「謎のウィルスの蔓延…」
アンブレララクーン支部のウィルス蔓延事故の発生を知ったのは部下からの報告でも、本部からの緊急連絡でもなくただの何の変哲もないただのニュースからだった。ラクーンシティにおいてはインフラ設備からありとあらゆるメディアまで全てアンブレラの監視下に置かれている。だから本来はこのようなアンブレラにとって不都合な情報が堂々と放映されているこの状況は異常だった。警察からの緊急放送となっており、デマだと言い包めることは難しそうだった。
「ラクーン市警か」
奴らの中には確か先月のアークレイ山地の化け物の巣窟と化した研究所で生き抜いたS.T.A.R.Sのメンバーがいたはずだ。恐らくそいつらの仕業だろう。全く、警察署に置いている監視役は何をやっているんだ。私の記憶が正しければ確か先日監視役は交代したはずだ、名前は確かウィリアム・コクランと言ったか。たった数人の監視すらまともにできないとは、そう思い心の中でこいつのことを無能と評価する。
急いで部下に事実確認と研究所を離れる準備をさせ、現在のウィルス感染率の確認をする。
「ほう?思った以上にウィルスの進行は遅いらしい」
これなら生存者と生物兵器との戦闘データが十分以上に取れそうだ。口元を歪め本部に生物兵器の手配を要請する。ついでに新型の性能実験と邪魔者の排除を目的にネメシスも手配した。生物兵器を陸路で輸送し、リッカーの発現が確認されてしばらくすると、ラクーン市警が大規模な殲滅戦を開始した。数は少なく、装備も整っているとは言い難かったが、士気は高く大勢の感染者に対してかなりの時間を稼いでいた。その警官隊の中でも特に目を引くのが二人いた。一人はジル・バレンタイン、元々特殊部隊の訓練を受けたこともあってか超人的な射撃センスをもって感染者とリッカーどもの死体の山を築き上げていた。
そして二人目は先ほど無能と評したウィリアム・コクランだった。先ほどのジル・バレンタインのような化け物じみた戦闘センスはないものの、生物兵器の厄介さを知ってか知らずか常に適切な距離をとり、撤退と応戦を繰り返しながら数千、数万の感染者を相手に数時間の防衛に成功していた。成程、ただの無能ということでもないらしい。気まぐれにウィリアム・コクランに関する情報を閲覧する。記憶喪失になった状態で発見され、孤児院に引き取られる。その後優秀な成績で中、高と進み警察学校を出て現在のラクーン警察に務めるが、賄賂の受領が発覚しその後使い勝手のいい使いっ走りとなるが署長であるブライアン・アイアンズを殺害し現在の所長代理に収まる。癒着、賄賂、殺人、幼少期に特殊な環境に置かれていたこと以外は興味もひかれない真性のクズだ。
やはりただ少し勘がいいだけか、そう思おうとした時衝撃の監視映像が入ってきた。
「自分の腕を‥食わせている‥だと」
あいつの現状については理解していた。奴はガソリンスタンドを爆発してきた帰りでゾンビと対峙していた。ここで下手に動こうものなら爆音に引き寄せられた大量のリッカーに襲われて腕どころでは済まないことになるのは明白だ。だが、だからと言って腕を食べられる痛みを我慢できるのか?いやありえない。切り落とされるのとは訳が違う。ゆっくりと皮を裂かれ、肉を潰され、骨を砕かれるのだ、その痛みを想像しただけで体の芯からゾクゾクとした興奮と高揚感が湧き上がってくる。そして歯を食いしばり、声を出さまいとする姿に何とも言えない気持ちになった。
こう考えてしまったからだ、自分は同じ状況になったとき耐えられただろうか、と。私には痛みに対する耐性もあり、何なら自身の中に存在するウィルスの力を使えばリッカーごとき何匹いようと1分もしない内に殲滅が可能だ。だが、もしそれらがなかったら?これが馬鹿らしい考えだと言うのは百も承知だ。だが先ほどの戦闘にしてもそうだ、私でもあの程度の人材のみであれほどの感染者相手に持ち堪えることができたのか?そしてこう考えてしまった。
奴も優秀な人間に入るんじゃないか と
この世は優秀な人間が支配するべきである。日々スペンサー卿や同志と語り合っていることだ。衝突し裏切り合い、互いに見下し合っている中で組織が動いてきたのは優秀な我々が世界を支配する権利があると考えてきたからだ。
私は自身のことを選ばれた人間であると信じているし、それを疑ったことはない。実際、偉大なる祖国であるソ連の軍に所属し、若くして大佐まで上り詰め、さらに1000万人に一人という出鱈目な確率で存在しているウィルス完全適合者だ。これで選ばれた人間でないと言う方が無理があるだろう。
だが奴はどうだ?ただのクズだ。小遣い稼ぎに一生懸命なただのバカだ。そんな男と自分が少しでも同じ種類の人間であると思わされるのは屈辱だった。
殺してやる、無様に殺し私の方が優れていると証明してやる。
