鬼強ブロッコリー先輩   作:忍者にんにく

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閑話:先ずは基礎!

 

 やあ、皆。三国太一だ!

 いよいよホーリーロードも地区大会決勝。ここから先はフィフスセクター側も全国区の相手を用意して来る以上、俺達も更に上のステージに行かなければならない。

 そして現在、雷門には新たに指導者がやって来ていた。サッカープレイヤーの次元を何段階も引き上げることに適任の人物……帝国学園総帥こと鬼道有人が。

 

 円堂監督と夏美理事長は鬼道コーチに練習内容を一任し、鬼道コーチは俺たち雷門イレブンに徹底した基礎トレーニングを課した。

 やっている内容は、自重トレーニングや走り込みといった基礎的な種目でしかないが、選手の個人ステータスに合わせて錘を装着させられたり、多くのタイヤを引かされたりと負荷を増やされる。

 なんとも古典的な手法だが、効果は絶大だ。筋肉にかかる負荷が高くなるのは勿論のこと、身体の使い方や力の配分にも気を配らなければ、練習メニューを全てこなす前に限界を迎えてしまうため、体力に加えて精神力までもがゴリゴリと削られていく。

 

 そんな練習をこなしているのだ。当然、終わった後は俺も含めて多くの奴らが疲労困憊、ゲームで言うところのGP(元気ポイント)が0の状態になってしまっている。

 だが、俺たちの練習はここからが本番だ。

 

「トレーニングはこれで終了だ。最後にお前達と俺達で15分ハーフの試合を行い、今日の練習は終わりとする。やれるな?」

 

「「「「「はい!!」」」」」

 

「いい根性だ。それでは、チーム分けを発表する」

 

 基礎練習の後、俺達は2チームに分かれてミニゲームを行う。1チームは11人だが、ウチは総勢13人。必然的に、残った2人は鬼道コーチのチームに行くことになる。そして、その鬼道コーチのチームというのは……

 

「西園、影山。相手が格上だからといって萎縮することの無いようにな。」

「は、はい! 宜しくお願いします!」

「もちろん! 全力でサッカーします!」

 

「皆も頑張って! ここからが踏ん張りどころよ!」

「遠慮はいらないわ。全力で掛かってらっしゃい!」

「さあ、お前ら! サッカーやろうぜ!」

 

 FWに夏美理事長、MFに音無先生、DFに鬼道コーチ、GKに円堂監督という豪華メンバーを軸に、その日によってランダムにメンバーが選出される。今回はここに影山輝と信介がそれぞれMFとDFの位置で入り、2-2-1の陣形で戦うことになるな。

 

 これだけ聞けば、多くの人が「6人で11人に勝てるわけないだろ良い加減にしろ!」と思うだろう。

 だが、実際は逆である。どう足掻いても俺達じゃ円堂監督チームに勝つことが出来ないのだ。いつも完膚なきまでにボッコボコにされる。

 

 俺達のシュートじゃ円堂さんを突破出来ない。

 ドリブルやディフェンスも、鬼道コーチや音無先生は勿論、夏美理事長にまで見切られ、叩き潰される。

 各ポジションの司令塔も、あらゆる局面で主導権すら取らせて貰えず、鬼道コーチによるゲームメイクから脱出する事が出来ない。しかも、これが単に自分のチームを勝たせる様な内容ではなく、場を支配し、ゲームに参加している全員の成長を促す様な内容となっているのだから、お手上げだ。

 そして何より、向こうの必殺シュートには俺の必殺技を打ち破るパワーがある。

 

「【皇帝ペンギン】……!」

「「【2号・Z】!!」」

 

「う、おおおっ!【真・ゴッドハンドX】!!

 ……ぶるあああっ!!」

 

 鬼道コーチの指笛に合わせて出現したペンギンと共に飛翔して来たボールを、音無先生と夏美理事長がツインシュートで打ち込んでくる。

 俺が気力を振り絞って出した赤い神の手をペンギンが粉砕し、俺ごとボールをゴールへ押し込んだ。凄まじい威力に腕がビリビリと震える。

 なんと言っても、基礎的なパワーが段違いなのだ。例え俺が掛け値なしの全力を出したとしても、防ぐことは出来なかっただろう。

 

 最終的に、この日は0対8という圧倒的なスコア差をつけられて敗北した。この世界に来てから鍛錬を積み続けた事で、今の俺は例えプロや実業団所属選手が相手であっても対等以上に戦えるのではないかと思っていたのだが、そんな事はなかったらしい。

 天狗になっていた事をしっかりと反省して、このホーリーロードを戦い抜こう。先ずは目の前の目標からである。

 

 ⚡︎⚡︎⚡︎

 

「ゼェッ、ゼーッ……」

「どうした、もう終わりか?」

 

 サッカー棟のグラウンドでは影山輝と鬼道有人がボールを挟んで対峙している。いや、対峙しているという言い方は正確でないかもしれない。鬼道有人は立っているが、影山は膝と手を地面について息を切らしているからだ。

