アブノーマリティに転生したが...ノーデスを目指しますが......知らないアブノマーリティしか来ないんですけど? 作:サイコロさん
遂に来てしまった……情報部門の開幕だあっーーー!!!
ごほんごほん、失礼。取り乱してしまったようだ。とにかく、新しい職員と危険性が上がってくるだけじゃなく、なんと、『試練』のおまけ付きですよ! 試練は呼んでいないので帰ってくださいな。いや~ヤバいですよ。紫の深夜の試練は俺に深い絶望と恐怖を心に残したから一層身を引き締まなければ。(クリアできず、何回もやり直したから)
「それはさておき、今日は新しい新入社員が来ると聞いたな」
いやぁ仲良くすることは、後々役に立つなぁ。どうやらミウとノエルを情報部門に、残り三人は新しい社員2名を指導するってな感じか。
「まだパソコンで確認していないから。楽しみだな」
実を言うと、パソコンからの確認はしていない。しかしパソコンを点けていないと危ないので………
「地味に音しか聴こえないから不安なんだよなぁ」
パソコンを後ろ向きにして、音だけ聴こえるようにした。こうしたら非常事態でもなんとか動けるしな。するとノック音がしてくる。かなり礼儀正しいようだ。
「はい、どうぞ~」
「これが、天然鈍感女タラシかー!」
「オラァッ!! 死に腐れぇッ!!」
「危なぁっいぃッ!!?」
前言撤回、初見で悪口を言うとは……かなりのやり手だな。俺は咄嗟に右アッパーを繰り広げていた。
初めまして、自分はクゴウと申します。どうやら
「ファッッ~。クゴ~、眠いよ~」
「黙りなさい。レイズィー」
「えぇー、扱いひどっ」
私の同期して腐れ縁。白いチョボンがついた黄色いナイトキャップを被り、薄い黄色の髪を短く揃えた髪型の女性のレイズィー。
「でもさー。やっぱりさー、眠いよ」
「だったら永遠の眠りにさせてあげましょうか?」
「人間としての血も涙もないなー。そんなんだから、クゴーはモテないんだぞー」
「安心してください。私は、既に卒業済みなので」
「論点がズレズレだよー」
すると私たちがいる待機室の扉が開かれる。そこにいたのは、まさに外郭から生き延び、全てを屈服させてきたような方と、青い髪を短くさせた女性の方が入ってきた。
「初めましてね。私はサリー、サリ姐さんと呼んでね」
「オレはガーン。一応言っとくが、オレは男だからな」
ふむ、どうやら精神と体の性別が逆だったり、見た目を気にしているようです。しかし、だからといって差別したり、罵倒してはいけません。何事も"相互理解"。互いに知ることで、互いの価値観を理解する。これこそが大事なので「えっー! そんな見た目でですかー! あれ? でもサリーさんは完ぜゲフッ!」我ながらの肘打ちが決まったのか、倒れるレイズィー。私は頭を下げる。
「申し訳ありません。同僚が失礼なことを言ってしまって」
「いいのよ。私としては、そっちの子が悶絶しているけど大丈夫?」
「どうせ、オレは女性にしか見えないんだ。当たり前だ。そもそも初見で見抜いたハヤトがおかしいんだ。いやアブノマーリティの力なのか? どちらにせよ、オレが男性だと見抜ける訳がないんだ。ハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
ふむ、やはりそこら辺を気にしているようですね。
「大変すみません。ですがご安心下さい。これが"日常"なのでもう慣れっこです」
「そう、でもあまり乱暴はよくないからね」
「分かっておりますが、レイズィーはこうしないといけないのです。腐れ縁のお言葉をどうか信用下さい」
「そ、そうか。ならここの説明は聞いたと思うし、これから作業をしてもらう。支給されたタブレットがあるだろ? そこに指示されてあるからな。後は……大丈夫か?」
「大丈夫でーす。こう見えても物覚えは早いんですよー」
復活したレイズィーが代わりに反応する。こう見えて丈夫なのだから。するとガーンが小声で話し掛けてきた。
(よく聞け、これは大事な話なんだ。誰にも言うなよ)
((??))
