アブノーマリティに転生したが...ノーデスを目指しますが......知らないアブノマーリティしか来ないんですけど? 作:サイコロさん
始まりは一言だった。
「……覚悟は出来てる……?」
「あら?
「あなたが……ハヤトさんを傷つけたこと……」
「私は入社した時、アブノマーリティは人に害するバケモノだと教わりました。だから私はマニュアル通りにやっただけですわ」
「……それでも……!!」
「あら、それでもやるつもりなのかしら?」
対する二人の女性職員。それは虎と竜の睨みあいを思わせる程の重苦しい雰囲気と殺意をにじみ出している。どうしてこうなった………?
俺は一通りパソコンをいじりにいじって何か出来ないのかを試した。しかしこちら側の指令は出来なかったが、無線機能が使えるらしく、職員を選択して話し掛けることが出来る。
「ふーむ、上手く使えば助けられるかも知れないな~」
「……つまり?」
「お前がパニックになっても、俺が声かけて落ち着かせることが出来る、と言うわけだ」
「……いつでも、どこでも聞けるの?」
「まぁ可能じゃないんかなぁ……?」
「……じゃあ、私にずっとささやくことは?」
「か、可能かなぁ「…じゃあ!」だけど、それだと大事な放送を聞き逃すだろ?」
「……むぅ………」
それに対して不満そうに口をつむぐミウ。俺はゆっくりと頭を撫でる。お、意外に髪がサラサラしている。
「ッ!?……あ、ありがと…///」
しかしそこは女子、髪を乱されちゃ怒ってしまった。
「おっとごめんな。急に触っちゃダメだよな」
「え? あ、その……あれ……」
「悪かったな、今後はこういうクセ、失くすからな」
「……大丈夫」
ミウが小声でボソッと何か言う。俺は思わずもう一回言ってほしいと言った。
「……大丈夫だから……出来れば今後もやって欲しい……///」
.....俺はミウの頭に手を乗せ、撫で回した。
「ッ!?!?」
「テメぇ、良いこと言ってくれるじゃねぇかよぉ~! オイオイ、思わず撫で回しちゃったんじゃねぇかあ!!」
そうして撫で回していると、業務終了時間となる。ミウが出ていった後、俺は考える。とりあえずここに引きこもっても仕方ない。どうにかして外に行かなければ……しかし……これだとただの脱走だと見られる……何とかしてここから脱け出せないかな………うん?
「ん? これは?」
新しいメモ帳に見えるが、よくよく見ると結構使われているように見える。つまり、新しく買ったがドンドン書き込んでいるようだ。
「中身は……いや、止めとこう」
女性のプライバシーを勝手に覗き込んじゃいけねぇよな。.....あっ。
「……管理人さーん。聞こえますかぁー! 俺は、今からメモ帳を届けに行くため、外に出ますが
こうして俺は
『緊急事態! 緊急事態! 【T-00-01《救世主》】が脱走した! 職員は直ちに鎮圧せよ!!』
脱走じゃないと言いましたやん。
「う~ん。こうなったらサッサと届けよう。そして管理室に突貫するかぁ「いたぞ!」ん?」
通路の出入口の前にいるのは、青い髪を短くしたボーイッシュな女……女性?………はっ!
「貴様ァ、さては童顔すぎてよく女性と性別を間違われているなぁ!」
「な、何故、そんなことを……!」
俺に図星を突かれた職員は、驚きの表情をして顔を俯かせた。そして――
「う"わ"あ"あ"あ"ん" 気づいてくれたんだぁッ!!」
俺にしがみつき、泣き始めた。
「お、おい! 貴様は何をしてい「そうだよ! 何回も何回も、何ッ回も間違われたんだよ! オレだってさぁ、男らしく色々頑張っているのに! ビーチでは男性の水着だと通報されて、女性の水着だとナンパされ、更には上司からの愛のポエムすら聴かされたんだよ! アンタだけだよ! 初見でオレを男だと見抜いたの、アンタだけだよぉ!!」……苦労しているんだな……」
なんだろう……この会社に入社した理由がなんとなくわかってしまった。まあとりあえず...
