今回の話は今のうちに投稿するか迷ったんですけど、どうせ後々投稿するし、今読んどいたほうが今後の話も読みやすいかなと思って投稿しました。
それと、今回自分が深夜テンションで考えた主人公の設定の大半が明かされます。めちゃくちゃだと思われるでしょうが、頭空っぽにして読めることを前提にしているので、あらすじにも書いてあった通り設定に対するツッコミは基本なしでお願いします。
シリアス、グロ注意です。
IS学園の保健室。
そこは大型病院にも劣らないどころか、下手したら上回るレベルの医療設備が完備されている。逆を言えば、ISの事故はそれほどの設備が必要になるほどの惨事をもたらすこともあるということだ。
そこにずらりと並べられた真っ白なベッドの一つには、一人の生徒が眠っていた。
「…………」
セシリア・オルコットである。
彼女は今日行われたクラス代表決定戦にて負傷し、保健室での救護が必要と判断され、保健室に運び込まれた。
そして今はやれるだけの処置を施され、安静にしているというわけである。
「……っ……ぁ……?」
時間は既に夕方。夕日の強い日差しに目を照らされたセシリアは、ゆっくりと目を覚ます。
「よお、目が覚めたか」
そして窓際に寄っかかって立っていた司が、目を覚ましたセシリアに声をかける。
「斑鳩さん……? そういえば……代表決定戦は、どうなったんですの?」
セシリアが司に問う。今セシリアが知りたいのは、クラス代表決定戦の結果である。
「一夏がクラス代表になったよ。ちょっと油断しちまって負けちまった」
「斑鳩さんが……負けた……?」
「ああ」
セシリアが司の表情を伺うが、司から悔しそうな表情は見て取れない。
「悔しくないんですの?」
「悔しくない……って言えば、嘘になるな。でも本気でぶつかり合えたから、俺はそれで満足さ」
ハハ、と短く笑う司。
「じゃ、目も覚めたみたいだしな、俺はこれで失礼するよ」
そう言って司は保健室を後にしようとする。
「お待ちください!」
しかしセシリアが引き留めた。
「少し……お話に付き合っていただけませんか?」
「……ま、ちょっとくらいならいいか」
司は体を翻し、セシリアがいるベッドの方へ戻った。
「で、話ってのはなんだ?」
「その、怒らないで聞いてくださいね……。わたくし、どうやらあなたと部屋が隣のようで……それでこの前の夜、わたくし聞いてしまったんですの。あなたと織斑先生の会話……」
「…………」
司は黙って聞いていた。
「も、もちろん悪気はありませんのよ! でも、そこで聞いたことが、あまりにも衝撃的で……」
司が黙っているのは、怒っているからではないか? と思ったセシリアが、徐々に言葉の勢いを弱めていった。
「ああ、気にしてない。続けろ」
しかし司が言うには気にしていないようだ。
「そ、それじゃあ続けますわね。……その、本当ですの? あなたが、21機のISを持ってるっていうの……もし本当でしたら、どうやって手に入れましたの?」
セシリアは司を見る。司は腕を組んで何かを考えているような仕草をしている。言おうか言うまいか、悩んでいるようにも見える。
少し経つと司が重い口を開いた。
「……確かに、俺は21機のISを持ってる。だが勘違いするな。これは望んで手に入れたわけじゃない」
「それじゃあ尚更、どうして?」
「……こっから先は
セシリアは迷わず言い放った。
「是非お願いしますわ!」
その様子を見て、司は肩を一瞬だけ竦めた。
「じゃあまず最初に、この包帯と布を取った姿を見せてやる。早速ショッキングだが、聞くと言ったからにはこれくらいでビビるなよ」
そう言うと司は頭の包帯から外していく。司の顔が露になるにつれて、セシリアは瞳を小さくし、口を開けていく。
そして、包帯と布が完全に外れた。
司の顔は、あちこちにツギハギがあり、目は閉じられている。髪もストレスによる影響か、所々白くなっている。
「ど、どうしたんですの……!? それ……!」
「ISを21機持った代償さ」
司がそう言うが、セシリアは司が言葉を発した時に、
「どうして、口を開けていないのに喋れるんですの?」
「お、気づいちまったか。話すと長くなるから……簡単に言おう。俺達は
「!?」
(ということはオクタビオさんも、この前少しだけ出てきた今原さんも、ISの人格ということですの!?)
