鬼強ブロッコリー先輩   作:忍者にんにく

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 西園くん、貴方にはキーパーを辞めてもらいます。



第13話:海王 vs 雷神

 

 やあ、みんな!三国太一だ!

 剣城がシードを辞めた事でフィフスセクターから報復目的に刺客のシードが送られて来たり、何かしらの襲撃でも起こらないかとここ数日警戒していたのだが、特に何事もなく試合の日がやって来た。今更、奴らにスポーツマンシップが目覚めたとは考えられないが、何も起こらないのならそれに越したことはない。切り替えて行こう。

 

 今日はここ、ホーリーロードスタジアムにて関東地区予選決勝、雷門中 vs 海王学園の試合が行われる。コイントスの結果、スタートは雷門ボールで決定。フォーメーションは以下の通りだ。

 

【雷門フォーメーション】

 

剣城  倉間

影山()    神童    松風(天馬)

  浜野     速水  

車田  霧野  西園(信介)

三国

 

 3-4-3のオフェンシブ形態、ゲーム版イナズマイレブンで言うところのドットプリズン。今回の相手である海王学園は全員がシード。積極的に攻め、どのような状況にあっても数的有利を保って相手と競り合えるよう変則的な陣形が採用された。

 

 また、今回のベンチは南沢と天城だ。

 今日の試合の戦術に適性の低い選手であるから引っ込めるという理由だけでなく、同時に次代の雷門イレブンの足掛かりを作りたいという円堂監督の意図もあるのだろう。

 だが、ここから先は全て今ある力を総て以って勝ちに行く戦いだ。間違いなく、後半になれば二人が戦力としてピッチに入って来る。前半で彼らが何を見て何を学ぶかが、後半の鍵となるだろう。

 

 

【海王学園フォーメーション】

浪川(なみかわ)  喜峰(よしみね)

海図    湾田(わんだ)    村上

   党賀    凪沢   

船旗  井出  猿賀

深淵(ふかみ)

 

 試合は海王学園ボールからのキックオフ。

 ボールは浪川から湾田へ、ボールを取りに行った倉間を嘲笑うかの如くバックパスで凪沢へ。凪沢から党賀を経由し海図、海図から浪川へとボールが渡る。

 

「【アインザッツ】!」

「【クイックドロウ】!」

 

「甘え!【風神の舞】!」

「「ぐわあああ!!」」

 

 それを見た神童と天馬がボールを奪いにかかるが、浪川の必殺技により二人とも吹き飛ばされてしまう。なるほど、純粋培養のシードというだけあって多少は出来るらしい。

 

「【クイックドロウ】V2!」

「何ッ!?」

「浜野くん!」

「ほいよー!【波乗りピエロ】!」

 

 だが、こちらのブロックは個人プレーじゃない。速水が一瞬で浪川の間合いを潰し、必殺技を発動させる隙すら与えずボールを奪い取る。

 そして、浜野は速水からパスを受け取り、立ち塞がる海王のディフェンスを必殺技で軽やかに抜き去った。

 

「浜野さん!」

「おっ! 任せるよ、影山!」

 

 順調にボールを前に進める浜野に、声を掛けるは影山輝。いつの間にか上がって来ていたこの後輩に、浜野からのボールが渡る。

 だが、その光景を見た村上と猿賀が、影山輝へと襲い掛かって来る。

 

「行かせねえ!」

「ボールを寄越しやがれ!」

 

 相手は荒くれ者の下郎だが、フィフスセクターの教育により強者となった存在。まだ試合経験の浅い影山輝にとっては格上であり、萎縮してしまってもおかしくはない状況にあった。

 だが、影山輝の心身に緊張や萎縮が生じることはない。彼の胸に灯るのは、特訓の日々と支えてくれた人達。雷門サッカー部の皆や「影山零治の甥」と知ってなお、雷門中サッカー部の一員として接してくれた円堂守や音無春奈、雷門夏美。そして、個人的な時間を割いて特訓に協力してくれた鬼道有人。

 彼らと共に戦い、期待に答えられる。

 

 ーーやってやる!僕だって雷門の一員なんだ!

