転生したらサスロ・ザビだった件   作:Munch

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一章 蛇の目

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ストロングゼロを飲んで風呂に入ったら

揺り篭の中にいた。

 

気が付いたら揺り篭の中にいた。

なんにせよ、俺は転生したのだ。とにかく前世の記憶がある。

正直、この記憶がいつまでもつかはわからんが、とにかく今、流行の転生ものだ。

前世の記憶のあるチートスタートだ。

 

さて、どんな世界に生まれたのか?セオリー通りに異世界なのか?

セオリー通りに勝ち組スタートなのか?ならいんだが。

流石に最近は飽和してたから、裏をかいてとんでもない負け組スタートかも知れない。

まどマギみたいなやつだよ。ほら。セオリーの裏っかえっしの。

 

が。

しかし、その心配は無用。

なんせこの揺り篭だ。普通じゃない。金の装飾とかあるぞ。これ。

超いい感じ。絶対に金持ち。

 

乳母とか普通にいるしな。

とにかく親が金持ちなのは間違いない。

周りの大人もみんなとんでもなく、いい服着てる。

 

籠から抱き上げられて部屋を一望した時にはもう確信した。勝った。圧倒的に勝った。みたこともない調度品。

普通子供の部屋にこんなの置くかね。壺やら絵画やら。

 

これ服やら調度品やら、少し中世趣味っぽいけど、時代は未来だな。バスタブで何となく察した。科学のある世界だ。中世じゃなくて良かったぜ。不衛生なリアルファンタジーやダークファンタジーは勘弁な。

 

 

2

言葉に関しては、最初わからなかったから、完全な異世界だと思ったけどね。英語でもないしな。フランス語やスペイン語だって習ってないけど、聞けばなんとなくわかるだろ?

まるで聞いたことの無い言葉だった。

とにかく、俺はどこかの国の王侯貴族だとは思ったけど。

 

俺の家族が喋ってるのがヘブライ語だってわかるのはもっと先だ。

 

おっと。それなのに俺は日本語でこれを書いてるな。てことは俺の記憶、俺の前世の記憶が生涯、維持できたことはもうネタバレだな。段々、忘れるようなパターンでは無かったよ。

まぁ前世じゃ碌な生き方してなかったから、あんまし役に立たなかった……

と言いたいが、この古い地球の知識は、大事な友を得るのには非常に役にたった。

 

続けようか。

当時、俺の限られた視界に入るのは、

 

乳母のデボラ。その他多数の、お祝いにくる来客たち。

やたら顔色の悪い禿かかった父親。名前は「旦那様」。

どっかで見た顔だとは思ったけど、頭がどんがってる禿げとしかその時は思わなかったね。

たまに顔を見せる母。ほんとにたまにだ。あまり愛されていないのかも知れない。名前すらわからない。

 

そして、ギョッとした。

 

初めて見た時には本当にギョッとした。

 

俺を見下ろす、その少年の目はまるで蛇のようだった。

俺を見ながら笑いもせず、ただ無感情に見えた。そして最後にフッと鼻を鳴らして去っていった。

蛇は兄だった。

 

3

たまに姿を見せる蛇は最後にいつもフッと鼻を鳴らした。

冷笑というか軽蔑というか、まさに「一瞥」という感じだった。

本当に不可解な少年だった。

「こんなくだらないものどうでもいい」という態度ではあるが「こいつをどう使うか」のような関心も持っていたのだろう。だから何度か俺を見に来てたんだとは思う。しかし、どちらかと言うと「こいつは使えんな」だったかも知れない。

 

まぁ少年と言っても、こちらは赤ん坊なわけで、

まさに俺からすると巨人だったわけで、まさに兄だったわけで、俺は基本的に蛇に睨まれた蛙のような気持ちだった。

 

蛇に関してはいまだによくわからない。わかった部分もあるが、それが演技だったのか、本当の姿だったのか。

冷徹なのか、甘いのか、孤独なのか、いや孤高なのか。

 

とにかく、乳母のデボラが蛇の名前を呼んだ時に

全てが判明した。

 

「ギレン坊ちゃま。サスロ様がおびえていますよ。ほどほどに」

 

4

確かに、俺はサスロと呼ばれていたが、何分、最初は言葉がよく

わからんかったしな。赤ちゃんとか坊ちゃんみたいなもんかと思ったし。「さする」みたいでヨシヨシかと思ってたよ。

親父はみんな「旦那様」だしな。

 

だけど「ギレン」の名を聞いて全てが判明した。

 

こりゃとんでもないことになった。とね。

俺はガノタだから知っていたんだ。俺が戦争の始まる世界に産まれたこと。この世界がいわゆる、ディストピアだってこと。

 

そして、そもそも戦争が始まる前に俺は爆破テロで暗殺されること。

 

こりゃとんでもないことになった。

とんでもないことになった。

とんでもないことになったんだよ。

 

俺は揺り篭の中でジタバタした。泣きたかったが、泣いてもミルクを飲まされるか、オムツを替えられるだけだ。

本当にまいってしまった。

 

とりあえず生き延びよう。

生き延びたい。

 

君は生き延びることができるか?

って?やかましいわ。

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