異世界で格闘しますた‐スキルなんて無いが、格闘技術はある‐ 作:劉鳳
書いてて気に入ったキャラクターがマイケルです。モデルは色々なボクサーが混ざってます。名字のアームストロングはウェルター級の初期の王者、ヘンリー・アームストロングから来てます。ググってみ?すげぇ戦績だぜ?
゛アンタッチャブル゛の異名を持つボクサーは過去にも数名いたが、彼以上にそれを証明出来る男はいないと断言出来る。
マイケル・ギーグ・アームストロング、24歳。アメリカはアーリントンに出生した、アフリカ系アメリカ人の父とドイツ人の母を持つハーフ。アメリカでも比較的治安のいいアーリントンのごく普通の家庭に育った彼が、如何にしてボクシングと出会ったのか。
幼少期の彼はとても大人しいアームストロング家の末っ子、それが彼を知る人々の感想だった。両親、兄姉共に優しく、末っ子マイケルは大変可愛がられて育てられたが、学校に通い始めた頃、彼は謂れの無いいじめにあう。顔立ちは母に似て、肌の色は父に似た彼は、ニグロ系から半端野郎と言われ、幼少のマイケルはいつも泣いて帰っていた。
彼が変わる切っ掛けとなったのは10歳の頃、学校でいじめられていた時だった。学校で飼育しているウサギの世話が好きだったマイケルが、いつものようにウサギに餌やりをしていた。そこにいじめグループがウサギ小屋に入って来て、持っていたバットでウサギを殺してしまう。この時、マイケルは生まれて初めてキレた。
キレた当時の事を、マイケルは今も鮮明に覚えている。
『何の罪もない生き物を殺してヘラヘラしている様を見て、私は自分の弱さ、ラビィ(ウサギの名前)への申し訳なさ、そして何よりあの
キレたマイケルの拳による制裁は現場を見ていた全ての人間を凍り付かせた。拳がまるで意思を持って命を刈り取るかのように、いじめグループの連中の顔、腹、胸、金的を潰して行った。五人いたいじめグループは死亡した。マイケルは現場の証言により不起訴となったが、その時ボクシングを嗜んでいた教師が彼の才能を見抜き、ボクシングジムへと誘う事になった。
ジムへと通いだしてから、マイケルの才能は開花していった。いじめによるフラストレーションを晴らすかのようにサンドバッグやミットへ的確なパンチをこれでもかと放つ。ジムのコーチであるロニー・ジャクソンは後にこう語る。
『マイケルは何て言うのかな?天才って言葉すら陳腐に聞こえる程の才能の塊さ。たった一ヶ月で成人男性とスパーリングを行って勝つなんて信じられないよ。
元々優しく礼儀正しい人間だからコーチである俺の言う事も良く聞いてね、聞いた事をあっという間に吸収しちまうんだ、神は彼の事を本当に愛してると思った。まあ、神に愛されるだけの努力をあいつは積んでたから当然なんだがね。』
マイケルはその後、アマチュアボクシングの大会に出場し、その才能を遺憾なく発揮した。大会に出ればKOの連続、体の成長に合わせてフライ級、バンタム級、フェザー級と階級を上げ、殆どの試合を1RKO勝ちしていった。19歳で出場したオリンピックでは、ウェルター級のアメリカ代表として出場、圧倒的な強さで全試合KO勝利をおさめ、金メダルを獲得した。
オリンピック終了後、マイケルはプロ転向を宣言。難なくプロテストをパスした後、アメリカチャンプに一年足らずで駆け上がった。その後世界タイトルマッチの挑戦権を得て、IBFの王者に君臨する。当時まだ20歳になったばかりの若者が、選手層の厚いウェルター級王者に輝いたと言うニュースは世界中を駆け巡った。
21歳になった時、WBC世界王者との統一戦を行い、2R1分半でKO勝利。更に半年後のWBA世界王者との統一戦では3R25秒KOと、統一戦を連続でKO勝利と言う快挙を成し遂げた。
彼は層の厚いウェルター級王者に拘り続け、かつ、挑戦者は強い者に限ると宣言した為、彼と対戦する者に弱者はいない。華麗なフットワークとヘビー級に比肩する威力のパンチを武器とした彼は、WBAにおいて5回、WBCで6回、IBFで9回、合計20回も王座防衛を記録、WBAからはスーパー王者の認定を受けた。
これだけの成績をおさめても、マイケルは満足しなかった。マイケルが求めるのはただ一つ、
『もっと強い人間と戦いたい、ボクシングが、大好きだから。』
これがマイケルの想いであった。
マイケルの強さに、WBO王者は統一戦を拒否した。準備を沢山した上に万全の状態で臨みたいと言う言葉は、暗にマイケルへの恐れを皆に伝えるに十分であり、マイケルが実質的四団体王者と言う事実を確定させた。
そんなマイケルに、死んでもいいから挑戦したいとやる気を見せた男がいた。日本ウェルター級王者及び東洋王者、川島功用だった。最初は、体の小さい(ここで言う小さいとは縦幅ではなく横幅)日本人なんてと思っていたが、話を聞くと違っていた。
『カワシマ……オリンピックでミドル級の金メダリストか……』
階級が違っていたとは言え、功用の事は頭に無かった。だが、彼の戦いぶりを見たマイケルは興味を持った。破壊力に優れたファイター、見切りも中々、何より、試合中常に笑みを浮かべたその様に、マイケルは対戦をしたいと思っていた。しかし、その前に因縁の相手との決着をつけねばならなかった。
