「ふーっ!今日もよく取れたわね。これでなに作ろうかしら。」
私は赤川千紗。AIRBLUE所属の新人声優。
私は屋上で野菜を育てて、料理の材料を自分で仕入れたりしてます。
そして、私のほかに育てるのを、協力してくれる人がいます。
まぁ、協力というか読み上げてるだけなんだけど...。
「なんで!!なぜ私の言うことが聞けないのマリア!!」
彼女は宮路まほろ。私と同じAIRBLUE所属の声優。元子役で、誰よりも努力家な性格をしてます。
「あら、次のオーディションの練習?」
「そう。でも、ちょっとここが難しくてね...。」
まほろの持つ台本に手をやると、そこにはマーカーやメモ書きなど彼女なりの努力が表れていた。
感情の起伏が激しいところには波線が引いてあったり、苦手なところには赤ペンで書いてあったり、彼女の努力が一目でわかるものだった。
私も声優としても負けられない気持ちが心の中で感じていた。
私は収穫した野菜を袋に入れ、両手に袋を持ち寮のキッチンへと移ろうとしていた。
「それ、手伝おうか?」
まほろは野菜がいっぱい入った袋を指さす。
断ろうとしたが、重いのは事実。
「うん、お願い。ありがとう。」
「これくらい大丈夫だよ。私もここ使わせてもらってるわけだし。」
片手に持っていた袋を渡し、一緒に階段を下りていく。
☆ ☆ ☆
キッチンに着き、料理の準備をする。
髪を結び、手を洗う。野菜を袋から取り出し、包丁を取り出す。
左手は猫の手で、丁寧に___
「痛っ...!」
包丁を音が鳴り響く。
まほろが「大丈夫!?」と駆け寄ってくる。
「うん...大丈夫。だけど、指を少し切っちゃったみたいで...。」
「ちょっと待ってて!」
傷口を洗っていると、まほろが絆創膏を持ってきてくれた。
「まさか千紗が料理で指切っちゃうなんてね...。」
「私でもそんなことあるよ。まほろだって演技で間違えることあるでしょ?」
私がそう言うとまほろは静かにうなずく。
すると、しばらくまほろは考える素振りをする。
「そうだ!」とまほろはいきなり声を出す。
「今日はまほろが料理作ってあげるよ。千紗には無理させるわけにはいかないし...。」
「で、でも大丈夫。私も作るから。」
「無理しないで。こういうときに助け合うもんでしょ?」
私はまほろの言うとおりに、料理をまほろに任した。
ソファに腰を掛け、まほろの方を眺める。
まほろってなに作れるんだろ...。そんなことを考えつつ、体を休めていた。
最近、声優の仕事がうまくいってなかったからかな...。疲れてるのかも。
んっ...眠くなってきたかも......。
_____あ、あれ。私...。寝ちゃってた?
「あ、やっと起きた。ほら、冷める前に食べて。まほろ特製のご飯だから。」
「あ、ありがとうまほろ。私の代わりに作ってくれて...ってこれって__」
ラーメン?それに、光ってる...。
「これ?前にまほろと舞花の二人で作った光るラーメンだよ。」
「なに作ってんのよ!!やっぱり私が作るべきだったのかしら...。」
そう言いつつ、この輝くラーメンを口に運んでいく。
箸でつまんだ麺を口で啜る。
「...おいしい。」
「よかった。まほろ、千紗ほど料理うまくないからさ。」
「まぁ、見た目はともかく、作ってくれてありがと。まほろ。」