「戦わなければ生き残れない!」
霊夢「何かこいついつもと違くない?」
魔理沙「前に紫が感情の境界を弄ったからおかしくなったんだろ?」
さやか「そっか........、つまり私は騙された訳か........」
俺はさやかに魔法少女について説明すると、静かにぬーべーに怒りを表す。
まどか「........何で説明してくれなかったの?」
キュウべえ「聞かれてないからね、別に知らせなくても何も不都合はないからね。それに僕は『魔法少女になってくれ』ってきちんとお願いした筈だよ?実際の姿がどんさものかは説明を省略したけど、人間の生命が維持出来なくなると精神まで消滅してしまう。そうならないように僕は君達の魂を実体化し、手に取って護れるようにしてあげたんだ。少しでも安全に魔女と戦えるようにね」
龍騎「余計なお世話だ、さやかはお前の為に戦ってるんじゃない」
キュウべえ「甘いよ鹿目龍騎、君が経験してきた戦いと魔女との戦いを一緒にして貰っては困るよ」
ぬーべーが良く分からない事を言い出す。何言ってんだこいつ?
キュウべえ「さやかが杏子との戦いで生き延びていられたのは強過ぎる苦痛がセーブされていたからさ。さやかの意識が肉体と連結していないからこそ可能なんだら、さやかの場合は慣れていけば痛みを遮断する事も出来るよ。でも動きが鈍るからあまりお勧めはしないけどね」
さやか「あんた........、どうしてこんな事を........」
キュウべえ「戦いの運命を受け入れてまで叶えたい望みがあったんだろ?それを間違いなく実現したじゃないか」
龍騎「お前はもう黙れ」
俺は我慢の限界が来て、ぬーべーの首を引き千切って捨てた。やっぱりこいつだけは絶対に許さねぇ......。これ以上悲劇を繰り返させては駄目だ......。
さやか「........」
マミ「........今日は帰りましょうか」
龍騎「そうだな........」
それからさやかを家まで送り届けて、俺達もそれぞれ帰宅した。この先、結構ヤバくなってくるぞ........。
〜翌朝〜
さやか「........どうすれば良いんだろう、どんな顔して恭介に会えば良いんだろ......」
ブー ブー
さやか「?........メール?お兄さん?」
龍騎『今日は学校休め、それと少し付き合え』
〜美樹家・玄関前〜
龍騎「来たか........」
杏子「........」
さやか「!?何であんたが此処に........」
さやかが現れると、俺の隣に居た佐倉を睨み付けた。やはり警戒はするよな........。
龍騎「偶々会ったんだよ、さやかに用があったらしくてな」
さやか「お兄さん、学校は........?」
龍騎「サボった、学校よりお前だよさやか」
さやか「え?」
杏子「........ちょいと面貸しな、話しがある」
そう言って佐倉を先頭に、俺とさやかは後に着いて行った。向かっていくと森らしき場所の奥へと進む。見滝原にもこんな所があったのか........。
杏子「あんたさ、後悔してるの?こんな身体にされちゃった事」
さやか「........」
杏子「あたしはね、まーいいかって思ってるんだ」
龍騎「それは何故だ?」
杏子「何だかんだでこの力で好き勝手出来る訳だしね」
さやか「........それあんたのは自業自得でしょ」
さやかにしては正論を言うな........。
杏子「そうさ、自業自得にしちゃえば良いんだよ、自分の為だけに生きていれば全部自分の所為だ。他人を恨む事も無いし、後悔なんてある訳がない........。そう思えば大抵な事は出背負えるもんさ」
そんな事を言いながら林檎を齧り、辿り着いた場所は廃墟と化した教会だった。佐倉が教会の扉を蹴って開けると、さやかに向けて林檎を投げて来た。
杏子「食うかい?」
さやかは林檎を捨てようとするが、俺が地面に落ちる前にキャッチする。
龍騎「要らないなら要らないって言えよな?俺朝飯食って無いから良いだろ?」
杏子「........それはあんたにくれてやるよ、でもなぁ........、次食い物を粗末にしたら殺すぞ?」
殺気を放ちながらさやかを睨むと、佐倉は教会の中心にある台座を見つめる。
龍騎「........お前、この教会の人間だな?」
杏子「........そう、此処はあたしの親父の教会だった。正直過ぎて、優し過ぎる人だった。新聞を読む度に涙浮かべてどうして世の中が良くないのか、真剣に悩んでるような人でさ、新しい時代を救うには新しい信仰が必要にだって、それが親父の言い分で........、ある時親父は教義にない事まで信者に説教するようになった」
........最初はとても良い親父さんかと思ったら、前世の時のクソ親父と化したって訳か.....。
杏子「........当然、信者の足はばったり途絶え、本部からも破門された。あたし達は一家揃って食うにも事欠く有様になっちまった........。親父は間違った事なんて言ってなかった、だけど誰も真面目に取り合ってくれなかった。........悔しかった、誰もあの人の事を解ってくれないのがあたしには我慢出来なかった........」
さやか「........じゃあ、あんたが魔法少女になった理由って...」
杏子「ああそうだ、皆んなが親父の話しを真面目に聞いてくれますようにってな」
佐倉の衝撃の事実を知った俺とさやかは固まるが、佐倉はそのまま話しを続けた。
杏子「次の日から怖いぐらいの勢いで信者が増えたさ、そしてあたしは晴れて魔法少女の仲間入り。...バカみたいに意気込んでたよ、親父の説法とあたしの魔女退治、表と裏からこの世界を救うんだって......」
龍騎「........何があった?」
杏子「バレちまったんだよ...、カラクリがね」
さやか「!?」
杏子「信者が魔法の力で集まったって知った時、親父はブチ切れたよ。あたしの事を人を惑わす魔女だって罵った。それで親父は壊れちまった........、酒に溺れて、頭がイカれて、最後は家族で無理心中さ。あたし一人を置き去りにして........」
