Infinit Legends   作:fruit侍

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サブタイトルはクリプトのイントロ時のセリフ『データに過ぎず』の改変。でもクリプトは出ません。

今回は読んでも読まなくてもいい話だと思います。伏線を張ってるだけなので。


俺は、奴等にとって貴重なデータに過ぎない

「斑鳩、織斑だ。開けろ」

 

消灯前に、千冬が司の部屋にやってきた。そろそろ寝ようとしていた司は、面倒だと思いながらも部屋の扉を開けた。

 

「こんな時間に何の用だ? 織斑センセ」

 

「教師には敬語を使わんか……いや、そんなことよりだ。斑鳩、お前に第二アリーナの使用許可が降りた」

 

知らない間にアリーナの使用許可を与えられていたことに、司は驚く。普段使われている第一アリーナは、上級生達の予約で完全に埋まってしまっているため、特別な事情がある場合にしか使用許可が降りない第二アリーナの使用許可が降りたのだ。

 

「何だそれ。頼んだ覚えはないぞ?」

 

「ああ、上からの指示でな。お前には明日からクラス代表決定戦までの6日間、放課後の時間を使って戦闘訓練をしてもらう。もちろん強制だ」

 

それを聞いて、司は上の目的を瞬時に見抜く。

 

「なるほど、大方俺たちのデータが欲しいってとこだろうな。どこの記録にも残ってない2()1()()のデータが手に入るチャンス。そりゃ欲しがって当然だ」

 

「そういうことだ。……すまないな。それはお前が望んで手にしたものではないというのに、私達の都合に付き合わせてしまって……」

 

「気にすんな。悪いのはこっちの都合を考えずに自分の利益ばっか優先する奴らさ。多分()もそう言うさ。だから元気出せよ。なっ、()()

 

「織斑先生だ……と、今くらいはいいか。()

 

千冬は今まで見せたことがなかった笑顔を司に向ける。その笑顔は、親友の前でしか向けないような、心からの笑顔だった。

 

そこから二人は消灯まで話し合った。世間話から学園関連の話、千冬の愚痴など、普段なら絶対に話すことがないような内容も、二人は自然と吐き出していた。

 

そして、消灯の時間がやってきた。

 

「だいぶ長話してしまったな……もう消灯時間だ。見回りに来たときに起きていたら、反省文を書かせるからな?」

 

「へへっ、安心しな織斑センセ。俺は夜更しは嫌いなんだ。眠くて走れなくなっちまうからな!」

 

ふっ、と短く笑って、千冬は去って行った。

 

「さーて、明日から忙しくなるな」

 

司は背伸びをすると、部屋に入って一直線にベッドに向かった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「……眠れませんわ」

 

千冬が司の部屋へ向かっている頃、セシリアは部屋のベッドで目を覚ました。隣のルームメイトは既にぐっすりである。それを羨ましく思いながら、セシリアはベッドから降りる。

 

(普段ならこの時間帯にはもう寝ているはずですのに)

 

セシリアは代表候補生だ。故に体調管理や生活リズムには抜け目がなく、消灯時間の30分前には寝る準備に入る。寝る前に携帯などを見たりすることもないため、こんなことは初めてだった。

 

ーー、ーーだ。ーーろ。

 

ーーーな時間にーーーだ? 織ーーンセ

 

廊下から話し声が聞こえる。セシリアはその声に反応し、何を思ったか、部屋の扉を少し開けて聞いてみることにした。

 

(この声は……織斑先生とあの包帯男?)

 

セシリアの言う包帯男とは、司のことである。

 

「……ことよりだ。斑鳩、お前に第二アリーナの使用許可が降りた」

 

(!?)

 

それを聞いたセシリアは驚愕した。第二アリーナは、よっぽどのことがない限り生徒に貸し出されることはないからである。

 

「何だそれ。頼んだ覚えはないぞ?」

 

「ああ、上からの指示でな。お前には明日からクラス代表決定戦までの6日間、放課後の時間を使って戦闘訓練をしてもらう。もちろん強制だ」

 

(……第二アリーナは代表候補生ですら使わせてもらえないと聞いたことがありますわ。やっぱり男性操縦者だからと、贔屓してるんですのね)

 

二人の会話を聞いて、セシリアは内心歯軋りする。どんなに努力したところで、『男性でもISを操縦できるという事実』には勝てないのだと思ったからである。

 

セシリアはこれまで数えきれないくらいの努力をしてきた。ISについて幼い頃から学び、戦闘訓練をこなし、何百何千といる候補生の中から選ばれて専用機を与えられた。本来なら自分が、クラスを、IS学園を引っ張っていく存在である。それは決して傲慢などではない。今まで自分がしてきた努力が、それに見合う量だと確信しているからだ。

 

故に、自分の努力を真っ向から否定してくるような存在である男性操縦者が、許せなかった。

 

しかしその怒りは、次の言葉に一瞬にしてかき消される。

 

「なるほど、大方俺たちのデータが欲しいってとこだろうな。どこの記録にも残ってない『21機』のデータが手に入るチャンス。そりゃ欲しがって当然だ」

 

(…………え?)

 

最初は自身の耳を疑った。次に司が嘘を言っている可能性も考えた。

 

ISは、要となるISコアが世界に現時点で467個しか存在していないため、世界に存在する機体数もそれと同じ数である。故に専用機を与えられるということは、大変名誉なことなのだ。

 

もし自分の耳が可笑しくなったわけでも、司が嘘を言っているわけでもないのなら、司は現在世界に存在しているISの、約22分の1を使えるということになる。

 

ISはたった一機を使いこなせるようになるのにもかなりの年月を要する。詳しくは省くが、代表候補生のセシリアでさえ、自身の専用機を使いこなしているとは言い難い。

 

彼に、一体何があったのか?

 

セシリアは純粋にそう思った。代表候補生どころか国家代表でさえ持てるISは1機のみだ。それを21機も所持しているとなると、並大抵では説明できないような事情が何かあるのだろう。

 

(絶対に、突き止めてみせますわ)

 

セシリアは6日後のクラス代表決定戦で、その謎を突き止めることを決意し、自身のベッドに戻った。




アンケートはもうすぐ締め切ります。今のうちに投票をお願いします。

クラス代表決定戦で使う人格

  • パスファインダー
  • オクタン
  • ヴァルキリー
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