Fate/SAVE ALL FAKER:Re   作:トムさん

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遅くなりましたが、トムさんです。

突然ですが皆さんの好きなキャラはどんなですか?作者は最近で言うとキングオージャーのジェラミー・ブラシエリみたいなキャラクターが好きです。あとはウォズとかですね。
皆さんの推しキャラも感想で教えてください。
それでは本編、どうぞ!


第四話 始まりの街へ

三人称side

 

とある世界とある時代のとある場所に、黒い軍服のような衣装に黒いストールを巻いた男が一人、一冊の本を持って立っていた。

 

 

「おや?これはこれは……お久しぶりですね、皆さん。えっ?私が誰だかわからないって?あぁ、あの時はまだ自己紹介もしていませんでしたね。では改めまして、私の名はウォズ。しがない預言者、と言えばよいでしょうか?」

 

 

男───ウォズはこちらに気づくと恭しく礼をした。

 

 

「さて、皆さんがここに来たということはいよいよ私の出番というわけですね?いいでしょう。では、やはりこれを言わねば始まりませんよね。」

 

 

そう言ってウォズは持っていた本を開き咳ばらいを一つした。

 

 

「コホン、この本によれば普通の少年衛宮士郎。彼には養父である衛宮切嗣と同じ魔術使いになる未来が待っている。彼らは世界中の紛争地域を転々としながら人々を救ってきた。そして彼らは運命の地にて選択するでしょう。正義か、悪か……おっと、ここから先はまだ未来の話でしたね。」

 

 

ウォズはそう言って開いていた本を閉じた。

 

 

「えっ?この本は何なのか、ですか?……申し訳ないですが、まだこの本の事はお伝え出来ません。いずれ時が来たらその時に、いずれ………」

 

 

ウォズは本の事については何も言わずただ薄く笑いながら暗闇に消えていった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

士郎side

 

よぉみんな、俺だ。じいさんに拾われてから5年、俺達はじいさんの願いである戦いの根絶───恒久的な平和の実現を叶えるために世界中の紛争地域を転々としていた。

 

そして現在、俺にとっては(前世含め)久しぶりに日本に来た。俺が日本の空気を堪能してると黒い車が近くに停車した。その車の窓からいつの間にか消えていたじいさんが現れた。

 

 

「何をしているんだい、士郎?もう出発するから早く乗ってくれ。」

 

「はぁ、今回もまた堪能する時間はないのかよ。で、今回はどんな用で日本に来たんだ?」

 

「それを含めて目的地に向かいながら話す。さ、時間がもったいない。」

 

 

それだけ言うとじいさんは窓を閉めた。俺は溜め息を一つこぼし、急いで車の助手席に乗り込んだ。それを確認した爺さんはそのまま車を走らせた。

 

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「士郎、椅子の間に今回の事に必要なものが入っているから今のうちに確認しときなさい。」

 

 

車を出してからしばらくした後、じいさんは資料を見るように言った。俺はその言葉に従い椅子の間にあった資料を見る。

 

 

「んで?今俺たちはどこに向かってんだ?」

 

 

俺は資料を見ながらじいさんに事の内容を聞いた。

 

 

「僕達は今、冬木市という場所に向かっている。」

 

「冬木市……そこに何があるんだ?日本は内戦とかテロとかもないからそこで殺し合いとかは起きてないはずなんだが………」

 

「あぁ、もちろんそんな事は知っている。今回はこれまでとは根本的に違うんだ。」

 

「根本的に?特に変わった場所ではなさそうだが………」

 

 

渡された資料を見ていても不良がいっぱいいるとか警察沙汰が起きやすいとかそんなものはなく、いたって普通の街だ。

 

 

「士郎、もう一つの冊子上の資料があるんだろう?そっちを見てほしい。」

 

 

そう言われ少し探してみると、持っていた資料の最後のほうに古い歴史書のようなものがあった。パラパラと読んでいるとそれは歴史書は歴史書でもとある一族にのみ焦点をあてたものだった。

 

 

「じいさんこれは?」

 

「それは“朔月家”という一族のものだ。」

 

「朔月家?」

 

「あぁ。今僕隊が向かっている冬木の地で天正から続く由緒正しき旧家だ。歴史の長さ以外何もない家だが、一つだけ異常な点がある。」

 

「異常な点?まだ読み初めだからかもしんないけど今んとこ全然異常な点がないぞ?」

 

「あぁ、恐らくそうだろうな、でももう少し読み進めていけばその異常性がわかるよ。」

 

「???」

 

 

じいさんの言ってる事がまったくもって理解できないぜ………

とりあえず俺はじいさんの言う通り資料を読み進んでいくと、気になるものが一つだけあった。

 

 

「見つけたかい、士郎?」

 

