アブノーマリティに転生したが...ノーデスを目指しますが......知らないアブノマーリティしか来ないんですけど?   作:サイコロさん

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ハヤトは考えた……新人研修したらいいんじゃね?


3Day 見よ! これが俺流新人研修ぜよ!

どうも、オレの名はガーンだ。裏路地で生まれては何度も何度"掃除屋"から逃げ回り、そしてようやく名のある事務所に就職出来たんだが……そこは地獄だった。

 

 

『ガーンくん、一緒に仕事しないか? え? 大丈夫、大丈夫。僕が愛しいガーンくんを危険にさらすわけないから♡』

 

 

『ガーン……俺と付き合ってくれ……!』

 

 

『不肖、私。愛するガーン様を思い、書かせてもらった愛の詩を朗読させてもらいます』

 

 

いや、めちゃくちゃモテモテやん!………………そうだよ。何故か、にだけめっちゃモテたんだよ! わかるか!? いやわからんだろうな!! 俺が男にモテにモテすぎて争いが起きるほどモテたんだよ!! 別に同性愛を差別したいわけじゃない。けどよ! ………思い出したくない。  

 

 

ま、まあとにかく、オレは命懸けで勉強する始めた。全ては地獄(ここ)から抜け出すためにな。それが実を結んだのか、L社に入社することが出来た。それはオレにとっても救いであり、チャンスであった。

 

 

そして現在、オレは化け物だらけの会社でエネルギー集めをしている、てわけなんだ……うん? なんで今更、こんな話をするかって? それはなぁ...

 

 

「ガーン先輩! ようやく会えましたね! いや、ガーン先輩が入社届けと退職届けを隠していたせいで二度と会えないと思いしましたが、まさに運命! 再開できるとは思いもしませんでした!」

 

 

悪魔(元同僚)と出会ってしまったからだ………

 

 

 

 

俺は考えた。どうすればいいのかと考えた。全ては我が"悲願"の為に。俺一人では叶うこともない夢物語を、手にいれる為にどうすればいいのかと熟考の末、辿り着いた結論が!

 

 

そうだ、新人研修しよう。

 

 

まあ待て、こいつ、頭おかしくなったか? と疑う気持ちはよく分かるが話を聞いてくれ。俺は前世ではこのゲームをプレイしていたから分かるんだが、ホドのセフィラコアの抑制をクリアした時の報酬が"新規雇用職員ランクⅢ"だった。これは現実だと即戦力として活用出来ると予測した。しかしコア抑制をしないといけないので....

 

 

「ようこそ、新人共(ひよっこ共)。無限地獄へ」

 

 

俺が代わりにやります。

 

 

「俺の名前はハヤト。まあいろいろ訳あってここのアブノマーリティをやっているが、お前らを救いたいと思っている。しかし俺一人じゃあ無理だ」

 

 

俺は新人共(ひよっこ共)の目を見て言う。

 

 

「だからこそお前らを鍛え上げて、どんな状況下でも生存させるような、いや、させてやる職員に変貌を遂げさせてやる。まあ、よろしくな」

 

 

俺は手を出す。そして二人の新人職員は目を丸くしていた……何でだ?

 

 

「こッんのお馬鹿がァア!!」

 

 

そうやってノエルに全力で頭をぶん殴られる。おかしい……俺は何もやっていないのに。

 

 

「だいたいアブノマーリティのアナタさまが先輩ヅラで説明しているのが、おかしいですわ! そもそも私達は詳しくじゃないけど、ある程度説明されますから!」

 

 

言われてみればそうだな。

 

 

「まあ……アナタさまのことだから、どうせ私たちを助ける為に何かしらの行動を起こそうとしているのは一目瞭然ですわ」

 

 

そうやってやれやれと腕を組んでノエルは言う……俺は今、男泣きしているだろう。

 

 

「あそこで泣いている方は放っておいて……私は、コントロール部門のチーフ、ノエル·ライナですわ。これからよろしくお願いいたしますわ」

 

 

そして優雅な礼をしたノエルに続いて、二人の新人も頭を下げる。

 

 

「サリーよ、よろしくね。サリ姐さんと呼んでくれると嬉しいわ」

 

 

「初めまして、ガーン先輩の彼女「違うぞ、違うからミウ! そんな好奇心旺盛な目で俺を見るのはやめてくれ!」ショコラです!」

 

 

金色モヒカン、まさに筋骨隆々の文字の具現化、俺と同等の身長、そして星形のサングラスをかけた(彼女)。サリナ姐さんと赤くてサラサラした髪に、華奢な体つき、大きくて丸い黄色い瞳。俺達の中で一番小さい彼女は、例えるならば純粋な子供に見えるだろう。