「眠れ」
「ぐふゥ!……チーン」
俺は首に手を当て、相手を気絶させた。
「よし……早く「パァーンッ!! パァーンッ!!」……グチャッ」
俺の頭に銃弾が撃ち込まれる。どうやら脳の一部と下顎が地面に落ちてしまったようだが……
(この程度じゃ止まらねぇよ)
ボォオオオオオ
何かが焼ける音がする。どうやら脳が焼けているようだ。そして傷が塞がる。
(ふむ。どうやら俺は、燃えることで傷を再生することが出来るのか)
そう理解していると、また銃弾が撃たれるが――
「成程……狙いがズレていないな……君はかなり手練れだね」
「!!」
どうやら俺が銃弾を避けたことに驚いているようだ。しかし未知の存在に対して、こうも冷静に撃ってくるとは……ふふっ
「初めまして、「パァーンッ!!」俺の名前は「パァーンッ!!」【T-00-01《救世主》】だがハヤトと「パァーンッ!!」呼んでほしいな「ゴンッ!」これからもよろしくな」
「何故、アナタさまは死なないんですか!?」
黄色い髪をツインテールにした後、先がドリルのようになった髪型(いわばお姫様のような髪型)に綺麗な翡翠色の瞳をした女性職員がそう叫ぶ。確かに銃弾三発に、警棒一発撲られたが……耐性がねぇ……
「えっとな…俺はRED耐性があってな。そしてその武器は、RED属性なんだよ。ただでさえ再生するのに相性が悪い武器だからかな。全然効かねぇよ」
「そ、そんなことがありますの……」
あるんです。
「しっかし、よくここまで射撃技じゅ――ッ!?」
「え?」
俺は撃ってきた女性職員を抱き抱えて、バックステップをした。そこには何故かミウがいた。
そして最初に戻る。
「……そうだね……!」
そうやって警棒を構えるミウ。しかしそれは普通の警棒だ、E.G.Oには勝てない。
「ええ、安心して。
そうやって"初心の拳銃棒"を構える女性職員。このままだとどちらかが死ぬまでやり続けてしまうだろ。……うん? 正気にて……そう言うことかッ!!
「はいはーい。ストップ~!」
俺は割り込むように立ち塞がる。
「……邪魔しないで……!」
「ええ、私は、コントロール部門のチーフとして、同期として、やるべきことがありますわ!」
「ミウ、落ち着け。こいつはお前を助けようとしたんだ」
「え? ……どうして?」
「お前は俺に操られていると勘違いしているんだ」
その言葉に、二人は目をぱちくりさせる。
「え? その、ミウさま? アナタはもしかして操られていないのですか?」
「……コクリ」
そう言われて頷くミウ。そして互いに武器をしまいあう。
「もう……ごめんなさいわね。私はてっきり……」
「構わねぇよ。人間には誰だって間違いはある。問題はそれを認めてやり直せるかだ」
そう言ったら何故か呆然とする女性職員。女性職員は俺に質問をした。
「アナタは……"間違いをしたら罰する"を知らないのですか?」
「知らねぇが、なんとなく予想はつく」
「アナタは……間違いを犯したらどうなるのか解りますよね?」
「まあな」
「盗みから殺人まで、何かしら間違いを犯せば、必ず報いを受けます。これは赤ちゃんから大人、生きている物達にとっての絶対の"
そう迷い無き眼で言いきる女性職員、あの目は自分が心の奥底から"正しい"と思っている。けどな……
「
「……ええ」
口で言うほど簡単で薄っぺらいものはない……が、何故か納得してしまうほどの説得力はあった。もうこれ以上言及する必要はないだろう……ならば!
「またまた初めまして! 俺は【T-00-01《救世主》】だが、ハヤトと呼んでほしいぜ! これからもよろしくな!」
俺の雑で元気ある自己紹介に対して、一方は――
「初めまして、私の名はノエル·ライナ。役職はコントロール部門のチーフをやっております。これからもよろしくお願いいたしますわ」
優雅に一礼して頭を下げる姿はどこかの国のお姫様のように優雅で美しかった。すると放送が掛かる音がした。
『――ッッ あー、【T-00-01《救世主》】よ。そろそろ収容室に帰ってくれないか? 多分、職員達に危害を与えるつもりはなさそうだが……』
「分かっとる。それでも収容室に居た方が安心するんだろ? では、俺はそろそろおさらばさせてもらいますよ」
俺はミウの手にメモ帳を渡して、自分の収容室に帰った。……果たして俺が言いたいことは察してくれたのだろうか?