WBA世界ウェルター級一位、マニュエ・ロウジョンコム。タイのボクサーであり、35戦33勝2敗30KOと言う堂々たる戦績を誇る、元WBAウェルター級世界王者。2つの負けはマイケルによって付けられたものだ。そして、マイケルのキャリアにおいて、3R以上持ちこたえたただ一人の選手でもある。一回目はマニュエが王者の時、7度目の防衛をかけた試合で3R25秒で人生初のKO負け、二回目はマイケルがWBAの5度目の防衛時に挑戦者として対決、8Rまで善戦したが、9R1分、マイケル渾身の右フックがテンプルに直撃しKO負け……しかし、手応えがあったマニュエは打倒マイケルの為に死ぬ程練習に励んだ。WBA世界二位の猛者ルース・アランとの試合で1R57秒と言う短時間での完勝を果たし、マイケルへの挑戦権を得る。
『彼と最後の決着をつけなくてはな。』
人生最大の強敵を前に、マイケルは肉体を鍛え続けた。しかし、二人の三度目の対決は叶わなかった。マニュエが練習中に怪我をすると言うアクシデント、表向きはそうだったが、真実は……来米したマニュエをストリートマフィアの凶弾が襲い、右肩に銃撃を受けたのだ。後に判明するが、試合に賭けをしていたマフィア達による身勝手な妨害であった。
怒り狂ったマイケルは、マニュエを撃った人間を見つけ出し、そして……顔の判別が付かなくなる程に殴り殺した。マニュエが戦線復帰するのに一年はかかると言う話を聞いたマイケルは、虚無感に包まれた。しかし、立て替え選手の候補に挙がった功用のビデオメッセージに感化され、それを引き受けた。
『あー、え、はい、川島功用です。直球で言います、マイケル、貴方と戦いたい。あのマニュエに起こった不幸の最中にこう言う事を言うのは本当は気が引けるんだけど……それでも、貴方のような絶対王者と戦えるなんてこれ程の光栄は無いんだ。』
面白い男だと思った。マニュエが戦え無い中で巡って来た挑戦権をラッキーだと言う考えは浅ましいと自覚しながらも、本能が戦いたいと言っている変り者の日本人に、新たな強敵として、マイケルは試合を快諾した。
マイケルは世界屈指の人気を誇るボクサーである。かつ、ウェルター級と言う激戦区の王者、ファイトマネーはそれ相応に高い。推定のファイトマネーは全盛期のフロイド・メイウェザーJr.を越えるとまで噂される。故に、マイケルと戦える事は大変な名誉と大金を手にする事になる……尤も、勝つ事が出来ればだが。
マイケルはプロに上がってから全ての試合でKOをおさめている。そのうち、五人が再起不能、二人が死亡している。ヘビー級辺りの人間だと、打たれ強さがあるので滅多に死亡事故は発生しないのだが、攻撃特化なウェルター級辺りまでの階級はダメージがでかく死亡に繋がりやすい。マイケルのパンチは比喩抜きにヘビー級並の重さ、ミニマム級並の速さを持ち、並のボクサーでは冗談抜きに殺されるだろう。死亡した二人の試合が行われた場所は、奇遇にもボクシングの殿堂の一つであるマディソン・スクエア・ガーデン……功用もその場所で戦う事となった。
試合前の計量時に初めてマイケルと功用が顔を合わせる。睨むでもなく、微笑みの表情のままこちらを見る功用に、マイケルもまた、微笑みで返す。公開計量は難なくクリア、計量後の記者会見で互いがそれぞれの言葉を記者達にかける。
『ウェルター級に階級変更したのは、彼と戦う為です。強い人間と戦える事に、ただただ感謝し、戦うからには勝ちに行きます。』
『彼は歳も近いし、何よりも戦う気構えが似ている。彼は私を尊敬の念を持って倒しに来るだろう。だからこちらも尊敬の念を持って倒す、悔いの無い試合をしたい。』
戦う相手同士でありながら、その場で自然と互いの手を握った。その手の平はふわふわとしながらも強さを感じさせる、拳を握った瞬間に最も固くなる理想的なそれを察したマイケルは、功用と共に、記者のカメラの前でファイティングポーズを取った。
そして、満員のMSGにて……その時が訪れた。聞けば功用がリングに上がった瞬間に目映い光の中へと消えて行ったと言う。彼はいてもたってもいられず、入場曲も流れぬリングの上に上がった。
『これは……』
次の瞬間、マイケルは光に包まれていた。
ー
『何だろう?城の方向からなんだけど、凄い殺意を感じたよ。』
オープニングマッチを終えた功用は、ふと城の方向に何かを感じたようだ。今までに無い力を感じるそれはかなり気になるのだが、今はアル達のもとに戻る事を優先した。
『気のせいか……でもなんか、知ってるような感じの気だったな。』
無能認定の功用が何故そんな事を感じたかは誰もわからない。分かっているのは、この世界に恨みを持つものはいくらでもいると言う事だけだった。
†
これ15ラウンド位で終わるんかな、不安になってきた……
追記:あんのじょう、15ラウンドでは終われませんでしたw長いとエタるから最初は短編だったんですが、開き直って連載に変更しました。マイケルと戦うかはまだ未定ですが、そんなに長く連載はしないと思います。
一話辺りの文字数はどの位がいいですか?
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1000字程度でよかよ
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2000から3000字程度は欲しい
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3000字から5000字は無いとね
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5000字以上は書きやがれ