カイドウがウィーネを娘にするのは間違っているだろうか? 作:リーグロード
ウィーネを肩に乗っけて歩いてるカイドウの素敵なイラストを下さい!
「ングングッ、プハァ~。ソーマもいいが日本酒もやっぱり酒好きには欠かせない物だな」
「カイドウさん。あんた昨日から飲み過ぎだ。1人で一体何本開ける気なんです? ソーマだって安酒じゃないんですけどね……」
「ムハハハ! ジャックも大変だな。それで、昨日だけで遠征で得た金をどんだけ消費したんだ?」
「…………ざっと4割以上です。そのうちの3割がカイドウさんが飲んだソーマ代ですね」
ソロバンを弾いてのザックリ計算で昨日の宴での費用ならぬ被害額を口頭で述べると、クイーンは大爆笑するがカイドウは気まずそうに酒を煽る。
だが、そんなことがどうでもよさそうに座っている者が1人。
いや、どうでもよさそうと言うよりはそんなことに気を遣う余裕が無いといったところか……。
「さて、そろそろコイツの話に移るとするか」
「っ!!?」
カイドウが目を向けると、向けられた者はビクリと体を震わせてついに来たかと覚悟を決めたような雰囲気を醸し出す。
部屋の中央に設置されているソファーに座っているのはカイドウとクイーン、そして対面には黒衣のローブを着た胡散臭さ全開の魔導士のような者。
一体どうしてこうなったのか、話は今よりも少し遡る。
ウラノスからの依頼でケルヌンノスファミリアにやって来たのはいいが、まずホームの異様さにフェルズが固まってしまった。
(ガネーシャファミリアのホームも中々に奇抜ではあったが、ここはそれよりも更に邪悪といったような場所だな)
ケルヌンノスファミリアのホームである鬼ヶ島は聞くところによると、クイーンとジャックの趣味によって作り直されたホームらしい。
その外見は極東に出没する伝説のモンスター鬼の頭蓋骨をイメージしているのか、その混沌とした異様さは一般人を一切寄せ付けずにいた。
ホームの外堀もジャックが掘り進め、一周グルリと大きな掘りを作り出し、そこにわざわざメレンの港から部下たちを派遣して海水を流し込むという意味不明な行動を取ってはいるが、潜入する身になってその厄介さがよく分かる。
鬼ヶ島へ通ずる道は真っ正面に設置されている超大型の吊橋しか存在しておらず、もし仮に吊橋を利用せずに海水の中を泳いで潜り込んだとしても、海水の潮の臭いでバレやすくなるだろう。
誰にもバレずに鬼ヶ島に潜入するには自分のように装着者の姿を透明にするリバース・ヴェールで堂々と吊橋を渡るか、
なんにせよ、透明となった私の存在に気付く者はおらず、楽に潜入することに成功した。
あとは
「──っとまあ、俺は異端児をこれから受け入れていこうかと考えている」
「そうですか。まあ、転生者である俺たちにとって異端児はゾオン系の能力者にしか見えないですからね。この世界の他の住人達よりは理解も共存も上手くいくでしょう」
「ああ、だからジャックには悪いがこれからは原作ブレイクを主体に行動しようと思っている。あいつはこの世界のファンだからな。出来るだけ原作順守はしてやりたかったが、目の前にこんなに旨そうな
「ですね。それと、ルーク『eの6』これでチェックメイトですカイドウさん」
「……あ~~~~~」
遠征から帰ってきてからの宴会で蓄積したアルコールを抜きがてら、一局チェスをしないかと持ち掛けたカイドウにキングも同意し、昨晩神ケルヌンノスと語った異端児を仲間にしたドリームチームの話を進めながらゲームを楽しんでいたが、キングの一手にチェックメイトをコールされ、どこか抜け道はないかと頭を搔きむしりながら長考する。
「おい~っす! 居ますかカイドウさん? って、ゲェ! キングの野郎もいるのかよ」
「何しに来やがったクイーン? 朝っぱらから酔いが残ってる状態でテメェの醜い姿を視界に映してくんじゃねぇ」
「んだとぉキング! 前々から言ってるが、俺のこの体は全身筋肉だボケぇ!」
出会い頭に罵詈雑言のオンパレードに酔いがまだ消えておらず、チェスで負けているカイドウがブチ切れる。
「えぇい、うるせぇ! 朝っぱらから下んねぇことでぎゃいぎゃい喧嘩すんじゃねよお前ら! ガキかってんだまったく……」
「「す、すんません」」
カイドウにブチ切れられたことで申し訳なさそうに謝る2人にフンと鼻息を鳴らしてクイーンに視線を向ける。
「っで、用事は何だクイーン?」
「ああ、そうそう。カイドウさんが言ってた喋るモンスターの情報をジャックの奴から聞いといたぜ!」
異端児についての情報を書き記した紙を取り出してくる。そこに書かれていたのは異端児を捕まえて売買するイケロスファミリアについてのことや、ギルドが異端児の保護を裏で行っているという内容だった。
「成程な、原作知識はやはり役に立つ。ウォロロロォォ……」