(いいか、こうしているのは聴こえてはいけないからだ)
成程……確かにここにはアブノマーリティという存在がいる。どんな特殊能力を持っていてもおかしくない。その対策なんだろう。
(ガーン先輩、どういうことですかー?)
(いいか、たった一回しか言わないからな。いいな)
((コクリ))
一緒に頷く私たち。どうやら大切な話のようだ。
(お前らが今から担当するアブノマーリティは【T-00-01《救世主》】だ。基本的にこちらには無害…いや有益な存在だ。彼のおかげで生きている者達は沢山いる)
(ふむふむ、ガーン先輩。じゃあ、大丈夫ですよねー?)
(そうですね。今のところはそんなに危険そうでは有りませんね)
(確かにそうだ。しかし【T-00-01《救世主》】には重大な欠点が一つある。それは――)
一段と険しくなるガーン先輩の声に、しっかりと耳を傾ける。おそらく聞き逃したら後悔するような大事な内容だろう。
(――天然鈍感女タラシなんだ)
前言撤回。
(ほーう。どんな感じなのですかー?)
(あいつは、人から好き·嫌いや好意·敵意しか分からないんだ。だからとある人がめちゃくちゃ大好きでも、あいつからした友達の"好き"で終わっているんだ)
(ふむふむ)
(しかも、あいつは俺達のことを見抜いているのかのごとく、優しく状況に合った対応をしてくれるんだ。それにポロッとやられた人もいる)
(はぁ、はい)
(だからこそお前ら、特にレイズィーは気を付けろよ)
じゃあ、と手を挙げてサムズアップをしながら扉に向かうガーン先輩。私たちも収容室に移動する。
「あっ! ガーン先輩! どこにいたんですか! 探しましたよ!」
「ッ!? ど、どうしてお前が……! まさか、もう仕事を終わらせたのか!」
「はい! ガーン先輩と一緒に食事しようとって、なんで逃げるんですかー!」
「三十六計逃げるに如かずぅ!!!」
正直な話、後ろから聴こえてきたことに気になって仕方なかった。
「という訳なんです」
「よし、殺すか」
あの野郎……純粋無垢な新人たちに何言っているんだ。新人たちは例え、ホラ吹いていてもあっさりと信じてしまうんだぞ。
「いえいえ、あんな分かりきった話を信じてしまった
「だって~、初めて新人に教えることですよー。嘘つくとはおもいませんよー」
まったくその通りだ。ただでさえ、ここは常識が通用しないところがある。そんなデタラメが出回っているなら………
「■■■■、いや■■■■、■■■■■■■だな」
「あ、あの恐ろしすぎることをいってませんか?」
しまった。不安にさせてしまったようだ。とにかく俺はコーヒーとココアを用意した。
「とりあえず、コーヒーとココアだ。飲んでリラックスしようぜ」
「ありがとー」
「ありがとうございます」
そうしてココアをクゴウ、コーヒーをレイズィーは飲む。その後は簡単な会話と質問、カウンセリングをしたぐらいかな。
「ではー、さらばだー」
「失礼しました」
怠け者なレイズィーに生真面目なクゴウ。案外、良いコンビだと思った。さてと自分は………
「やって来ましたー! ZYO☆U☆HO☆U部門ー!」
「いぇーい!」
ライムちゃんと共に情報部門に来た。全体的に紫色な部屋で、天井には.....何だろ? 丸い……LEDライトぽい何かがある。
「でも? ここにはいないよー」
「ここはメインルームと言ってな、ここは職員やオフィサーが待機する場所なんだ。ここにはいねぇよ」
「へぇー」
そして新しいアブノマーリティがいる収容室に行く。
「【T-07-51】だと……!」
「なんか木と紙のにおいするー!」
嘘だろ……まさか、あの陰陽みたいなやつが来るのか! 不味いなぁ……最悪、シェルターを使うか。
「たのもー!」
「失礼しま……はっ!?」
そこにあったのは、まるで……いや、図書館だ。四方の壁は本棚になっており、高さは……いや、ここは収容室なのか? 高さも広さも体育館並みはある。空間を弄れる能力か? 天井には蝋燭のシャンデリアがぶら下がっている。そして部屋の中央には木製の四つの長方形の長い机に木の背もたれついた四角い椅子。さらに奥には高級そうな貫禄がある机と椅子。所々には積み上げられた本があり、まだ整理は出来てないように見える。また一際目立つ木の独特の雰囲気を最大限まで出したような一段と大きな立派で古い本棚。しかし
