ヴァンテージ初登場回ということで、タイトルをヴァンテージのセリフにしました。いいセリフがなかなか見つからず苦労しました……。
出席簿で叩かれた場所を押さえながら、一夏は1組の列へ入っていった。それを見た千冬が話を始める。
「では、本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始する」
「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」
「まずは戦闘を実演してもらおう。凰! オルコット!」
「「はい!」」
千冬に指名され、鈴音とセシリアは返事をする。
「専用機持ちならすぐに始められるだろう。前に出ろ!」
「めんどいなぁ………何で私が………」
「鈴さん、国の代表として、他の生徒の模範となるのも、立派な代表候補生の務めですわ」
面倒くさそうな鈴音に対してセシリアはそう言う。
それを見た千冬は、鈴音が傍を通りすぎるとき、小声で話しかけた。
何かを話された鈴音は一夏に視線を向ける。
「はっ!」
鈴音は何かに気付いたようにハッとし、
「実力の違いを見せる良い機会よね。専用機持ちの」
やる気満々にそう言った。
「今、先生なんて言ったの?」
明らかに不自然なやる気の変わり様にシャルルが一夏に尋ねる。
「俺が知るかよ……」
それもそのはず、千冬は鈴音に『一夏にいいところ見せられるぞ』と言ったのだ。一夏に分かるはずがなかった。
「それでお相手は誰でしょうか?」
「フフン。別にセシリアが相手でも構わないわよ?」
「その時には全力でお相手いたしますわ」
そう2人で牽制し合うが、
「慌てるな、馬鹿共。対戦相手は………」
千冬がそう言いかけたところで、
――キィィィィィィィィン!
と何処からか、空気を切り裂く音が聞こえた。
「ああああああああああああああああああああああああっ!!」
聞こえてきた悲鳴に生徒達が空を見上げると、
「ああああああーーーーっ! 退いてくださいーーーーっ!!」
量産型IS『ラファール・リヴァイヴ』を纏った山田先生が一直線に落ちてきた。どうやら操縦をミスって操作不能になっているらしい。
そして、落下地点にはお約束のように一夏がいた。
「え? ………ああああああーーーっ!!??」
漸く現実を把握できた一夏だが、あのタイミングでは回避が間に合わない。ISと生身の人間なので、衝突すれば確実に人間の方が死ぬ。
「仕方ねえ、緊急脱出する!」
司はISを展開し脚部にコードを繋いで、スラスターを最大出力で射出する。そしてその勢いのまま一夏を捕まえ、走り去る。
その直後、山田先生が地面に激突し、砂煙が舞う。
なんとか、一夏が肉片になるのは避けられた。
「ようアミーゴ、大丈夫か?」
「あ、ああ。ありがとな」
司は一夏を降ろす。そして山田先生の方へ向かい、
「大丈夫か、山田センセ?」
地面に激突した山田先生に声を掛けた。
「はい………お恥ずかしい所をお見せしました」
「ったく、気をつけてくれよ。もう少しで死人が出るところだったんだぜ」
「……はっ! ごめんなさい! 織斑君も、本当にごめんなさい!」
「い、いえ。司のおかけで無事だったので……」
山田先生は司の言葉にハッとして、二人に謝る。
「さて小娘共、さっさと始めるぞ」
セシリアと鈴音に向かって千冬はそう言う。
「2対1でって事? いや、流石にそれは………」
鈴音は遠慮しがちにそう言うが、千冬は鼻で笑いながら言う。
「安心しろ。山田先生は元代表候補だ。今のお前達ならすぐ負ける」
流石にその言葉にはカチンと来たのか表情を変える。
だが、セシリアが興奮しそうになる鈴音を宥める。
「鈴さん、落ち着いてください。山田先生はああ見えてもIS学園の教師です。生徒達を導くだけの力はあると思いますわ」
「だけどセシリア! 私達代表候補生2人を相手に1人で相手をするって言ってるのよ!? 悔しく無い訳!?」
鈴音がそう捲し立てる。
「山田先生は元代表候補と仰っていましたわ。それはわたくしたちもそうですが、わたくし達は代表候補生になったばかりの新人です。逆に、山田先生は、代表になれなかったと言えど、その代表と凌ぎを削った方ですわ。そして、山田先生の現役時代の代表と言えば?」
「…………あ」
セシリアの言葉に、鈴は思わず千冬に視線を向ける。
そう、山田先生の現役時代の代表は、千冬なのだ。代表になるためには千冬を越えなければならないが、並大抵の人間にそんなことはできない。
「そ、それは油断できないわね………」