 

「【イリュージョンボール】!」

 

「なっ!?」

 

 目の前に立ちはだかった村上を、輝は必殺技で躱し、その勢いのまま走り続ける。

 

「油断しすぎだ村上! 行くぞ猿賀!」

「おう、凪沢!」

 

「「【サルガッソー】!!」」

 

「っ! ……【イリュージョンボール】!」

 

 ドリブルを続ける輝へと、凪沢と猿賀による連携必殺技が襲い掛かる。しかしボールを奪われそうになる直前、輝は瞬時に【イリュージョンボール】を発動して自らボールを自分の体から離し、直後に波を纏ったタックルに弾き飛ばされてしまう。

 コントロールを失ったボールは高く打ち上げられ、ラインを割ってピッチの外に落ちた。

 

「大丈夫か、影山!」

「ええ! キツいですが、無問題です!」

「そうか。それならいい、次行くぞ!」

 

 ボールアウトの理由は影山のボールコントロールによるものと判定され、スローインは海王学園からとなる。凪沢から村上へとボールが渡り、影山が再び1on1の状況となる。

 

「はっ、さっきは油断したが今度は喰らわねえ!」

「負けるもんか、来いっ!」

「吹き飛ばしてやる!」

 

 ラフプレー上等とばかりに、村上は強引に影山を突破すべく肩を丸め、ショルダータックルの構えのまま突っ込みにかかる。

 だが、次の瞬間。前を向いていた村上の視界から影山が消える。影山としては中腰の姿勢からスライディングタックルの構えに入っただけだが、動作が最適かつ最速だったために、村上は影山の姿を見失ったのである。

 村上は遅れてその事に気付くも、影山は既に必殺技を発動させていた。

 

「【キラースライド】!!」

 

 凄まじい速度で蹴り出された足はボールを確保しながらも、村上の身体を宙へと打ち上げた。

 一連の流れで海王学園に動揺が走る。その生じた隙間は、ゴールへと繋がる道筋を生み出した。

 

「剣城くん!」

「ナイスパスだ、影山」

 

 影山から剣城へとボールが渡り、DFは復帰が間に合っていない。紛れもないチャンスである。そして、そのチャンスを点という結果にするだけの力を剣城は持ち合わせていた。

 

「【デスドロップ】!!」

「【ハイドロアンカー】……ぐおおおおっ!!」

 

『ゴール!! 前半5分、目にも止まらぬ影山の必殺技ラッシュが決まり、剣城の新必殺技が雷門に先制点をもたらした!!』

 

 これを契機として、試合は雷門のペースで進んで行く。

 基礎を積み重ね、プレーの質や身体能力に磨きをかけたことで雷門イレブンはサッカーエリートの純粋培養である海王学園を相手に、負ける事なく競り合っていた。

 

「ここは通さねえ!」

「邪魔だ、どけ!」

「そう来ると思った、ぜっ!!」

「くっ、雷門風情が生意気なぁ!」

 

「お前たちの弱点は連携の甘さだ」

「くっ、コイツら!詰めが早いぞ!」

「何やってんだ、さっさとパスを出せよ!」

「うるせえ!やれるならとっくにやってらあ!」

 

 それは、必殺技を使わない場面やチームとしての試合運びといった側面において如実に顕れる。勢いに乗った相手と激しくぶつかり合い、チームメイトの特徴を活かしてトリッキーなプレーで翻弄し、的確な戦術で実力以上に相手を圧倒する。

 知らぬ人が見れば、準決勝の雷門と決勝の雷門を別のチームの様に思うだろう。それほどまでに、彼らのプレーの質は上がっていた。

 

 そして、ここまでの特訓で必殺技が進化しない道理はない。元々使えたモノから派生した必殺技を使う者や、順当に必殺技の威力を変化させた者。出来ることを広げたことで新たに習得した必殺技を使う者など、成果は様々である。

 

「お前ごとき、シードの名にかけて叩き潰してやる!」

「【ザ・ミスト】」

「なんだ、虚仮威しにも程があるな? どけ、オラァ!」

 

 スピードに乗り、肩と腕を固めてドリブルを進める海王学園の湾田を目の前にして、霧野は必殺技名を呟くのみ。若干の霧は立ち込めたものの、それ以外に変化はない。

 その様子を見た湾田は力づくで霧野を突破すべく、思い切りショルダータックルを仕掛けた。しかし、衝突の瞬間に襲ってきたのは肉と肉のぶつかり合う感覚ではなく、何物にもぶつかる事のない空振りの感覚だった。

 

「な、何だと!?」

「生憎、その手のラフプレーは対策済みだ」

「この野郎……なっ!?」

「無駄だ。『対策済み』だと言っただろう」

 

