鬼強ブロッコリー先輩   作:忍者にんにく

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第3話:雷門の守護神(ただの人間)

 

【栄都】 【雷門】

3 ー 1

 

 栄都学園と雷門中の練習試合は、歪としか言い表し様の無い様相を見せていた。試合が終了した後、スコア的には大敗している筈の雷門イレブンが涼しい顔でフィールドの上に立っており、スコア的には圧勝している筈の栄都イレブンは肩で息をするどころかフィールドの各所で倒れ伏していた。

 

「……これが、今の雷門か」

 

 観客席から試合を観ていた円堂守は苦々しく呟く。

 この試合は内容だけ見れば雷門の圧勝だ。序盤から終盤まで運動量で圧倒し、栄都イレブンに必殺技を使わせて体力の消耗を加速させつつ、雷門イレブンのほぼ全員が必殺技を使わずに渡り合ってみせたのだから。

 雷門イレブンが態と敗北を選んだ事は、誰の目にも疑いようの無い事実として映った。

 

「インチキをするなー!」

「真剣勝負を見せろー!」

「こんなのサッカーじゃねえ!」

 

 その結果、スタジアムから上がったのはブーイングの声。当たり前の事だ。彼らはサッカー管理組織フィフスセクターの存在を知らず、ましてや勝敗指示なんてものが下されている事など知りよう筈も無いのだから。

 

「…………」

 

 喧騒の中、円堂だけが静かに雷門イレブンを見つめていた。

 

 

 ⚡︎⚡︎⚡︎

 

 

 どうも、三国太一です。

 一昨日行われた栄都学園と我々雷門中の試合は、結果的にフィフスセクターからの勝敗指示を破る事になった。

 天馬からのパスを受けた神童がボレーシュートで栄都ゴールを揺らしたからですね、因果律は収束しましたと。

 

 さて、一昨日の試合で俺は敢えて勝敗指示に従う行動を取った。まあ、相手のシュートでゴールを揺らされるのは癪だったから、そこは全部止めた上で自分でゴールネットに放り込んだという点は違うけど。

 我々雷門イレブンがわざと負けたと世間が知った訳である。

 

「さてさて……おおー、良いじゃん」

 

 イナッターでは#八百長試合、#雷門、#栄都学園などがトレンド入りし、一昨夕方の時点で中学サッカー関連のアカウント各所が炎上した。

 栄都学園と雷門中学(恐らくフィフスセクターも)は久遠監督に責任を押し付け、久遠監督は退任に追い込まれた。

 そしてあろう事か雷門中は理事長と校長の両方が大義名分を得たとばかりにツラツラと事実無根のでっち上げ声明を出し、久遠道也という男のイナズマジャパンを優勝に導いた経歴も相まってか、炎上にガソリンを投げ込む様な真似をしでかしてくれたのが一昨日の晩のことである。

 

 そして一夜明けた昨日、雷門中の金山理事長や冬海校長の汚職の証拠がネット上に流出したことにより、安全圏から燃料を放り込んだ馬鹿どもに業火となって返ってくる。

 雷門イレブンや久遠道也を激しく叩く声から一転、久遠監督や雷門イレブンを擁護する声が大部分を占め、叩かれる対象が事実とは全く異なる声明を出した学校側へと変わり、今朝のテレビニュースでも取り上げられる事態となり、今日は臨時休校となった。

 

 さて、ここまでの流れで作為的なモノを感じるだろう。もちろん、仕組んだ人間がいる。

 そう……目金さん達だ。目金さん率いる「メガネハッカーズ」が絶妙なタイミングでネット環境を操作し、情報を拡散してくれたのである。

 彼らは一人一人がウィザード級のハッカーであるだけでなく、秋葉名戸にも太いパイプを持っている為に頭数を揃えた人海戦術も可能と、この情報化社会にて絶対に敵に回したくない集団だ。

 

「ま、計画したのは俺と久遠監督なんだけどね」

 

 黒の騎士団(笑)とかいう厨二病集団により我々雷門サッカー部が半壊した翌日、俺はキッチリと資料を揃え、皆に「自由なサッカーを取り戻す為に戦おう」とプレゼンした。

 だが、彼らに植え付けられた強迫観念は強く、納得はしてくれたものの、戦う覚悟を決めてくれるまでは行かなかった。

 そこで俺は、全ての事態を好転させるべく久遠監督に相談を持ち掛けた。意外なことに久遠監督はアッサリと俺の相談に乗ってくれて、目金さんまで交えて計画の立案に協力してくれたという訳だ。

 