そう自身に誓いを立てるが、思った以上に早くその時はきた。奴が一人でここまできたのだ。片腕を無くし、ボロボロになったやつの姿は無様だったが油断はしていなかった。監視カメラで施設を探索する奴を追い、とある部屋に入るのを待った。その部屋には私のクローンから作られたアンブレラの最高傑作が5体も保存されている。私の兄弟とも言える彼らが奴を唯の肉塊へと変える。その瞬間を見逃さない様に奴の行動を一挙手一投足見逃さないように監視カメラを動かす。部屋の前でもたもたしている奴の姿に腹を立てながらひたすらにその時をまった。
入った
「ようこそウィリアム・コクラン、君のような無能がここまで来れるとは驚きだよ」
はやる気持ちを抑えながらあいつに語りかける。
「君にはちょっとした実験に付き合ってもらう。ちなみにこれは強制だ」
そう言ってドアにロックをかけようとボタンに手を掛けた時だ
『センサーに障害物が引っ掛かっています。障害物を取り除いて下さい』
間抜けな音声が流れその隙に奴は脱出し、焦って強制閉開ボタンを押してしまった結果逆にタイラント達を閉じ込めることになってしまった。
「なぜわかった」
平静を装い疑問を口に出す。するとゆっくりと監視カメラの方を指差しこう言った。
「カメラの動きでこっちの部屋に入って欲しがってたの丸分かりだったぞ、マヌケ」
衝動的に体内のウィルスを暴走させなかったのは奇跡だった。何とか気持ちを抑えつけている時、本部から緊急連絡が入ってきた。
『これから12時間後にラクーンシティ滅却作戦が始まります。急いで退避して下さい』
そして、思い出すことができた。自分は選ばれた人間なのだと。そうだ、だから私はこの情報が手に入り悠々とヘリでこの街から脱出できるが奴は違う。奴はここで死ぬ、なぜなら選ばれなかったからだ。そう自分に言い聞かせ、こちらに向かってきているコクランを置き去りにして地上に向かった。
「おい、早く出せ」
ヘリのパイロットに吐き捨てるように命令する。
「で、ですがまだ点検が」
「いいから出せ、命令が聞こえなかったのか?」
そう言って無理矢理ヘリを出させるとちょうどコクランが建造物から出てきた。
「いいことを教えておいてやる、これから12時間後にはこの街は新型ミサイルが落とされて地図から消え失せる。お前は生き残れるかな?まぁ、生き延びたらその時は決着をつけよう」
そう言って奴の見ている前で自身のナイフで手を切り、一瞬で回復してみせる。
そうした瞬間、
「エンジンがイカれました、これから不時着します!!なにかに捕まって下さい!」
そうパイロットが叫び始めた。そして下を見てみるとコクランが悪戯が成功した少年のような笑顔でこちらを見ていた。そこで気づいた、全てこいつに仕組まれていたんだと。
「コぉクラァぁぁぁン!!!」
目が覚める。そしてすぐに懐に違和感を覚えた。ないのだ、スペンサー卿から預かったものが。
「探し物はこれか?」
自慢げにそれを見せつける。もちろん見せつけてくる相手はコクランだ。
「それを返せ、それはお前如きが触っていいものじゃない」
何とか奴の手から奪い返そうとするが体のどこかがヘリの残骸に引っ掛かって少しも動くことができない。
「なぁ、気になってたんだが何でお前らはこんなクソみたいなウィルスなんかを作っているんだ?」
そうコクランは純粋に不思議そうにそう聞いてきた。何でも知っているようなすました顔をして、選ばれた人間なら誰でも知っている様なことを聞いてくるのは愉快だった、だから答えてやった。
「お前らクズどもを支配するためだ」
「わからないな、クズの支配とやらとウィルスが何の関係があるんだ?」
「これからの世界は選ばれた人間が神となって導く必要がある、ウィルスは神となるべき人間を選別するための道具だ」
そう言い切ると突然コクランが笑い出す。
「なぜ笑う?」
「いや、こんなイタイ学生の鑑みたいな奴らに人生潰されたかと思うと何だか笑えてきて‥ふは」
そう言うとすぐにゲラゲラと笑い出し、腹を抱えて蹲った。
「笑うな!!この世は優秀な人間に支配されるべきなんだ」
そう絞り出すように言うと、笑うのをやめてこちらの方を向いて一言呟いた。
「無能は黙ってろ」
その一言で今まで押さえつけていた激情が決壊し、体内のウィルスを暴走させる。自身の体をただあいつを殺すためだけに化け物へと変化させる。その瞬間背中に衝撃を受けた。なんだと思い振り返ると自身のクローンであるタイラントが4体こちらに対して戦闘態勢をとっていた。
「私はセルゲイ大佐だ、攻撃するな!!」
そう命令しても急激な変化により私が誰かも判断がつかないようだった。そうこうしている間にもコクランの背中は小さくなっていくなか、私が奴に対してできたことはその小さな背中に向けてただ恨みがましく奴の名前を叫ぶことだけだった。
次が一応最終回になります。頑張ります。
RTAパート終了後はどちらがいいですかね?
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実況風
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小説風
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どっちでもいい