 湾田が虚を突かれると共にバランスを崩した次の瞬間、湾田の真横から現れた霧野がボールを掻っ攫う。次の瞬間、喜峰が霧野の脚を狙ってスライディングしてきたが、これも再び空振りの感覚に襲われる。霧野は喜峰によるスライディングの軌道からは外れた場所をドリブルしていた。

 彼がやった事は単純明快。【ザ・ミスト】により蜃気楼を発生させ、自分の位置を誤認させたのだ。今まで使っていた【ザ・ミスト】は「霧を立ち込めさせて相手の視界を塞ぎ、ボールを奪う」という内容であったが、天河原戦での怪我を機に霧野はこれを改良。その結果、シンプルが故に効果を抜群に発揮する必殺技として性能を十二分に発揮した。

 

「行くぞ、皆! カウンターだ!」

「へっ、何処に蹴ってやがる!」

「あんな打ち上げたら、落下地点がモロバレだぜ!」

「いいや、落ちないさ」

「【ぶっ飛びジャンプ】! 行け、天馬!」

「ナイスだよ、信介!」

 

 信介はその小柄な体格と空中機動への適性から強力な空中性能を発揮する。鬼道によるトレーニングを経てジャンプ力と空中での動きに磨きが掛かった彼は、他に類を見ない「空中での中継ぎ役」としてその強さを発揮する。

 霧野による空中への大胆なパスに凄まじい速さで肉薄し、両脚でボールを蹴り出す。現在の雷門において唯一無二の「パス技」。西園信介の身につけた新たな「武器」であり、【ぶっとびジャンプ】という必殺技を繰り出し、ボールは吸い込まれるように前線を走る天馬の足元へと届けられた。

 

「「【サルガッソー】!」」

「【そよかぜステップ・V3】!」

「何っ!?」

「馬鹿な、必殺技の範囲ごと躱しただと!?」

 

 天馬は圧倒的だ。更に磨き上げられたドリブル技術と、一足飛びに進化した必殺技は海王のディフェンスをものともしない。必ず相手選手を突破し、前線の雷門選手にボールを運んでみせる様な"スゴ味"が彼のプレーには宿っていた。

 果たしてボールは海王学園選手に触れられる事すらなく、前線の倉間へと届けられた。

 

「【ドラゴングランド】!」

「【ハイドロアンカー】……ぐおおお!!」

「どうだ、蛇から龍に進化した俺のシュートは!」

 

 倉間は自身の必殺技を一つ上の次元のモノへと押し上げ、新たな力としてみせた。その威力は、先ほど剣城が見せた【デスドロップ】に勝るとも劣らない。果たして事実は、深淵(シード)による本気の必殺技を突破し、ゴールを単独で奪うという結果となって表れた。

 

 そして、海王学園ボールから試合は再開する。ボールを中盤に下げた海王学園はMFを中心にドリブルと素早いパス回しで上がってくる。だが、これを防ぐのは雷門が誇る守備的MFだ。

 

「通させてもらうぞ、【風神のま……」

「【クイックドロウ】! そして【ゼロヨン】!」

「い…って、何っ!? ボールが無い!」

「抜かれただと、いつの間にッ!?」

 

 速水は得意の急加速によるボール奪取を更に洗練させ、相手が必殺技を使用しようとした瞬間にボールを掻っ攫う。更に、必殺技の後の硬直を次の必殺技の準備動作とすることで、技の継ぎ目を感じさせる事なくカウンターを成立させてみせた。

 

「何やってんだ、海図!!」

「ボールを寄越しな、メガネ野郎!!」

「浜野くん、頼みます!」

「まーかしとけって! 【波乗りピエロ】!」

「なっ、速い!?」「追いつけねえ!」

「かーらーのー、必殺【フライングフィッシュ】!」

 

 浜野は自身の必殺技【波乗りピエロ】に磨きをかけ、通常のドリブル以上の速さでボールを運ぶ技術……基礎の一環として血肉とすることに成功した。さらに、必殺技を血肉化する過程で必要となる"身のこなし"についての理解を深めた結果、身軽さを利用したロングシュートに特化する必殺技を編み出した。

 

「甘いわ!【ラピッドウィップ】!」

「ありゃりゃ、弾かれちゃったか……でも?」

「俺が居る!【フォルテシモ・V2】!!」

「何っ!? ぐおおっ!!」

 