 後はまあ、簡単なお仕事だった。

 練習試合のカードと勝敗指示が来たところ、車田が「俺達が本気を出せば……」などと言い出したので、

 

「じゃあ、必殺技を封印しても余裕だよな?」

「圧倒的な力の差を見せつけられるよな?」

「まさか、この程度の縛りでその程度の事も出来ないでデカい口を叩いた訳じゃないよな?」

「普通に演技して実力で負けたと認知されるつもりか? うっわ、だっせー!」

 

 などと煽ってやったところ、彼等は見事にプライドを刺激され、やる気MAXに。実際の試合では必殺技も使わず、圧倒的な力量差を見せつけた上で()()()見せた。

 しかも、相当なストレスが溜まっていたのか、試合終了間際に天馬からのパスを受け取った神童が怒りの勝敗指示ぶっち切りプレーまでやってくれたモノだから、この作戦は大成功と言えるだろう。

 

 とは言え、ここまで上手く決まるとは驚きだ。流石はイナズマジャパンを世界一に導いた久遠道也と戦術アドバイザーといったところか。いやー……凄いね。

 

「さてと……タイヤ特訓に行くか」

 

 そして、ここからが本番だ。

 形はどうあれ、俺達はフィフスセクターに対し宣戦布告をした事になる。ここから先は一戦も負けられないし、負けるつもりもない。

 俺も全力で鍛え上げて来たとは言え、油断していると足元を掬われる。進化し続けなければ、追いつかれて喰い殺される。

 やってやらなきゃな……!!

 

 

 ⚡︎⚡︎⚡︎

 

 

「うおおお!【超・ゴッドハンド】!!」

 

 鉄塔にロープで結びつけられたトレーラー用のタイヤが弧を描き、俺から出現した赤い巨大な掌に衝突する。

 凄まじい負担が身体に掛かるが、俺は一歩も退くことなく完全に静止させてみせた。

 体調は良好、筋肉も関節も損傷は無し、気の流れもスムーズだ。じゃあ、次は久しぶりにあの技を行ってみようか!

 

「【正義の鉄拳G5】!!」

 

 タイヤを思い切りぶん投げ、タイヤが戻って来るまでの時間で俺は頭上にゴッドハンドを出現させ、拳を握る。

 力強い踏み込みと共に腰を入れてパンチを繰り出せば、ゴッドハンドは回転しながら猛スピードで飛んで行き、丁度戻って来たタイヤと激突してタイヤの軌道を逸らすことに成功する。

 ゴールがあれば、ゴールポストの真芯からボール2つ分外れといったところか、充分だな。

 これはあくまで持論だが、正義の鉄拳は真正面からシュートを受け止める事が出来ない状況で使う技だ。円堂さんみたいに真正面から弾き返す必要はあまり無い。

 

「じゃあ、こんな時はどうする?」

「なっ……ぶるあっ!?」

 

 と回想をしていた俺へと、突如として青い光を放つシュートが強襲する。咄嗟に目の前に両手を構えてシュートを受け止めはしたが、体ごと吹っ飛ばされてしまった。

 

「うおっつつ……凄いシュートだ、一体誰が!?」

「俺だよ」

「んん?」

 

 声の主を探せば、そこにはオレンジのバンダナを額に巻いた精悍な男が……って、円堂さんじゃねーか!?

 アイエエエ円堂さん!?円堂さんナンデ!?

 しかも、俺がサッカーボールを返そうと差し出せば、何処からともなく取り出した油性ペンでサインしてくれて「プレゼントだ」と仰るではないか!うおおお!家宝にする気しかしねえぜえええ!!

 

「【ゴッドハンド】に【正義の鉄拳】……良い技を習得しているな、三国太一!」

「うおおおおお!勿体無きお言葉に感謝……って、あれ。なんで俺の名前を?」

「そりゃ知ってるさ。だって……」

 

 一拍おいて、円堂さんは右手を俺に差し出してきた。

 

「今日から雷門中サッカー部の監督を務めさせて貰う、円堂守だ。よろしくな!」

 

 Oh,眩しいぜ、太陽マン……

 





三国「それはそうと、もう一度さっきのシュートを撃ってくれませんか!?」

円堂「おう、いいぜ!
   行くぞ、【ブレイブショット】!」

三国「【ゴッドハンド】……ぶるあああ!!」

 後ほど聞いたところによると、【ブレイブショット】は伝説の男に教えて貰って習得したそうです。
 一体誰ナカタなんだ。
 

円堂サンの歴代フラグ、誰推し?

  • アキ
  • 夏美
  • 春奈
  • 冬っぺ
  • 塔子
  • ウルビダ(八神玲奈)
  • 瞳子カントク
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