僕のヒーローアカデミア~生まれ直した天翼種《フリューゲル》~ 作:暁月鈴
三人称視点~
「ゲームをしましょう」
「は?ゲーム?」
「・・・・・・え?」
ジブリールが発した言葉に二人は戸惑う。
「いえ、何も難しく考える必要はありません。やるのはただのジャンケンです。流石にジャンケンは知ってますよね?」
「ジャンケン──?まぁ、知ってるわ」
そんなジブリールの問いに、リューキュウはそう答える。セルキーも、同意を示すかのように、首を縦に振る。
「そうですか・・・では、それで勝負しましょう。私と、あなた方のどちらかと【1vs1】で。ただし──」
すると、ジブリールは二人に掌を見せ、言った。
「普通のジャンケンではありません────
いいですか?
「「・・・・・はぁ!?」」
その発言に、思わず声を上げる二人。そんな二人を
「私がパー以外を出したら『私の負け』……ですが、パー以外の手で勝ったら、あなた方も負けですのでこの場合『引き分け』──もちろん、パー以外の手であいこになったら『私の負け』となります」
そういうと、ジブリールは紅茶を一口飲む。その後、少女から放たれた言葉に、二人はまたも驚愕の声を上げた。
「私が負けたら、そちらの要求を全て呑みましょう。この図書館も片付けますし、私に死ねと命じるのなら、それも受け入れましょう」
「「────なっ!!」」
「──で!私が勝ったら。
楽しそうにそう言うと、ジブリールは笑みを浮かべる。二人は、身体に寒気が引いていくのを感じていた。すでに二人はジブリールの出す雰囲気に飲み込まれていた。
だが、そのぶん冷静になった頭で、リューキュウは慎重に問う。
「──引き、分けたら?」
「私はこの図書館を片付けます……そのかわり」
一転して、困ったように微笑を浮かべて、ジブリールは言う。
「
「──要するに、『家を提供しろ』ってことか?」
セルキーの言葉に、ニッコリと笑顔で応じるジブリール。そして、
「それで、このゲームをお受けになるのですか?断るのであれば、このまま此処で暮らしますし、戦闘をお望みでしたら、喜んでお付き合いしますが」
と、脅しともとれる言葉で二人にゲームを受けるか問う。二人は顔を見合せ、こそこそと会話をする。そして、リューキュウは言う。
「……いいわよ。そのゲーム、受けて立つわ」
「そうですか……では、ゲームを始めましょう」
そうして、二人はゲームを始めた。ニコニコと笑うジブリールを
──提示した条件からして、少女が
そう、少女は住処が欲しいだけ。それが目的で、このゲームを提案したのだろう。
彼女がパー以外、負けというなら、私が出す手をさの勝率は──
──となる。
そして彼女は、『パーしか出さない』と宣言することで、グーを出しにくいように誘導した。つまり、私にチョキを出させようとしているのだ。なら私がだすのは裏をかいて──
グーを出そうと彼女の顔を見た途端に、私は息を飲む。そう、彼女は笑っていた。それも、勝利を確信したような、そんな笑み。
その笑みを見たリューキュウは、再度思考を巡らせる。そして、リューキュウはあることに気づいた。
彼女には、宣言通りパーを出す以外選択肢がないことに。
「さて、そろそろよろしいでしょうか?」
既に勝利を確信したかのように、ニコニコと笑うジブリール。
「ええ、ちゃんと約束は守るのよね?」
「ご安心下さい。ちゃんと約束は守りますよ。では、じゃーんけーんー」
──ぽん、と。
『チョキ』を出したリューキュウ。しかし……
「なっ──」
───ジブリールは『グー』を出していた。つまり……
「いろいろ考えたようですが……まだ、足りませんね」
このジャンケンは引き分けで──ジブリールの狙い通りの結果に終わった。
■■■
(ふぅ……計画通り、でしょうか。にしても、やはり
今行った『ジャンケン』は、
そして、このゲームには
「さて、それでは約束、守ってもらいましょうか」
「はぁ……分かったわよ。今から宿とるからちょっとま「いえ、違いますよ?」……え?」
「・・・・・・は?」
宿をとろうとしているリューキュウの行動を否定すると、二人は呆けた声をだす。
「ちゃんと思い出して下さい。私は一度も、宿を提供しろーなんて、言ってませんよ?」
「はぁ!?ちょっと待てよ!!俺らちゃんと確認したぞ!?」
思わず立ち上がって、猛然と抗議するセルキー。しかし……
「ええ。ですが、私は肯定してませんよ?」
そう言われて気づいたのだろう。してやられたと、二人は顔をしかめていた。
そう。このゲームの最大の罠。それは……
ということ。いうなれば『詐欺』である。
「さて。それでは言ってみましょうか……私の『些細な願い』を……」
私は満面の笑みを浮かべて、言う。
「日本で暮らせる権利とこの図書館を配置できるだけの場所を要求します!!」
・・・・・・・・────────
………長い、沈黙。
「「は、はぁーーー!?」」
それを破ったのは、二人の叫び声だった……