 

 

「ふむ……ショコラさま、ガーンさまの彼女とは主にどう言った意味で…「主に恋愛、運命の相手です!」へぇ~よかったわね、ガーン。彼女さんと同じ会社に勤めれるなんて」

 

 

そうやってノエルはガーンに茶化す。一方ガーンはこの世の終わりの顔をしていた。

 

 

「いいか……よく聞けよ……そいつはだぞ!?」

 

 

その一言で俺たちは………

 

 

「ええ!? こんなに可愛らしいのに……失礼ですが、本当に男性なのですか?」

 

 

「……恋に性別は……関係ない!」

 

 

「あらぁ、それが何かしら?」

 

 

「お前は、独り身の辛さが分からないんだからそういうことが言えるんだ」

 

 

各々の反応を示した……ん?

 

 

「ノエル、ミウ。お前たちはガーンにこんな可愛らしい彼と出来ているハズがないと言いそうだったのに…違うか?」

 

 

「いえいえ、私は別にモテているからという理由で相手を差別したり、怨んだりしませんわ」

 

 

「……恋愛に、老若男女関係ない!」

 

 

「そうか、ならいいんだ」

 

 

「ねえ、論点がズレている気がするんだが?」

 

 

『黙れ、この幸せ者(が)(ですわ)』

 

 

まあ、こんなうきうきワイワイと騒ぐ話もいいだろうが……本題はここからだ。

 

 

「よぉ~し、ならばこちらの資料を読んでみてくれ」

 

 

そう言ってライムちゃん(【O-06-37《ボクは悪いスライムじゃないよ!》】)の調査記録を手渡す。

 

 

「本日13:00に脱走する予定のアブノマーリティの資料だ。諸君らにはこれの作業を行ってもらう」

 

 

俺は淡々と説明を続ける。

 

 

「また諸君らには、これの鎮圧をしてもらう。いわば実戦形式の新人研修だと思ってくれ」

 

 

「質問があるわ」

 

 

そう言って、サリ姐さんが手を挙げる。

 

 

「このアブノマーリティは、鎮圧しなくてもよいと書いてあるのにわざわざ鎮圧する意味はなにかしら?」

 

 

「まあ、簡単な話だ。手加減してくれるアブノマーリティは、今のところだとライムちゃんしかいないからだ」

 

 

「ふぅ~ん、わかったわ」

 

 

そして読み終わったのか、資料から俺に目線を変えるサリ姐さんとショコラ。

 

 

「では、諸君らの健闘を祈る!」

 

 

俺は自分の部屋(収容室)に戻った。

 

 

 

 

どうも、ガーンだ。なぜかショコラの彼氏認定されているガーンだ。そして今は職員·オフィサー用の施設を案内しており、食堂で休憩しているところだ。

 

 

「まさか、ハヤトさんがアブノマーリティなんて…アブノマーリティは僕たちに害を与える存在だと聞きましたが……」

 

 

「アイツは別なんだよ。俺達を必死に助けようとしているんだ。理由は知らないけどな」

 

 

「そうなんですか」

 

 

そして目の前にいるのは危険生命体No.1(オレ独断)のショコラ。可愛らしい外見に騙されたら命はない、オレの中ではハヤトに鎮圧指示してほしいと思っている。まあ根はホントに良い子なんだが……

 

 

「それより! 早く結婚しましょうよ! あっ! もしかして同性婚が可能な結婚場が見つからないから先延ばしにしているんですか? 既に僕が見つけたので大丈夫ですよ!」

 

 

そしてオレの手を取って、そして――

 

 

「ホントに楽しみですね」

 

 

――濁った瞳でオレを見た……そう、ショコラは……ショコラはなぁ……少しヤンデレなところがあって……それは………それは……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁあ!!

 

 

「っは! はぁっはぁっは!」

 

 

思わず昔のことを思い出してしまったようだ。息が少し荒々しくなっている。そんなオレを見て、ショコラは……

 

 

「ハハッ、ガーン先輩が浮気をするからこうなんですよ。しっかり反省してくださいね」

 

 

………たしゅけて。

 

 

するとオレのタブレットがメールを着信する音が聞こえた。

 

 

[【F-04-14《誕生日、おめでとう》】に"抑圧"作業]

 

 

神様はいたんだ。

 

 

「おっといけねぇな! オレはそろそろ作業しなくちゃいけないようだ! じゃあな!」

 

 

「あ、待って下さい!」

 

 

そして今、オレは[【F-04-14《誕生日、おめでとう》】]の扉を開ける。

 

 

そこには紐に吊るされた馬のピニャータがあった。赤、オレンジ、黄色などの七色の紙吹雪みたいな紙が体中に貼り付いているようだ。またオレの気配を感じたのか、四本の足をジタバタ暴れさせる。

 

 

「ヒヒィーン!」

 

 

「では、いかせてもらうな」

 

 

俺は支給された鞭で、【F-04-14《誕生日、おめでとう》】に叩きつける。

 

 

「ヒィーン! ヒヒィーン!!」

 

 

その度に喜んでいる【F-04-14《誕生日、おめでとう》】はドMかなと疑ってしまった………けど楽しい!

