カイドウがウィーネを娘にするのは間違っているだろうか? 作:リーグロード
現オラリオにて最強のファミリアであるケルヌンノスファミリア。
そんなケルヌンノスファミリア団長であるカイドウの命令により全団員が集結していた。
ホームの2階から1階の大広間に集合していた団員達に対してカイドウが前に出て演説を始める。
「ウォロロロォォ……、テメェらよく集まってくれたな。今回オメェらを呼んだのは他でもねぇ、俺の娘ウィーネの例があるようにダンジョンには未確認の知性を保有するモンスターがいると俺は睨んでいる!」
カイドウの演説にざわざわと動揺が広がる。そんなざわめきを鎮める為にキングが一喝する。
「黙れ! カイドウさんの演説はまだ終わってねぇぞ!!」
「「「「「──―っ!!」」」」」
殺気の立ち込めたキングの一喝に、ざわついていた団員達は開いていた口を両手で塞ぎ、一瞬でざわめきは静まり返った。
「ウォロロロォォ……、流石だなキング。ご苦労だった」
「いえ、これくらいは当然です」
「さて、オメェらもグダグダと長ったらしい話は聞きたくねぇだろうから要点だけを言うぞ! 今回遠征から帰って来たばかりだが、再び遠征を再開させようと思う!」
今度は誰も口を開けてざわつくことは無かったが、その顔や目線から困惑していることは明らかで、誰も彼もが隣にいる者にどういうことだ? と目配せをする。
「まあ、お前らが疑問に思うのも無理はねぇだろう。要は俺達冒険者が未だ探索出来ていない未開拓領域の何処かに知性を持つモンスターが潜伏していると考えている。今回の遠征では18階層のリヴィラの街を拠点とし、19階層以下の未開拓領域をしらみつぶしに探りを入れることが目的だ!」
「ムハハハ! そういう訳だ。言っとくがこれは決定事項で異論反論は認めねぇ!」
そう言われてしまえば下っ端の自分達は何も言えなくなってしまう。
誰もが口を閉ざして黙ってカイドウの命令に従う雰囲気の中、飛び六胞最強の男ウォーロンが意見を飛ばす。
「ちょっと待ってくれカイドウさん。確かにあんたの言う通りウィーネお嬢のようなモンスターが存在しているかもしれねぇ。だけどそいつらを見つけてどうするんだ? 今回の目的のその先が俺にはよく見えて来ねえ?」
「ウォロロロォォ……。いい質問だ。確かに今回の目的である知性を持つモンスター、これから知性モンスターのことを
「「「「―――っ!!?」」」」
それを聞かされたケルヌンノスファミリア団員達は胸に熱い想いが込み上げてくるのが抑えられなかった。
人類の歴史に名を刻むレベルの偉業、そんな大事業に参加するのだ。これで興奮するなと言う方が無理だ!
「すまねぇカイドウさん。あんたにそんな壮大な考えがあったなんてな。変に演説を止めちまって悪かった!」
「問題ねぇよ。ウォロロロォォ……、お陰で連中の士気も上がったからな。結果オーライだ!!」
ウォーロンからの謝罪を快く許すカイドウに部下たちも胸を撫でおろす。
そんな緩くなった空気を引き締めるようにキングが部下たちに向けて声を上げる。
「テメェら!! 気を引き締めておけ、今回の目的は今までとは違う。俺達が探す目標は敵ではなく将来的に味方になるモンスターだ。戦闘をするにせよ交渉をするにせよこちら側が上の立場だと認識させなきゃなんねえ!! 浮ついた気持ちで出来る仕事じゃねぇぞ!!」
「「「「はい!!!!」」」」
この場の全員が改めて気持ちを切り替え、
だがそれに反対する者が1人……。
「い~や~だ~!! パパもジャックもどっか行くなら私も行く!!!」
「はぁ~……、何度も言うがダンジョンはまだお前には早い。ケルヌンノスの奴から恩恵を貰ってまだ間もないからな。レベル1程度の強さじゃ中層には連れていけねぇ……」
「や~だ~!? 私も行きたい行きたい!!?」
ジタバタと駄々をこねながらカイドウを困らせるウィーネに手を焼いている。
こうした子供の我儘に対してどう対処すればいいのかカイドウには経験が無かった為に分からなかった。前世での娘は言うことを聞く大人しい子供だから我儘は言わなかったが、ウィーネは良くも悪くも子供らしい活発さがあり、このような駄々を捏ねる姿に愛らしさすら湧くが困ったことには変わりない。
「おい、あんな困った顔したカイドウさん見たことあるか?」
「いやねぇよ。流石はウィーネお嬢ってやつだな」
「ああ……、でもこれどうするんだ?」
や~だ~! と駄々を捏ねるウィーネとそれに困って頭を抱えるカイドウの構図はただ見ている分には面白いかもしれないが、いつカイドウが爆発するか分からない今の現状は近くにいる自分達の身が危険だ。
例えるならば、いつ爆発してもおかしくない巨大な爆弾とその導火線に着火しまくる子供、それが今のカイドウとウィーネだ。
しかも、タチの悪いことに被害を喰らうのは傍で見ている自分達だけだということ。今すぐウィーネお嬢に苦言というか我慢してくれ! と言いたいが、下手に前に出て今のカイドウさんに目を付けられたくないというのも事実。
((((頼む神様! どうか俺達を助けてください!!))))
