろんさ。元気すぎてこっちが心配になるくらいだ」

 

といつもの口調で答えた。

 

「……そうか」

 

箒は少しだけ笑いながら返答した。

 

(ふー、結果的に大丈夫だったが、他の奴だとこうはいかねえよな。別の場所探すか)

 

司は束と電話をする時は、何かがあっても絶対に誰も来ないところでしよう、と心に誓った。




今回の話が投稿されたことにより、『白い束さん』のタグが追加されます。

8月中は主に理系科目の基礎固めに時間を使うため、更新がどうしても遅れ気味になります。申し訳ありません。

学年別トーナメントで使う人格

  • ヒューズ
  • シア
  • マッドマギー
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