そしてアンケートの結果、セシリアはヒロインになることになりました!
序盤から中盤はヒロインにしない派が優勢で、する派が追いかけるけどギリギリ抜けないっていう状況が続いてて、これはしない方向かな、と思って最終確認したらする派が逆転してたという。今回もなかなか面白かったです。
「では、1年1組代表は、織斑一夏君に決定です。あ、1繋がりでいい感じですね」
クラス代表決定戦の翌日。SHRで山田先生が笑顔でそう言った。クラスの女子達も、大いに盛り上がっている。
因みにこの場にはセシリアもいる。まだ傷は完全には治っていないが、代表候補生がこのくらいの怪我で授業を休むわけにはいかない、と本人が希望した結果だ。
「へへっ、頑張れよ一夏」
「お、おう」
(元々なるつもりは無かったんだが……)
司の言葉に反応しながらもそんなことを思う一夏。
一夏は推薦されただけで、やるつもりは一切無かったため、正直辞退したかった。
しかしそれは昨日のクラス代表決定戦の意味を無くしてしまうため、そんなことを言えるわけがなかった。
「やっぱり世界で2人だけしかいない男子がいるんだから、同じクラスになった以上持ち上げないとね!」
そんな言葉が飛び交う。
「つっても、俺まだ一回しかISに乗ってないバリバリの初心者なんだけど……」
一夏が呟くと、セシリアが言う。
「あら? 代表候補生であるわたくしをいとも簡単に負かした司さんに勝った織斑さんが、ただの初心者な訳はありませんわ。知識や操縦技術は確かに未熟な所がありますが、それは逆に言えば、伸び代があるという事です。クラス代表ともなれば、実戦には事欠きませんし、才能を伸ばすには丁度良いかと」
「うう……そう言われると……」
できるなら逃れたかった一夏だったが、セシリアの言葉に返す言葉もなかったので、大人しく引き受けることにした。
項垂れる一夏に箒が言葉をかける。
「安心しろ一夏。〝私が〟教えてやるからな」
私が、の部分を妙に強調する箒。
「言いたい事は言い終えたか? とにかくクラス代表は織斑一夏だ。これは先日の代表決定戦の結果から決まったことだ。異論は一切聞き入れない。分かったな?」
「「「「「「「「「「はーい」」」」」」」」」」
千冬の言葉に、クラスの女子生徒達の声が唱和した。
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「ふい~、終わった終わった」
一日の全ての授業が終わり、司は自身の部屋のベッドに寝転がっていた。
「何か今日はあんまり走る気が起きねえな。今日は早く寝るか」
昨日の疲れが溜まっていると思った司は、早く寝るために今日出された課題を済ませようと、放り投げられた自身の鞄の方へ向かう。
そして、司が鞄を拾い上げようとした時だった。
コンコン
何者かによって、司の部屋のドアがノックされた。
(誰だ? また織斑センセか?)