「じいさん、これ………」

 

「朔月家の異常な点……それはその家で生まれた子供、正確には“数えで七歳以下の女児を見た者はいない”」

 

「数えで七つってことは、七歳ってことか?なんでそれまで誰も見た人がいないんだ?」

 

「その答えはあくまで予想だが、僕はこれを神稚児信仰の生き残りと見ている。」

 

「神稚児、信仰?」

 

 

これまでじいさんと一緒に色んな国に行ってきた。俺はそこでその国の文化や宗教などを学んでいた。が、神稚児信仰なんて俺は聞いたことがない。

 

 

「なんだよその、神稚児信仰ってのは?」

 

「神稚児信仰とは、朔月家が信仰するもので七つまでは神の稚児……数えで七歳を迎えるまでの稚児は人ではなく神や霊に近い存在である、そういう信仰だ。」

 

「……なるほどな、大体わかった。聞きたいんだがじいさん。」

 

「なんだい士郎?」

 

「七つまでは神や霊に近い存在だとじいさんは言ったな。それはどういう扱いを受けるんだ?」

 

「調べた限りでは、どうやら子育ては母親が全て行っていたらしい。」

 

「母親が、一人で!?負担デカすぎだろ………」

 

 

俺は驚きすぎて思わず少し声を大きくしすぎた。一族というぐらいなのだからそれは相当な人数はいると思う。でも全員が母親一人に子育てを押し付けていたっていうのか?自分の子供は自分で育ってろっていう方針の一族だったのか?

 

 

「子育てを母親一人で行っていたのには理由があってね。その理由には朔月家の一つの特性が関係しているんだ。」

 

「特性?」

 

「僕はさっき朔月家は歴史の長さ以外何もないといったがその実態は人の願いを叶える女児が生まれる特殊家系だったんだ。」

 

「人の願いを?」

 

「この時生まれる女児、その子供こそが神稚児なんだ。」

 

「……なるほど。それじゃあ母親が子供一人で育てるのはなるべく人の思念に触れさせず、人として過ごさせるためだったのか。」

 

「あぁ。朔月家の女児はその特性から屋敷の中に人の思念を遮断する結界の中で七歳になるまで育てられるんだ。」

 

 

前言撤回。朔月家の皆様失礼なこと言ってすいませんでした。大変猛省しています。少し目がうるってなってしまった。

 

 

「そういえば、七歳になったらその神稚児たちはどうなるんだ?」

 

「それ以上の歳になると突然人前に出てくるんだ。表向きには病室な体質が治った、親戚が引き取ったなどと理由をつけて人の世へと送り出されるんだ。」

 

「なるほどそうやって一族を繁栄させてきたんだな。ならその朔月家に頼めば爺さんの願いももしかしたら………」

 

「可能性は高くない。仮にそんな力を持つ子供が実在したとしても、彼らがその力を貸してくれるかどうか、その力が僕の望むものなのかも分からない。それでも、僕は………」

 

「……ま、何でもいいけどよ、肩の力を抜いていつも通りで行こう。ヒーローってのはいつだって落ち着いて行くもんなんだぜ?」

 

 

じいさんは俺がヒーローと言うと溜息と共に煙草を一服吹かしながら不満を漏らした。

 

 

「……士郎、何度も言ってるが僕はヒーローとは最も程遠い存在だよ。」

 

「なら正義の味方、なんて言ったほうがよかったか?」

 

 

俺がにやけながらそう言うとじいさんはまた溜息を吐いた。

 

 

「……そうだね、そっちのほうが僕には似合ってる。」

 

 

そう言うじいさんの目はどこか死んでいたといった感じだった。

 

 

「……じいさん?」

 

「……士郎、もうすぐ冬木市に着くからそろそろ荷物をまとめて───!?」

 

「グウェ!」

 

 

突然じいさんは車を急停車させた。その影響で俺は前に飛び出てシートベルトに首を抑えられた。

 

 

「げほっ、げほっ、っ、どうした、じいさん?猫でも飛び出したか?」

 

「……………」

 

 

俺が冗談を言ってもじいさんは何も返さなかった。いつもは返してくれてるのに。

 

 

「おい、じいさん。ほんとに───」

 

「あれは………」

 

「あぁ?何言って───っ!」

 

 

じいさんはただ一点だけを見つめ、その目は信じられないものを見る目をしていた。俺もそれにつられて爺さんの向いてる方を向くと、そこには───

 

 

「なんだよ、あれ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冬木市の中心を飲み込んでいる黒い闇があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やっと原作入れました。長かった……オリ展開(?)やり過ぎましたね。気を付けます

コメント・感想お待ちしてます!

追記:今後の展開のために今回の展開を一部改正いたしました。

それでは、CIAO~♪

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