最近2000文字も書けないから物語が進まぬ
治す気は……
レグ。
そう名付けられた。
本来の名前では無いかもしれないのに、妙にしっくりくる名前。由来がペットの名前でなければ、素直に受け入れられたのに。
僕は、僕が何者なのかわからない。伸縮性のある金属のロープで繋がれた、鉄の塊の両腕が付いているし、リコが僕に施したという行為の数々からして、人ならざるものなのだろうが、……色々、
僕を拾って、名前をつけてくれた、“リコ”という僕と同じくらいの背の、片足が義足の女の子。彼女が言うには、僕は大穴__アビスの底からやってきた者らしい。
アビス。アビス。
わからない。
こんな僕を、リコ、そして、ナット、シギーは受け入れてくれた。……僕が絆されただけかもしれないが。
ともかく、シギーの立てた作戦に従って、僕は、彼らの住むベルチェロ孤児院の一員となった。
「レグ!ちょいとこれを運んどくれ」
「了解した」
リコが曰く、孤児院にいるものは皆、アビスに転がる遺物を回収しに向かわされる。しかし、僕にはそういった仕事はまだ無いよう。いきなりではなく、しっかりと知識を身につけさせてからのようだ。
孤児院の人に頼まれた、僕の身長ほどの木箱を持ち上げる。
僕がするのは、今のところこういった雑用しかない。ほとんどを孤児院の中で過ごし、このような形でたまに外へ出る。
「よし」
荷物を奥の倉庫に置いて、手を払う。仕事をした後は気分が良い。
後ろを見ると、口を開けた穴の周りにびっしりと並ぶ建物の群れが見える。あと風車。
「……」
そして、そんな街並みの中に残る、叩き潰されたままになった瓦礫の山。
8年前、オースに襲来した原生生物が引き起こした大災害。その爪痕。
8年も経っているというのに、何故撤去されないのか。その質問に、この前リコは体を張って教えてくれた。
「見ててねぇ〜!」
探窟の時に使うらしいツルハシを振りかぶる。その切っ先が向いているのは、ぐちゃぐちゃに重なった瓦礫。
「とりゃっ!」
風切り音の次に聞こえたのは、火花の散るような甲高い音と、潰れたカエルのような悲鳴だった。
リコの持っていたツルハシは、刃先がへし折れていた。
「あつつ……よ、よくわかったでしょ……」
時間が止まったみたいに状態が変わらず、金属をも超える強度になって、同じようにかちこちな地面とひっついてしまった瓦礫をどかす手段は無いらしい。
結構力自慢の僕でも、この瓦礫は無理だった。
「……」
ここに来て、もう二ヶ月も経つのか。
ハボさんが帰ってきた。
二ヶ月前まで逆さ森まで探窟に行っていたハボさんが帰ってきた。
白笛を携えて。
わたしの、お母さんの。
“殲滅卿”の。
「……」
白笛の帰還。最も偉大な探窟家の魂の帰還。情報はあっという間にひろまって、オース中が歓喜に包まれる。
復活祭。
「……」
一応、お母さんは死んだことになる。
なのに、よくわからない。悲しいのか、帰ってきてくれて嬉しいのか。顔も見たことがないから。
でも、どこか、胸に空洞ができたような気はする。
でも、
なによりも私を愛している人だったらしい。
……
「……」
祭りの熱は冷めそうにない。
無くした左脚が、ちくちく痛む気がする。
なきがらの海の底。
何が広がっているか知ってる?
骸?違う。
煌びやかな世界。空が海に囲まれた、不思議な世界。
黄金卿。おわりのはじまり。
たくさんの生き物がいるの。とっても美味しいよ。
美味しいの。
まだ聞きたいことはある?
そこの、君も。同じなれ果ての仲じゃないか。
何を怖がっているの。
私が、何者か?
私は私だよ。それ以上でも以下でもない。あぁ、イカではあるかもしれない。
ん?まだ聞きたいことがあるの?ミーティ。
色々動き始めました。