セシリアはとても驚いていた。今まで話していたのがクラスメイトではなく、
代表候補生であるため、ISに意思のようなものがあるということは学んでいる。そして、国家代表クラスになると、ISと会話できるほどになるということも。
「おう、すげえ驚いてるみたいだな!」
「驚きますわよ! 今まで話していたのがISの人格で、斑鳩さん本人ではなくて……ああ~! 頭が痛くなってきましたわ~!」
セシリアは自分の言っていることが分からなくなり、痛くなってくる頭を押さえる。
「まあ落ち着けって。それで話を戻すが、この前21人の人格がいるって話したろ? それは全員ISの人格だ。人間みたいに声帯を使って話してるわけじゃないからな、声もそれぞれ違うんだ」
「そうでしたの……」
納得したように呟くセシリア。実はセシリアも、一人の人間からどうやって違う声を何種類も出しているのか、少し疑問に思っていたのだ。
しかし納得したと同時に、セシリアに新たな疑問が生まれる。
「でしたら、斑鳩さんの人格はどちらに? 元々斑鳩さんの肉体なのですから、人格が存在しないということはあり得ないでしょう?」
セシリアが気になったのは、肉体の持ち主である『斑鳩司』本人の人格のことだ。
「それは、司の過去について知ってもらえれば、すぐ分かる。今から話すから、一語一句たりとも聞き逃すなよ?」
そこから、司の過去についての話が始まった。
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ISは女性しか動かせない。
これは現代では小学生でも知っている常識で、現代社会に『女尊男卑』という歪みを生んだ原因でもある。
女尊男卑は現代社会をあっという間に侵食し、その歪みに呑まれた男性は、悉く女性の食い物にされ続けた。
その結果、生まれたのは更なる歪み。ISなんぞにしか頼れない女性より、男性の方が優れているという既に無くなっていたはずの歪み、『男尊女卑』。そしてそれを謳う『男性権利団体』。
世間では女性権利団体の悪評が広まっていたが、男性権利団体の方が実際にやっていることは凶悪である。
数を挙げればキリがないが、中でも酷かったのが『男性操縦者計画』。ISの男性操縦者を人工的に作り出し、自身達の使い勝手のいい戦闘兵器として運用しようとした計画である。
彼らの持論は、ISコアを男性の心臓部に移植し、そのコアと男性が適合することで、男性は初めてISを使えるというもの。そのためにはいくつもの耐久実験を行わなければならず、それに耐え切れる者のみがISと適合するとされた。もちろん、科学的根拠等は一切ない。
世界中で密かに行われていたその計画で犠牲になった男児の数は、数百万を下らないと言われている。
そして、斑鳩司もその計画の被害者だった。
ISが開発されて何年か経った頃、司は計画の研究をしている団体に連れ去られた。
それからは地獄だ。
研究所で『耐久実験』と称されて行われる数々の拷問。
液体窒素に足を漬け込まされたり、焼けた鉄を素手で持たされたり、濃度が高い酸を体のあちこちにかけられたり、人間が感電死する寸前の電流を数秒流されたり……まだまだあるが具体的な例はこのくらいだ。この耐久実験だけで、連れ去られた男児の約9割は死んだ。
司は死にこそしなかったものの、地獄を絵にしたかのような痛みに何度も何度も心を折られ、絶望した。
そして、『もう痛いのは嫌だ』と自分の人格を、自身の深層へと追いやってしまったのだ。
この実験を耐えきった者達に明るい未来が待っているかというと、そんなことはない。先程の実験が生温く感じるほどの地獄が、次に待っている。
耐久実験が終わると、いよいよ本題のISコア適合手術である。男児達が暴れぬよう麻酔は一応使用されるものの、効果を十分に発揮しているとは言い難かった。
中途半端な麻酔により感覚を中途半端に断たれた男児達は、自分の体に何か得体の知れない物が移植される感覚に、脳が掻き回されるような気持ち悪さを覚えた。
ここまではよかった。とてつもない気持ち悪さに襲われるが、死にはしない。しかし問題は、ISコアを移植した後だった。
適合手術を終えた被験者の男児達の麻酔が切れた途端、男児達が今まで挙げたことのないような絶叫を次々に挙げ始めたのだ。
理由は、移植されたISコアに対する拒絶反応。どんなに頑張っても、ISは機械である。そんなものを移植すれば、体は異物を排除しようと動く。そして結果的にISコア周辺の心臓部を破壊し、死に至らしめる。
しかし司は違った。
適合手術を終えて麻酔が切れ、何時間経っても、司の体は拒絶反応を見せなかった。
これは司が自身の人格さえも閉じ込め、感覚のほとんどを遮断した植物状態に近い状態へとなっていたためだが、そんなことを考え付く脳を研究員達は持ち合わせていない。
そして司が反応を全く見せないことをいいことに、研究員達は司の体に次々とISコアを移植していった。
それからも何も反応を見せない司を、研究員達は『過剰適合者』とし、自分達が持っているISコアを全て移植し、男性ながら何十機もISを扱える自分達の切り札としようとした。
しかしある日それは、一人の女性によって阻止される。
同時に、司に移植されたいくつかのISコアが、人格を発現させた。そして不思議なことに、司の生命維持器官として機能し始めたのだ。これが、ISコアが初めて人体に適合した瞬間だった。
こうして司は、その一人の女性と移植されたISコア達によって一命を取り留め、再び人間として生活することができるようになった。
しかし司の人格だけは、戻ってくることはなかった。
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「とまあこんな感じだ」
司が話し終えると、セシリアは顔を青ざめさせて自身を抱き込んで震えていた。セシリアがそうなってしまったのは、司が『耐久実験』のことについて話した辺りからだ。
「俺達も、何で司に適合できたかは分かんねえ。だがこれだけは言える。今の俺達は、司の心臓とも言える存在になってる。つまり、俺達が機能を停止したら司も死ぬし、司が死ねば俺達も機能を停止しちまう」
セシリアは震えたまま反応を見せない。
「聞こえてるかどうかは分かんねえが、一応言っておくぜ。司は、今も苦しんでる。お前達の見えないところでな」
それだけ言うと、司は顔に包帯と布を巻き直して保健室から出ていってしまう。
司が出ていった後、セシリアは震えながら呟いた。
「どうして……ISで人が苦しまなければならないんですの……」
改めて読むと、色んな意味でとんでもない設定だな……と自分でも思いますね。
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セシリアはヒロインに……
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