少し前に自身の部屋に千冬が来たことを思いだし、また千冬が来たのかと思う司。拾い上げようとした鞄をスルーし、ドアへ向かう。
そしてドアを開けた司は、困惑した。
「……何しに来たんだ?」
そこには、少し多めの荷物を持ったセシリアが立っていた。
「本日から、わたくしが司さんと同室になりますの。よろしくお願いいたしますわ」
「俺は何も聞いてないぞ?」
「わたくしと織斑先生で決めたことですの」
(……本人の許可ぐらい取れよ)
勝手に話を進めておいて許可すら取りに来なかった千冬に、少し苛立ちを覚える司。
「それで、入ってもよろしくて?」
「そんだけ準備させといて、帰れなんて言えるわけないだろ。ま、入れよ」
「お邪魔しますわ♪」
ニッコリと笑って部屋に入るセシリア。
部屋に入ってすぐに荷解きを始めるセシリアに、司は問う。
「で、何で俺の部屋にわざわざ移ったんだ?」
前のセシリアの部屋は、司の部屋の一つ隣である。ここよりさらに遠くだったらまだ分かるが、部屋を一つだけずれるなんて、意味があるとは司には思えなかった。
「実は……」
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時は遡ること昨日。
司が退室した後、セシリアの元に千冬がやって来た。担当する生徒が保健室に行った以上、担任として状態を把握しておかなければならない。
「……それで、怪我の具合は?」
千冬がセシリアに聞く。
「少し痛む場所がありますが、日常生活で支障をきたす程ではありませんわ」
「明日は出席できるか? 一応大事を取って、休むこともできるが」
「出席いたしますわ。この程度で授業を休むのは、わたくしの代表候補生としてのプライドが許しませんもの」
そうか、と千冬は返す。
「それと、織斑先生」
セシリアはこの際、先程司がした話についても聞いてみようと考えた。今保健室にいるのは、セシリアと千冬のみ。他の場所では、誰かに聞かれてしまう可能性がある。
「何だ?」
「先生は以前からご存知でしたの? 司さんが、『男性操縦者計画』の被害者であるということを……」
セシリアがそう聞いた瞬間、千冬の纏う雰囲気が変わる。
「……何処でそれを知った?」
「さ、先程司さんがここに来られて、そこで色々と教えていただいたんですの!」
千冬は黙ったままだったが、少し経つと殺伐とした雰囲気を解いた。
「……あいつ自ら話したということは、お前のことを信頼しているということなのだろうな」
(胸が締め付けられるような重いプレッシャー……人間が出せるものじゃありませんわ……)
プレッシャーを直に浴びたセシリアは、プレッシャーから解放された瞬間荒く呼吸をした。
「このことは、本人を除けば学園内で私しか知らない。その意味をよく考えろ」
「……!!」
セシリアは改めて、その事実が機密中の機密であることを理解した。
「それで、そのことを私に話してきて、どういうつもりだ?」
「お願いがありますの。わたくしを、司さんと同室にしていただけませんか?」
セシリアは真っ直ぐな目で、千冬に頼み込む。
「お前がそうしようと思った訳を聞かせてもらおうか」
千冬はその目を見て試す価値があると判断し、自分にそう頼んできた理由を聞いた。
「ISは全ての人に夢を与え、その夢を実現するものだとわたくしは信じています。わたくしにとってもISは誇りであり、全てといっても過言ではありません。ですから、司さんのようにISで苦しんでいる人がいることを見過ごせませんの。今もなお苦しみ続けている司さんを、助けたいんですの!」
セシリアの訴えるような目を、千冬はじっと見ていた。
少し経つと短く笑って言った。
「ふっ、どうやらお前の覚悟は生半可なものではないらしい。いいだろう、同室を許可する」
「先生……!」
先程の真剣な表情と変わり、セシリアは千冬に感謝するように笑った。
「ただし部屋が変わるのは明日からだ。手続きには最低一日必要だ。放課後に今の部屋の荷物をまとめて斑鳩の部屋へ行け。斑鳩にはお前から事情を説明しろ。それと……斑鳩の過去について一切口外しないと誓え。これが出来なければ、問答無用で部屋を戻す。いいな?」
「はい!」
セシリアはキレのある返事をした。
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「なるほどなぁ……」
司はセシリアがここに来ることになった経緯の一部始終を聞かされ、納得していた。
「俺達としても、司を助けてくれる奴が増えるのは嬉しいことだ。だから歓迎するぜ」
「……!! では改めて、よろしくお願いいたしますわ!」
「おう! 俺達の方こそよろしくな!」
セシリアは両手で、司は片手で握手する。
(絶対、助け出してみせますわ!)
司と握手しながら、改めて心の中で宣言するセシリア。
そしてこれが、二人の運命を大きく変えることになろうとは、二人とも思いもしなかった。
今はあまりヒロインムーヴしてないし主人公のことも『好き』ではないですが、まだまだこれからですのでお楽しみに。
セシリアはヒロインに……
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なる
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ならない