漸く鈴音も山田先生の手強さに気付いた。そして先程の見下したような態度を改め、気を引き締めた。
それを確認した千冬は手を上げ、
「では…………始めっ!!」
振り下ろすと共に開始の合図を出した。
その合図と共に一気に上昇する3人。
模擬戦を開始された横で、千冬があることをシャルルに言う。
「デュノア、山田先生が使っているISの解説をして見せろ」
「あ、はい。山田先生が使っているISは、デュノア社製『ラファール・リヴァイヴ』です。第2世代開発最後期の機体ですが、そのスペックは、初期第3世代にも劣らない物です。現在配備されている量産ISの中では、最後発でありながら、世界第3位のシェアを持ち、装備によって、格闘、射撃、防御といった、全タイプに切り替えが可能です」
生徒はその説明を聞きながら模擬戦を観ていた。
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模擬戦の結果はセシリア達の完全敗北。山田先生の操縦技術は、生徒の予想を遥かに越えたものだった。
まずセシリアの一斉射撃を軽々と避け、鈴音の見えない衝撃砲ですらあっさり避ける。
そしてカウンターでライフルによる発砲。これは分かりやすかったので二人とも避けることができたが、本当の狙いは二人を誘導することだったのだ。
回避先を見ていなかった二人は互いに激突。動きを止めてしまった。
そこに山田先生がとどめのグレネード弾を放ち、二人は呆気なく撃墜。二対一で有利だったはずなのに、少しもダメージを与えられず敗北するという結果で終わってしまった。
「………まさか、ここまで実力差があるなんて………!」
「……あんたねえ! 何面白いように回避先読まれてんのよ!?」
「確かにそれはその通りです。ですが、今思えば鈴さんも上手い事誘導されていましたわ」
二人は言い争う。
確かに山田先生の実力は相当高いが、二人にも改善点があるということを二人は知らない。
それに一番最初に気づいたのは、最近司の中に発現した人格、『ヴァンテージ』だった。
(金髪の子は狙いが素直すぎるね。あれじゃちょっと体をずらせば避けれちゃうよ。ツインテールの子は狙ってる場所を無意識に目で見てる。目線を辿ればどこに撃ってくるか分かるから、見えない弾とかあんま関係ないね)
(そうなのか? やけに詳しいんだな)
(これでも射撃は得意分野なんだ~)
詳細は省くが、ヴァンテージがコア人格のISは射撃、その中でも特に遠距離射撃に特化している。
ヴァンテージが話し終わると、山田先生がゆっくりと地上に降りてくる。
「これで諸君にも、教員の実力は理解できただろう。以後は敬意をもって接するように」
千冬はそう言うと、すぐに指示を出した。
「次はグループになって実習を行う。リーダーは専用機持ちがやること。では、別れろ!」
この実習では、女子生徒達がそれぞれの自由意思でグループに分かれるが……………
「織斑君! 一緒に頑張ろ!」
「デュノア君の操縦技術を見たいなぁ~!」
「斑鳩君のISに触れると見せかけて、斑鳩君の体を……!」
(何で俺のとこにはやべー奴が来るんだよ!?)
やはりと言うべきか男子グループに生徒が集中する。
そんなことになれば、千冬の雷が落ちるのは言うまでもない。
「この馬鹿者どもが………! 出席番号順に1人ずつグループに入れ! 次にもたつくような事があれば、今日はISを背負わせてグラウンドを100周させるからな!」
正に鶴の一声とはこのこと。女子達は先程まで騒がしかったのが嘘のように静まり返り、駆け足でそれぞれのグループに入った。
(静かに出来るなら最初からすりゃいいだろ……)
司は自分のグループに集まった女子達を見ながら、周りにバレないよう溜め息を吐いた。
模擬戦は丸々カットしました。単純に書く気力がなかったです。
キングスキャニオンのランク漁夫がきつい……元々ランクあんまやらないからどう立ち回ればいいのか分からないのも相まってランク上がんない……。それはそうと、ヴァンテージのウルト当てるの気持ちよすぎだろ!
↑一応受験生です。
学年別トーナメントで使う人格
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ヒューズ
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シア
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マッドマギー