クイーンから手渡された紙の内容を読み進めると、悪党らしい笑みを浮かべる。
「まずは当面の目標としてギルドへの接触とイケロスファミリアの商品のブン盗りを計画に入れろ。部隊の編成はクイーン、お前に任せる」
「アイアイサー! それじゃ俺は計画を練っとくんで失礼しますね」
ピュ~っと即座に部屋から出ていくクイーンのあからさまな態度にキングは嘆息のため息を吐くが、自身もあのバカとこれ以上顔を合わせる気はないという気持ちは同じなので引き止めるつもりはなかった。
「ん? クイーン? おおそうか!」
「どうしたんですかカイドウさん。クイーンにまだ用事が?」
「いや、そっちのクイーンじゃねぇ。こっちのクイーンだ!」
チェス盤に置かれた自分のクイーンを動かしてキングのチェックメイトからチェックへと移し替える。
「これでチェックだな。とはいえこれは……」
「ええ、互いに千日手以外の展開はありませんね。これじゃ、パーペチュアル・チェック。引き分けですね」
「ウォロロロォォ! まあ、負けかけた身からすれば大健闘ってとこだな」
勝負がついたチェスを片付けソファーに倒れ込むカイドウは世間話をするようにキングには話しかける。
「さてと、おいキング! いつからこの鬼ヶ島に
「ご心配なく。カイドウさんがその紙を読んでいる間に、既に連絡版で部下たちに指示は出しておいたので、直に捕まるでしょう」
読み終えた紙をテーブルに置くと、対面に座っているキングにこの鬼ヶ島に入り込んだネズミの存在を訊ねる。
すると、どうやらクイーンから渡された紙を読んでいる間に既に対処を完了しているようだった。
「ウォロロロォォ……、流石はキングだな。とはいえ、この時期のネズミか……。やはり狙いは……」
「ええ……、恐らくはお嬢の事が目当てだと考えるのが妥当でしょうね」
「ジャックの奴が警護に付いているから問題はねぇと思うが、あいつはまだまだ気配の察知には不慣れだからな。それに、ネズミのこの大胆な動き、恐らく不可視の透明化の魔道具かスキル持ちだろうな」
「はぁ~、俺は一応ジャックの奴と警護を変わってきます。何かあれば連絡版で連絡してください」
相手が仮に不可視の透明化の術を持っていたとしても、レベル7のジャックなら心配はないはずだというのに、万が一があると考えるカイドウさんは相当な親バカになっているなとため息を吐く。
それでもこうやって行動する自分も相当にカイドウさんに甘いのかもしれないなと考える。
「──っと言う訳だ。理解したかジャック」
「了解しました。俺も微力ながらネズミの捜索に向かいます」
「ん~? ジャックどこか行くの?」
キングから事の一件を聞かされたジャックはウィーネの警護から一旦外れ、鬼ヶ島に入り込んだネズミの探索へ向かおうとすると、文字の読み書きを習っていたウィーネが引き止める。
「すみませんお嬢、ジャックの奴は緊急の仕事が入ったのでそちらに当たらせます。その代わりに俺がお嬢の警護に当たるのでご安心を……」
「え~、キングよりジャックがいい!」
「…………勘弁してください。こっちもカイドウさんからの指示なので……」
「む~、パパからのお願いなら我慢する……」
ジャックの方がいいと言われて露骨に落ち込む様子のキングだったが、カイドウからの指示だと伝えるとウィーネも渋々膨れっ面をしながら我慢してくれた。
一方でジャックはキングからの無言の圧力を掛けられて冷や汗を流し続けている。
「どうしたジャック? さっさとネズミの捕獲に走れ!」
「は、はい!!」
怯えた様子で即座にその場から消えて逃げていったジャックは早くネズミを捕まえないとという思いと、こんな面倒な事を起こしやがってという怒りで感覚を研ぎ澄ませ、鬼ヶ島に入り込んだネズミの気配を追う。
その気迫は凄まじく、ものの数秒でネズミの気配を捉えて移動する。
「はぁ、はぁ、まさかもうバレたというのか? だが、敵も私の姿を捉えてはいない。いや、あれは指示された動きだな」
現在の鬼ヶ島内ではケルヌンノスファミリアの下っ端が廊下を横並びで通り抜ける隙間を作らずに移動している。
だが、その動きは自分を狙ってしているというよりかは、見えない何かを炙り出そうと追い詰めるようなもののように感じる。
「だとすると、敵の幹部クラスが動き出す前に早くここから逃げ出さねば……」
「ほぉ、逃げ出すか……。一体どこへ行こうってんだ?」
「っっっ!!!?」
いつの間に! っと声を上げそうになったが、それよりも早く目の前に立ち塞がったジャックが掴みかかってくる。
それをなんとかギリギリのところで避けることに成功はしたが、それでも事態は最悪の展開を迎えている。
「はは……、まさかいきなり
「そうか、なら諦めてとっとと捕まりやがれ!」
ズン、と殺気すら纏った剛腕が自身に対して飛んでくる!