 とはいえ、その威力は高が知れている。海王学園のGK……深淵がスタミナの温存を優先し、弾き飛ばすタイプの必殺技を選択するほどに、威力はお粗末なモノであった。

 しかし、そこをフォローするのは神童である。彼だけは基礎トレーニングの一環として、鬼道から「フィールド全体を把握する」能力も並行して鍛えさせられていた。その成果は試合中において恒に発揮されていたが、最も分かりやすい形となって顕れたのはこのワンプレーだろう。海王学園のDFとGKが反応するよりも早くボールの着弾地点に先回り、必殺シュートにてゴールを奪う活躍を見せた。

 

 そして、雷門イレブンが3点を獲得したタイミングで前半が終了した。後半になり、影山が南沢と、信介が天城と交代したことで雷門は更に勢い付いて行く。

 

「【ダッシュトレイン】!!」

「「「があああっ!?」」」

 

「【ビバ!万里の長城】!!」

「「「ぐおおおっ!?」」」

 

「俺は止まらねえ! 勝つまでな!」

「ガハハハハ! 俺は戦車だドォォ!」

「「「ぐわあああっ!?」」」

 

 後半になり、いよいよ後の無くなった海王学園は捨て身の攻撃へと戦術を変更した。全く守りを考える事なく、多人数でボールを取りに行くスタイルだ。人数不利な局面が増える中、車田と天城の2人は人数不利をモノともしない活躍を見せる。

 

 車田には誰より強い足腰の力と並外れた筋肉量が備わっている。その肉体から繰り出される膂力は力強く、しかし合理性を持って海王学園の選手へと襲いかかる。その結果は、シード3人がかりのドリブルを弾き返し、ディフェンスを撥ね飛ばしながら進行する。さながら重機の如く。

 

 天城は大柄な肉体から生み出される重量と身体能力を活かし、力尽くで相手を止め、突破する。以前よりフィジカルトレーニングをやり込んだ事でパワーを増したその肉体は、質量兵器として海王学園の選手へと襲いかかる。その結果は、シード3人がかりのドリブルを容易く防ぎ、ディフェンスをねじ伏せながら進撃する。さながら重厚戦車の如く。

 

「【真・ソニックショット】!!」

「……!?」

 

 捨て身の海王を迎え撃つ雷門。当然、攻撃の人数は少なくなる。だが言い換えれば、相手もまた組織単位でのディフェンスが出来ていない事になる。そうなれば、モノを言うのはスピード。そう、後半から投入された南沢というストライカーの領域だ。

 南沢は相手のマークを振り切ると、ペナルティエリア外でボールを受け取る。愚直なまでに素早さを追求した必殺シュートは、進化したことでその速さを更に増し、深淵に反応すらさせることなくゴールネットを揺らした。

 

 その後も試合は雷門のペースで進んでいたが、試合終了間近の時間にて海王学園も意地を見せた。何とか雷門の守備を突破した海王学園。そのボールは、キャプテンである浪川へと渡る。

 

「シードの名において、これ以上の失点など出来るか!」

「くっ、しまった!」

「フォローお願いします、三国さん!!」

「任せろ!!」

 

 ここに至るまで、雷門イレブンの試合に油断や慢心は存在しなかった。故にこれは海王学園の執念が僅かに手繰り寄せた機会。そう判断した三国は腰を落とし、目の前の相手が繰り出すであろうシュートへ向けて全神経を集中させる。

 

「うおおおお!【海王ポセイドン・弐式】!!

 喰らいやがれ!【ヘヴィ・アクアランス】!!」

「【超・ゴッドハンド】!!」

 

 以前よりも一回り大きく、存在感を増した"赫き神の手"。繰り出されたそれは海王の槍を真正面から掴み、へし折って見せた。

 三国太一は、次元が違った。海王学園の10番を背負う男による全身全霊のシュートを受け止めた上で、カケラも崩れる事のない余裕。それは、海王学園の心をへし折るのに十分であった。

 

 同時に、試合終了のホイッスルが鳴る。雷門イレブンのホーリーロード全国区進出を決定づける審判の笛の音がフィールドに響き渡り、割れんばかりの歓声がスタジアムを揺らした

 

 





 DFに抜擢された信介。君は今作、ジ・オーガのゲボーや時空最強イレブンのトーブの上位互換にしてやるから覚悟しろよ?

GO3どうする?

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