 彼らがやっているのは特訓……それも、影山が必殺技を身につけるための特訓だ。サッカー部としての練習はとうに終わり、時刻は19時を回っている。サッカー部としての練習でとうに体力を使い果たしているにも関わらず、彼らは特訓を敢行していた。

 

 時は少し遡り、サッカー部としての練習が終了した直後のこと。影山は一人黙々とボールを蹴り進め、無人のゴールにシュートを決めては落胆のため息を吐いていた。

 

「これも違う……駄目だ、これじゃない!」

 

 自分と同じくらいの時期に入部した筈の松風天馬や西園信介が各々のプレーを確立し、試合で戦っている中、影山だけは自分のプレーを見出せずにいたからだ。

 

「……うぎいいいいいいいい!!」

 

 このままではいけない、と焦りの赴くままに無茶苦茶な特訓を繰り返していた影山、そんな彼の行動に「待て」と声を掛けたのは鬼道だった。

 

「闇雲な特訓は身体を痛めつけるだけだ。そんなやり方では、いつまで経っても望む結果は得られないぞ」

「き、鬼道コーチ……!」

「焦る必要はない。お前には既に十分な基礎力が備わっているし、飲み込みも早い。このまま努力していけば、そう遠くない内に雷門イレブンの一員として立派にプレーする事が出来るはずだ」

 

 鬼道の言葉に影山は暫く考え込む素振りを見せたが、彼から返ってきたのは否定の返事だった。

 

「確かにそうかもしれません……ここには三国先輩や神童先輩みたいな先輩方や、天馬くんみたいに僕と同い年の凄い人もいる。彼らと一緒に、鬼道コーチや円堂監督の指導を受ければ、強くならない訳がありませんよね……」

「そうだ。だから……」

「でも! 僕は彼らに置いて行かれない選手になりたい訳じゃないんです。()()()()()()()()()()()()に、僕はなりたい!

 お願いです、鬼道コーチ。特訓をさせてください!」

「……!!」

 

『俺達、なれたかな? イナズマイレブンに』

『いいや、これからなるんだ』

『ああ、俺達全員でな』

 

 鬼道の脳裏に浮かぶのは、かつての記憶。世宇子中を破りフットボールフロンティアの優勝トロフィーを手にした時に、戦友達と共に交わした言葉だった。

 ゴーグルの奥の目を細め、口角を上げてニヒルな笑みを浮かべながら鬼道は──

 

「なら……俺と共に特訓しようじゃないか」

 

 影山へと、提案を持ち掛けた。

 

「えっ、それは流石にご迷惑じゃ……」

「気にするな。こう見えて、俺も結構なサッカーバカなんでな……サッカーが上手くなりたいと思っている奴には肩入れしたくなるんだ。個人的にな」

「…………」

「と言ってもお前次第だが……どうする?」

 

 暫く俯く影山だったが、彼の答えは決まっていた。

 

「お願い……します!」

「フッ……そう来ると思っていた。では、始めようか」

 

 それからおよそ2時間。鬼道から動きの矯正を促され、より基礎に磨きを掛けるよう特訓に打ち込んだ影山は身体中から滝の様な汗を流し、ガタガタと四肢を震わせている。もはや彼の体力は風前の灯であった。

 

「ゼーッ……ゼーッ……」

「(本当に限界だな)……今日はここまでだ。これ以上は明日以降の練習に響く」

「そ、そうですか……あ、ありがとう……ございました……ッ!!」

 

「影山くん!?」

 

 直後、影山は糸が切れたように崩れ落ちる。

 兄と影山の特訓を近くで眺めていた音無だったが、その様子を見て血相を変えて影山を助けようと走る。だが、影山が完全に倒れ伏す前に鬼道がその身体を支え込み、地面と顔面の激突を阻止した。

 

「大丈夫。眠っているだけだ、春奈。暫くすれば目を醒まして帰宅するだろう」

「そういう事じゃないのよ!」

「む?」

「目が覚めたところで、自分で帰らせる気なの!? しかも、こんな遅くに! 一人で! そんな状態で!」

「い、いや、しかし……」

「しかしもカカシもありません! やり過ぎよ、()()()()()!! 影山くんは私達の車で自宅まで送ります! 運転はお願いね!」

「それは構わないが、住所は……」

「私がナビするわよ! ほらっ、さっさと準備して! 私はここを戸締りしなきゃだから!」

「あ、あぁ……」

 

 天才ゲームメーカーとはいえ、兄は妹に頭が上がらない。音無と鬼道により自宅まで送り届けられた影山は翌日、筋肉痛に全身を震わせながら登校する姿が目撃されたという。

 




やあ、皆! 作者やで。
一年以上も投稿をサボっていてすまん!
また投稿していくので宜しくお願いします<(_ _)>

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