 

 

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オレは無我夢中で鞭を乱暴に叩きつける。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「はぁーい、そこまでぇ~!」

 

 

オレの右手を掴んだのは、アブノマーリティのハヤトだった。どうして邪魔するんだ?

 

 

「ガーン、アブノマーリティに洗脳されているぞ」

 

 

え? 何を言っているんだ? オレはただただ……!

 

 

「ッ!?」

 

 

オレは思わず距離を取った。どうしてオレは壊すことを考えたんだ?

 

 

「いやぁおそらくだが、コイツは壊されることで真価を発揮させるタイプだな。俺もこういう似た奴は知っている」

 

 

美女と野獣? 何を言っているのか、よく分からないが、とにかくオレに壊させてやろうということはわかった。

 

 

「ありがとな、ハヤト。おかげで助かった」

 

 

「気にすんな。俺もお前が、ピニャータになってしまうところを見たくなかったからな」

 

 

今、恐ろしいことをサラッと言った気がする。

 

 

「ブルルる、ヒヒィーン!!」

 

 

止められたのが癪だったのか、さらにうるさく鳴く【F-04-14《誕生日、おめでとう》】。どうやら怒っているようだ。

 

 

「とりあえず今は危険だ。また少し経ってからやった方がいいな」

 

 

そして、オレたちは収容室から出た。その直後だった。

 

 

「ヒヒィン! ヒィィーン!!」

 

 

更に荒ぶる【F-04-14《誕生日、おめでとう》】。嫌な予感がして、振り向いたら――

 

 

「ヒィィーーン!!」

 

 

――大きな前足でオレたちを踏み潰す――

 

「オラッ!」

 

 

――ところをハヤトが思い切りぶん殴られる。

 

 

オレは今、超次元の戦いを見せられているんだろう。

 

 

「ほら、何をしている。早く帰るぞ」

 

 

「アッハイ」

 

 

なにがなんでもこの人には敵に回してはいけない。それを身に染みた。

 

 

 

 

そして俺は、パソコンを起動させていろいろ弄ってみる。どうやらアブノマーリティのギフトの分だけ、俺は強くなれるらしい。つまり今のところはライムちゃんのギフトしか貰っていないから……成程。

 

 

「俺が召喚等の他のアブノマーリティの異常性(能力)が使える範囲が広がるということなのか?」

 

 

それだったら……フフッ! ああ、楽しみだな。俺はパソコンに映っている画面上にいる職員達を触る。どうやらフェルターのON·OFF出来るようだ。

 

 

『あーっ、あーっ、諸君、そろそろ鎮圧対象が脱走する。まずノエル·ミウ·ガーンは、他のアブノマーリティが脱走しても対応出来るようエレベーターで待機、サリ姐さん·ショコラは鎮圧を優先に、あっ勿論、ライムちゃんは手加減するし、管理人からの指示があればそちらを優先に、では、健闘を祈る』

 

 

そして始まる戦闘。

 

 

「お、いいぞ~。サリ姐さんが意外と強いな。しかしショコラもなかなか良いサポートするね。これは……あぁー、けどな~。やっぱりアブノマーリティとの実戦経験が少ないな」

 

 

今回の経験でなんとか感覚を掴んでほしいと思っていると、誰かからメールが送られた。それは……ッ!? 嘘だろ!?

 

 

『【T-00-01《救世主》】様。少々お話させてくれませんか』

 

 

()()()()()からだと……!?

 

 

俺は驚愕のあまりにパソコンを掴んでしまう。だが、それほどに今、起きていることは異常事態(ハプニング)なのだから。

 

 

しかし好都合だ。

 

 

アンジェラから情報を聞き出し、今はどういう現状なのかを推測出来る。また、アンジェラに俺の意思を伝えれるハズだ。このチャンスを逃してはならない。

 

 

「いいぜ、アンジェラ。お前を懐柔して、お前を助けてやる!」

 

 

俺はそのメールをクリックした。




物を壊して褒められる。理解できない。

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