まったく人騒がせなことですね。あのアブノマーリティの第一印象はこれでした。
「ミウさま、ガーンさま。私たちはまだ未熟者。おそらく私たちではあのアブノマーリティを鎮圧は出来なかったでしょう」
「……うん」
「オレもそう思う」
私の意見に応えてくれるのは、パッと見て女性に見える男性職員ガーンと、クールで冷静な女性職員……名前は最初はないって言ってたけど、確か"ミウ"と名乗っていたわね。まあ兎にも角にもさておき……
「アナタたちは何しているのよぉー!!」
私は声を荒げた声を出した。少なくともこのメインルーム全体には聞こえる程でしょう。現にオフィサーの方々がビックリしているし。
「なんでガーンさまは、泣きついて抱いついているのよ! 相手は、あのアブノマーリティなのよ! 驚きを通り越して唖然したわ! そしてミウさまは...特に言うことはないけど、襲いかかってくるのはなんでなの!?」
「ああ!? オレがどれだけ苦労して男らしくなろうとするのが分からんのか!? この容姿のせいで転職して、ここに来るほどだからなぁ!?」
「……ライライは美人だから、怒っちゃダメ……」
「アナタのことを思って……ちょっとお待ちください。ライライとはどういう意味かしら……」
「……全てはガーンの仕業です」
「お、おい! こッんの裏切り者がぁ!! あ、ちょ、ちょっと弁明のお時間ください。必ずしもあなた様を頭蓋骨がキビキビ言ってるゥ―! アアアアアア!!」
私のアイアンクローを受けて倒れるガーン。まあ、回復機能あるメインルームならすぐに治るでしょう。すると私のタブレットが何らかのメールを着信した音が鳴る。
[【O-06-37《ボクは悪いスライムじゃないよ!》】に"洞察"作業]
ふむ。どうやら新しく入ってきたアブノマーリティの作業のようですね……まぁ、やらなくてはいけませんね。
「ミウさま。とにかくガーンさまが復帰次第、T-00…ハヤトの作業をやってください。この責任は私が引き受けます」
「……わかった」
「ガーンさまは……私が作業失敗した場合、すぐさまに戦闘に入れるよう準備を」
「……ハ、ハイ」
こうして黄色い光に照らされた通路を渡った後、とある扉の前に立つ。
「ここなんですね……」
思わず独り言を言ってしまう……私は油断しない。出来る。よし!
「失礼いたします」
そこには、おそらく子犬ほどの大きさの青いスライムが居ました。スライムの体は青く透けており、顔がついていました。まるでスライムにのりか何かでくっつけたみたいでした。そしてその顔は今にも泣きそうになっており、まるで罪悪感に押し潰されるような……そんな気がしました。
「えっと……ちょっと失礼するわね」
私は、近づいてじろじろと観察しました。そしてO-04-37が何かを言い出し始めた。
「ボクは……ボクは悪くないのに………」
「え、えっと大丈夫なのかしら?」
「早くボクから離れないと……キミも酷い目にあっちゃうよ……」
どうやら早く離れて欲しそうでした。まるでこのままだと私が酷いことになってしまうことに恐れているようですね……
「安心しなさい。私はアナタに酷いことをしないから」
「ち、ちがう! ボクが言いたいのは……あ、ああ……」
まるで何かに畏れ、恐怖のあまりに固まってしまったようでした。なんでしょう……この……いやな感じは………
「と、とにかく落ち着きなさい。大丈ぶぅぐうっ!!?」
私は何かに腹を殴られた。そして恐る恐るスライムを見ると――
――赤く変色していた。
『緊急事態! 緊急事態! 【O-04-37《ボクは悪いスライムじゃないよ!》】が脱走した! 職員は直ちに鎮圧せよ!!』
『【O-06-37《ボクは悪いスライムじゃないよ!》】! 推測RiskLevel:――
私はわかってしまいました。私は――
――ここで死んでしまうことです。
見知らぬ罰を受けることは、その者にとって最大の苦しみとなるだろう...