「何かご用でしょ……う……か………」
茶色の紳士服みたい服装の大柄な人がいた。(何故か驚いている)しかし背中には蜘蛛のような8本の脚が生えており、しかしそれは木製の機械のようだ。先は尖っており、殺傷能力が高そうに見えた。
そして、顔は……なんというべきか。俺が例えるなら蜘蛛。黒よりの紫のガサガサしい肌に、角みたいに刺々しい水色の結晶が出ている何かの革? を被っている。どうやら身体を革で纏って、さらに服を着ている、ということか。そして甲羅に隠れている目は青く怪しく光っている。二つの大きくとんがった目と六つの小さな丸い目と小さく鋭利な牙の口で構成されている。そう顔が蜘蛛を人間化させたように見えたからだ。
「あのー、どちらさま?」
「申し遅れました。
「ふおっげとさん?」
「ハハハッ、まだ発音が難しいかな?」
どうやらライムちゃんと仲良くなっているようだ。だが俺は警戒体勢を解かない。するとフォッゲトという自称館長がこっちに来た。
「………」
「………」
互いに無言が続く。どちらが先に動くか、これが勝負の鍵を握る。すると先に動いたのは――
「………(スクッ)」
「ッ!」
―――自称館長、フォッゲトだった。俺は回避に入るが相手はこれ程の空間操作能力に、木製の脚で純粋な攻撃か、とにかく避けることを考える。
「よくぞ来てくれました。
「……どういうことだ……?」
俺はあまりの状況に動けなかった。何故ならば、フォッゲトという自称館長が涙を出しながら、俺に跪いたからだ。
「ふおっげとさん? どうして跪くの?」
「失礼、私が此処にやって来た理由と関係するため、長話になりますのでこちらにどうぞ」
そう言われて四つの長机の内、一つを挟んで、椅子にお互いに座る。
「ゴホンッ……私は、元々とある廃屋で忘れ行く
「忘れられるか……」
「ええ、私はただ忘れられることに死ぬことよりも圧倒的な恐怖と絶望が襲い掛かりました」
「死んじゃうことより、わすられることがこわいの?」
「ええ、そうです。だからこそ私は"記録"を残すことを望んだ。しかしこんなちっぽけな蜘蛛は、弱々しく、移動することはもちろん。なんなら起きることすら苦痛でした」
「…? 今は強そうだよー」
「ハハッ! 確かにそうですね! しっかし私は昔は弱かったんですよ! 確か……少々失礼」
そうして立ち上がり、とある本棚から一冊取り出すフォッゲト。
「確かぁ…………お! あったあった。これですよ! この時、私は本を集める時、私より後に住み着いた獣がいましてね。それを退治するために、そして今後の脅威から守るために……そう思っていたら、いつの間にかこうなっていました」
そう開けたページには不恰好な人間の形をした紫色の何かの写真が貼ってあった。
「あれー? でもこれは本なの?」
「あぁ、それは私が本を集める理由は、"忘れたくない"故に、記録さえ出来ればなんでもいいんですよ」
「ふぅーん」
「しかし私は怖かったのです。どんなに情報を記録しても、新しい情報に踏み潰されるのが、そこで私は冒険をしました。どうすれば忘れてくれないのか、と考える為には、新しいやり方が必要だと理解したからです」
「成程……同感だな」
「その時、私は夢を見ました。それはそれはまるで神のお言葉を受けるようでした」
「本当に神さまなの?」
「もしかしたら私の情報、つまり努力の結晶が判断を下したかもしれませんね。しかし救われたのは事実なんです。その夢はある者が助けてくれると言ったんですよ」
「ほう。それで?」
「その夢は、まずは迎えが来る。そしたら後は委ねるだけだと、とおっしゃいましたよ」
「? ちょっとテキトーだね」
「しっかしその夢の通りでした。今まさにあなた様と会えているのですから」
「俺に会えることがそんなに重要か?」
「ええ、重要ですとも。何故ならば――」
この時、俺は初めてこの身を震わせた。それは……
「
………………え?
忘却こそ、我らを悲劇と進化させる感情なり