そんな必死な祈りが天に通じたのか、遠征の準備から戻ったウォーロンが部屋に入ってきた。
「嫌な予感がしたが、まさかカイドウさんが子育てに苦戦するなんざ神様も予見出来なかったんじゃねぇか?」
「っち、何しに来やがったウォーロン! グチグチと説教をかましに来たわけじゃあるまいに!?」
「……今回のホームでの留守は俺が担当することにした。当然、ウィーネお嬢の警護も俺がする」
「……?」
「何の冗談だ? 今回の目的は圧倒的な力を示すことが必要だ。なら、テメェの重要性がどれ程のものか、分からねぇほどマヌケじゃねぇだろ?」
「当然そうかもしれねぇ、っが! 俺はあんたや認めたくはねぇが大看板の3人程強くはねぇ、他にも俺以外に飛び六胞は5人いる。正直、今回の遠征に連れて行くには過剰戦力とすりゃ思っている」
「正論だな。……だがもし、俺達がまだお前らに黙っている情報があるとすればどうだ?」
確かに、既にジャックから聞いている情報ではレベル6どころかレベル7や8がいれば充分に目的は達成できる。
そこにレベル9の俺も加わって動けば過剰戦力という言葉は間違いではないだろう。
だが、それでも無視できない不穏な動きがここ最近のオラリオにあった。
ジャックの情報は完璧ではない。俺達がこの街で活動することで原作に干渉することによって生まれるバタフライエフェクトやジャックの知りえない裏の設定や未来で明かされる事実。
それらが合わさって予期できぬ事態に陥ったことも何度かあった。
だからこそ、今回の遠征は失敗を許さぬ為に万全を期して行動したかった。
「……時々、カイドウさんらが未来を知っているかのように行動するのは知っている。黙っている情報ってのはそのことか?」
「っ!? ほぉ、驚いた。まさかバレてたとはな。そうだ俺達……というより、ジャックはこの世界でのごく限られた限定的な未来を知っている。今回の遠征もその未来の情報を元に組み立てられたものだ」
「やっぱり……」
「それで? そういや何でお前が留守を担当するって言いだしたのか、その理由を聞いていなかったな」
「今回の遠征じゃ明確な場所が把握できちゃいないからな、いつ戻れるか分からない。それに、目的の1つでもある第2のリヴィラの街を建築するにせよギルドや他のファミリアへの説明も必要だ。俺も地上で故郷への支援も近々しなきゃなんねえからその辺りの雑務を引き受ける。だから今回の遠征には俺を外してはくれねぇか?」
なるほどな、そういや確かにもうそろそろウォーロンが故郷への支援活動をする時期か……。誰か適当に部下共に任せればいいものを、コイツは律儀に自分が率先して支援の準備をしたがる。
まあ、ウチのファミリアはチンピラの集まりと言っても過言じゃねえくらい素行が悪いからな。半端な奴に任せれば故郷の支援物資がちょろまかされたりするかもしれんし、そういった行動を取るのも分からなくもねえ。
「ウォロロロォォ……、いいぜウォーロン。今回の遠征はお前抜きで行うことにする。ホームの留守とウィーネの子守は任せたぞ」
「ええ……、ウィーネもパパと一緒に行くの!!」
先程まで真面目な話故に黙っていたウィーネも、結局自分を置いて行くのだと分かれば精一杯の我儘を捏ねる。
再び始まったウィーネの駄々にどうしたものかと頭を悩ませていると、なんとも以外なことにウォーロンが解決策をいとも容易く提示してみせた。
「わぁ、キラキラだ!」
小さな女の子が好きな物といえば甘い物やキラキラした可愛いらしいオシャレなアクセサリー等だ。
ケルヌンノスファミリアの幹部らは何か緊急時用に換金用として宝石や金塊等を持ち歩いていることが多い。
今回はウォーロンが持ち歩いていた4000万ヴァリス相当の宝石が付いたネックレスを渡すことでウィーネの御機嫌取りに成功し、後は口八丁手八丁でウィーネにお留守番を認めさすことが出来た。
後は置いてきぼりに若干膨れっ面状態のウィーネを部下たちに任せ、カイドウとウォーロンはそれぞれ遠征に向けて動き出す。
♦
バベルの塔前にてオラリオ最強のファミリアであるケルヌンノスファミリアが再び遠征の装備で集まっていることに周囲の冒険者は何があったんだと怪訝な顔で遠くから見守っている。
そんな最中、見上げるほどの巨体を持つ4名のヒューマン、カイドウと大看板のキング、クイーン、ジャックが遅れてやって来た。
「ウォロロロォォ……、今日はいい天気だ。ここしばらくは快晴が続くが、もって一週間くらいだろう。地下にいるモンスター共はこんな青空なんざ拝んだことはねぇだろう。一週間だ! 一週間で遠征を終わらせるぞ!!」
澄み渡る青空を突き刺すように突き上げた指に込められた想い。
それは熱を持ち、周りへと伝播する。思わず拳を握り締めて振るいあがった者もいるだろう。
誰も彼もが武器を握る力を強めると、最強の男の背を見上げてダンジョンへ向かう。
なんかこの小説もインパクトが薄くなってきたような……。
ウィーネちゃんとカイドウの親子関係をもっと魅力的に書けるような文才が欲しい。
次回の過去編はどれがいい?
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リヴィラの街
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ソーマファミリア
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ヘファイストス&ゴブニュ
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飛び六胞の誰か?
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港町メレン
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テルスキュラ