とっさに魔道具を使用しようにもレベル3つ分のステータス差の前にはそれすらできず、呆気ない程にその剛腕に掴み取られてしまった。
「っぐ、しまった!?」
「さて、本来なら侵入者はその場で即座に拷問といくところだが、お前には色々と聞きたいことや、やってもらいたいこともある。ひとまずはカイドウさんのところへ案内する。大人しくついてこい」
なにやら恐ろしい単語が聞こえたが、どうやらこのままカイドウのところへと案内してもらえるようだ。
ならばこれはいっそ好機と捉えるべきか、何故異端児をダンジョンから地上へ連れ出したのかや、あの竜女を娘にした理由等も問いただしたかったところ。
単純な力勝負なら絶対に勝てぬ相手ではあるが、交渉を前提にした舌戦ならばこちらが有利な筈だ。
厄介な神がいれば状況は悪くなるかもしれんが、少なくとも無理に逃げ出すよりかはよっぽど希望が持てる。
「さて、ここがカイドウさんが待機している部屋だ。分かってると思うが、妙な真似を少しでも見せた場合、俺がテメェの首をへし折る。ただでさえ、お前のせいで厄介な目に遭ってるんだからな」
ボソッと何か呟いたようだが、それよりも扉の向こうから感じる謎の圧迫感とプレッシャーにたじろいでしまう。
(っ、これが超一級冒険者の放つオーラというものか……)
仮にこの部屋に神を殺す為の漆黒のモンスターが待ち構えていると
今からこれを相手に舌戦を強いられるというのは気が重くなるが、それでもやらねばなるまいと覚悟を決め直す。
「どうやら準備は出来たようだな? それじゃ入るぞ」
コンコンとノックをすると中から「入れ」と許可が降りる。
「失礼しますカイドウさん。例のネズミを捉えて連れてきました」
「お初にお目にかかる。私の名前はフェルズ。今回は黙っての侵入に心からの「鬱陶しい前置きはいい! そこに座れ!!」っ!!? ああ、分かった失礼する」
申し訳の謝罪をつまらんと切り捨てられ席へ着くことを促される。
どうやら相手は酒を飲んでいるようだ。その証拠にこの部屋には酒の臭いと空になった酒瓶が転がっている。っというか、今もカイドウの手に酒が握られており、それを大口を開けてガブガブと飲み干している。
「お~い! 部隊の編成が終わったぜカイドウさん。って、そこにいるフードは誰だ?」
空気を読むことなく部屋に入ってきたクイーンはソファーに座っているフェルズの存在に今気がついて尋ねる。
「ああぁん? テメェ、クイーン! まさか、そこの入り込んだネズミの存在に気づいてなかったなんて言わねぇよな?」
「え? ネズミ? ももももも勿論気づいてましたよ。いや~、そこのフード野郎がそのネズミだったんすね!」
「なんだ気づいてたのか、ウィック。もし気づいてなきゃ特別訓練の再開だったぜ。ウォロロロォォ!!」
ふぅ~と一安心の息を漏らすクイーン。幸いにも酒で酔っているからクイーンの下手な言い訳も通じたが、先程のアルコールが幾分か抜けた状態だったのなら、まず間違いなく深層行きの特別訓練の再開だったから滝のような汗を流す。
そして再びカイドウは酒を飲み、冒頭へと戻るのだった。
「それで、フェルズと言ったか……。目的はウィーネの事だな?」
「ウィーネ? ああ、お前達がダンジョンから持ち帰った異端児の事か。そうだな、私の目的はその異端児の扱いをお前達がどうしているのかの調査だ」
ウィーネと聞かされて最初は誰のことだと疑問に思ったが、すぐにあの竜女の事かと思い至り肯定の言葉を紡ぐ。
「ウォロロロォォ……。まあ、異端児を保護しているギルド……いや、ウラノスなら心配はするわな」
「っ!? 何故それを、それは一部の神しか知らない事実!?」
「ウォロロロォォ! 俺らには優秀な情報員が1人いるからな。大抵の事は知っている。まあ、全知って訳じゃねぇから知っている事だけなんだけどな」
愉快に笑ってのけるカイドウだが、フェルズはその情報に凍りつく。
カマを掛けているわけではない。だとしたら、情報を知り過ぎている。
(まさか、異端児の存在どころか、それにウラノスが関わっているのを知っているだと? いや、それだけではない筈だ。恐らくガネーシャやヘルメスもこの件に嚙んでいる事も知っている筈。なら……)