龍騎「................」
さやか「................」
杏子「私の祈りが、家族を壊しちまったんだ。他人の都合も知りもせず、勝手に願い事をした所為で結局誰もが不幸になった。その時心に誓ったんだよ。もう二度と他人のために魔法を使ったりしない、この力は、全て自分のためだけに使い切るって。奇跡ってのはタダじゃない、希望を祈った分だけ同等の絶望が撒き散らされる。そうやって差し引きゼロにして世の中は成り立ってるんだよ」
龍騎「...そうか、お前は自分の過ちを他人に犯して欲しくなかったからあんな事を言ったのか」
さやか「........なんか、あんたの事誤解してた....。ごめん......」
杏子「あんたの考えだとそう言えるな。あんたもあたしも同じ間違いから始まった。あんたはこれ以上、後悔するような生き方をするべきじゃない。対価として高過ぎるもんは払っちまってるんだ、これからは釣り銭を取り戻す事を考えなよ」
龍騎「......なら聞くが、その林檎は何処で買った?誰の金で払った?」
杏子「!?」
龍騎「やっぱりな......。まぁ俺もお前も、引き金を引いてしまった以上、もう後戻りは出来ないんだ。特に俺の場合はお前達よりずっと前から引いてけどな」
さやか「........どう言う事?」
龍騎「......俺は鬼神龍として生まれてきた時点で賽は投げられたんだよ。現に赤ん坊の時に実の父親に殺されかけたからな」
さやか・杏子「「!?」」
俺の言葉に二人は驚愕する。さてと、少し昔話しでもしますか......。
龍騎「俺の実の父親は弱者を根嫌いしていて、強者こそが人類に残るのが相応しいなんて言っていてな。逆に弱者は逆らえば即処刑、奴隷のような生活をしなくちゃならなかった。生きる為には強者の言う通りにしなければいけなかった......。当時の俺の母親は父親の意見に反対していた、そして俺が生まれて直ぐに俺を連れて逃げ出した......、しかも戦争中にな。そして俺は何とか生き残ったものの、肝心の母親は死んでしまった。ただ、俺の身を案じていたけどな......」
さやか「そんな.........、無茶苦茶過ぎる......」
龍騎「だから俺は鬼神龍が許せなかったんだよ、自分の為だけに弱者を痛ぶるのは見たくも無かった......。そんなある日に俺は腹を貫かれて死に掛けた時に、俺が鬼神龍だと分かった。正直迷った......、戦いを望まない鬼神龍が居るのに、解決策が見つからなかった......。そんな時に俺の側に居てくれた仲間達に支えられたんだ、そして俺は答えを決めた........、鬼神龍を倒すって........」
杏子「..........」
龍騎「結果的には、戦いに勝つ事は出来た。犠牲になった命が多かった......。おまけに戦友と呼べる仲間も死んでしまった、俺に全てを賭けてくれてな......」
杏子「........それで、そのクソ親父はどうしたんだよ?」
龍騎「殺したよ、俺がこの手でな」
さやか・杏子「「なっ........」」
俺が実の父親を殺したと聞くと、目を大きく見開いて顔を青ざめる。正確には、おれのクローンが殺したんだけどな........。
龍騎「別に後悔はしてない、する訳が無い........。俺は自分の正直な気持ちに答えを出したんだ。例え悔やんでももう遅いんだ........」
そう言って俺は林檎を片手に教会を出ようとする。
龍騎「........佐倉、一応覚えておけ。世の中に不満があるなら自分を変えろ。それが嫌なら耳と目を閉じ、 口をつぐんで孤独に暮らせ。それも嫌なら......、人生其処までだ」
そう言って俺は教会を去った。結局は自分でどうにかするしか無いんだ、だからさやかにも言った通りに自分の行動に後悔の無いようにして欲しい......。俺はそれを願っている......。
さやか「........私も、後悔はしてない」
杏子「っ........」
さやか「私は人の為に祈った事を後悔してない。その気持ちを嘘にしない為に、後悔だけはしないって決めたの。例え高過ぎるものを支払ったとも思って無い、この力........、使い方次第で幾らでも素晴らしいものに出来る筈だから........」
杏子「あんた........、魔法少女はあたし達しか居ないんだぞ?他の同類なんて居る訳が........」
さやか「そう言う問題じゃないよ、お兄さんはお兄さんの生き方があったから百年近くも生きてきた。なら私も自分のやり方で戦い続けるよ、それがあんたの邪魔になるなら、また殺しに来れば良い。私は負けないし、もう恨んだりもしないよ」
杏子「......何で其処まで言えるんだよ、あの男の真似でもしてる訳?」
さやか「........多分ね。お兄さんは............、私の憧れでもあるし、目標でもあるから」
そう言ってさやかが教会の外へ出ると、龍騎が壁に寄り掛かって待っていた。
龍騎「少しはスッキリしたか?」
さやか「........うん、大分マシになったかな」
龍騎「そうか........、なら明日は学校に行けるな?」
さやか「うん、ありがとう......、お兄さん」
さやかがお礼を言うと、龍騎は手に持っていた林檎を二つに分ける。
龍騎「佐倉じゃないけど、食うかい?」
さやか「................ありがとう、丁度小腹空いちゃってさ」
そう言って半分になった林檎を受け取ったさやかは龍騎と共に林檎を食べながら帰路に着いた。
どうもです。 餡 子太郎です。
いかがでしたか?
本日三つ目の投稿なので明日の投稿は無理かもしれません。少し休ませて........。(⇦勝手に自爆するバカ)
誤字脱字、アドバイス等よろしくお願いします。
次回もよろしくお願いします。