ウィリアム・コクラン。
誰でも聞き覚えのあるようなよくある名前をした奴の第一印象は表情が動かない、人形みたいな奴だった。警察官なんかになるやつは基本2種類しかいない。街の治安やら子供の未来を守りたいとか馬鹿みたいな絵空事に人生かけてる奴と俺みたいにただ威張りたいやつの2種類だ。だからだろうか奴を見た時、何となく興味を惹かれた。情熱をかけて仕事をするでもなくひたすら他人との関わりを避けている。最初はスパイを疑ったがそれにしてはこちらを探る様子も無く、気味の悪さを覚えた。
そして、次第に奴の噂が私の耳に入ってくるようになる。
ウィリアムは賄賂を受け取っている。
その噂に全てがカチッとはまったような気がした。奴はただ何と無く警官をやっている。人と関わらなかったのはただ賄賂を受け取っているのが後ろめたかっただけだ。そうやって自分の考えに蓋をして、小骨が引っかかっているような違和感を飲み込んだ。
恐らくラクーン市警に所属している全員がこの考えに行き着いたのだろう。
その噂が流れ始めてからウィリアムに対する態度は二分した。まず一方は徹底的な嫌悪感を示す連中だ。彼らのほとんどが所謂熱血組だ。自分達が命をかけて仕事に取り組んでいるにも関わらず、ふざけた態度で挙句の果てには賄賂まで受けとっている。なるほど、彼らの態度は当然と言えた。
そしてもう片方は無視だ。とはいえ無視しようとしているわけではない。ただひたすらに興味を持てないだけなのだ。彼らにとってウィリアムという男はいずれ消えていなくなる同僚らしき何かになっていた。
そして私にとってのウィリアムとはただひたすらに都合の良い存在だった。
「君のことを訴えたくはないんだ、だがこのクレームの量だと君を庇うのは難しい」
そんなことをちょっと難しい顔をして言ってやれば
『何でもします、だから訴えるのだけは』
こんな情けないセリフを恥ずかしげも無く言い放ち、その濁った目に恐怖を浮かべた。
奴の怯えた声を聞けば奴を少しでも警戒してしまった自分が馬鹿みたいに感じた。
汚職のことをちらつかせれば何でも言うことを聞き、警察学校時代の成績はただの飾りというわけではなかったらしくそれなりの仕事をしてくれていた。それによって私は溜め込んだ貯金を吐き出す時間ができ、面倒な仕事をするストレスが減った。
おまけに警察署内で孤立しているというのも実に便利だ。奴がいなくなっても気付くやつは少ないので朝昼晩いつでも奴を使える。
実に良い駒だった。
だが、次第にやつはアンブレラに使われるようになった。別にガキみたいにおもちゃを取られて怒ったわけではない。いくらアンブレラに使われるようになったからといっても、私がウィリアムの弱みを握っている事実は変わらない。だが時々何か自分が大きな間違いを犯している気分になった。
漠然とした不安は収まることなく、ウィリアムとアンブレラが近づく度に大きくなった。
真綿で首を絞められるような感覚はいつも我慢している破壊衝動を刺激させ、暴力を助長させる。アンブレラ職員とも喧嘩を起こすようになり、ついには発砲までしてしまう始末だ。
そんな中ウィリアムに突然呼びだされた。
イラつきながら奴との待ち合わせ場所で10分ほど待っていると、奴の制服がこちらにゆっくりと近づいてきた。奴が自分の目の前に立つのと同時に怒鳴り声を出していた。
こんなに待たせてどうするつもりだ。
お前の上司はアンブレラのアホどもでなく自分だ。
そんな内容のことを叫びながら奴の胸ぐらを掴んだ。だが、奴はそんなことどうでも良いとばかりにポケットから1枚の写真を渡してきた。
無言で差し出された写真を引ったくるように取って言った
「何だこれは」
そう言いながらあいつの目を見た瞬間だった。
「今からお前のことを貪る化け物だよ」
体が硬直した。あいつの濁った水色の目は怒り以外の感情が抜け落ちたかのように尖らせ、こちらを射殺さんとしてた。
そして、自分は一度その目を見たことがあった。あれは今から15年ほど前、当時の自分の上司がパトロール中に発見した記憶喪失の子供がいた。
その記憶喪失の筈の子供がアンブレラ職員のことを爪を血が出るほど掌に沈み込ませ、今目の前にあるものと全く同じ目をして睨みつけていた様子を自分は目撃していたのだ。
そして、その子供が送られた施設の名前が
「コクラン」
そう呟いた瞬間体に衝撃を受け、後ろに仰け反ってしまう。
自身の体重を支えることができずに後ろ側に倒れ、全身を浮遊感が襲ったのち汚物の浮かぶ水の中に叩きつけられた。
自分の肺の中にある空気が吐き出され、酷くむせた。
汚水を吸って重くなった服を引き摺るように立ちながら周囲を伺う。
『今からお前のことを貪る化け物だよ』
ウィリアムの言葉が脳で反響する。
何を馬鹿なことをと思うが、一応写真を見てみる。
「なっ!?」
そこにはこの世のものとは思えないような化け物が写っていた。他の人間が見れば着ぐるみ、捏造だと思うような写真だった。だが、なまじアンブレラに関わっていたためこれが真実の可能性があることを理解してしまった。
「おっ、おい!ウィリアム話し合おう」
反応がないことでウィリアムは既に行ってしまったということを悟る。そして今まで凪いでた水面に小さな波が現れた。
何かがいる。そしてその何かは写真に写っている化け物だ。
そのことを理解した瞬間走り出した。
自身の体力の限り走る。しかし、進めば進むほど辺りが暗くなっていき、ついにはまともに歩くことすら困難になった。仕方なくその場に座り込む。辺りには物音一つなく、自身の心臓が早鐘の如く鳴り響く音だけが聞こえた。
(どうしてこんなことに)
そんなことを思っていた時、頭に何かぬめっとしたものがかかった。
彼の最後の言葉は奇しくも彼が出荷してきた子供達の多くが彼に捕まった時口にしたものだった。
「ごめんなs」
RTAの続きが早く見たいという人もいると思うので、そっちの方は今夜あげる予定です。それじゃあまた夜に。
RTAパート終了後はどちらがいいですかね?
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実況風
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小説風
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どっちでもいい