「そうか、ならこちらも腹を割って話した方がいいな。率直に聞こう。何故お前たちはウィーネを連れて帰った?」
「…………随分と思い切りがいいな。俺はもっと遠回しに聞きに来ると思ったが、さっきの俺の発言で吹っ切れたか? それとも、それがお前の交渉術か?」
「そうだな。君の質問の答えには前者と答えておこう。っが、私は自分では策士タイプだと認識しているが、存外想定外の事になれば弱いらしい」
そう自虐的に言うフェルズに沈黙したまま何か考えるカイドウ。
そのまま数秒経過し、やがて酒瓶に残った酒を一滴残らず飲み干すと酔った目でフェルズを真っ直ぐに見つめる。
「俺があいつを娘にした理由か……。そうだな。敢えて言うなら俺の気まぐれと、……あとはただの好奇心だ」
「そうか、随分と優しい気まぐれと好奇心だな」
「ああぁん?」
挑発とすら受け取られん返答にカイドウが殺気を振りまく。
「っっ、失礼、だが以前に君とウィーネが2人仲良く帰る場面を使い魔越しに見させてもらった。あれは誰がどう見ても家族の団欒そのものだった」
「そうか、やっぱりアレはテメェの使い魔か。……まあ、そうビクつくな。まだテメェには利用価値がある。今この場で殺すことはしねぇ」
「…………そうか、それは良かった。いや、私の方こそ礼を欠き過ぎた。ここに謝罪しよう。すまなかった」
立ち上がり謝罪するが、カイドウはそれに興味もなく酒の補充に気をまわしている。
その後、異端児についてのこれからのケルヌンノスファミリアの意向と対処の仕方を説明する。
「本気か? 異端児……モンスターとの共存どころか、
「それがどうした? あいつらが騒ぎ立てて何になる? 束になって数で対抗すりゃ俺達にも勝てるってか? ウォロロロォォ……。そいつは夢の見過ぎってやつだぜ」
「ムハハハ! そりゃそうだ。数で押し勝てる時代は当の昔に終わっている。神時代になってからは圧倒的な質こそがものを言う時代だ」
「まあ、仮に奴らが武力ではなく財や物質の面で抵抗を見せるというなら、俺達が奪い取るまでのこと。一切の反抗をそぎ落とす暴力ってのを心と体に刻み込んでやる」
その時フェルズは恐怖した。っというよりも思い出したというべきか、先程までの理性的な対応と、ウィーネや異端児達への差別感の無さに忘れてはいたが、彼らは
「そうか……。お前達の考えは理解した。正直言ってあまり納得は出来ない内容ではあったが、私にお前達を止める力も術もない。この件はウラノスに相談することにする」
頭が痛くなりそうな思いだったが、取り敢えずこのことをウラノスへ報告しなければと会話を切り上げてギルドへと帰っていった。
♦
地下にある主神ウラノスの祈祷室に舞い戻ったフェルズは事の顛末を報告する。
「っというのがケルヌンノスファミリアの見解だ。異端児達にとってはいい事かもしれんが、共存を望む者にとっては劇薬にすらなりかねん存在だった」
「ふむ、これはまた厄介さに拍車が掛かったな。だが、彼の者たちを止める術などロキファミリアとフレイヤファミリアの共闘なしでは到底敵わんだろう。しかし──―」
「ああ、あの2つのファミリアが共闘するなど天地がひっくり返ってもありえない。特にフレイヤファミリアの団員のロキファミリア嫌いは筋金入りのものだ。神フレイヤの鶴の一声でも掛かれば話は別かもしれんが、彼女もまた共闘なぞ望むべくもないだろう」
結論から言ってしまえばどうしようもないという結果しか生まれず、一応対策は考えはすれど結局は自分達ではどうしようもないという現実にぶち当たるだけだった。
ウラノスのキャラがよく分からないから脳内バーン様を代理にして書いたけど、なんかおかしいっていう点があったら感想ください。
一応、前回の感想で指摘されたウラノスとフェルズの会話の雰囲気が逆と指摘を受けたので自分なりに気を付けたのですがどうでしょうかしらたキングさん?
次回の過去編はどれがいい?
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